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「検証 報道被害・朝日新聞とツイッター」
 -そこまでやるか、EM叩き- 

第3回
・EM攻撃は朝日から始まった

「ニセ科学」というレッテルで、EM(有用微生物群)の環境活動が、膨大なデマ情報と誇張のツイッター・アビューズにさらされている。ツイッター・アビューズとは、ツイッターでの悪意のある誹謗・中傷のことを言うのだが、近年、ますますエスカレートして社会問題になっているのだ。陰湿でしかも悪意に満ちた投稿が連続すると、もう誰にも止められない。それは集団的なイジメのようなものだ。このまま放置すれば人を死に追いやる危険すらあるのではないか。朝日新聞の不適切な取材記事で、ツイッターによるEMへの攻撃が激化した。信用棄損や業務妨害、このようなツイッターによるEM叩きのその現実を報告しようと思う。      DND編集長、ジャーナリスト・出口俊一


◇不適切な取材と罪作りな記事
 朝日新聞青森総局の長野剛記者が、2012年7月3日付と11日付の2回、EM(有用微生物群)の批判記事を青森県版に書いた。記事に不適切な取材が随所に指摘された。特に問題とされたのは、でっち上げられた「談話」だ。EMの開発者で琉球大学名誉教授、比嘉照夫氏の「談話」で、水質浄化に関わるEM効果について、「重力波と想定される波動によるもの主張する」と喧伝されたのだ。それも7日と11日と連続した。
 比嘉氏は会ってもいないし、取材も受けていない。本人が、まったく知らないところで勝手に載せられたのだから、ご本人は「朝日に嵌められた」という思いが強いのではないか。 「談話」に取り込んだ16文字の引用も説明不足というか、舌足らずなため、読者に大いなる疑問を与える結果となった。これが故意に画策されたものだとしたら卑劣でその罪は重い。
引用もいまから8年前のネットからのものだった。引用の文言が不正確で一部、改変されていた。出典の明示をしていないという致命的な誤りを犯していた。そもそも取材して答えたかのような「談話」になっているのだから、取材の構成からすれば引用先を明示すると辻褄が合わなくなるのだ。
 ぼくは30年近く新聞社に籍を置いて現場を踏んだが、こんなインチキな「談話」の扱いは見たことがない。
長野記者が、その「談話」を使って、「理論も現代科学と相いれないとして非科学的との批判がある」と断罪した。それによってツイッターなどソーシャルメディアで叩かれ、晒し者にされ、デマ情報が拡散され、EMへの攻撃が激化したのだ。


 しかし、ちょっと待てよ、これって策略めいていないか。そこにある種の狡猾な悪意が感じられるのだ。
 通常、新聞で批判する当事者の談話を2行足らずで納めてしまうようなことはしない。説明を加えて読者に分かりやすく伝えることを心掛けるものだ。わかりにくい答えがあったら、それはどういう意味ですか、と再質問するでしょう。取材は、読者を代弁する役割もある。だから、取材をしないでネットのみに頼ってはこのような間違いを起こすのである。


◇朝日は罪作り
 そういう印象をもつのは、僕だけではない。仲間の記者に聞いても「ひどいねぇ」、「これは一発アウトだ」という。比嘉氏が、「重力波…」としゃべったかのような誤解を読者に与えてしまった。ツイッター上では、「水質浄化に重力波?」、「酷いことを言うね」、「詐欺的ビジネスだ」といったEM誹謗のコメントがあふれ、その批判はさらに数千、数万という桁違いのネットユーザーを巻き込んでエスカレートしていった。これを機にツイッターによるEM叩きが日常化していくのである。
 最近では、山形大学准教授の天羽優子氏がネットでEM排除の“署名”に動いている。ネット仕様の不具合で混乱を招いているらしいが、表現の自由だからと言って何をやってもいいわけじゃない。国立大学の教員が、ネットで他人や団体を排斥するようことが許されるのだろうか。行儀が悪すぎる。


◇長野記者のツイート
 さて、7月3日付の記事が出るほぼ1ケ月前、長野記者は「青森県内に(EMの)とっかかりは無いものか(ボソッ)」とツイートし、続いて「県内のEM使用例を探し、状況を研究する」と宣言、すると、EM批判に熱心なツイッター仲間から情報が寄せられていた。
6月19日には「近く、(EM批判を)記事化します」とつぶやいてみせた。6月27日には、「せやけど、早くEM記事載せてくれへんかぁー」と、ぼやくのである。なかなか記事にならないことに苛ついている様子がうかがえる。
 長野記者のツイッターに反応しているのは、調べてみると、青森県内の関係者は見あたらない。6月29日には、「青森の現場でも、使用者はなんの疑いもないですね。結構、ショックを受けています」との発言をした。EMに効果があるから、「なんの疑いもない」のである。


◇評判は芳しくない。
 2012年7月18日、記事の真意を確かめるため、青森に飛んだ。アポをとり青森総局長をまじえて面談した。そして取材を受けた方々にお会いし、記事を検証した。記事によって被害をこうむり、内容に疑問が生じれば、それを確かめるのは当然で、新聞社には説明責任がある。
 青森県庁の担当者は、記事に対して「(EMの)効果がない、とは思わない。(記事には)こちらも迷惑している」と言った。電話取材を受けた県の別の担当者は、「誘導尋問のようで、話してもいないことを曲げて書かれた」と証言した。
 また、小学校の女性教員は、電話取材を受けて「前の学校と比べて、EMは安全だし、簡単にプールがきれいになった」とEMの効果を伝えたら、「前の学校とプールの材質が違うのではないか」と荒唐無稽な言われ方をされた。「記者さんの常識のなさには、あきれたわ」と言った。
 また、ある中学の校長は、記事が出た2ケ月後に長野記者が女性を伴って学校にきたことを話してくれた。聞いてもいないのに、長野記者はその女性を「京都大学卒」だと紹介した。確か、なんとかという名前でした、と手帳を見ながら彼女のペンネームを口にした。そこで校長は思わぬことを口にした。
 それは校長が、長野記者の記事にちょっと不満を述べたら長野記者から「ちゃんと読んだ?アタマ、悪いんじゃないか」という意味の罵声を浴びせられた、というのだ。「いやあ、大変だなぁ」と眉をひそめた。「女性は函館から来たといったが、何もしゃべらなかった」と首を傾げた。
 京大卒って、聞かれてもいないのに人前でそのように学歴をひけらかすものだろうか。記者って、このように校長を一喝するだろうか。裏取材をしてみると、その評判は決して芳しくはないのである。
 八戸市の多賀台小学校でEMによるプール清掃のお手伝いしている高齢の元教師のボランティアの方は、記事が出る前に、長野記者から連絡をもらって県内各地のEMの利用状況を伝え、担当者の連絡先を教えた。
 「きっとまた、EMの環境活動のことを書いてくれるんだ」と思った。が、記事が出たことを学校関係者から知らされた。その期待は暗転した。
 「裏切られたような思いださ、ややっ、ひどいっ、なんでこんなことになんだべぇなぁ」と表情を曇らせるのである。


 

◇EM叩きの猛者がいた。
 記事が出た7月3日は、青森県内でその記事に反応する人はさほどでなかった。拡散に猛烈な力を与えたのはソーシャルメディアだった。ツイッターで火が付いてネットで話題となり全国的なトップニュースになった。
 その中で、青森県庁にメールを送りつけ、直接電話でクレームをつけた猛者がいた。国立天文台の准教授だ。その異常なほどの実態を次回以降、報告する。 ≪続く≫



関連:
「検証 朝日新聞とツイッター」 -そこまでやるか、EM叩き-
 第1回:「ニセ科学」糾弾の急先鋒:
http://dndi.jp/mailmaga/mm/mm150716.php

「検証 朝日新聞とツイッター」 -そこまでやるか、EM叩き-
 第2回:大阪大学、菊池氏に汚された口蹄疫感謝状:
http://dndi.jp/mailmaga/mm/mm150805.php

EM関連論文・報告:
●Effective microorganisms and their influence on vegetable production - a review
http://www.jhortscib.org/Vol88/88_4/2.htm

●微生物の代謝を利用した重金属汚染土の浄化効果
https://web.archive.org/web/20150223234658/http://www7.civil.kyushu-u.ac.jp/geotech/pp_geoenv/09-2.pdf

●Laboratory Scale Bioremediation of the Yamuna Water with Effective Microbes (EM) Technology and Nanotechnology
http://www.omicsonline.org/2155-6199/2155-6199-3-160.pdf

●長崎県 EM 菌活用による内海湾の浄化について
(幡鉾川河口の環境回復を図る)
http://www.doboku.pref.nagasaki.jp/keiji/gijutuhappyo/h16/ronbun/11.pdf

●三重県 閉鎖性水域(英虞湾)における水質浄化実験
http://www.eco.pref.mie.lg.jp/earth/100150/em/doc-report/1-3.pdf

●Functions of effective microorganisms in bioremediation of the contaminated harbor sediments.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22217081

比嘉照夫教授の連載より
●第94回 水系改善と生物多様性の回復(3)
http://dndi.jp/19-higa/higa_94.php

●第95回 水系改善と生物多様性の回復(4)
http://dndi.jp/19-higa/higa_95.php

●第96回 水系改善と生物多様性の回復(5)
http://dndi.jp/19-higa/higa_96.php

●第97回 水系改善と生物多様性の回復(6)
http://dndi.jp/19-higa/higa_97.php