第94回 水系改善と生物多様性の回復(3)



 EMによる水質浄化や生態系や生物多様性の根本原理は、水環境のマイクロバイオーム(微生物叢)を有用な合成系や発酵系の微生物叢に変え、汚染物質の分解、資化と有機物の発酵分解による、動植物プランクトンの基質(エサ)を作り、生物の生態系連作を望ましい状況に維持することにある。


 したがって、その効果は水質の汚染のレベルによって様々であるが、変化が認められない場合はEMの施用量が足りないか、またはEMを投入された場所のマイクロバイオームが望ましい状況に達していないという単純な話である。したがって、効果が十分でない場合は、追加し続ければよく、30〜50年かけて汚染した湖沼や池も、良質のEM活性液の大量投入と、ヘドロ層にはEMダンゴを投入し、EMの巣を作れば、数年で目を見張る成果が現れ、例外はないという現実がある。


 EMに水質浄化の効果がないという公的機関のすべての試験は、EMのこのような性質を無視して行われたものである。すなわち、EMが生き物であり、増えてはじめて効果が出るという大前提を無視し、数週間程度の短期間に化学物質と同様な考えで試験を行ったものであり、中にはEMのBODが高いから問題として、その効果を否定している例もある。


 このような試験結果に対し、公開質問状を出しても、試験した結果の通りですという繰り返しである。確かに試験の結果には、誤りはないが、試験の方法と、その判定に根本的な誤認があり、意図的にEMつぶしを図った実験と言えるものである。


 新聞の否定的記事も、そのようなものが殆どであり、現場を検証している例は皆無である。今回紹介する外濠の浄化は東京に直下型地震が起こった場合、外濠の水が水源として活用できるようにしておこうという災害時の危機管理の一環として機能する意図も含まれており、今後も続ける計画である。


ー生態系が改善しホタルも復活した江戸城外濠ー







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