◆ DND大学発ベンチャー支援情報 ◆ 2016/11/23 http://dndi.jp/

ー微生物の新しい姿“Dr,Higa’s Theory”の応用ーその3
・大洪水、大津波、放射能汚染-未曽有の災害を克服するEM
・圧倒的なEMの海外事例と科学的実証の数々
・放射能汚染に挑むEMの研究論文



 いま、世の中の見識のある方々が、微生物の探求やその応用に大きな期待を寄せていることは紛れもない事実だろう。ある種の有用な微生物群が放射性物質を理論上より早く減衰させうることが近年の数々の実証研究で裏付けられてきた。
 核の脅威にどう対処するか、福島原発事故にみる放射能汚染など深刻な人類の難題をどう解決していくか、それらの現実に科学者は何をすべきなのか、何ができるのか-
 名古屋大学で開催した第3回ユニバーサルビレッジ国際会議2016、その創設者でMIT(マサチューセッツ工科大学)の正木一郎博士の問題提起は、参加者の胸を打ったに違いない。わたしもその一人だ。その答えをEM(有用微生物群)の研究と応用に求める提言を行ったのだ。
 “Dr,Higa’s Theory”に強い期待と共感を寄せたことは前に紹介した。正木博士がパワーポイントで説明した具体的なEMの事例やその後の分科会での研究発表を織り込みながらもう少しその辺に触れたい。
                    DNDメルマガ編集長、出口俊一




◇未曽有の大災害を克服するEM
 大洪水や大津波、メルトダウンを招いた福島原発事故…猛威をふるう未曽有の大災害が襲うたびに、各地でEMがその驚異の威力を発揮してきた。その懸命で涙ぐましい取り組みのありのままの現実を正しくみてもらいたい。その善意のボランティアの活動ぶりと、そしてEMの威力に驚かれることだろう。困難を克服する有用微生物群の新しい姿や可能性について、近年、提言や研究、そして論文発表が相次いでいることは実に頼もしく誇らしい。
 正木一郎博士が、その提言の中で、人類の危機的状況の打開策として有用微生物群、 EMに多大な期待を寄せているのは、ある意味、これは歴史の必然なのかもしれない。「琉球大学発」のEM技術が、いまや時代の潮流となってきたことを裏付けているのではないか、とそんな確信を強くするからだ。


◇the power of EMとは.
 その大会議室では洗練された英語で正木博士の提言を代読するご長女のKinuko Masaki Ph.Dのスピーチは、その佳境に入った。

  Following are a couple of real-life examples of the power of EM.
次にEMの力を示したいくつかの実際の事例を挙げましょう、とややトーンを上げた。
 その時、正面のスクリーンには、こんなヘッドラインが映しだされた。

  EFFECTIVE MICROORGANISMS(EM)

 EFFECTIVE(エフェクティヴ)は効果的なとか、有用なという意味で、
MICROORGANISMS(マイクロオーガニズムズ)とは微生物群のことである。その頭文字をとってEMという。有用で多様な微生物群、有用微生物群と訳されて一般的に普及しているのだ。

 再び、スクリーンには、
・Dr.Teruo Higa‐professor emeritus of University of Ryukyu
・比嘉照夫博士ー琉球大学名誉教授

・EM:combination of microorganisms centered mainly on lactic acid bacteria,yeast,and phototropic bacteria
・EM: 主に乳酸菌、酵母、及び光合成細菌を中心とした微生物の組み合わせ
・EM used in over 150 countries to solve air,soil and water pollution
・EMは大気、土壌、及び水質汚染を解決するために世界150ケ国以上で使用されている

   提言で正木博士は、極めて重要な問いかけをしていることに気付かされる。地球全体に及ぼす生態系の危機に直面する今日の緊急事態に対して、「21世紀の科学でこのような難問を解決できるのか」と疑問を投げかけたのだ。人類の危機というかつて経験したことのない難題の、その解決の糸口として微生物、とりわけEM(有用微生物群)に着目したところに正木博士の研究者としての真摯な姿勢をうかがい知ることができる。
 わたしは率直に、正木博士に対しては、「苦悩する世界級の人物」という印象を抱いた。それだからこそ、現実の諸問題に立ち向かう比嘉教授への共感が湧き上がってくるに違いない。


◇EM団子を投じるタイ国のインラックラ元首相
再び、会場に場面を移そう。

・EM PURIFIES WATER AND SERWAGE
・EMは水や汚水を浄化する

 スクリーンには、タイ国のインラック・シナワトラ元首相の姿を映していた。
タイ・バンコクにあるドン・ムオン地区を襲った大洪水に際して、当時のインラック首相が汚水の浄化のためにEMでつくった団子を右手にかざして投げ入れている写真だった。
 2011年9月から暮れにかけて、タイ国ではバンコクを中心に100年に一度と言われる大洪水に見舞われたのだ。
バンコク近郊に進出していた日本の自動車メーカーの工場なども水没の危機に陥り、甚大な被害がもたらされた。日本の進出企業は東日本大震災の後だけにダブルパンチを受けた企業も少なくなかった。
 大洪水による被害は、水が引いた後にもなお衛生問題といういわば二次被害が問題となる。トイレからの汚染水に加え、生ごみや各種油、廃棄物がごちゃ混ぜになって淀み、街中が異臭を発していた。不意衛生極まりない非情事態を招くのだ。足を長時間にわたって水に浸かると、足全体が水虫状になり、様々な感染症が懸念されたほどだ。(※1)




 

◇Maemaan Lake(メーマーン湖)ダム決壊を阻止
このため、タイ国政府は、この非常事態に軍部を総動員した。とくに陸軍を中心に環境省、社会開発省がその任にあたった。その根本的な対策にEMが全面的に活用されたのである。
 2011年11月3日、EMによる洪水対策のプロジェクトがスタートした。環境省がEMの使用法のマニュアルを一般に配布するなど、タイ国の経団連をはじめ、仏教協会のトップもEMの飲料等の活用を展開した。写真のようにEM団子や活性液の投入に、インラック首相自ら先頭に立っていたのである。その結果、懸念された衛生問題や感染症はほとんど起こらなかった。
 大洪水のさなか、ひとつの語り草になっているのが、Maemaan Lake(メーマーン湖)ダムである。この3億トン級のダムが、流木とヘドロで埋まり、油や化学物質も大量に流れ込んで放流口が完全にふさがってしまい周辺に悪臭が充満するという事態となったのだ。
   このままだと、ダム決壊という危険な事態くを招く恐れがあった。さまざまな手当てを試みたがどれもうまくいかなかった。そのため、社会開発省の住宅公社が中心となって、大量のEMを投入したのである。放流口のヘドロのところに注入した。
 その結果、ヘドロが分解して軟化した。その効果があって徐々に水が抜け始めたのである。悪臭も消えた。その放流で、2週間程度で正常に戻った。住宅公社関係者ばかりか、多くの人がEMの力に驚きの声を上げた。タイ政府は、この難局をEMの活用で乗り切ったのである。これらの動きや成果は、ロイター通信など世界に配信された。我が国でも民放が取り上げた。この大洪水で活用されたEMは原液で200トン余り、それを100倍に増やして使うため、使われたEM活性液は2万トンに及んだことになる、という。
 タイ国にEMが導入されたのが、今年でちょうど30年、1986年のことだった。当時、タイの東北部は降雨が極端に少ない年が続いて、農村部は危機的な状況が慢性化していた。その対策としてEMが活用されたのである。現在、タイ国とは、社会開発省を窓口に技術指導協定書が交わされている。
 EMに効果がなければ、長く続くものではないことは道理であろう。この現実を正しく捉えるべきなのである。


◇住宅公社の元総裁、ウォラヌットさんの確信
 国際会議2日目の分科会には、当時、大洪水対策にEMを活用して難を乗り切った体験をもつ、住宅公社の元総裁、ウォラヌット・ジットタムサターポーンさんら3人がタイ国からかけつけた。大洪水時のEM活用の生々しい事例報告を行った。
 ウォラヌットさんとEMとのきっかけは、2003年にさかのぼる。住宅公社30万ユニットを管理する責任ある立場だったが、ノンタブリー県にある住民2000家族1万2000人が住む集合住宅の汚水浄化槽のエアレーションが老朽化で稼働しなくなった。そのため、窓が開けられないほどの悪臭で苦情が殺到した、という。この事態にEMの情報を得て貯水槽にEMを流し込んだ。すると、汚水による悪臭が消え、4メートルもあった沈殿物が30センチまで減るという劇的な効果を目の当たりにしたのだ。それ以来、ローコストのメンテナンス技術としてEMを活用している、という。
 現在は、ウォラヌットさんは、同公社の相談役で、「美しい世界、美しい水会議」の会長職にある。





◇大津波の塩害を克服
 正木博士による事例の紹介は、東日本大震災にも及んだ。スクリーン上には、TSUNAMIの文字が確認できた。

・TSUNAMI EFFECTS UNDONE QUICKLY BY EM
・EMによる津波被害の早期回復

EM has also been used to quickly undo the catastrophic effects of a Tsunami. For example, in Sendai, a tsunami hit on March 2011 and covered the field with salt. Usually, this means that crops cannot be grown for a long time. However, after EM was sprayed on the fields, in only 4 months (i.e. July), crops began to grow. And after only 6 months (i.e. September), there was a full harvest.

 東日本大震災の大津波で田んぼがヘドロと瓦礫で埋まり、塩害で3年先は作付けが困難と絶望視された仙台東部の田園エリアである。仙台市宮城野区蒲生の鈴木有機農園の取り組みが報告された。
 が、3年先どころか震災の年の5月には田植えを開始して秋には見事にブランド米のササニシキを収穫したのである。これもEMによってヘドロを分解し塩害を克服した成功事例として多くの新聞、テレビで繰り返し取り上げられたのは記憶に新しい。
 DNDの読者は、わたしが鈴木有機農園のことを繰り返しメルマガで取り上げていることをご存知だと思う。EMでヘドロを分解して浄化するうえ、さらに品質がよくなる、というのはEMを利用する全国のネットワークの間ではすでに常識になっている。だから青森県の沖館川がEM投入でヘドロが著しく減少したというのは、極めて常識的なことなのである。実地の調査報告でもその効果が裏付けられた。





◇ササニシキは化学肥料に弱い
 わたしは、震災後の5月の連休後に、盛岡からスタートして釜石、気仙沼、女川、南三陸、石巻、仙台、名取と、岩手、宮城両県の被災地を取材してまわった。仙台市の鈴木有機農園の鈴木英俊さん宅にはEMみやぎの世話人、小林康雄氏の案内で5月14日に訪ねた。瓦礫に埋まって悪臭を放つ田んぼを見て回っていた。以来、毎年、繰り返し足を運んでウオッチしている。
 昨年秋には、震災から5年半の節目に、テレビ朝日が精力的に取材を行い報道ステーションで生中継された。鈴木有機農園の鈴木英俊さんは、カメラに向かって、「微生物のおかげ、とりわけEMの力が大きい」と語ったのが印象的だった。EMの効果は、こんなところでも実証されていた。
 震災後6回目の米の収穫を終えた鈴木さん宅につい先日、やはり小林康雄さんの運転で邪魔した。今年のササニシキはこれまでにない出来だと胸をはっていた。わたしも毎年お米を注文している。
 ところがその日初めてこんなことを耳にした。東北のブランド米ササニシキは、全収量の6%余りでその大半はヒトメボレなのだという。10年前の冷害で、ササニシキの収量が10アールで1俵半程度に落ち込んだ。ヒトメボレが6ー7俵と断然差が付くことになった。ササニシキは冷害に弱い、との風評でササニシキの栽培を止めてヒトメボレに転換する農家が増えたためだ。
 鈴木さんは、実は、それは大いなる誤解で、うちのササニシキはまったく冷害の影響を受けなかった。調べると、ササニシキは化学肥料や農薬に弱いということがわかったという。化学肥料を使わなければ、冷害もさほどの影響はないのだという。EM栽培を心掛けている鈴木さんならではの分析だ。では、ヒトメボレは冷害に強いのかといえば、「そうじゃない。鈍感なだけで、ヒトメボレも化学肥料をおさえてEMで栽培すればおいしいお米になる」と言った。

それは海外でも証明されている。同様の事例では、エジプトや南アフリカの取り組みが紹介された。
・EM AS AN ORGANIC FERTILIZER
・有機肥料としてのEM

・BEFORE & AFTER EM USED AS FERTILIZER
・EMを肥料として施用の使用前と使用後(南アフリカ)

 エジプトは、塩害被害を受けていた果樹園のEMによる再生、南アフリカではEMによって有機栽培による収量が2倍に増えたうえ、収穫した農作物の味覚や栄養が格段に良くなったーなどの事例が紹介された。
 EMの特徴は、安心、安全ということの他に、その食味が断然いいのである。つまり、旨いということだ。




 自宅近くの田んぼでヘドロを手に取る
 鈴木英俊さん、後ろは井戸掘りの掘削機




◇EM PROTECTS AGAINST RADIOACTIVITY
 さて、正木博士のスピーチで、いわば渾身ともいうべき内容がこれだ。

・EM PROTECTS AGAINST RADIOACTIVITY
・EMは放射能から守ってくれる

 EMは放射性物質の害から、わたしたちをどのように守ることができるのか、というEMの新たな命題に対する言及だろう。いまもっとも困難と言われしかも待ったなしなのである。EMはそれを解決できるのか、どうか。そんなものと、一蹴するのは簡単だが、科学的な姿勢を志向するのであれば、その現実に正しい目をむけることを拒む理由はどこにもないのである。自然の中の微生物群は、「常識破り」の挙動を示してくれるのだから。

紹介されたパワーポイントを追うと、こんな驚異のデータが並ぶ。

・Toxicity of radioactive materials with long half life due primarily to internal not external radiation exposure
・EM protect against crops absorbing radioactive substances from the soil
 /Cucumder grown in soil with 6000Bq/kg of Cs-137,no Cs-137
・Helps clear radioactive sludge and debris after nuclear power plant accident
 /Sludge with 200Bq fermented with EM,no radioactivity after 30 days
 /Sludge with 500-700Bq fermented with EM,no radioactivity after 45 days
 /Contaminated material with 1000-10,000Bq fermented with EM, radiation levels cut in half in 2 months

・半減期の長い放射性物質の毒性は、外部からの放射線曝露よりも、主に内部被ばくに起因している。
・EMは、農作物が土壌から放射性物質を吸収することを防ぐ
 /セシウム137の濃度が6000Bq/kgの土壌でキュウリを育てたところ、セシウム137は検出されなかった。
・原発事故後の放射性汚泥や瓦礫処理に役立つ
 /200ベクレルの汚泥をEMで発酵→30日後には不検出
 /500ー700ベクレルの汚泥をEMで発酵→45日に後には不検出
 /1,000ベクレルの汚泥物質をEMで発酵→2ケ月後に放射線レベルが半減


◇3つの提言
 そして、結論的には、として
In conclusion, What we now need to do is fully ascertain the bi-product of “scientific progress” that we have unquestioningly accepted up till now, and thereby avoid ever repeating the mistakes that have put our humanity and environment in jeopardy. With this in mind I would like to ask all the scientists gathered here today to consider adding one of the following goals to their research agenda.

Create other eco-friendly new materials as an alternative to plastic or other petroleum products.
プラスチックまたは他の石油製品の代替品として環境にやさしい新素材を作り出すこと

Create other forms of green energy as alternatives to oil and fossil fuels.
石油や化石燃料の代替として、グリーンエネルギーの形態を作り出すこと

Continue to study technology for the detoxification of radioactive nuclear material.
放射性核物質を無毒化するための技術を研究し続けること

All the global ecological problems facing the world―problems related to nuclear energy and pollution of the soil, air, and water―can be solved through effective application of microorganisms according to the “Dr. Higa’s Theory”. It is my hope that we will contribute to this development. I firmly believe it is only through this unified effort by scientists that we will be able to overcome the crisis facing humanity and the Earth.

 いろいろ意見もあろう。正木博士は、そのことを十分承知のうえで、
「したがって」、と前置きして、多くの科学者に対して、EMの効果についての科学的説明を開発していく必要を説くのだ。

 「核エネルギーや、土壌、大気、及び水質の汚染伊関連する世界が抱える地球規模の環境問題ーこれらは、“Dr. Higa’s Theory”によれば、微生物の効果的な応用によって解決することができる。わたしたちが、この発展に貢献することこそ、わたしの望みであり、科学者が一致団結してこの問題に取り組むことで初めて、人類及び地球が直面している危機を克服することができる、と固く信じている」と結論付けた。


 

◇EMによる抑制と減衰効果を確認
 EMによる放射性物質の処理について、分科会では、福島原発事故以来、6年にわたって現地でEM効果の実証実験に携わってきたEM研究機構の研究員、奥本秀一博士が研究発表に立った。セッションの議長は、EM研究機構の取締役の新谷正樹氏にかわって、理学博士で早稲田大学名誉教授、東京女子医大国際分子細胞免疫研究センターの東中川徹博士が務めた。
 奥本氏の論文(※4)によると、EM(有用微生物群)の施用により、土壌中の放射性Cs(セシウム)の農作物への移行が抑制される効果が実験により確認された。また、EMで発酵処理した有機物の土壌への施用により、土壌中の放射性Csの牧草への移行抑制効果が向上した、という。
 特に興味深いのは、EMが活用された農地では、土壌中の放射性Csが理論上の減衰値よりも大きく低下したことだ。EMの施用が放射性Csの低減に何らかの影響を及ぼしている可能性を示唆した。
 そこで、気象など制御できない要因を排除した閉鎖的な条件下において室内実験を実施し、EMによる放射性Csの低減化の可能性を検討した。無処理に比べ、EM処理区において放射性Csの減少率に増加が認められ、土壌中の微生物の活性化が放射性Csの低減に何らかの影響を及ぼしていると考えられた、として「放射性核種の物理的半減期は環境の変化に極めて安定的な物理量であり、科学的見解とは一致しないこの現象の要因については現時点では不明である。しかしながら、全ての可能性を否定することなく、さらに詳細な研究を進め検証を重ねる必要がある」と今後のさらなる研究の継続の必要性を訴えた。





◇国際色豊かな分科会
 国際会議の分科会は、テーマに沿っていくつも開かれた。まあ、ユニバーサルビレッジ2016年国際会議の取材は、これほど困難なものはない。3日間、それを網羅するのはとても不可能だからだ。プログラムを紹介するだけでもワードで10枚に及ぶだろう。関係者には申し訳ないが、今回は、ファウンダーの正木博士の提言にポイントをしぼってまとめた。
 EMに関する分科会には、マレーシアからEMによる環境保全に力を入れた「タナステラ社」が運営するショッピングモール「Sutera Mall」の取り組みについて、Ten Hui Theng、Hia Hui Ching phDのお二人が発表した。
 正木博士が、2013年にボストンで開催の第1回の国際会議に招かれた「タナステラ社」の発表を聞いたのが縁で、EMの事例、そして比嘉教授のことを知るきっかけとなった。
マレーシアは、エビの養殖とか環境保全にEMを活用していることはよく知られている。マレー半島西部のペナン州は「東洋の真珠」と形容される世界的な観光地だが、ペナン州政府は2007年から河川の浄化、街の清掃等にEMを使った浄化運動を活発化させている。毎年8月8日は、「世界EM団子の日」と銘打って州全体で120万個のEM団子を投入している。
 また今回は、詳しく紹介できなかったが、バリ島でメディア、教育分野で従業員2000人を抱える実業家でPak Oles Group代表、琉球大学大学院で比嘉教授の教え子だったGede Ngurah WididanaさんがEMによる「グリーンスクール」の取り組みなどについて報告した。
 またスケールの大きい農場にEMで効率的な経営をするブラジルの取り組みは圧巻だった。一農家が耕す農地は平均5000ヘクタールで、発表者は約30万ヘクタールの規模をEM利用の指導を行っている、という。イスラエル、米国などからも多数参加した。いずれそれらをより詳しくフォローしていきたい。
 国内からは、比嘉教授をはじめ、チャレンジングな発表を行った前述のEM研究機構の奥本博士、ユニバーサルビレッジにふさわしいテーマとして奄美大島で始まっている持続可能な村づくり、いわゆる「ロビンソン・クルーソー農場」の展開について、医師の高野良裕氏(代読)が登壇した。このようにEMによる国際色豊かなセッションは、会場からの質問も活発だった。





◇「皮肉の科学」
 余談になるが、世の中にはへそ曲がりがいる。嫉妬からこんなことがもたらされるのだろう。微生物には縁遠い一部の大学教員らが、嫌がらせのデマ情報をネットで拡散している。時には、自由な研究発表を阻む大学への妨害が見受けられるが、それらの行為に及ぶ顔ぶれはわかっている。「効果が全然ない」、「論文がない」の一点張りでそこにはまともな論評が見あたらない。これらの海外の成功事例には、口をつむぐだけで、「欧州にきたが、EMは見あたらない」などと場違いのツイートをする輩もいる。世界で役立てられていることに正しく目を向けるべきであろう。
 分科会の会場では、大規模な自然災害の現場でEMが役立てられていることに驚きの声があがっていた。にもかかわらず、一部の教員というか、神田外語大学の准教授、大阪大学のあの教授らは、その表現がいやらしく、「(EMは)弱みにつけこむ悪徳商法」という意味のことを学会やネット等でばら撒いている。が、そのような事実や被害報告は一件もなく、全くの事実無根なのである。EM技術に対する論文は、国内外を含めて千を越えている。が、「論文がない」などと世間を惑わすようなデマを流すのは、悪質だ。
『科学の終焉(終わり)』の著者、ジョン・ホーガン氏にいわせれば、「論議に火をつける点で文芸評論」のレベルで、「科学者の真実についての基本的な考えを変えさせるだけの、経験的に証明できる、驚くべき事実を提供するものでもない」と一蹴してみせる。それを「皮肉の科学」というらしい。科学の神様のように皮肉るが、そのやり方は稚拙で、残念ながらまともな科学というレベルには達しておらず、文芸評論にもなっていないのだ。 「効果がない」、「論文がない」という間違った発言は即刻、訂正されねばならない。






◇参考(許可なく記事、写真、データなどの利用、転載はお断りします)
※(1)
比嘉照夫氏の緊急提言『甦れ!食と健康と地球環境』第54回「タイ国の大洪水後の浄化活動に国策として活用されたEM」
http://dndi.jp/19-higa/higa_54.php

※(2)
仙台のコメ作り名人と微生物の奇跡!
・ブログ・ファーマー鈴木英俊さんの発信力
・名取市の花卉栽培、高橋恵美子さんの挑戦
・ヘドロ、塩害に強い有用微生物(EM)の驚異
http://dndi.jp/mailmaga/mm/mm110608.html

※(3)
被災地で「微生物(EM)の力」を実証
・仙台、鈴木英俊さんが「報道ステーション」生出演
・塩害とヘドロを克服したEM(有用微生物群)
・震災から5年、仙台再訪
http://dndi.jp/mailmaga/mm/mm160320.php

※(4)奥本氏が発表した論文
・The 3rd International Conference of Universal Village (UV2016)
Microbial contribution as countermeasures against radioactive contamination
http://dndi.jp/19-higa/images/161121okumotopaper.pdf

関連:
vol.533 -微生物の新しい姿“Dr,Higa’s Theory”の応用-その1
・ノーベル賞受賞者、MIT教授ら世界級の知性から共感と期待の声
http://dndi.jp/mailmaga/mm/mm161020.php

vol.534 -微生物の新しい姿“Dr,Higa’s Theory”の応用-その2
・「国際会議」でのMIT教授、正木一郎氏の世界提言
・「人類の危機をEMで克服」と明言
http://dndi.jp/mailmaga/mm/mm161031.php