◆ DND大学発ベンチャー支援情報 ◆ 2016/10/31 http://dndi.jp/

ー微生物の新しい姿“Dr,Higa’s Theory”の応用ーその2
・「国際会議」でのMIT教授、正木一郎氏の世界提言
・「人類の危機をEMで克服」と明言



 10月上旬、「持続可能な地球の生態系をいかに取り戻すか」などを主要なテーマに掲げた「第3回ユニバーサルビレッジ国際会議」が名古屋大学で開催された。会議には、米国の国務省前科学技術顧問で科学技術外交を推進するE.William Colglazier博士をはじめ、世界の産学フォーラムに通じている文部省参与で京都大学大学院特任教授、武田修三郎氏、主催の名古屋大学総長、松尾清一氏、九州大学副学長、安浦寛人教授ら多彩なゲストや研究者らが登壇、都市形成に伴う科学技術的アプローチを俎上に載せたうえ、自動運転技術に関する近未来のスマートシティ構築の具体的な施策や取り組み事例が紹介された。
 この会議の提唱者で、米国のMIT(マサチューセッツ工科大学)の教授、ITRC(Intelligent Transportation Research Center)センター長である正木一郎氏が、その会議のオープニングに際して発表したスピーチは、「衝撃的だった」と、前回、メルマガでそのさわりを紹介した。その続きを報告する。
 正木教授のスピーチは世界に向けた提言だった。それによると、核戦争の脅威とか、核エネルギーの問題といった地球全体に及ぼす生態系の危機に直面する今日の緊急事態に対して、「21世紀の科学でこのような難問を解決できるのか」という疑問を発しながら、その解決の糸口として正木教授は、琉球大学名誉教授、比嘉照夫氏が開発したEM(有用微生物群)に着目、福島原発事故に伴う放射性物質の除染技術としてのEMの数々の実証的研究成果に触れ、「微生物による元素転換」という比嘉教授の実証的な新説に対して、「科学的に証明する新たな理論の構築のため」の技術研究や論文、出版等を急いでいく必要性を表明した。
   国際学会の場で、人類の危機的状況の打開策として有用微生物、とりわけEM技術の応用や新しい役割が取り上げられたのは初めて。EMに言及した正木一郎MIT教授の提言は、まさに慧眼というほかはない。
                    DNDメルマガ編集長、出口俊一



:正木教授を囲んで左から比嘉照夫教授、正木一郎教授、新谷正樹氏、奥本秀一氏ら=名古屋大学豊田講堂大会議

◇What is Universal Village?
 名古屋大学東山キャンパスの豊田講堂、その堂々たる構えの1階大会議場では名古屋大学教授でこの会議の議長を務めるホスト役の武田一哉氏がユニバーサルビレッジの取り組む議題を提示し、主催の名古屋大学、松尾総長がグローバルな時代の新たな要請に基づく名古屋大学のミッションに触れながら流ちょうな英語で挨拶し、3日間の会議が幕を開けた。前述したように、続いて登壇したのがこの会議の創設者である正木教授だ。正木教授は、長年、パーキンソン病を患っている。車椅子で壇上右手に姿を見せた。正木教授に対して会場から多くの拍手がわいた。マイクをあてがわれると、いくぶん昂揚した面持ちで渋く低い声でこの日の開催を喜び、活発な議論によってUniversal Villageの一層の発展を期待する旨の挨拶を行った。
 提言は、正木教授のご長女で才媛のKinuko Masaki Ph.Dが代読した。絹子さんは、父親の正木教授がそうであるように、ベンチャーの起業家でSmartEar, CEOとして活躍している。冒頭、自己紹介し、「父に代わって挨拶します」と短く伝えて、本題に入った。




◇ITS分野の第一人者
「衝撃的な内容だった」とは、わたしの個人的な見解でもあるのだが、その本題を要約すると、冒頭、What is Universal Village? と疑問を投げかけて、今回の開催で3回目になるが、このコンセプトが何なのかという点について十分な意見の一致が見られてこなかった。それはわたしたちがこの概念を明確にしてこなかったことに尽きる、と語ったあと、本日は、この概念を明確にして皆様の賛同や支持を得られるように最善を尽くしたい、と述べたのだ。
 まず、参加者を驚かせたのは、「次世代型都市」という従来の概念からすれば正木氏のご専門でご自身が深くかかわってきた「Intelligent Transportation」に関する研究への助言、たとえば情報通信技術を駆使した輸送効率の円滑化にむけたアドバイスや交通事故ゼロを目指す「全自動運転システム」の先進的な取り組みといったテーマに触れるのではないか、と期待した方も少なくないだろう。
 それというもの、正木教授の研究テーマやこれまでの業績に深く関わるためだ。正木教授の履歴を少しフォローしてみると、例えば、横川電機の常務執行役が正木教授に対して行ったインタビューのテーマが、「ITS(高度道路交通システム)のこれから」と題したもので、そこで正木教授を以下のように紹介している。
 正木教授は、早稲田大学卒業後、国内の重工メーカーでFAロボット用画像センサーの研究に従事、1981年から1993年、デトロイトのGeneral Motors社の研究所で自動車とテレビを融合させたインテリジェント・クルーズ・コントロールの研究をすすめるかたわら、IEEE(米電気工学・電子工学技術学会)Intelligent Transportation Systems Council副会長などを務めるほか、米国のみならず日本の官公庁、民間企業の顧問、コンサルタントなど多数提携している、という。つまりITS分野の第一人者なのである。




◇微生物の多様性に関する3つの課題
 そのMIT教授が発した第一声が、What is Universal Village? だった。
近代史を振り返りながら、科学一辺倒の結果として、近代の人々は、空気、水、そして土壌の質が悪化し続けていることに気付き始めているとし、戦後、1945年以来、環境汚染の影響は無視できない状態にある、と現状を分析する。これに対して、「これらの問題を解決する方法は何か」という訴えに、生態学者さえも答えを導きだせないままだ、と鋭く迫るのだ。正木教授の深い思索の遍歴が垣間見られるようだ。
 What is Universal Village?
 そのような現状認識から、様々な分野の研究者がこれらの問題を議論する場として2013年に国際会議を立ち上げた。あわせて、新しい発見として、「地球全体の生態系を管理する法則について研究をはじめ、生態系が微生物に大きく依存していることを突き止めた」と主張し、「持続可能な地球の生態系を取り戻す」という共通認識に立った研究者らがこの会議をWhat is Universal Villageと命名した、という。

そのために早急に解決すべき問題は3つとして

1.Protect diversity of microorganisms in the soil by developing materials to  replace pesticides and chemical fertilizers.
2.Protect diversity of microorganisms in the ocean by developing new materials to replace oil and micro-plastic (petroleum products).
3.Protect diversity of the microorganisms underground and in seabeds where radioactive waste materials have been dumped by nuclear power plants by developing new energy sources to replace nuclear power plants.

1.農薬や化学肥料の代替品を開発による、土壌中の微生物の多様性を保護する。
2.石油やマイクロプラスチックの代替品となる新素材の開発によって、海洋中の微生物の多様性を保護する。
3.原子力発電に代わる新しいエネルギー源を開発することによって原子力発電所の放射性廃棄物の投棄場所となっていた地下および海底の微生物の多様性を保護する。

 というテーマだが、いずれも微生物の多様性の保護に軸足がおかれている。そして、研究者の社会に対する責任感が伝わってくる。例えば、原子力発電を否定するのではなく合理的なアプローチで問題解決の道筋をつけようという真摯な姿勢がうかがわれるのだ。




◇核の脅威
 正木教授は、しかしながら、として、本題はここからなのだが、
「この2年間、核エネルギーによって、人類と環境に対する凄まじい脅威が生まれた」として、世界の人々は、核物質の大規模爆発に伴う地球規模の核汚染に慄いている、と警戒を強めるのだ。続けて、「現状は、いつでも核戦争が起こり得る危険な状態である、という意見で一致している」ともっとも信頼できる当局の観測としてその現状分析を披歴した。これは新しい情報だろう。
 具体的な現在のデータとして、
・核兵器の数は、全世界で1万5700発
・原子力発電所が500基
 この二つの事実を例に、原子力発電所1ケ所の能力を換算すると、福島第一原子力発電所のすべての使用済み核燃料は、広島の原爆投下で放出されたセシウムの10万倍の量を有すると推定されている、と指摘した。
 加えて、中国、アフリカ、米国では原子力発電を増進させる計画があり、日本を含め他の多くの国々さえも原子力発電を停止するつもりはない。これらの国の政府や企業は、チェリノブイリや福島第一で起きたような事故の再発を防止するための、確実な対応策に取り組んでいません、とまさに核の脅威を痛切に訴えたのだ。


◇科学者の責任とは
 そこで、次に、正木教授がもっとも強調したところのひとつが科学者の役割、そして責任についてどのように捉えているか、だと思う。

So what is the role of scientists in the face of global catastrophe of this magnitude?
Their responsibility cannot just stop at relaying facts to the people. They should go beyond this and develop technology that will neutralize what is threatening people, in order to bring them peace of mind.  地球規模の破滅的な大参事が目前に迫る状況において、科学者の役割とは一体何でしょうか?科学者の責任は、単に人々に事実を伝えることに留まるはずがない。科学者は、その先を行くべきであり、人々の心に安寧をもたらすために、人々を脅かしているものを無毒化する技術を開発する必要がある。

 強い信念に基づいた提言だと感心した。科学者の社会的責任を口にする人は数多いが、具体的な解決策をどう導いていくか、となるとそこまで踏み込むには相当の技量と覚悟がいるものだ。




◇菊池誠阪大教授の“嫌がらせ”
 余談だが、ほら、批判の急先鋒を自認する大阪大学の菊池誠氏は、「(EMは)効果がないといっておけばよし」とうそぶいて、「EMは全然役に立たない」と切り捨てる。そして、あろうことか、EMを執拗にオウム真理教と同列に扱って「カルトだ」と忌避するように仕向けようという魂胆は、これは「研究者の自由」の範囲を著しく逸脱した信用棄損の類の何物でもない。
 現場も見ずにモノを言うのは間違いのもとだ。EM研究機構や比嘉教授に問い合わせたような形跡もない。この手の嫌がらせは、学校のイジメに似て悪意に満ちている。失礼極まりない。
 ふだん、何を研究しているのか、さっぱりわからない、何が狙いなのか、という声を多く耳にする。他人の批判ばかりで大切な時間を無駄にするなんて情けないと思わないのだろうか。菊池氏自身が行ったEMに対する講演の一部始終が関係者から寄せられたことがある。以下は、参考まで。
第1回
「ニセ科学」糾弾の急先鋒
http://dndi.jp/mailmaga/mm/mm150716.php

第2回
・大阪大学、菊池氏に汚された口蹄疫感謝状
http://dndi.jp/mailmaga/mm/mm150805.php

 いずれにしても最高学府の教育者なのだから、MITの正木教授や比嘉教授のように高い志をもって社会のために尽力してもらいたいと願うばかりだ。




◇『世界がもし100億人になったら(Ten Billon)』
 さて、正木教授のスピーチの詳細を続けたい。正木教授は、示唆に富んだ一冊の本を紹介する。
 スティーブン・エモット著『世界がもし100億人になったら(Ten Billon)』(邦訳は、満園真木訳、マガジンハウス刊、2013年)。著者は、今日の世界情勢を「かつてない危機」と呼んで、小惑星がそのまま軌道を進むと、地球に衝突する恐れがある。衝突の日付も正確にわかっているというストーリーを引き合いに、危機的な状況下での科学者の役割について当事者の注意を喚起しているのだ、という。
「世界各国の政府が一致団結して解決策をさぐるであろう…、世界規模の努力が実行されるにちがいない。すべての科学者、エンジニア、大学、企業が協力する必要がある」というエモット氏のメッセージこそが、「まさに現在の状況を指しているのであり、わたしたち科学者はいま、強調して取り組む必要があることを認識しなければならない。だからこそ、本日、この国際会議に集まった次第です」と正木教授は、科学者の役割と国際会議の意義についてそう力説するのである。わたしには、熱烈でほとばしるような心の叫びのように感じられた。




◇無毒化する技術開発
 正木教授のスピーチは、いよいよ佳境に入る。さて、それは、冒頭の
What is Universal Village? に対する答えを導くことができるのであろうか。固唾をのんで聞いていると、正木教授は、「それは、」とひと呼吸おいて
「それは、核兵器、原子力発電、および使用済み核燃料中に現存する放射性核種を無毒化する技術の開発によって人々の安全を守り、それと同時に、放射線障害の犠牲者の健康を維持するための妙薬を開発することです」と、放射線物質を無毒化する技術の開発という難題、まさに人類が諦めかけていた究極の課題を提示したのである。そのスピーチは以下のような表現で行われた。

 Because of this emergency situation, in addition to the 3 research areas we discussed earlier, another goal of Universal Village has been added which is to protect the safety of the people by developing technology that will detoxify all radionuclides that currently exist in nuclear weapons, nuclear power plants, and spent nuclear fuel, as well as develop medicine to maintain the health of victims of radiation illness.




◇比嘉照夫氏との出会い、EMへの期待
 ここから、正木教授の核心に迫ることになるのだが、とはいえ、「当然ながら」として、「21世紀の科学でこの難題を解決できるのであろうか?」と再び自問自答して、その解決の糸口を一人の博士との出会いに見出すのである。その人こそ、琉球大学名誉教授でEM(有用微生物群)の開発者である比嘉照夫氏だと、名前を挙げて称賛したのだ。

  「わたし自身、2013年の第1回ユニバーサル・ビレッジ国際会議で、比嘉博士のことを知るまで21世紀の科学でこの難題を解決できるかどうか、疑問を感じていた」と前置きして
「比嘉博士は、大気、土壌、水質の汚染など、多くの環境問題を解決することを目的に、主に乳酸菌、酵母、光合成細菌を中心としたEM(有用微生物群)と呼ばれる微生物の組み合わせを活用する研究に取り組まれ、世界150か国の国や都市に普及して成果を上げている」とその実証的な事例の数々を紹介したのだ。

 Naturally doubts will arise as to whether science in the 21st century could solve such a challenging problem. I myself was doubtful until I met Dr. Teruo Higa, professor emeritus of the University of the Ryukyu at the 1st Universal Village International Conference in 2013. Dr. Higa’s work involves the use of a combination of microorganisms called Effective Microorganisms (EM) centered mainly on lactic acid bacteria, yeast, and phototrophic bacteria to solve many ecological problems such as air, soil and water pollution in over 150 countries.




◇「人類の危機をEMで克服」
 Following are a couple of real-life examples of the power of EM.
 南アフリカのトマト栽培、タイ・バンコックの大洪水現場、そして3・11の大津波でヘドロで埋まった塩害の田んぼから蘇生した仙台・宮城野区蒲生の鈴木有機農園など、次々と正面のスクリーンいっぱいに映し出されたのは、いずれも困難な状況から奇跡を生んだEMの力を紹介したものだった。
そして、
 比嘉照夫氏の“Dr,Higa’s Theory”にこそ問題解決のカギがある、と述べ、ついては、比嘉氏が主張する「微生物によって放射線物質を無害な物質に変化させる能力を持つ」という新説を科学的に証明する新たな理論の解明と技術の確立に取り組む必要がある、と訴え、近く出版される著作では、微生物の可能性について科学的なアプローチを試みている、ことを明らかにした。
世界の科学者に対する正木教授のメッセージは、例えば「It is my hope」、「I firmly believe」という表現の中に凝縮されており、その結びは「人類および地球が直面している危機を克服することができる」と大いなる期待と希望にみちた内容であった。
 All the global ecological problems facing the world―problems related to nuclear energy and pollution of the soil, air, and water―can be solved through effective application of microorganisms according to the “Dr. Higa’s Theory”. It is my hope that we will contribute to this development. I firmly believe it is only through this unified effort by scientists that we will be able to overcome the crisis facing humanity and the Earth.
 世界が抱える地球規模の環境問題ーー核エネルギーや、土壌、大気および水質の汚染に関連する問題ーーは、「比嘉博士の理論」によれば、微生物の効果的な応用によって解決することができます。私たちがこの発展に貢献することこそ、私の望みです。私は、科学者が一致団結してこの問題に取り組むことで初めて、人類および地球が直面している危機を克服することができると固く信じています。






◇海外の事例発表続々
次回は、正木教授が紹介した「the power of EM」の数々の事例に加え、この国際会議で発表した海外のEMの研究発表などを報告したい。なお、今回の提言は、正木教授と令夫人の幸子さんとの共著だという。幸子さんの貢献度ははかりしれない。献身的な幸子さんへの感謝の気持ちが伝わってくる。
 ≪続く≫