第106回 EMによる有害物質の無害化



 有害物質は、例外なく強烈な酸化反応を引き起こす特性がある。不完全燃焼の焼却灰にEMを散布し続けると、いつの間にかダイオキシンは全く検出されなくなるのである。ダイオキシン汚染を指摘された焼却場のまわりや、焼却灰が投棄された場所にEMを散布し続けると、いつの間にか消失しているのである。
 EMダンゴを投入し、EM活性液を流した河川や海の底泥のダイオキシンやBHC、DDT等も消えているのである。この代表的な成果は、大阪漁協が行った淀川流域の浄化による、ベッコウシジミの復活である。
 前二回(104号105号)の微生物による原子転換のレベルからすれば、有害な化学物質の分解は比較的容易ということになるが、EMが5,000トン余も投入された東京湾は、底泥の有害化学物質の大半は消失し、放射性元素も話題にならないくらいに低レベルとなっている。
 かつて、パキスタンにおいて、農薬工場の跡地や皮革加工場から放出された大量の六価クロム汚染対策として、EMはパーフェクトな効果を発揮したのである。
 一般的な発想では、汚染度に対するEMの使用量という単純なものになるが、微生物は施用する場所で増えない限り、効果は限定的なものとなる。そのため、効果が出るまで使い続ける必要があり、そのために安価で、大量に培養する方法を公開しているのである。
 また、米ヌカや油粕等の有機物にEMを吸収させ、木炭の粉を加えたダンゴ状にしたものをヘドロのある部分に投入すると、河川や湖沼や海もいつの間にかきれいになり、豊かな生態系を形成し、生物の多様化が進むのである。


微生物は多勢に無勢の世界であり、常に変化するものである。
 上記の小見出しは、マイクロバイオームの研究が進んだ今日、極めて常識的な話である。このようなことを無視し、EMを化学物質的に扱い、生物学的見地を欠いたEMを否定する実験が行われ、しかも広島県のように公の名の下にEMを葬り去った県もある。


※日本橋川

 広島市の太田川は、EMのボランティアや太田川内水面漁協がEMを投入するまでは、悪臭を発し、汚れた川の代表格であった。今では太田川は、全域にEMが定着しており、どの支流もすべてきれいである。広島市の河川の汚染対策に使われた予算を調べれば、EM活用以来、悪臭に対する苦情はなくなり、使用された予算は極端に減っているはずである。
 同じことが大阪の各河川、日本橋川や神田川、隅田川、名古屋の堀川でも起っているのである。いずれも、EMボランティアによる、効果がでるまで使い続けたという結果のたまものである。


※左:2007年、イサザアミの大量発生@西河岸橋(日本橋川)右:2009年、ベンケイガニの大量発生@後楽橋(神田川)

 要するに、微生物を活用し、環境の浄化や有害物質を分解するためには、その微生物が増え続けて、多勢になって、はじめて、効果が出るものであり、その管理能力次第ということである。
 EMは、効果がないという否定的な見解を発表した公的機関のすべての実験は、これまで述べたマイクロバイオームの原則を無視したものであり、微生物は管理次第だという現今の常識に反するもので、まことに恥知らずである。
 EMが放射線セシウムを消すということに対し、EMを1万倍に薄めて撒いたら効果がなかったので、EMには放射能を消す力がないという悪意に満ちた意図的な実験結果がインターネットに出されている。このような、EMの活用の基本に反した使い方をして、EMを懸命に否定したがる人が後を絶たないのも極めて作為的であり、恥知らずの類である。
 川がきれいになり、担当者が変わり、何の苦情もなく、5年、10年と続くと川は昔からきれいであったと主張する若者に世代は変わりつつある。この世代は、きたない河川や湖沼や海は、時間が経過すると自然にきれいになると思っているのである。


※左:2009年、投網にかかったスズキ@日本橋 右:2010年、マルタウグイ@亀島橋



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