第105回 微生物による原子転換(2)



 前回は、中国の江蘇省塩城市における予備試験の事例を紹介したが、塩類が集積し、作物が全く作れなくなったパキスタンやエジプトでは、25年以上も前から、EMで根本的に解決した事例は無数にあるといっても過言ではない。
特にエジプトは、農業省がEMの製造工場を持ち、塩類集積対策に国策として推進しているのである。例により、当初は、既存の農学者の大反対もあり、実証的な試験が行われたのである。結果については、完全無欠というレベルとなったが、理論的説明が十分でないとして、根気強く反対する学者もいたが、膨大な実績と当人達のリタイヤによって、今では、昔話になっている。
 中国における塩類集積地に対するEMの活用は、現実には、かなり広がっており、EM研究機構の指導を受けたところは、全ての地域で例外なく望ましい成果を上げているのである。
 その奇跡的な成果は、有史以来のものであるが、EMが生物に必要な原子転換を行っていると考えれば、何の不思議もなく、膨大な学術的徒労は解消するのである。
 次の事例は、吉林省白城におけるpH10.25以上の重アルカリ土壌での結果である。塩害土壌は、水で塩分を流してしまえば解決が可能である。それに対し、強烈なアルカリ土壌は、水で流したり、有機物を施用し中和するレベルでは、何の役にも立たないのである。
 中国には、広大な塩類土壌の外に、吉林省を中心に、このような作物が作れない膨大な重アルカリ土壌が存在し、未開発のままである。この地域は、農業が出来るレベルの降雨量もあり、アルカリ対策が出来れば、優良農地としての活用も可能となるが、成功した事例は皆無である。省政府は、様々な研究機関や大学、企業等に対し、コンペ方式でこの問題の解決を図ったが、成功したのは、唯一EMのみである。EMが採択された理由と結果は以下の通りである。

 



 この試験は1回目の結果である。EMの効果は年々積み重なる性質があるため、時間の経過とともに更に良くなり、例外は皆無である。この種の試験で特徴的なことは、塩類やアルカリ分が低下したレベルと作物の収量と高い相関があり、その影響は、施用した肥料よりもはるかに大きいのである。
 不思議なことに、この現象は、植物が存在すると顕著である。すなわち、土壌中の無機栄養は極めて少ないのに対し、植物には、十分な無機栄養が吸収されているのである。ケルブランに始まった生物や自然の中の原子転換は、動植物の内部でも起っており、当然のことながら、土壌中の微生物と連動していると考えるべきである。
 塩害土壌や重アルカリ土壌では、植物はまともに育たないということは常識である。この現象は、植物の持つ原子転換能力のみでは対応できないということであり、EMの活用によってはじめて可能となったものである。この一連の現象を見ると、EMを散布すれば何もかも理想的な原子転換が起るのではなく、植物が必要とするシグナルを出さない限り、この効果は限られている。
 しかしながら、微細な光合成生物が存在する水田や湿気の多いところでは、作物がなくてもEMの散布によって土壌は改良され、肥沃になり、腐植も急速に増大するが、いずれも、生命体の要求が存在する場合に限られている。

原子転換(変換)は、比較的簡単に起こっている。


 既に述べたケルブランの著書や、その流れを進化させ、原子転換は自然の理の応用で実用化が可能であると確信を持ってまとめたものが、久司道夫氏の「原子転換というヒント」(1997年、株式会社三五館)という著書である。
 この著書でプラズマ化の重要性が述べられているが、関英男先生の重力波の応用を加味すれば、更に加速度的になるものと期待される。
 その次に代表例として上げられるのが、吉田克己氏の「元素変換 現代版〈錬金術〉のフロンティア」(2014年、株式会社KADOKAWA)である。この本も古典的な正統理論物理学からいえば、あり得ない話であるが、すべて本当のことであり、確たる科学的証明に裏付けられており、誰も反論できないレベルに発展し始めている。いずれも、やみくもに否定するのでなく、科学の未来を拓くものとして受け止め、国家プロジェクトにすべきものである。



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