第104回 微生物による原子転換



 前号まで2回にわたって「EMが放射能を消すという不都合な真実」について述べたが、微生物が原子転換を行っているということは1960年代には明らかとなっており、生体内で原子転換が発酵微生物によってなされていることを証明したルイ・ケルブランと小牧久時博士は、1975年にノーベル医学・生理学賞の正式候補としてノミネートされたのである。
 詳しくは、ケルブランの著書「生体による原子転換」や「自然の中の原子転換」に述べられているが、その原理の応用は、人類の未来に夢を抱かせるものとして期待されたのである。錬金術の復活とか、物質の創造が可能となり、資源問題はすべて解決し得るとか、様々な挑戦が始まったのであるが、常温超伝導と同じように、その道は、はるか、はるか彼方という状態のまま失速してしまったのである。
 実用化のままならぬ状況が続いている間に、いつの間にやら、常温での原子転換はエセ科学とかトンデモ科学のレッテルが貼られ、本気で取り組む人がいなくなったのである。とは言え、実用化を目指した過程では、間違いなく原子転換は起っており、また、ある種の触媒と重水素の活用で、常温核融合に成功した事例もあり、再現性も極めて高く、詳しく調べるとエセとかトンデモなどではなく、人類の未来をひらく可能性を持っている。  EMを散布すると、放射性セシウムが消える、または、放射性元素を植物が吸収しなくなるという事実は、1997年までに明らかになった事であるが、その実力を加速したのが福島の原発事故による放射能汚染対策である。

 ケルブランの発見以降に続いた原子転換は、実用化にコストがかかり、いつの間にか消えてしまったという話とは全く逆に、EMを安価で大量に散布すると環境中の放射能は、いつの間にか消失し、クリーンになるのである。農地は肥沃になり、地下水や空気もきれいになり、高品質の農産物が多収となる現実があり、この実績は福島で着実に広がっているのである。
 すなわち、当初からEMで原子転換を行って何かを作ろうと考えたのでなく、ベラルーシの放射能汚染地帯の農地にEMを使用したら、放射能が著しく低減したという単純な話から始まったのである。
 したがって、現今、福島で行われているEMによる放射能汚染対策は、その延長上の結果であり、目新しい研究でも何んでもなく、改めて調べるとEMによって確実に放射能が消えた、すなわち原子転換が起ったという話である。
確かに、福島の原発事故後に多数の微生物関係者が様々な実験を行い、放射能が消えたという事実を発表したが、その大半は袋だたきに会い、姿を消したのである。大げさに言えば、実用レベルで福島に残って広がっているのはEMだけである。
 その理由は、

  1. 安全性が確認され、二次的な汚染は全く発生しない。
  2. 素人でも安価に大量に増やすことができる。
  3. 農業だけでなく、環境のあらゆる分野で効果がある。
  4. 畜産とリンクすると効果は極めて加速度的となる。
  5. 生活の中にEMを取り入れると電磁波や放射能の被害が著しく軽減する。
  6. EMを使い続けると、結果的に環境全体を浄化し、川や沼や海も浄化する。

 全国におけるEM普及は、全国EM普及協会や認定NPO地球環境共生ネットワーク等々のボランティア活動が中心となっており、東京湾、三河湾、伊勢湾はもとより、多数の沼や河川や海の浄化に多大な成果を上げている。
 考えてみると、EMの普及活動は確かにボランティア活動であるが、よくよく考えるとEMを日常的に使うことが本質的なボランティア活動につながっているのである。
 家庭で米のとぎ汁を使ってEMを増やし、EM生活に徹すれば、誰も病気にならないという卓越した効果がある。台所や洗濯やトイレ、お風呂で使われたEMは合成洗剤を減らし、その排水は、水中の化学物質を分解し、微生物相を豊かにし、水系をきれいにし、豊にし、生物の多様性を守っているのである。
 一次産業におけるEMの活用は、使用する人々や生産物を食する人々を積極的に健康にし、土壌、水、空気を浄化し、生物多様性の本質(微生物の多様性)を守ってくれるのである。建築や環境のあらゆる分野に空気や水の如くEMを使うと、現存する建物や環境や資源や生物多様性等々の問題はすべて解決するのである。


微生物が原子転換に関与すると述べたケルブラン

 ケルブランの著書「自然の中の原子転換」の中には、かなりの箇所に微生物が原子転換に関わっていることが述べられている。主として、嫌気性や発酵微生物であるが、この件は既述の小牧博士によっても証明されているのである。
 この本を調べると、そのような作用を持つ微生物の種類と密度が高まれば、自然の中の原子転換が自在になり得るという未来がある。特にNaClに関する可能性は、海水が肥料になることを示唆しており、現在進行中のEMによる塩類障害対策や塩類の肥料化は、すでに実用技術として広がり始めている。
 中国には、広大な塩類集積地があり、その総計は、日本の本州なみと言われている。この地域は降雨もあり、水源もあるが、いずれも塩分が多く、作物栽培は不可能といわれている場所である。昨年、20余の大学や研究機関が塩害対策にチャレンジしたが、すべて失敗し、標準的な収量に達したのは、唯一、EMを活用した区のみであった。
 関係する省政府は、この結果に驚いて、広大な塩類砂漠に使うだけのEMを供給できるかどうかという打診が来た。答えは極めて安価で希望に応じますということである。


:塩害土壌の様子(江蘇省塩城市)1


:塩害土壌の様子(江蘇省塩城市)2


:2014年10月塩分濃度2.5%の土地でEM散布試験を行った様子(予備試験)1


:2014年10月塩分濃度2.5%の土地でEM散布試験を行った様子(予備試験)2


:1回だけEMを撒いたらどうなるかという単純な試験であったが、根の張りには大きな差が見られた。(右側:EM処理区)



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