前号まで2回にわたって「EMが放射能を消すという不都合な真実」について述べたが、微生物が原子転換を行っているということは1960年代には明らかとなっており、生体内で原子転換が発酵微生物によってなされていることを証明したルイ・ケルブランと小牧久時博士は、1975年にノーベル医学・生理学賞の正式候補としてノミネートされたのである。 詳しくは、ケルブランの著書「生体による原子転換」や「自然の中の原子転換」に述べられているが、その原理の応用は、人類の未来に夢を抱かせるものとして期待されたのである。錬金術の復活とか、物質の創造が可能となり、資源問題はすべて解決し得るとか、様々な挑戦が始まったのであるが、常温超伝導と同じように、その道は、はるか、はるか彼方という状態のまま失速してしまったのである。 実用化のままならぬ状況が続いている間に、いつの間にやら、常温での原子転換はエセ科学とかトンデモ科学のレッテルが貼られ、本気で取り組む人がいなくなったのである。とは言え、実用化を目指した過程では、間違いなく原子転換は起っており、また、ある種の触媒と重水素の活用で、常温核融合に成功した事例もあり、再現性も極めて高く、詳しく調べるとエセとかトンデモなどではなく、人類の未来をひらく可能性を持っている。 EMを散布すると、放射性セシウムが消える、または、放射性元素を植物が吸収しなくなるという事実は、1997年までに明らかになった事であるが、その実力を加速したのが福島の原発事故による放射能汚染対策である。 ケルブランの発見以降に続いた原子転換は、実用化にコストがかかり、いつの間にか消えてしまったという話とは全く逆に、EMを安価で大量に散布すると環境中の放射能は、いつの間にか消失し、クリーンになるのである。農地は肥沃になり、地下水や空気もきれいになり、高品質の農産物が多収となる現実があり、この実績は福島で着実に広がっているのである。 すなわち、当初からEMで原子転換を行って何かを作ろうと考えたのでなく、ベラルーシの放射能汚染地帯の農地にEMを使用したら、放射能が著しく低減したという単純な話から始まったのである。 したがって、現今、福島で行われているEMによる放射能汚染対策は、その延長上の結果であり、目新しい研究でも何んでもなく、改めて調べるとEMによって確実に放射能が消えた、すなわち原子転換が起ったという話である。 確かに、福島の原発事故後に多数の微生物関係者が様々な実験を行い、放射能が消えたという事実を発表したが、その大半は袋だたきに会い、姿を消したのである。大げさに言えば、実用レベルで福島に残って広がっているのはEMだけである。 その理由は、
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