DNDメディア局の出口です。居酒屋「串勝」のマスターが、ある老練の政治家の鼻毛にひとくさり、だれも注意してあげないのかなあ、鼻毛が伸びて汚らしいですよ、とね。そばにいた、友人の材木屋の岡ちゃんが、まったくだ、みっともないったらありゃしない、と相槌を打った。いやはや、庶民の感覚の鋭さに恐れ入った。
政治家がだらしなく見えるのは、鼻毛のせいばかりじゃない。中国の過激な略奪や破壊を繰り返す反日デモで、中国在住の邦人や日系企業が危険にさらされているというのに、政治家は選挙にうつつをぬかしている。情けないわ。外務大臣は、北京に飛んでくださいな。経団連の米倉弘昌会長は、上海で20日から開催予定だった「日中グリーンエキスポ2012」が急きょ中止になったが、「こんな時こそ、中国に出向いて関係を修復したい」と語っていた。この姿勢が大切だ。中国に縁のある、あるいは中国通を自認する政治家らは、いま修復の糸口をつかまえにいくべきだろう。自腹で行ってください。この国難に、よくもまあ、選挙運動なんかやれるよね。みっともないったらありゃしない。
■「愛国無罪」とは、なんたることだ。
このままだと、なんだか日本という国が壊れていきそうな気がする。堅牢だった城壁が内部から腐って倒壊が迫る、そんな疑念を持ちませんか。いまだ収束が遠い福島原発事故、復興の遅れが著しい被災地、苦境に追い込まれる製造業、失業、増税、そして尖閣諸島の国有化に伴う中国との関係悪化、反日デモは目を覆うばかりだ。原発の安全神話が崩れた。平和友好の隣国とは一触即発の険悪ムードに陥ってしまった。いまや内憂外患の危機的状況なのである。原発事故の調査・検証の報告書で指摘されたが、事態を軽んじる想定の甘さ、そして責任の不在、そういう安易さがこの国を危うい状況に追い込んでいくのだろう。
今度は、中国と言う、いらっちなモンスターだから、理屈は通りそうにないし、すぐ感情的になるでしょう。それでいていやらしいほど戦略的でやっかいだ。40年目の破局じゃないが、ちゃぶ台をひっくり返してもう付き合いをやめますか、そうはいかないでしょう。反日デモの略奪的な惨状を目にする限り、これは正気の沙汰ではない、と、みんなそう思っているに違いない。野田政権の拙速が原因としても、どう見積もっても非難されるべき暴挙だが、きっと彼らに少しの反省もみあたらない。すべて「愛国無罪」なのだから。これじゃあ、独裁的無法国家じゃないの。そんな国は好きにはなれないよね。長い間、不幸な歴史を越えて築きあげてきた日中間の信頼関係が、壊れてしまった。破壊は一瞬、建設は死闘、まさにこの言葉の通りだ。
イオンや平和堂など大手スーパー、それにコンビニ店などに押し入ってガラスを割って襲撃し、陳列棚の商品や在庫品を略奪する。日系の工場に押しかけて破壊し火を放った。その被害は甚大で、操業停止に追い込まれる工場も相次いだ。中国全土、100余りの都市で反日デモが繰り広げられている。若者が、笑っていた。イオンで働くのは中国人だろうね、自分たち同胞の職場を、めちゃくちゃにして、笑って済ますのかよ。
質問があります。暴徒による被害は、中国政府が責任を持って弁済すべきですよね。どうでしょうか。日本政府もその辺を要求しましょう。
焦点の尖閣諸島周辺は、領海を伺う10隻あまりの中国の監視船が不気味な動きを見せた。やがて中国の漁船が数千、万単位で押し寄せてくるという情報に緊迫状態が続いているのだ。漁船は、領海内で漁をするつもりなのだろうか。そうだとしたら、日本政府や海上保安庁は排除措置として何ができるか、対抗手段と言うか、次の手はあるのだろうか。放水するか、拡声器で警告を発するか、ロシアのように機銃を向けて拿捕という強行策にはでられないよね。まったく不甲斐ない。
ここでまた質問ですが、中国の漁船が領海内で操業を行ったら、全員逮捕するのでしょうか。物理的にできないですね。海保の50隻の巡視船は、いったい放水や警告のほかに何ができるのでしょうか。
中国が尖閣諸島を奪いにきたら、どうする。島に中国人が大勢上陸して居座る可能性だって否定できないわけだが、この侵略的挑発行為にどう向かいますか。政府に知恵があるのだろうか。対抗策はあるのだろうか。
しかし、あきれた。どこまで日本人が憎らしいのか、上海の中華料理店で食事をしていた客の日本人の顏にラーメンをかけて目にケガを負わせた、という。テーブルの上のアツアツのラーメンどんぶりを奪われて、それを顔につゆごとかけられたのであろうか。そばに子供はいなかったか。その事件の詳細がネットからではつかみきれなかった。が、ともあれ、食べ物を粗末にしてはいけない。
涙を誘ったドラマ「北の国から」で俳優、田中邦衛さんが食堂で子供がまだ食べていないラーメンを下げようとした店の女に、まだ子供が食べているしょ、って食ってかかったシーンがあった。それも酷いことをするものだ、と当時、ドラマとはいえテレビに向かって怒りの声を発したが、ラーメンを客の顏にかけるなんて性質が悪すぎる。子供がそばにいたら、と思うと胸がふさがれる思いだ。ぼくは当面、中華料理は口にしないぞ。
通りがかりの日本人の足を蹴りメガネを叩き割ってフレームを奪った事件もあった。中国在住の日本人が、どんな事件に遭遇したか、伝えられているのはほんの少しだと思う。こういうのは世界にどんどん発信しなきゃいけない。こんな野蛮な行為は許されないのだから。情報の発信の点でも中国に負けている。顔にケガを負った日本人やその他の惨状を映像にして流せばいいのだ。
政府は、外務省を通じて現地邦人に注意を呼び掛けている、というが、何をどう注意するのでしょうか。毎度、メッセージが不確かなのだ。一時的に緊急避難するなら、それを促せばよい。その費用は全額中国に請求する。またいつでも邦人を救出でもる体制は準備しておくべきだろう。
■胡錦濤氏のメンツを潰した野田首相
さて、尖閣諸島の国有化に端を発した中国の日本潰し、これも初期の対応の躓きが問題を大きくした可能性はあるが、ここ数日の論評は、なぜ中国を逆なでしたのか、という野田政権の対応の躓きを指摘するのがもっぱらだ。確かに野田さんのぼんやりも問題だが、ここは中国の横暴極まりない行為を糾弾すべきだ。が、それが弱い。日本のメディアも反日デモの騒ぎをフォローしてばかりじゃなく、まして「大人の対応を」と他人行儀な論調でごまかすのではなく、中国国内での破壊的、略奪的な暴挙を糾弾すべきなのだ。黙認してはいけない。
18日のNHKクローズアップ現代は「激化する反日デモ〜中国とどう向き合うか〜」でした。ゲストに出た早稲田大学名誉教授の毛里和子さんが、なぜ、これほどまでに日中の関係が悪化したのか、との問いに答えて、今月9日のウラジオストックで開催のAPECで胡錦濤国家主席と野田総理との立ち話でのやり取りを素材に指摘した。
また本日の日経ビジネスのオンラインでは、筑波大学名誉教授で中国の内情に詳しい遠藤誉さんが「発火点は野田総理と胡錦濤国家主席の『立ち話』」という見出しのより詳細な解説を加えていた。
胡錦濤氏は、「日本政府が、いかなる方法で島を買おうと、それは不法であり、無効だ。中国政府の領土主権を守る立場は絶対に揺るがない。日本は、事態の重大さを十分に認識し、間違った決定をしないようにしなければならない。中国と同じように日中関係の発展を守るという大局に立たねばならない」と言う意味のことを伝えた。
が、この胡錦濤氏とのやり取りを立ち話していどに軽く受け流したのだろう、ぼんやりしているというか、インテリジェンスのなさというか、野田さんは、胡錦濤氏とのやり取りについて、「現下の日中関係については大局的観点から対応したい、と申し上げた」と語っただけで、胡錦濤氏からの「間違った決定をしないように」との警告については触れなかった。そして、それほどのためらいもなく平然というか、のんびりというか、翌10日に国有化することを明らかにし、11日に閣議決定した。この時点で、一部、評論家から、これは大変なことになる、との警鐘も鳴らされていた。が、政権部内には、そのような緊迫感は微塵も感じていなかったようだ。
中国通で丁寧な語り口の毛里さんや、中国事情の解説で定評の遠藤さんのお二人が、ほぼ同時に、胡錦濤氏があれほど強く言ったのにその翌々日に閣議決定するという無神経さが胡錦濤氏のメンツを潰し、中国の激情に火をつけてしまった。その結果が、この一連の反日デモを呼び起こした最大の原因だと指摘したのだ。
尖閣諸島の土地購入をめぐっては、国がやんないなら東京都がやる、と東京都の石原都知事が購入の意図を明確にし、一般から寄付を募って所有者と交渉に入っていましたね。が、東京都を出し抜くように割って入り政府が急きょ20億5000万円で購入を決めた。購入と決めた7月7日というのも、日中戦争の発端となった盧溝橋事件が勃発した日で、中国にとって「国恥の日」にあたっていた。この辺も無神経といえば、きわめてお粗末だ。
そうしていつもやることがこんな風にだらしないのか。いやいや、そりゃ、中国が一番悪いよ。そういう神経質な国だからこそ、用心しながらひとつひとつ丁寧にやらなきゃならないんじゃないの。国家戦略にインテリジェンスが少しも感じられないのだ。
■各国の新聞メディアに意見広告を、世界へ情報発信を!
NHKの「クローズアップ現代」は、この番組に寄せられた視聴者からの意見をサイトに掲載しています。
http://www.nhk.or.jp/gendai-blog/100/131521.html
まあ、賛否両論がありました。毛里さんは、この番組の中で、もっと近隣諸国に、それに欧米に日本の意見や考えを発信していかなくてはならい、と強調していました。その通りと思いました。官房長官が、記者会見の度に情報収集に努めている、旨の発言を繰り返した。これじゃ、やっぱりニュースにならない。発信とはいえないのよね。官房長官は、政府の広報官なのだから積極的に日本のスタンスを世界にアピールしないといけませんね。いまからでも遅くはない。日本を宣伝してもらうのに、各国のブロガーを呼んで謝礼を払って記事を書かせる、なんて低俗な宣伝に金を使うなら、いまこそ、各国の新聞に意見広告をだすべきだろう。
発信力と言えば、中国の新華社など国営の動きについて興味深い記述があったので紹介します。中国の方が一枚も二枚も上手ですね。情報戦でも負けている。
新華社など中国の国営メディアの記者で、アメリカでビザを取得している人数が650人に及んで盛んに情報収集やらロビー活動を展開しているそうだ。以下の記事を読んで、日本はなにをやっているのだろうか、インテリジェンスの欠如を思い知らされた。
□米国下院外交委員会の共和党ダナ・ローラバッカー議員らは2011年9月13日に、新華社のみならず人民日報、光明日報、中国青年報、中国中央テレビ(CCTV)など中国主要メディアは、中国共産党政権に運営される国営メディアであると指摘し、これらの中国メディアの記者の米国入国を制限する法案「2011中国メディア相互法案」を議会に提出した 。法案は、米国に入国する中国の国営メディアの特派員を、中国に入国する米政府系メディアの特派員と同水準なものにするべきだと主張している。2010年の時点で米当局は中国人記者650人に入国査証を発行しているのに対し、中国国営メディアに近いボイス・オブ・アメリカ(VOA)とラジオ自由アジア(RFA)の二名のみが中国入国査証を取得しているにすぎない。それも監視付き。議員は、駐米中国メディア特派員は中国政府の工作員であるとした。
ワシントン・ポストは2010年4月、中国当局は450億元(約70億ドル)を投じ中国メディアを米国やカナダなどに進出させていると報道、CCTVは2011年10月1日から、ワシントンDCの放送局MHzが運営するチャンネルで24時間放送を実施し、2010年5月から、中国国際放送(CRI)は米テキサス州のラジオ局KGBCと契約し、すべての放送時間でCRIのラジオ番組が流されている。ワシントン・ポストはこのような中国メディアの北米進出は、マスメディアを通じて大衆を中国当局の見方に誘導することにあるとしているーと。
【新華社】http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E8%8F%AF%E7%A4%BE
■松島克守氏のメルマガからの抜粋
俯瞰工学研究所の松島克守氏のメルマガです。松島先生は、中国社会が、脆弱で未成熟であり、政権中枢が制御不能に陥るなど混乱していると喝破されました。その冒頭の「世界中不安定ですね」から「愛国者と害国者」までの3つのコラムを紹介します。
◆世界中不安定ですね◆
アラブの春の中東も反米のデモで荒れていますし、シリア情勢もいよいよ激しさを増しています。イランの核開発についてイスラエルの実力行使の可能性も高いと言われていますね。イラクもテロ、アフガンもテロに加え、タリバンは参戦した英国王子を狙うと公然と宣言しています。
尖閣を巡って反日デモが拡大する中国、それを黙認する中国政府、それを見て日本人に対する暴行や商店の破壊までエスカレートしています。酷いですね。中国という社会が脆弱で未成熟であることを示しています。韓国との竹島問題はやや収まりました。
米国からクレームされたかもしれません。韓国の安全保障は在日米軍、そして自衛隊と一体です。既に朝鮮戦争で実証されています。自衛隊の前身の警察予備隊はこの時、米軍の補完機能として創設されました。水雷撤去の掃海作戦や死体処理を担ったと聞いています。
これらの不安定性は中国、米国、韓国の政権交代という政治の不在が一つの要因でしょうか。政局に没頭して政治を忘れている日本を甘く見ていることも有るでしょう。
比較的安定しているのは既に政権交代したロシアですが、ただロシア国内では反プーチンの動きが大変です。最近の情勢ではアメリカはなんとかオバマになりそうです。ロムニーの共和党があれほど支持を得るとは、アメリカという国の複雑さを感じさせます。現在の世界情勢の混乱は共和党のブッシュのアフガン進駐、イラク戦争に端を発しています。そして、韓国が求めに応じて、訪韓の手土産として、米国の地図表記で竹島を独島と表記替えしています。さすが日本海を東海と変更して欲しいという韓国の我儘は聞きませんでしたが。
◆中国の反日運動想定を超しています◆
日本人に対する暴行、店舗の略奪、工場の破壊・・中国が制御不能になっています。
当局が黙認している、この民意を対日行動の一部にする、政権中枢が制御不能です。そのさなか次期リーダーが消息不明となる、明らかに中枢が混乱しています。
国内にたまった不満と反日教育、そして政治の矛盾をそらすナショナリズムの扇動という解りきった方程式ですが、独裁政権の性格が露呈してきたのです。
この背景にGDPで日本を抜き、今や中国が日本の上に立ったという誤解もあると思います。中国は米国とG2という自意識です。失われた20年で、日本が失ったものは「経済大国」というタイトル、ブランドです。日本はかつて、G7としてグローバル経済のリーダーの一員でした。その後ロシアが加わりG8です。今は中国、インド、ブラジル…と同じG20のランクですから。
GDPという人口が支配的な指標の「経済大国」は追求できませんが、「経済強国」は追求しなければいけません。技術と文化そして倫理で「経済強国」の確立が最大の課題です。これから「経済強国」の戦略を少し追求して行きたいと思います。
◆愛国者と害国者◆
アラブの反米デモのトリガーは反イスラムの映画です。ユダヤ人が資金を集め制作した映画の内容がモスレムを侮辱していると言われていますが、以前にもコーランを焼くとか、小便を掛けるとか、結果として国家と国民多大な迷惑と損害を与える「害国者」が問題です。日本でも泳いで魚釣島に上陸した議員がいましたが、本人は愛国的行為だと思っているのでしょうか。日本人が日本の島に泳いで上陸した何がいいのでしょうか?むしろ魚釣島が日本の中で通常でないことをアッピールしたいのでしょうか。ロシアが実行し支配している北方領土に泳いで上陸するならまだ理解できますが。
無論これも害国的行為です。国家の安全保障や外交を賢く考えるのが使命の政治家がその資質がないことを自らアッピールしています。国民や選挙民が愛国的と評価していると思っているなら、クレイジーです。心有る日本人は彼らの幼稚な行為を「害国的」としか見ません。こうゆう政治屋に投票しませんよね。
今回の総選挙に向けたポピュリスト政党も害国者の集団にならなければいいのですが。かつて田中角栄を今太閤と誉めそやし、落ちればドブに落ちた豚のように打ちたたいた日本人ですから心配ですね。それにしてもこの動きと連動して日本のリーダーを目指すという安倍さんは??
尖閣の問題はうやむやに棚上げ、という折角できた暗黙の合意を石原知事が、都が買い取って施設を建設するという都民からすればとんでもない都税の流用を言い始めてからおかしくなったのです。中央政府の外交権の侵害です。この人も「害国者」ですね。
因みに反モスレムの映画制作者のナクラ・バスリ・ナクラ氏(55)は身柄を任意同行で拘束されました。
関連記事
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20120915-OYT1T00761.htm
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20120916-00000018-nnn-int
関連記事
http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20120913&ng=DGKDASFS1202S_S2A910C1MM8000
http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20120913&ng=DGKDASFS1202S_S2A910C1MM8000
(日経電子版会員の方はリンク可)