第47回「美味しさ満喫&勉強も少し」の巻


 8月の最終週に夏休みを頂き、ルクセンブルク→ブルゴーニュ→リヨンと旅してきました。ルクセンブルクは、かつてこのコラムに書いたような理由で、どんな国なのか一度足を踏み入れてみたいと思っていましたし、ブルゴーニュ以降は、世界最高峰のワインとグルメをゆったり楽しみたいという思いからでした。


 ルクセンブルクには、欧州入りした土曜の夕方から月曜の朝までしかいなかったので、世界で最も豊かな国であり続けている実感を得るまでには至りませんでしたが、世界遺産の旧市街は美しかったですし、最も印象に残ったのは、中央駅にあるOberweisというパテイスリー。駅の中にある店とは思えない、並べられたパンやお菓子の綺麗さで、味もバッチリでした。市街地の中心部にある本店は日曜にぶつかってお休みでしたが、駅の中に支店があってラッキー。連日、お世話になりました。


 ブルゴーニュで最初に訪れたのはディジョン。到着してすぐお昼。ブルゴーニュワインを飲みつつエスカルゴやブフ・ブルギニヨンといったブルゴーニュ名物料理に早速舌鼓を打ち、月曜の昼間から至福の境地。午後は、名物のマスタードを買った後、"最後の大公が当時のフランス王よりもう少し賢明であったなら、フランスの首都はディジョンになっていたであろう"と言われる、ブルゴーニュ大公国の栄華の跡を訪ね歩きました。ホテルで休息後、夜の帳が開くのを待って再度街へ。いつもそうなのですが、フランスで(あるいは欧米で)お昼をしっかり食べると、夜はアジアンテイストの軽いものが食べたくなるものの、今回訪れたフランスの街にはそういうお店が見当たりませんでした。結局、賑わっているブラッスリーに入ってオムレツを注文したのですが、でっかいのが山盛りのサラダをお供にしてやってきて、食べる前からおなかいっぱいの気分になりました。


 次なる街ボーヌでは、グランクリュの畑巡りのツアーが一番の思い出。雨模様の天気で心配しましたが、ツアー出発の午後4時にはきれいに晴れ上がり、ブドウ畑と小さな街の織りなす景色(写真ご参照)を味わいながらのドライブとなりました。有名なロマネ・コンティの畑をこの目で見、道をはさんだところにあるロマネ・サンヴィヴァンのブドウをガイドさんの許しを得て食べ(甘かった!)、締めはニュイ・サンジョルジュという街にあるワイナリーでブルゴーニュの赤・白を3種類ずつテイスティング。今回の旅の前に、ブルゴーニュワインにつき俄勉強をして行った私は、そのワイナリーのショップに、コルトングランクリュが40ユーロであるのを発見し、喜んで購入しようとしたところ、ガイドさんに「それは、あと5年経たないと飲み頃にならない。」と言われ、既に飲み頃になっているという別のグランクリュを買いましたが、帰国してからワインの広告等を見ると、やはりコルトンも買って帰れば良かったかなと思わないでもありません(先日、コルトンの夢まで見てしまいました)。日本にも海外のお酒がだいぶ輸入されるようになってきていますけど、スーパーにグランクリュのワインが50ユーロくらいで売られているのを見ると、ワインの本場の豊かさを感じました。




 そしてリヨン。この街でも美味しい食事とお酒の思い出ができましたが、最も印象に残ったのは、Musee-Gallo-Romain(ガロ・ロマン博物館)。リヨンは、ローマ帝国が紀元前43年に設けたLugdunumという町が起源なのだそうですが、紀元前15年頃に建てられた大型劇場があるのをはじめ、先史時代から7世紀に至るまでの遺跡・遺物がこの博物館には整然と分かりやすく展示されていました。大満足で展示を見終えたところ、小さな売店で家内が「これ見て!」。何と日本で大ヒットした漫画「テルマエ・ロマエ」の仏語版が置かれていたのです。実は私、この博物館を見ているうちに古代ローマ気分に浸り、まさにテルマエ・ロマエの世界だなあと思っていたので、嬉しい驚きでした。時間が押していたのでパラパラとしかページをめくりませんでしたが、主人公が「Mangez!」と叫んでいるシーンには思わず笑ってしまいました。日本の漫画の素晴らしさやクールジャパン政策の正しさを再認識しつつ、"さて、フランス最後の夜は何をmangerしようかな"と思いながら、古代ローマの世界を後にしました。



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