世界中不安定ですね


◆このメールマガジンは、松島克守が、東京大学教授、そして(社)俯瞰工学研究所 の代表としてこれまでに名刺交換やメール交換をさせて頂いた方々に送らせて頂いて おります。またこのようなMLはメールボックスのご迷惑と感じられる方もあるかと思 います。ご遠慮なく不要のお申し出を下さるようお願いします。また、内容等につい てもご遠慮なくご意見を頂ければ幸いです。過去の俯瞰メールは俯瞰工学研究所のHP の「俯瞰メールのアーカイブ」にあります。http://www.fukan.jp/ また、ご友人、ご家族に転送して頂くことは大歓迎です。マガジンは長いので保存し ておいてゆっくりお読みください。



皆様

◆季節のご挨拶◆
残暑厳しいですが、日は確実に短くなり、それに反応して植物は秋支度です。稲は穂 を付け花咲き、既に籾を膨らませています。木々の葉は温度に反応しますのでゆっく りと準備をしているようです。

-----------------------------------------------------------------------------
・世界中不安定ですね
・中国の反日運動想定を超しています
・愛国者と害国者
・原発の本番の議論が始まりました
・渋谷ヒカリエでシティー・サミットを開催します
・ビジネスモデル学会秋季大会
・プラチナスクールの講義は素晴らしい
・「俯瞰経営学」と「今、そして未来」電子書籍で出版しました
・頭のよくなるクッキング7
・デジタル書斎の構築13
・書評 : 「稲の道」
-----------------------------------------------------------------------------


◆世界中不安定ですね◆

アラブの春の中東も反米のデモで荒れていますし、シリア情勢もいよいよ激しさを増 しています。イランの核開発についてイスラエルの実力行使の可能性も高いと言われ ていますね。イラクもテロ、アフガンもテロに加え、タリバンは参戦した英国王子を 狙うと公然と宣言しています。


尖閣を巡って反日デモが拡大する中国、それを黙認する中国政府、それを見て日本人 に対する暴行や商店の破壊までエスカレートしています。酷いですね。中国という社 会が脆弱で未成熟であることを示しています。韓国との竹島問題はやや収まりました。 米国からクレームされたかもしれません。韓国の安全保障は在日米軍、そして自衛隊 と一体です。既に朝鮮戦争で実証されています。自衛隊の前身の警察予備隊はこの時、 米軍の補完機能として創設されました。水雷撤去の掃海作戦や死体処理を担ったと聞 いています。


これらの不安定性は中国、米国、韓国の政権交代という政治の不在が一つの要因で しょうか。政局に没頭して政治を忘れている日本を甘く見ていることも有るでしょう。 比較的安定しているのは既に政権交代したロシアですが、ただロシア国内では反プー チンの動きが大変です。最近の情勢ではアメリカはなんとかオバマになりそうです。 ロムニーの共和党があれほど支持を得るとは、アメリカという国の複雑さを感じさせ ます。現在の世界情勢の混乱は共和党のブッシュのアフガン進駐、イラク戦争に端を 発しています。そして、韓国が求めに応じて、訪韓の手土産として、米国の地図表記 で竹島を独島と表記替えしています。さすが日本海を東海と変更して欲しいという韓 国の我儘は聞きませんでしたが。


◆中国の反日運動想定を超しています◆

日本人に対する暴行、店舗の略奪、工場の破壊・・中国が制御不能になっています。 当局が黙認している、この民意を対日行動の一部にする、政権中枢が制御不能です。 そのさなか次期リーダーが消息不明となる、明らかに中枢が混乱しています。


国内にたまった不満と反日教育、そして政治の矛盾をそらすナショナリズムの扇動と いう解りきった方程式ですが、独裁政権の性格が露呈してきたのです。


この背景にGDPで日本を抜き、今や中国が日本の上に立ったという誤解もあると思い ます。中国は米国とG2という自意識です。失われた20年で、日本が失ったものは「経 済大国」というタイトル、ブランドです。日本はかつて、G7としてグローバル経済の リーダーの一員でした。その後ロシアが加わりG8です。今は中国、インド、ブラジル …と同じG20のランクですから。


GDPという人口が支配的な指標の「経済大国」は追求できませんが、「経済強国」は 追求しなければいけません。技術と文化そして倫理で「経済強国」の確立が最大の課 題です。これから「経済強国」の戦略を少し追求して行きたいと思います。


◆愛国者と害国者◆

アラブの反米デモのトリガーは反イスラムの映画です。ユダヤ人が資金を集め制作し た映画の内容がモスレムを侮辱していると言われていますが、以前にもコーランを焼 くとか、小便を掛けるとか、結果として国家と国民多大な迷惑と損害を与える「害国 者」が問題です。日本でも泳いで魚釣島に上陸した議員がいましたが、本人は愛国的 行為だと思っているのでしょうか。日本人が日本の島に泳いで上陸した何がいいので しょうか?むしろ魚釣島が日本の中で通常でないことをアッピールしたいのでしょう か。ロシアが実行し支配している北方領土に泳いで上陸するならまだ理解できますが。 無論これも害国的行為です。国家の安全保障や外交を賢く考えるのが使命の政治家が その資質がないことを自らアッピールしています。国民や選挙民が愛国的と評価して いると思っているなら、クレイジーです。心有る日本人は彼らの幼稚な行為を「害国 的」としか見ません。こうゆう政治屋に投票しませんよね。


今回の総選挙に向けたポピュリスト政党も害国者の集団にならなければいいのですが。 かつて田中角栄を今太閤と誉めそやし、落ちればドブに落ちた豚のように打ちたたい た日本人ですから心配ですね。それにしてもこの動きと連動して日本のリーダーを目 指すという安倍さんは??


尖閣の問題はうやむやに棚上げ、という折角できた暗黙の合意を石原知事が、都が買 い取って施設を建設するという都民からすればとんでもない都税の流用を言い始めて からおかしくなったのです。中央政府の外交権の侵害です。この人も「害国者」です ね。


因みに反モスレムの映画制作者のナクラ・バスリ・ナクラ氏(55)は身柄を任意同行 で拘束されました。


関連記事
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20120915-OYT1T00761.htm


http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20120916
-00000018-nnn-int



◆原発の本番の議論が始まりました◆

政府が30年代の末までに原発をゼロにする、というポジションを正式に表明しました ので、やっと本番の議論が始まりました。議論や、論争はまず自分のポジションを提 示しないと相手も正式な反論が出来ません。


早速米国からは重大な懸念が出されました。安全保障の問題です。対中国に対して高 度な原子力関係の技術を有する日本は強力なパートナーです。しかも米国は現在核の 再処理をしていないようです。


日本の経済界からも強力な反論が出ました。産業立地の観点から製造業を始め競争力 が失われますから。例の再生エネルギーの買い取りでさらに電力料金は上がります。 自民党は次期総裁候補がそろって原発廃止に反対を表明しました。選挙でどう説明す るのでしょうか。しかし、選挙前のこの段階で明言するのは正義ですね。政府の今回 の意思決定に多くの矛盾があるという議論も有ります。


現段階ではこれでいいのではないでしょうか。現在整合性がある固い意思決定は無理 ですから。まず総選挙の前です。政治ですから現在の民主党政権との状態では、国民 の7割が脱原発を支持している状況を無視して選挙は出来ません。青森県の大間、東 通の建設続行も理解できます。地元は政府の核政策と心中する意思決定をずっと前に していますから。たとえ脱原発でも廃棄物の保管をお願いするところは下北半島しか ないでしょう。時間を掛けて国民の認識を構築していきましょう。


それにしても、誰もが30円/KWでも十分採算が取れると言っているのに40円/KWという 買取価格は誰が決めたのでしょうか。例の「原子力村」と同じような「太陽光村」が 既に形成されているのでしょうか。


関連記事


http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20120913&ng=DGKDASFS1202S_S2A910C1MM8000


http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20120911&ng=DGKDASFS10043_Q2A910C1EE8000
(日経電子版会員の方はリンク可)


◆渋谷ヒカリエでシティー・サミットを開催します◆

二子玉川で推進中のクリエイティブ・コンソーシアムの活動ですが、10月12日に 渋谷のヒカリエでシティー・サミットを開催します。独自の街づくりを推進中のシティ ーの首長の講演です。


<オープニング>
 小宮山 宏氏(クリエイティブ・シティ・コンソーシアム会長)
<基調講演>
 「魅力ある都市」安藤忠雄氏(建築家・東京大学名誉教授)
<プレゼンテーション>
 「二子玉川に創るクリエイティブシティ」 松島克守(クリエイティブ・シティ・  コンソーシアム副会長)
 「コンパクトシティ戦略による富山型都市経営の構築」 森 雅志氏(富山市長)
 「横浜市が実現する環境未来都市とスマートシティ」 浜野四郎氏(横浜市温暖化  対策統括本部長)
 「石巻市の挑戦 「世界の復興モデル都市」を目指して」 亀山 紘氏(石巻市長)
<ナビゲーター>
 村木美貴氏 (千葉大学大学院工学研究科建築・都市科学専攻准教授)


定員800名ですが既に申し込み多数で、抽選になります。至急申し込んでください。自 治体の首長がご参加の希望は私までご連絡ください。抽選外にするよう努力します。


会場がある渋谷ヒカリエは都内の最先端の人気スポットです。4月開業ですが141日目 で1000万人の来場者数を記録しています。141日で年間目標の70%です!売り上げも8 月末で年間目標を既に20%も上回りました。ヒカリエには国内最大のミュージカルシア ター「東急シアターオーブ」がオープンして、ニューヨークのブロードウェイのミュ ージカルそのものが楽しめます。素晴らしいですよ!!


10月9-14日は東京のビックデーです。この期間は国際通貨基金・世界銀行年次総会が 都心のホテルで開催され世界中の金融関係者が東京集合です。


http://creative-city.jp/2012/08/city-summit-2012.html

http://theatre-orb.com/

http://www.imf-wb.2012tokyo.mof.go.jp/en/


◆ビジネスモデル学会秋季大会◆

ビジネスモデル学会の秋季大会が10月20日(土)に東京大学の本郷キャンパス工学部 新2号館で開催されます。今回のテーマは「再生可能エネルギーのビジネスモデル」 です。


・基調講演 北澤 宏一 氏 福島原発事故独立検証委員会委員長
「日本は再生可能エネルギー大国になりうるか」―福島原発事故の検証から―
・特別講演1 藤原 洋 氏
 株式会社ブロードバンドタワー代表取締役会長兼社長CEO
「太陽光発電の可能性」―風力、地熱と比較して―
・特別講演2 穴水 孝 氏 東京ガス株式会社 燃料電池事業部
「高エネルギー変換効率、燃料電池の社会インパクトと、事業MAX戦略」(仮)
・特別講演3 桑野 和雄 氏 株式会社協和コンサルタンツ常務執行役員
「意外に高経済性、新型マイクロ水力発電最前線」(仮)
・特別講演4 中島 徳至 氏 MovingEcology Corp. 代表取締役
「再生可能エネルギー活用による自動車社会のパラダイムシフト」(仮)
・特別講演5 池田 元英 氏 株式会社エナリス 代表取締役社長
「エナリスのデマンド・レスポンスとネガワット取引の取組み」
・パネルディスカッション
「再生可能エネルギーのビジネスモデルを考える」
 モデレーター:松島 克守(ビジネスモデル学会会長)
・会員研究論文発表
【研究論文】生活用品の小売流通ビジネスに関する研究―販売価格と購買に関連する
 コストに基づく購買行動の予測と市場占有率の変化
 松島 和史 田中 謙司(東京大学 工学系研究科 )
【事例報告】高知発グリーン・エネルギー化モデルの構築と実践―「枯れない油田プ  ロジェクト」構想の実現に向けて― 佐藤 暢 永野 正展 永野 正朗(高知工科大学)
【研究論文】新技術の事業化におけるビジネスモデルと政策支援の評価―産学連携に  おける技術移転モデルによる風力発電の事例分析―
 宮坂 輝彦(芝浦工業大学 大学院工学研究科)
 加納 信吾(東京大学大学院 新領域創成科研究科)


以上ですが、この1日で半年分の学習を超える知識が得られます。ぜひご参加ください!


http://www.biz-model.org/


◆プラチナスクールの講義は素晴らしい◆

プラチナスクールも第3期で既に2回卒業生を出し、9月14-15日は第3期のスクールの 3回目のスクーリングでした。


このプラチナクールの企画とシラバスのデザインをしたので全講義は聴講しています が、スケジュールが許せば繰り返し先生方の講義を聴講しています。14日は東大の秋 山弘子教授の加齢学、札幌医科大学小海康夫教授“留萌コフォートピア”、そして東 大大和裕幸教授の”ディマンドオンバス“の講義です。既に3回目ですが聞くたびに 新たな気づきがあります。


秋山先生の推進している柏市の団地再生のプロジェクトは本当に凄いモデルです。高 度成長期に地方から首都圏に大量に人口が移動して、今郊外の住宅地で一気に高齢化 する団塊の世代、この社会的な課題は韓国、そして近未来の中国にも共通する社会的 課題です。柏モデルを如何に全国に横展開するか?この課題を改めて受止めました。 詳細な情報の提供をお願いしました。


小海先生の講義、圧巻です!どこかに白熱教室などの記事や話題がありますが、白熱 だけでは何も残りらないでしょう。北のはずれに近い留萌で実現している近未来の予 防医学の実践の感動は人をして行動させる力があります。私も、動かなければと触発 されました。この8年の実績は本当に価値あります。これまでほとんど風邪を引いた ことがないのでインフルエンザのワクチンを接種してきませんでしたが、仲介するリ スクから必ず接種を受ける必要がある事は初めて理解しました。


大和先生のディマンドオンバスは既に各地に展開されていますが、今回改めて、ディ マンドオンバスは利便的なモビリティーを超えて、コミュニティーを創るシステムで ある事だと気づきました。団塊の世代が65歳になり3000万人を超えたとあります。企 業戦士として企業コミュニティーに埋没して、これまで自分の住んでいる地域に繋が りがない団塊の世代が、郊外の居住地で新たにコミュニティーを創って行く必要があ る現在、コミュニティーのデザインの手法に興味を持っています。


講義の概要はプラチナ構想ハンドブックにありますので是非お読みください!

http://www.platinum-handbook.jp/


◆「俯瞰経営学」と「今、そして未来」電子書籍で出版しました◆
「東京大学の俯瞰経営学」と「今、そして未来」は出版社が倒産したため絶版でした が電子書籍として俯瞰工学研究所から出版しました。特に前者は今も続く本郷の「俯 瞰経営学」ゼミの教科書ですので復刊が急がれていました。


紀伊国屋の電子書店、HONTOのサイトで購入できます。俯瞰工学研究所ではこの 2年以上電子書籍の出版ビジネスを研究・調査してきましたがほぼビジネスモデルが 決まり、今後も各種出版の予定です。秋にはアマゾンのキンドル、アップルのiBook でも出版したいと思います。何か出版ご希望あればご相談ください。


紀伊国屋web:
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/indexp.html

HONTO:
http://honto.jp/ebook/

◆頭のよくなるクッキング7◆
「摂取すべき油脂」について頭のよくなるクッキング4で、「食すべき魚」について 頭のよくなるクッキング6で紹介しましたが、今回は「食すべき野菜・果物」につい てご紹介しましょう。参考になるレポートはいずれも米国系が母集団です。有名なア メリカ国立科学アカデミーから癌を予防する野菜として1990年「デザイナーズフーズ」 が発表されています。3段階に分かれていますが、最上位のランクは、ニンニク、キャ ベツ、甘草、大豆、生姜、セリ科(人参、セロリ、バースニップ)です。甘草は漢方 で有名です。バースニップはヨーロッパで栽培されている白人参です。この下の第2 ランクは玉ねぎ、茶、ターメリック、玄米、全粒小麦、亜麻、柑橘類(オレンジ、レ モン、グレープフルーツ)、ナス科(トマト、ナス、ピーマン)、アブラナ科(ブロ コリー、カリフラワー、芽キャベツ)です。第3レベルはハーブ類です。いかがですか。

詳細は下記のHPで。


何れもその野菜に含まれるポリフェノールやカロテノイド、テルペンなど機能性成分 が癌の予防性があるとのことです。


次は「食すべきトップテン」というレポートです。原文は英語ですが、香川県の田井 メディカルクリニックの田井先生のサイトに解説があります。それによると、第1位 はリンゴです。第2位はアーモンド、第3位はブッコリー、第4位はブルーベリー、第5 位は魚油、第6位は緑の葉菜、第7位はサツマイモ、第8位は小麦胚芽、第9位はアボガ ド、第10位はオートミールです。如何ですか。


この手のレポートは全て欧米系が統計の母集団で、日本人には当てはまらないという 意見有りますが、生物学的にはアメリカ人は存在しません、ヨーロッパ系、ヒスパニ ック系、アフリカ系、そして東洋系の混合です。ただ、東洋系は節約遺伝子が効いて いますので同じように食べると食べ過ぎで糖尿病になり易いとは言われています。


私の朝食はこの20年間以上人参とセロリ各1本レモンの絞り汁1個の手づくりジュース を欠かしません。加えて納豆は毎日。パンは食べれば全粒粉のパンです。最近はカッ プ一杯のブルーベリー(冷凍もの)、しばしばグレープフルーツの生絞りのジュース、 それから週に2回ほどブロッコリーをさっと茹でてエゴマ油等のオメガ3脂肪酸とバル サミコを掛けたサラダ、アボガドも週に1-2度はわさび醤油で食してきました。その 他、週に1-2回はニラ玉炒め、ホウレン草のお浸しを食してきました。豆乳も時々、 以上は朝食です!夕食は原則、魚料理と野菜のお浸し、そしてキノコの味噌汁、玄米 ご飯です。昼食?基本的に取りません。またナッツは生のクルミとアーモンド、カシュ ーナッツを食卓の上においてあり、つまみ食いしています。最近はブラックチョコレ ートもつまみます。ココアのポリフェノールの含有量は中途半端ではありません。最 近は無糖のチョコレートも販売されています。


因みに、「デザイナーフーズ」の「フードピラミッド」の図をこの数年冷蔵庫の扉に 貼ってありますので、自然と買い物のとき食すべき食材を買っていると思います。


私は結構良い食習慣を実行してきたなと再認識しました。皆さんは如何ですか。


順天堂大学の白澤卓二教授の「100歳まで元気でいる若い人の食事」(PHPビジュアル 実用BOOKS)は中庸で参考になると思います。白澤先生は膨大な栄養学の知識を俯瞰 的に編集して、食すべき食品として「発酵食品」、「ネバネバヌルヌル食品」、 「雑穀類」を薦め、「インスリンを大切にする」、「カロリーを取りすぎない」、 「体を錆びさせない」という3つのルールを提案しています。


最近100歳以上の人口が5万人を超えたというニュースがありましたが、秘訣は腹八分! ともありましたね。日経新聞2012/9/14


補足

先般紹介した、カロリー制限で元気なウィスコンシン大学のサルの実験結果について は、寿命は延びないのではないか、という反論が最近発表されたようです。あの実験 結果は相当インパクトがあったようで空腹を我慢している人がかなり米国にいるとの ことです。


また、別件ですがNHKの「ためしてガッテン食育!ビックリ大図典』136ページに酸化 した油は吸収されないとさらっと書いてありますがこれが事実であれば酸化した油脂 が体に悪いという常識化した知識はどうなるのでしょうか。もう少しエビデンスを示 してほしいですね。


マクガバンレポートから「デザイナーズフーズ」


フードピラミッド


健康に良い食べ物ベストテン
http://www.medicalnewstoday.com/articles/245259.php
http://life-support.cocolog-nifty.com/lifelonglifelog/2012/06/post-a046.html


ポリフェノール
http://life-support.cocolog-nifty.com/lifelonglifelog/2010/09/post-63ff.html
http://ameblo.jp/lisalisanet/entry-11201032530.html
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20000508_1.html


チョコレートのポリフェノール
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20000508_1.html
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/01/dl/s0114-10j.pdf


カロリー制限しても寿命は延びない?


◆デジタル書斎の構築13◆
暫く中途半端に放置してあったネットオーディオを整備しました。写真の電子化、雑 誌記事のpdf化に次ぐCDの電子化です。手持ちの約300枚のCDを全て電子化(Ripping) しました。書籍は既にご案内したように大幅に整理して、不要な書籍は東大図書館の 蔵書処分プログラムに送りました。まだ増えていますがこれからは電子書籍を購入す る方向に行きます。


そのネットオーディオですが、最近かなり流行って来たようです。日経BPの「これ1 冊で完全理解 PCオーディオ」が売れているようです。買いましたが入門書としては これでいいでしょう。


何をしたかですが、まずリッピング(Ripping)と呼ばれる作業でパソコンのディス ク読み取り装置から1枚1枚CDを電子化していきます。高性能パソコンで1枚約3-5分 かかります。300枚で1200分?延べ20時間です!途中タスクマネージャーのパフォー マンスを見ていると、CPUはマルチコアi7-2600の4CPUをすべて使っていますが、負 荷は5%くらいです。メモリーは8G積んでいますが、4G弱の使用でした。ただこの リッピングをしているとほかの作業は事実上できません。


リッピングのソフトウェアは無料でいくつかあります。foober2000、EXACT Audio Copyなどです。Apple のiTunesでもできますがフォーマートがPCオーディオで標準に なりつつあるFLACに対応していません。使い勝手と完成度からはやはり有料ソフトで すね。私は結局有料のdBpowerampを使いました。


リッピングした音楽をパソコンで聞く無料のソフトウェアが数多くあります。Foober 2000でも聞けますし、MediaMonky、AIMP3、AudioGate、Lilith・・・完成度の高さと 使い勝手ではAudioGateです。これはDSDフォーマートにも対応しています。電子楽器 KORG社の製品ですが無料です。


その電子化した音楽情報ですが、収納は結論から言うとNAS(Network Attached Storage)です。即ち家庭内ネット上に置いたハードディスクです。NASはUSBで接続 する外付けハードディスクではなくCPUを内蔵したストレージ専用のパソコンです。 だからこれは設定に結構手間が掛かる代物でかなり苦労しました。ネットプレーヤー で見えるフォルダーは共用フォルダーとして設定されたものだけですが、この共用 フォルダーの設定の方法が最初わからず「見えない?」という状態で長く苦労して一 時は他の仕事が忙しいのでほって置きましたが、このほどこれをなんとか解決して、 システムとしてネットオーディオが稼働しました。不思議ですね、今回は絶対に動か してやると決心するとマニュアルの理解がレベルアップして設定のミスが解明できま した。人間本気にならなければだめですね。マニュアルはpdfで約400ページです。こ れを丁寧に読みながらそれに沿って設定していく事は集中力を維持したままで約半日 仕事です!修行ですね。単なる外部ストレージですと工場出荷の状態で済みますが音 楽用は少し設定を変えますので。


従って音楽用に設定したNASを購入したほうが良いでしょう。設定のこと以外にファ ンの騒音の問題があります。NASはパソコンなので多くの製品は冷却のファンが付い ていてこの騒音が問題になります。リスニングルーム以外の場所に置けば解決します が。実は音楽用にファンがないNASが特別に販売されています。台湾メーカーのQNAP が現在ネットオーディオの世界では標準の様です。理由はネットオーディオのビジネ スを切り開いた英国の超高級オーディオメーカーのLINN社が推薦したことだそうです。 因みにLINN社のネットプレーヤーは100数十万円です。一般のネットプレーヤーは高 くて10万円ですが。QNAP社のファンレスNAS「TS-119」はこのLINN 社用に設定してあ るものと一般用に設定してあるものの2モデル販売されています。


何故NASか?パソコン外付けハードディスクですと、そのパソコンの電源が入ってい ないと音源が読めませんが、NASであれば家の中のどの機器、即ちネットプレーヤー、 スマートフォン、あるいはインターネット対応のTVから音源を引き出せます。音楽以 外の写真、ビデオも共用できます。


時代はDLNAという家庭内LANです。比較的最近購入されたTVやDVDレコーダーは既に対 応しているはずです。DLNA対応機器をホームネットワーク(家庭内LAN)に接続 すると互いに他の機器を自動認識して、 更に、DLNAがサポートするフォーマッ トの共有コンテンツ(動画・静止画・音楽)も自動認識されます。 従って、クライ アント機器のコンテンツ選択画面から例えば「Video」を選ぶと、 ホームネットワー クに接続された全てのサーバ機器の動画コンテンツを一覧表示することができ 希望 のコンテンツを再生できます。


ネットオーディオのシステムが稼働して何が?


iPhoneが実に使いやすいリモコンになりました。どの機器にもリモコンが付属してい ますが、Apple Storeで提供されているソフトウェアをダウンロードするとiPhone が使い勝手の良いリモコンになります。また、色々な機器のリモコンはこれ1台にな ります!これも時代の流れですね。


音楽を聴くたびにパソコンを立ち上げても仕方がないので、再生はネットプレーヤー です。CDだけでなくネットプレーヤーではインターネットラジオが聴けます。これが 驚きです。世界中、日本中のラジオが雑音無しに聴けます。雑音?昔電波が弱い地方 暮らしでしたので雑音の中から必死で聞いていた原体験がありますので。海外の短波 放送は聴こえるのが不思議なくらいでした。


現在はFM放送局がありますがこれは全て聴けます。故郷のラジオ局を聞いてみません か。そして手持ちのCD約300枚、すべての曲が手元のiPhoneで選択して再生できます! もうCDを手に取る事はなさそうです。革命ですね。


買ったネットプレーヤーは、国産では安くていいものがありますが、10万円の英国製 のケンブリッジオーディオを買ってみました。英国はオーディオ立国でしょうか、家 内工業的に高水準のオーディオ機器のメーカーが沢山あります。スコットランドにあ る前述のLINN社はその筆頭です。で、英国製を買ってみました。日本の地域経済の産 業立国の参考になります。


技術的な設定のポイントは俯瞰工学研究所のサイトの「デジタル書斎の技法」に上げ ておきましょう。


これ1冊で完全理解 PCオーディオ
http://netstore.nikkeibp.co.jp/FYI/120905/128346/?ST=a_pc

ファンレスのNAS
http://www.itmedia.co.jp/pcuser/articles/1208/10/news063.html

◆書評◆
今月のご紹介は、「稲の道」 渡部忠世 NHKブックス 1977です。


本書は、“日本人は何処から来たの?”の答えをくれる本です。結論から言えば稲作 文化を持って北九州に到達した弥生日本人の出発地はヒマラヤ、チベットに近い中国 奥地の雲南であったという事を長い時間を掛けたフィールドワークを行い導出してい ます。本当に長い時間の学究の結論的仮説です。アッサム、雲南が日本のコメ、即ち ジャポニカの誕生の地域でここを源流とする河川に沿って、ビルマ、タイ、ラオス、 カンボジア、ベトナムへ伝播して行くと同時に、長江即ち揚子江に沿って河口まで伝 播し、何らかの理由、多分戦乱に追われ海人となって北九州に到達したという仮説で す。「晋書」倭人伝に倭人は呉国の始祖太伯王の子孫と言っているとあるとのことで す。華南の戦乱の度に敗者が亡命者として何波にも分かれて北九州、南九州にあるい は山陰、能登、越の国に渡来して国を創って行ったのでしょう。


著者の渡部忠世教授の仮説は本書の最後の章にありますので、その「稲の道」のルー ト図は俯瞰工学研究所のサイトの「俯瞰メール補完資料」に置きます。

著者は、日干し煉瓦に混入された、コメのもみ殻を丹念に採集して、当時の米の栽培 を推察しています。何十年も日干し煉瓦の中のもみ殻を集め続ける求道にも似たフィ ールドワークを読んでいくと、粘り強いという日本語が心に沁みます。一方、東南ア ジアの日干し煉瓦の収集が12-13世紀であり、加えて本人が雲南に調査に行っていな い事、さらに紀元前500-6000年の雲南の民族に関する考察がされていないことから、 この雲南起源説はその後学会で否定され、長江中流起源説が有力になって来たようで す。しかし、騎馬民族説にみるような、ロマンとしての史説はともかく楽しいですね。 以前この書評で取り挙げた、「古代中国と倭族」の鳥越憲三郎教授はこの本の中で、 稲作の発祥は長江中流の太湖付近だと述べています。これも説得力ありますが、彼は 歴史学者ですが、渡部忠世教授は農学者です。この差異は際立っています。渡部忠世 教授は農学者ですから、品種と耕作環境を分析しています。米には大きく分けて、我 々が食している粘りがあるジャポニカと長くて粘りがないインディカがあります。渡 部忠世教授はアジアでの耕作の分布がジャポニカは海抜2000m以上、インディカは河 口付近の低地と、明確に判れている事実を提示しています。ですから水利は、ジャポ ニカは雨水を受けてそれを少しずつ下に流して利用する天水田であり、河口の湿地を そのまま利用するインディカと違う事を示しています。ジャポニカは陸稲から進化し て水稲になり、それは棚田で始まっているとしています。この辺は前半のフィールド ワークの丹念な調査に記述されています。だからアッサム・雲南を稲の発祥の地とし ています。インディカについては、インド南部が発祥で、海の回廊を使ってアジア各 地の河口付近の湿地に展開したという説があります。この説は、日本語の起源で著名 な大野晋教授の、インド南部のタミルが言語学的に日本人の源流だという学説に繋が ってきますね。結果、稲作の起源を南インドとしています。大野晋教授は言語学者で すが南インドの習俗のフィールドスタディーを丁寧にされていてこれも説得力があり ます。渡部忠世教授はアッサムから南インドに稲が伝播したというのですから、南イ ンドが発祥の地でそこから先は渡部忠世教授のベンガルルートでしょう。いずれにせ よ歴史学、農学(作物学)そして言語学、民俗学の泰斗(たいと)の学説を勝手に俯 瞰的に理解するのは市井の人間の特権かもしれませんね。


学者は読めないような漢語を使います。鳥越先生の文章から借用した泰斗(たいと) はある世界・分野で権威となる者。泰山北斗の略。


原典は、『新唐書』韓愈伝の「韓愈没、其言大行、学者仰之如、泰山北斗雲」による。 これは、「韓愈を泰山北斗のように仰いだ」とその歿後に賛したものである。泰山北 斗とは、中華人民共和国・山東省にある名山泰山と北極星の北斗を示し、誰もが仰ぎ 高めるものであるという意味である。


鳥越憲三郎教授の「古代中国と倭族」書評の一部下記に再掲しておきます。


鳥越憲三郎教授は日本人の源流を東南アジアの歴史と民俗学まで広げた俯瞰的視野で 記述されていて、「目から鱗」的な知識を獲得出来ました。長江中流に、かつて繁栄 した民族即ち、「倭族」を弥生人の源流であると位置付け、黄河文明に駆逐され西に、 南にそして東に移動して其々の国家を設立し、あるいは少数民族として山岳地帯に生 き残る「倭族」という学説を提案しています。そしてその「倭族」に対する愛情を感 じさせる本です。


下記ご参考に
「日本語の源流を求めて」 大野晋 岩波新書 2007




======================================
◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更 下記まで
webmaster@fukan.jp
……………………………………………………………………………………………………
◆俯瞰 MAIL 0019号(2012年7月16日)
発行元: 一般社団法人 俯瞰工学研究所
発行責任者:松島克守
URL: http://fukan.jp
======================================

※本記事は松島克守氏の許諾を得て、再録したものです。


BACK