第53回 究極の放射能汚染対策と東日本大震災復興への道筋


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 本DNDシリーズの今年の締めくくりは標記のタイトルである。かなり大げさな表現のように捉える人も、そんなバカなと一笑に付す人々が多勢であることを承知の上で、3月11日以来の本DNDシリーズを中心にまとめた本が出版された。本の題名は「シントロピー(蘇生)の法則」である。この本のキャッチフレーズが「究極の放射能汚染対策と東日本大震災復興への道筋」である。


 この本は、国会議員全員に配られ、同時に被災した地域の、すべての市町村長に送られている。サブタイトルは「EMによる国づくり」である。この本の収益金はすべてNPO法人地球環境共生ネットワーク(U−ネット)の東日本大震災復興支援EMプロジェクトに活用される事になっている。


 10月末に発行されたが、12月20日現在で10,000部を完売し、3〜5千部単位の追加発注が計画されている。現在のところU−ネット事務局(TEL:03-5427-2348 FAX:03-5427-5890 http://www.unet.or.jp )のみで取り扱っているが、近々大手の書店を通し販売されることになっている。この本の内容は、出版の関係で8月末までの情報であるが、宮城県で行なわれた津波の塩害対策にEMを活用した稲作は4件とも収量も品質も大成功という結論になり、当初の予測通りの結果となった。


 放射能汚染対策についても、高濃度汚染地帯に対しては、EMの量や散布法等についての工夫は必要であるが、一般の人々が居住している地域の放射能除染は完璧におこなえるようになり、かなりの地域で自己防衛的にEM活性液の散布が行なわれている。U−ネットでは、岩手と宮城県両県におけるEMの役割を十分にはたし、現在の活動の主力を福島の放射能汚染対策に移している。


 すなわち、EMを100倍に増やせる培養装置と、その100倍に増やしたEMを、更に30〜50倍に増やす方法をセットしたEM活性液の大量培養システムを福島の各地に配備し、福島県商工会女性部を中心に多数のEMボランティアが除染活動を行なっている。1基80万円内外であるが、すでに15基、その前に自主的にセットされているのを含めると20基以上のシステムがフル回転で活用されている。


- 究極の放射能対策 -

 12月の初めに、小売流通最大手のイオングループが極めて常識的で、極めて画期的な宣言を行なった。すなわち、イオングループ独自に放射能を分析し、少量でも検出されたら販売しないという事である。WHOが定めたセシウム137の身体放射線の安全基準が0.5ベクレル/kgであることを考慮すると当然のことである。


 このことは国の安全基準がいかに無意味であるかを示すものであり、福島県に限らず、関東東北一円はもとより、100ベクレル程度の汚染地帯でも化学肥料中心の栽培では検出限界以下にすることは困難である。したがって、この根本的な対応策は本DNDの「第50回 福島の放射能汚染風評被害対策」でも述べたように、EMの活用以外に簡略で誰でも実行できる方法はないといっても過言ではない。


 確かに、ゼオライト等を加え有機物を多用し、深い天地返しを行なえば、それなりにかなりの効果はあるが、潅水に使用する水や、降雨の状況次第では放射性物質が増大したり、化学肥料の使用で土壌のイオン化が進むと放射性原素は溶出し作物に吸収されやすい状況となる。万全を期したつもりでも、収穫前後に測定してみなければわからないという不安をかかえて栽培し、その結果が検出限界値よりも高くなった場合は、流通大手はもとより、安全性を強調している流通経路に乗せることは困難となる。


 すでに述べたように、EM活性液を10a当り、100〜200Lくらい施用すると、6000ベクレル超の土壌でも検出限界値以下となっており、万全を期すことが可能である。収穫の1〜2週間前、果樹なら3〜4週間前に測定し、もしも検出限界値以上の放射能が確認された場合でも、EM活性液とEMセラミックスパウダー(スーパーセラC)の葉面散布と土壌施用をていねいに行なうと、出荷までには、検出限界値以下にすることも可能である。


 農林水産省のガイドラインでは稲作は5000ベクレル以下の水田で行なってもよく、それ以外の作物は収穫物が500ベクレル以下の場合は出荷可能となっているが、この基準を10分の1に強化しても、検出限界値以下にすることは困難である。しかしながら、これまで明らかとなった放射能の吸収を抑制する各種の方法とEMを併用すれば、1〜2万ベクレルくらいの高濃度の汚染地帯でも検出限界値以下にすることも可能である。


 我が国では、セシウム137による汚染が問題となっているが、放射性ストロンチウムについては分析コスト等を含めて無視された形となっている。チェルノブイリ原発事故から25年余となった現在、セシウムよりも、ストロンチウムの影響がより深刻化しているとのことである。ストロンチウムはセシウムと異なり、骨の部分に吸着し安定化するため、対外に排出する可能性は全くなく、骨に由来する多くの難病の原因になるとも言われている。


 幸いなことに、EMを活用するとストロンチウムは、作物に全く吸収されないことが、チェルノブイリ事故の被災地となったベラルーシ国立放射線生物学研究所で1996年に明らかとなっている。その後の繰り返しの実験でも、EMを活用すると放射性のセシウムやストロンチウムが全く吸収されないということも再確認されており、次年度から、ベラルーシでも、EMによる対策に踏み切る予定で準備を進めているところである。


 作物の放射性原素の吸収抑制と同時に重要な事は、人間や家畜の内部被曝対策である。この件については「シントロピー(蘇生)の法則」の中にも詳しく書いたが、「EM生活」をして、更にEMXゴールド等々のEM製品の活用によって、完全に内部被曝を検出限界値以下にすることも容易であり、再被曝も完璧に防止することも可能である。


 この件については、ホールボディカウンターが常備されているベラルーシにおいて、今年の8月に十数人以上を対象に、再実験を行なった結果、50ベクレル以下の内部被曝であれば、EMXゴールドを1日5ccを目安に30日程度続ければ、大人でも検出限界値以下になることも、明らかとなっている。また牛などの家畜も、飲料水や飼料等にEM活性液を添加することで、内部被曝の問題も解決できる見通しにあり、ベラルーシでは、次年度から畜産分野への応用も始める予定である。


 その他、高濃度放射能汚染水の処理法や、核燃料廃棄物の有効利用や廃炉の被覆に使うコンクリートにEMを添加し、超長寿命のコンクリートにする方法等を含め数々の提案も「シントロピー(蘇生)の法則」の中に盛り込まれている。


 - 東日本大震災復興への道筋 -

 津波に伴う衛生問題のすべてにEMは幅広く活用され、懸念されていた夏場の悪臭や感染症の拡大防止に完璧な成果を上げたことは衆目の認めるところとなった。農作物の津波による塩害対策も、農水省は3〜4年は作物を作れないとコメントしたが、当方の実験結果はEMを活用し、特に除塩をしないまま田植えを行った結果、平年並み、または平年を上回る結果を得た。


 瓦礫の処理については、EM技術を活用した簡単な焼却炉または、EMセラミックス併用のダイオキシンを出さない野焼きの方法について、DND第51回でも詳しく述べたが、復興に当たっては瓦礫の処理と、被災地の浄化は基本的な問題である。復興への道筋には様々な意見があるが、最も大切な視点は、被害を受けた人々が病気にならず、自力で望ましい健康管理法を身につけることである。


 このような視点から考えると「EM生活は」、その要になるものであり、EMを通じた人々の良きコミュニケーションも縁の下の力持ちとなるものである。特に、前回(第52回)で述べた被災地における冬季のEM生活のポイントは極めて重要な情報である。


 復興に当たって、その次に重要なことは一次産業の振興である。足腰の強い一次産業の上には、望ましい二次三次産業が連動することは改めて述べるまでもない。ごみリサイクル、下水処理はもとより産業分野のすべてにEMを活用すれば、環境浄化はもとより、生産物の機能性は高まり、高付加価値のものとなる。同時に河川もきれいになり、海も浄化され水産資源も急速に豊かとなる。


 今回の被災地の沿岸部の復興は、この点に着目すべきである。七ヶ浜町をはじめ、多くの地域が漁業や海の浄化に、すでにEMを活用し始めており、今後の水産業の振興に大いに期待できるものである。「シントロピー(蘇生)の法則」の中には、農業や水産業の振興に対するEMの活用法も詳しく書いてあり、その結果はFTAやTTP対策にもなり、新しい未来型の観光資源として、更には新しい輸出商品としての未来像が見えるようになっている。


 このようなプロセスは、今回の大震災対策に活用したEMの供給体制を強化し、システム的に活用すれば、特に大きなコストがかかるものでなく、また従来の手法にEMを併用するという簡単な方法で実現することが可能である。


 願わくば、土壌や環境の浄化はもとより、建築のすべての分野にEM技術を活用することである。病気にならない住居は当然のことながら、耐用年数を数倍も長くすることができ、コンクリートの建築物なら半永久的にすることも可能である。要はトップの英断次第であり、「シントロピー(蘇生)の法則」には、その具体案が示されている。



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