DNDメディア局の出口です。やわらかな雨がひとふりあって、久しぶりに春 らしい日が戻ると、これまで冷え込んだり冬に逆戻りしたり、と寒暖の差が異 常でしたから、やっと一息つくという感じですか。が、潤いをためた街路の 木々や庭の草花は、どこかそわそわして落ち着かない。
東京の小伝馬町を大問屋街が控える昭和通りぞいに歩くと、つい先ごろまで 百本近いコブシが大きな白い花を咲かせました。花は、光沢があって絹織物の ようです。満開時には、甘く匂い立つように見えるのですが、どんな匂いなの でしょうか。樹木は高いので背伸びして鼻を近づけてもかないません。それで もどこからともなく香しさが漂ってきます。衣料品問屋で働くおしゃれな店員 さんらの匂いかもしれません。
沿道は、鞍掛橋付近から街路樹がハナミズキに変わり、その界隈はいまピン クと白の花を付け始めたところです。問屋街は、これから夏の需要期に向かっ て活気づきます。
さて、我が家のわずかな庭。こちらもいっせいにうごめきが感じられます。 少し前に日光の父の家から持ち帰った鉢植えのハナモモは、枝に張り付いた蕾 が膨らんで少し開き気味になると、その蕾の先端が真っ赤でまるで口紅を引い たような鮮やかな色をのぞかせています。蕾は、外側を硬いガクが囲んでまる で毛皮を纏っているように見えます。グレーのガクとハッとするようなルビー 色のコントラストは、どこかなまめかしい。その先端が少しづつ大きくなって いくのですが、そのままそっとしてしばらく眺めていたくなります。
桜のはな莟(ふふ)む幾夜をほれぼれとをとめを恋ふるごとくをりにき
岡野弘彦氏『海のまほろば』から
「ふふむ」の語に当てられている「莟」は、つぼみを意味する字である、と いう。花や葉がふくらんでまだ開かない。そんな蕾の状態を歌人は、それを 「ふふむ」と表現し、乙女に恋をしたように花の蕾にも恋を寄せる―との解釈 は、『現代"うたことば"入門』の著者、伊藤一彦氏です。季節が移り、その 時々に草花が咲く時期を知る、というのもそうだが、「ふふむ」というのも不 思議な響きと思いませんか。
うれしいことは、シモツケソウがうす緑と黄色の葉をいっぱい広げてきまし
た。夏に咲く花の姿が、すらりとしているので"高原の女王"というらしいが、
女王と呼ばれてちょっと恥ずかしいのではないか。薄い紫の花は、ツルニチニ
チソウで、土の下に深く根を伸ばし、ひょいと遠くで芽をだしたら、そこから
一気に陣地を奪っていきます。やはり生命力が旺盛なのはアシタバでこの数日
で濃い緑の葉を四方に広げています。そこに今年も、ゴーヤの苗を植えます。
夏は、緑のカーテンが窓を覆うハズです。ミニトマトも植えるし、キュウリも
ナスも…この歳になって土をいじりながら時間を忘れる、そんな楽しさが身に
しみてきました。この時期、そわそわして落ち着かないのは、私自身かもしれ
ません。
□1万1111人目のDNDユーザー登録者は?
これもDNDメディア局の内輪の話で恐縮です。1が5つ並ぶ11111人目の記念す べきご登録者は誰か。DNDスタッフ一同、実は11000人目ぐらいから、そわそわ しだしました。11108人になると、いよいよカウントダウンの祝賀ムードで盛 り上がっていました。そして昨日20日朝6時51分、11111番目となるご登録者が ありました。
その人は、東京と米国シリコンバレーを拠点とする、情報通信・エレクトロ ニクス領域を中心にした先進リサーチ&コンサルティング会社、SBF,Inc.(SBFコンサルティングwww.sbfweb.com)代表の氏家豊さんでした。
登録時のDNDアンケートに氏家さんは、「私個人的にも、日本企業にいま最 も必要なのは、他でもない日本国内でのベンチャーイノベーションパートナー の充実です。大学発ベンチャーは、日本経済の希望の星です。どう考えても。 この塊りに、日本の大手企業とのイノベーション・エコシステムを形成できれ ば、日本はOKです」と喝破され、この短い行数の中に大学発ベンチャーのEXIT(出口戦略)と期待を述べているのです。大学発ベンチャーの頼もしい応援団 と見ました。
そして、もうひとつの驚きは、DNDで連載『産学連携講座〜現場からのレ ポート』を執筆された東北大学大学院教授の原山優子さんらとの共著『産業革 新の源泉』(白桃書房)を出版されていたのです。 http://www.sbfweb.com/column3.html
さっそく原山さんにメールし、その旨を伝えましたら、「なんと、氏家さん が11111人目の登録者とは!」とはやりびっくりされていました。原山さんは、 もうひとりの共著者、出川通氏と3人でこの3年、大学で集中講座をもっておら れたのですね。その氏家さんが、というのと、11111人目という偶然に、のい ずれにも驚かれたのだと思います。「世間は狭い」ということでしょうか。
11111人目だから、と言ってご本人の了解なしにメルマガで紹介するわけに はいきません。そこで恐る恐るご本人に確認の電話を入れました。その意向を お話しすると、電話の向こうから「私が11111番目ですか、それは驚きという か、光栄というか、いやあ〜」と快活な笑い声が返ってきました。しばらく雑 談をし、さっそく近々にお会いする約束をしました。氏家さんには、DNDメデ ィア局から、ささやかですが特製図書カードをプレゼントします。まあ、おめ でとうございます、ということですね。
氏家さんは、本日、この初のメルマガを読んでまた驚かれるかもしれません。DNDユーザーの方で、氏家さんのことをご存じの方はどうぞ、「メルマガ見た よ!」とご連絡してあげてください。
DNDのユーザー登録、利用は無料です。登録によって、サイトのあらゆる利 用が可能となります。毎週DNDメルマガをお届けします。さて、これまで11111人の足跡を振り返ると、登録8000人目が当時、東京農工大学大学院教授でMOT(技術経営研究)の大御所の古川勇二さんでした。それからのお付き合いは、 大変、東京農工大だけに"濃厚"です(笑)。
次に8888人目の縁起の八並びは〜。その時のメルマガによると、「その記念
のユーザー登録者手続きの書類一覧には、中町昭人(なかまち・あきひと)氏、CA,USAとあり、Kirkland&Ellis LLP、弁護士・パートナーの記述がありま
した」と、シリコンバレーでご活躍の中町さんでした。昨年夏ごろに、日本に
戻って「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」でご活躍中です。
http://dndi.jp/mailmaga/mm/mm061122.html
9000人目は、大阪ガスグループの(株)KRIに勤務の今井貞子さんでした。 http://dndi.jp/mailmaga/mm/mm070131.html
そして9999人、10000人、10001目のluckyな登録の方は熊本県商工労働部のM氏、日本貿易振興機構産業技術部の松下麻衣さん、大和SMBCのUさんの3名でし た。
さて、次は、12222の2並びか、12345のストレートか、いずれにしても20000台は、いつの日になるのでしょう。皆様のご協力を期待しています。
□中国初の上海万博直前、3度目の上海へ:張さんとの契り
今年1月と3月はビジネスで、そして明日から25日までの予定で、上海に視察 ツアーに行きます。「より良い都市、より良い生活」をテーマとした上海万博 は5月1日開幕です。中国の威信をかけた巨大万博になる、と期待されています。 期間中、無事故で心からご成功を祈る次第です。
その開幕まで10日という直前に成田を立つのですが、この旅は、私にとって 一段と思いの深いものになりそうです。
日中テクノビジネスフォーラム主催の『中国上海技術取引市場視察ツアー』
で、団長は同フォーラム首席代表で(株)技術経営創研の代表取締役社長、張
輝さんです。DNDからは、副団長格の私とメディアディレクターの出口清志が
参加します。張さんは、現在、DND連載『中国のイノベーション』を執筆して
いただいています。お付き合いは、DND草創からで、もう7−8年になります。
当時、メルマガで「がんばれ!張さん」と題して、張さんを取り上げたことが
あります。
http://dndi.jp/mailmaga/mm/mm031119.html
その一部を紹介しましょう。
「張輝(ちょう・き)さん42歳。15年前に来日し、立教大学で法学博士を取
得、テーマが『国際的技術ライセンス規制研究―米国・日本・中国の比較を通
じて』。シンクタンクや経営コンサル会社で関連省庁などの調査研究、戦略策
定に携わってきました。(略)
そうそう。張さんが設立した会社は資本金規制特例に基づいた(株)技術経
営創研。詳細は以下のhttp://www.tb-innovations.co.jp/でご覧ください。
「科学を政策に、技術を経営に、知的財産をビジネスに」を理念に掲げてい
ます。設立日は、10月23日。日中国交回復の条約批准の記念日ですから、日本
と中国の掛け橋にーとの思いが込められているようです。やはり、ここでも
「志」の一文字が輝きを放っています。
退路を断って、新たなステージに向かう。以前の小生のメルマガの一文が、
張さんにも響いたらしく、張さんの背中をポンと押したのかもしれません。
がんばれ、張さん。」
張さんの独立起業が、実は、私のメルマガにあった、と後日、張さんから聞 かされていました。上海出身の張さんは、故郷・上海に出口さんをご案内した い、ぜひお連れ下さい‐とのやり取りから、もう何年たったことでしょう。そ して、その約束が果たされる日があす22日に迫ってきました。張さんと一緒の 初上海、どんなドラマが始まるのでしょうか。
上海大学技術市場での講演の資料づくりの準備は整いました。銀行で両替も 終えました。残るのは、このメルマガです。気分は、すでに上海です。どうぞ、 土産話を楽しみにしてください。
◇ ◇ ◇
◇「世界でキャリアを磨く、新しい息吹への期待」
【コラム】黒川清氏の『学術の風』は、「新しい息吹と遭遇のいろいろ」と題
した、志の高い生き方を実践されている方々との会話や出会いを通じて、これ
からの時代を担う若者への期待と激励を忘れません。
「いろいろ理由を言いながら変われない日本の中で、社会を変えよう、世界
を変えようという広い裾野が広がりつつあるのが、個人個人の行動として感じ
取れるとても気持ちのいい会合でした。このような方たちとお会いできるのは、
素敵なことです」。
「これからの人たちが、若いときから広い世界とつながることを大事にしな
がら、日本社会で、また世界でのキャリアをつんでいく選択も意識できる、そ
の能力を高めていくことができると、これからの日本にとっても素敵なことで
しょう。」
黒川先生のメッセージ性に富んだ文章を読むと、心が洗われるようです。
◇「特許審査官にあなたも挑戦しませんか!」
【連載】特許庁審査業務部長の橋本正洋氏の『イノベーション戦略と知財』は
第18回「特許審査官としての職業」です。4月、新人が各部署に配属されます。
特許審査官の卵ともいうべき人材は、今年43名採用されました。
「彼らは、国家公務員T種技術系(理工・農学系)として難関の試験を突破
し、さらに、特許庁の面接をくぐり抜けた勇者たちです。昨今の公務員バッシ
ングの論調にもたじろぐことなく初志を貫徹してきました」と、熱い期待を寄
せていることが伺えます。
この特許審査官は、どういう人たちでどういう仕事をするのか、その職場の
組織構成、出願された案件がどのように審査されるか、などを説明した後、
「特許庁の審査官は、高度な知的労働である特許審査をきわめて的確にかつ効
率的に遂行できる」エキスパートであることを強調し、「審査官に求められる
スキルのうち、法律的スキルや審査実務スキルについては、これを修得するた
めの充実した研修制度が用意され、先端技術の習得や語学力を向上させるため
の研修や留学制度もある」という。
スキルを活かし、スキルを磨き、そして身に付けたスキルを通じて社会貢献
を行える、そのような特許庁で働いてみませんか。橋本さんのような世話好き
で、後輩の面倒をよくみる上司がいれば、大丈夫です。
どうかご関心のある方は、お声かけください。私から、橋本さんにおつなぎ
いたします。