私は、パートナー国、日本の一員としてではなく、ドイツの規格協会(DIN)に頼まれて、メッセの「R&D」のテーマ棟に出展するDIN、連邦政府の研究技術省、ドイツ産業連盟、フラウン・ホーファー研究所などが共催するイベントの一つ、"Innovation and Standardization"というテーマの講演会で、講演をするためにやってきました。(まあ、講演といっても、ちょっとびっくり。展示ブースの一角に椅子を並べた出入り自由の講演で、まるで新商品を売り込むようなセッティングの中での講演でした。)
ハノーバー・メッセは、何でも60年以上の歴史を持ち、毎年25万人以上の人を集め、毎年のように新たな展示棟が新築されているというように、いまだに年々その規模を大きくしています。今年も62カ国から5,000以上の出展が行われているそうで、巨大な展示棟が20棟以上も今回のメッセのために使われています。先進国でやや時代遅れとなった感のある総合的な産業見本市が、ここハノーバーで盛んなのにはいくつか理由があると思います。その第一は、東欧諸国、ロシア、ウクライナ、トルコ等の近隣の新興工業国に加え、インド、パキスタン、中国などの国々から数多くの中小企業が、おそらく政府の援助を受けて出展をしていること、第二は、総合産業見本市とは言え、20以上の広大な展示棟ごとに、テーマを細かく設定して出展企業を集めていることです。先に「R&D」のテーマ棟があることをお話しましたが、その外にも、「産業オートメーション」、「新エネルギー技術」、「ナノ・テクノロジー」、「衛生器具」などの個別技術分野に加え、ちょっと変わったところでは「下請け技術(Sub-contracting technology)」、「販促品(Promotion products)」に特化した展示棟があります。さらに、"Job and Career Market"と題する技術者の募集のための会場もありました。そして、何よりも大きな理由は、ハノーバー市長はもとより、ニーダーザクセン州政府、連邦政府の首相が自ら売り込みを図るというように、このメッセのためにドイツの国を挙げて世界各国に向けたセールスをしているということでしょうか。