第33回 中国各地域の2009年GDPとイノベーション力
2月26日、中国経済ネットに中国各地域の2009年GDPが掲載された。中国経済ネットは中国における権威性を持つ経済新聞社「経済日報」が主管するネットであり、同ネットによると、掲載した各地域のGDPデータは国家統計局、各地域統計局、及び各地域が公表した「2010年政府レポート」のデータを総合的に整理しまとめたものだという。
中国全体の2009年GDPについては、今年1月21日に中国国家統計局によって発表され、前年比8.7%の成長を遂げたということは周知の通りである。しかし各地域のGDP(地域内総生産)については必ずしもよく知られているとは言えないであろう。中国各地域のローカルな特性を見ることが益々重要となってきている中で、関連情報の一つとしてご参考にしては如何であろうか。
ちなみに、中国では、各地域の統計と国家統計局の統計とで誤差が存在していることが検討課題とされている。このような前提で一読していただくことをご留意願いたい。また、日本では「中国全体のGDPがそろそろ日本を超えるから日本はこうすべきだ」というような議論もしばしば提起されているが、筆者は国単位や地域単位というより、一人当たりのGDPのほうをより重視する考え方を取っており、そのような意味で今回寄稿しているわけではないことをご理解頂ければと思う。
また、中国経済ネットでは「各地域」として中国の各直轄市、各省、各自治区を指しているのに対し、中国の東部、中部、西部というような地域区分で見る場合や、2009年までのデータとの比較的検討などを行いたい場合は、中央大学経済学部教授谷口洋志氏の「中国のGDP(2)統計をみる場合の注意点」という文献が非常に参考となる。
なお、表中の「地域イノベーション力」とは中国語「区域創新能力綜合指標」の仮訳である。これは中国科学技術発展戦略研究チームが発表し、中国経済ネットの発表とは直接関係しない2008年のデータを筆者が付け加えたものである。地域イノベーション力は具体的に「知識の創造、知識の獲得、企業イノベーション、イノベーション環境、イノベーション効果」といった指標からの評価を総合した2008年の順位である。
多様な試みが展開されている、中国のイノベーション関連のワンシーンとしてご覧頂ければ幸いである。
最後に、この場を借りて、来る3月24日(東京)「知的財産を生かすビジネス者フォーラム2010 イノベーション競争下の知財移転・活用支援環境と人材とは」について、周知協力をさせて下さい。以下は独立行政法人工業所有権情報・研修館等が発信された「特許流通ニュースメール」の最新号からの一部転載である。
特許流通、技術移転、産学連携、パテントプール、オープンイノベーションなど、近年日本国内や国をまたいで活発化する知財を生かす活動やビジネス実務、専門人材の現状を国際的な競争比較の視点から考えるイベント。坂田一郎・東京大学政策ビジョン研究センター教授による基調講演「新しい競争パラダイムと知財ビジネス者の役割」や、知財を生かすビジネスの国内外の現場で活動する実務家によるパネルディスカッションがある。なお冒頭、近藤洋介・経済産業大臣政務官が挨拶に立つ予定。参加費は無料(定員250名。事前登録制)。
主催:フジサンケイビジネスアイ
会場:大手町・サンケイプラザ(東京都千代田区大手町1-7-2)
詳細:http://www.business-i.net/event/pif/pdf/businessforum.pdf
<了>
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