第75回 福島における2013年度のEMによる放射能対策の成果(2)



 前回は酪農におけるEM活用の成果について述べたがEMを活用することは、単に放射線量を低減させるというレベルのものでなく、畜産におけるすべての衛生対策、乳質の向上、最良の有機肥料の生産と直結している。同時に口蹄疫をはじめとする、様々な感染症対策にも顕著な効果が認められており、畜産にとっては必要不可欠のものである。


 11月9日に福島市で開かれる第2回環境フォーラム−うつくしまEMパラダイス2013−の準備会も兼ね、8月30日、福島県教育会館第一会議室でEMを活用しているグループの中間報告と検討会が催された。20団体、40人余の参加があり、温度差はあっても、EMに否定的な意見はなく、更に効率化する方法についての質問も多く、全体として、かなり前向きとなり、自信を持ち始めている。


 本DNDで、すでに紹介済のマクタアメニティー(株)グループの生産物は、放射性セシウムが不検出という確たる成果を上げ続けており、その他の事例も含め、EMによる農作物の放射性セシウムの吸収抑制は決定的なものであることが確認された。


 放射能汚染対策で重要なことは、経時的な減少効果である。したがって、第2回フォーラムでも、第1回目に発表した方々に、その後、どのような成果が上げられたかということを報告してもらうことが、より重要となってくる。


 第1図は、いわき市のEMとじょろの会での結果である。この図からも明らかなように、EMを定期的に散布した場所は時間の経過とともに、放射線量は、着実に減少していることが認められる。この場合、対照区がないように思われるが、対照区はスタート地点である。



図1

 放射能は、時間の経過とともに自然に減少するが、この傾向を自然減だとすると、この地域はあと数年で、限りなくゼロに近くなるということになる。放射性セシウム137の半減期が30年である事を考えると、この減少は、明らかにEMの効果である。福島県以外にも、茨城県や宮城県のホットスポット地帯の校庭に、EM散布を行なった事例も数件あるが、いずれも散布された学校のみ、放射線量は減少しており、その他の学校では、減少は認められず、逆に増えている例もある。


 昨年度の予備テストで、EM処理によって放射性セシウムの吸収抑制が顕著であった、南相馬市の馬場EM研究会では、今年から本格的なEMによる有機農業に取り組んでいる。


 写真1は8月下旬の状態であるが、化学肥料農薬を全く使用せず、9月後半も望ましい状況を保っているとのことである。この事例は収量、品質ともに従来法のいずれもクリアしており、EM自然農法のモデルとなり得るものである。



写真1

 写真2は田村市都路の復興推進EM活用モデル事業のEM自然農法モデル水田である。この地域は気温が低く、登熟も悪く、10a当り6〜7俵の低収量で米の品質も望ましいものではない。このモデル事業の狙いは、EMによる放射能対策はもとより、多収高品質を実現し、地域振興の根本的な解決策を実現することにある。



写真2

 8月下旬の状況から判断すると、その目的は達成されつつあり、同時に写真3のようにハウス栽培でのEMトマトも優良モデルとなっており、収量、品質、安全性も抜群の成果を上げている。



写真3

 その他、写真4のように、草花を植え、EMで管理することによって、環境美化はもとより人々を元気付けながら放射能対策も行っている。



写真4

 今回の検討会で明らかとなったことは、土壌中に水分が十分にある場合や降雨時にEMを散布すると放射能の減少が早い。ある一定以上のEMが散布され、減少傾向が出始めると、着実に放射能値が下がり、大雨や風によって山林からの放射能による再汚染が発生しても、すぐに元の低い数値に戻る。EMを散布された、まわりの放射能値も低下する。この件に関しては本DND61回で、すでに報告済みであるが、EM農家のまわりの農地も、すべて同じ現象が認められている。


 いずれも、EMの波動効果によるものであるが、その影響は10m〜50mまでに及んでおり、特に濃度を高く集中的に散布した、まわりが顕著である。EMのそのような性質を無視し、隣接したEM無散布区を計って差がないため、EMは効果がないとする誤った判断も散見されるが、少なくとも、散布地点から10mおきに、100m以上も離れている場所の測定を行うとEMの波動効果を確認することが可能である。


 11月9日には、ベラルーシの国立放射線生物学研究所の成果と併せ、今回の検討結果も発表されることになっている。会場は今回の検討会を行った福島県教育会館大ホール(600人)である。




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