第74回 福島における2013年度のEMによる放射能対策の成果(1)



 2011年3月11日の東日本大震災に伴う、東京電力福島第一原子力発電所の事故から2年半余の時間が経過した。これまで、EM技術による放射能対策とその実績は本DNDや拙著シントロピー(蘇生)の法則(地球環境共生ネットワーク刊)等でも述べた通りである。


 福島における復興推進EM活用モデル事業は、30団体余となり、その成果は確たるものになりつつある。本DND第60回でEMによる乳牛の内部被曝対策について、その顕著な効果について述べたが、今回のデータは、その牛舎から発生する液状の糞尿、すなわち、スラリーを牧草地に散布した結果である。


 EMによる乳牛の内部被曝対策は確たるものとなり、試験に協力してくれた瀧澤牧場では、今では5割以上自前の牧草に切り換えており、牛乳の放射能汚染も、限りなく検出限界に近づいている。


 本結果の特異的な面は、EM処理スラリーを処理された土壌の放射性セシウムが経時的に着実に減少していることである。それに対し、EMスラリーを施用しなかった対照区は、逆に放射性セシウムが増えている。その数値は、すんなりと理解し得るものではないが、牧草地となっている水田転作地は、放射能で汚染された山林の水が流れ込む地形となっている。


 したがって、その結果は、山林からの汚染が付加されたものという一般的常識と合致しており、信頼に値するものと考えており、EMを活用した農地では、どこでも類似の傾向が認められている。DND第60回の末尾に次のようにコメントした。


「EMは、畜産用のA飼料として国の認可を受けており、畜産のあらゆる分野に活用されている微生物資材である。すでに、宮崎や韓国で、その実績が明らかとなった口蹄疫はもとより、トリインフルエンザを含むウイルス疾患には決定的な予防効果を発揮する。同時に乳房炎の予防や治療、飼料効果の向上(10%〜15%)消化系を含めた各種疾病予防はもとより、乳質や肉質の向上にも顕著な効果が認められている。


 その上、畜舎の悪臭対策はもとより、ハエやカやダニの発生を完全に抑制することも可能である。更に重要なことは、EMで飼育された家畜の糞尿は極めて良質な有機肥料となる。EMの密度の高いEM発酵堆肥の放射性物質の作物への吸収抑制効果はすでに福島県も認めている。本DND第57回でも明らかなように、EMを処理された有機物の放射性セシウムの減少効果と併せて考えると、EMを活用した畜産との連動による福島県における農業の未来像が確たるものになり始めていると言っても過言ではない。」


 そのコメントを受け、福島県内では、かなりの畜産農家がEMを活用するようになり、瀧澤牧場と同様な成果を上げている。また本年度の福島県での牛乳の乳質コンテスト、すなわち福島県酪農協良質乳生産コンクールで最優秀賞を受賞したミネロファームもEMを全面的に活用しており、今後の福島県の畜産にEMが効果的に広がることを期待したい。




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