第71回 EM技術で資源工場化を達成した山梨県身延町の峡南衛生組合-2-
2、屎尿処理および発酵肥料
前回は峡南衛生組合(遠藤稔所長)のEM技術による安全で快適、低コストで高品質の画期的な資源工場化した焼却炉の成果を紹介した。その情報に対し、老朽化した焼却場の関係者から問合せがあるが、具体的な対応はEM研究機構で行うことになっている。
表1:水質検査報告書
すでに述べたように、峡南衛生組合では、汲み取り屎尿や浄化槽抜き取り汚泥をEMで浄化し、その脱水汚泥と生ごみをベースとしたEM発酵肥料の製造も行っている。この汚水処理システムの特徴は一般の水道水よりも浄化のレベルが高く(表1)機能水化しており、山梨日々新聞の記事のように、水産への応用も期待されているばかりでなく、従来なら、焼却処分となるはずの脱水汚泥が極めて良質の有機肥料に変わっていることである。
平成24年5月25日山梨日々新聞抜粋
平成25年2月14日山梨日々新聞抜粋
写真1:屎尿処理施設
EMの水質浄化力については、改めて述べるまでもないが、EMは水産養殖の分野では、世界で最も多く使われており、水質の浄化とともに、万能的な病害虫抑制効果力は常識化し始めている。写真1は、屎尿処理施設の全景である。かつて、錆びついていた金属部分の腐食はすべて消失し、機材の劣化は止まり、機能よく作動し、故障が極端に減ったとのことである。
写真2:屎尿処理施設の放流水
写真3:放流水で飼育中の金魚
この処理施設には、1日30トンの屎尿や汲み取り汚泥が搬入されているが、水質は表1に示されるように飲料水としても極めて良質である。写真2は、屎尿処理施設からの放流水で、写真3は、その放流水で試育している金魚である。
写真4:脱水汚泥
写真5:破砕機
写真6:発酵熟成
写真4は、屎尿処理施設の脱水汚泥や生ごみ、竹粉、キノコ栽培後の廃床、等々を写真5のような粉砕機で混和した後に写真6のように発酵熟成する。熟成は長期(30日以上)になる程品質は向上するが、2週間程度で成形ペレット化した後、30日以上保存すると、ほぼ同質の品質となるため、熟成期間の調整は容易である。
写真7-1:ペレット化
写真7-2:ペレット化
写真8:最終製品の発酵肥料
写真7は、ペレット成形機でペレット化し、写真8は、最終製品である発酵肥料である。上記の新聞の記事は、1年程前のものであるが、現在の年間生産量はすでに70トンを突破しており、生ごみの有効活用はもとより、里山保護で処理された竹を粉にしたものや、キノコ廃床、食品残渣等々の高度な再資源化に取り組んでいる。
このシステムは、有機農業の推進、作物の多収高品質、環境の積極的な保全に直結するものであり、焼却炉の成果を併せると、究極のごみ処理システムといえるものである。願わくば、このラインを活用し、生ごみ、竹粉、キノコ廃床、食品残渣は養豚や養鶏の飼料とし、その糞尿で有機農業を目指すことをおすすめしたい。
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