第64回 福島におけるEMによる放射能汚染対策に関するフォーラム(3)
前回は福島県の事例について紹介したが、福島市や郡山市よりも放射線量の高いホットスポットは福島の隣接する県や東北、関東一円にも存在している。現在でも毎時1000万ベクレルの放射能が福島第1原子力発電所から放出されており、この状況はコンクリートの石棺が出来るまで続くことになる。そのため、地域によっては放射能汚染は徐々に増えており、その範囲も更に広がっている。
ホットスポットを中心とするそれらの地域は、政府による除染の対象外となっているため、自力で対応するか、または、除染の成果を自力で証明し、東京電力に補償してもらう以外に方法はないという状況にある。栃木県那須塩原市のEM柴田農園や那須町の障がい者施設マ・メゾン光星の事例は大いに参考になる事例である。
●栃木県那須塩原市
「作物への放射性物質移行抑制、農地及び住宅地の放射線量低減化」
■活動グループ
EM柴田農園 代表柴田和明
■使用器材
百倍利器200:1台(2012年4月)
1tタンク(サンバルク#1000TC);2台(2012年4月)
■EM使用量/月間:
3,300L
■活動概要・成果など
安全な作物を出荷するため自身の農地にEMを使用すると共に、自宅並びに近隣住宅地の放射線量低減化に取り組んでいる。生産した農作物の放射性セシウム濃度は、いずれも検出限界以下となった。
当地域の空間線量は、0.3〜1.0μSv/h程度であるが、EMを熱心に散布している住宅では3〜5割の低減を達成しているところもあり、今後も希望者への普及を拡大していく予定。
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柴田さんは、それらの結果に基いて東京電力に自力で除染したための経費の補償を求めて、交渉中であり、東電側も和解に応じる姿勢を示し始めている。
次に紹介する事例は、障がい者支援施設マ・メゾン光星の例である。この施設で使われているEM活性液の種菌は柴田さんのところで作られたものであり、柴田さんはEMによる栽培法や除染の方法についても積極的な協力を行なっている。
●栃木県那須郡那須町
「園内の放射線量低減化、安全・高品質な農作物の生産」
■活動グループ
障がい者支援施設 マ・メゾン光星 代表三浦敏郎
■使用器材
1tタンク(サンバルク#1000TC);2台(2012年4月、8月)
■EM使用量/月間
450L
■活動概要・成果など
93haの敷地を有し、主に一次産業を通じて障がい者の自立支援活動を行なっている。今回の原発事故による農地汚染でキノコ類を中心に多くの農作物・山菜類が出荷停止になった。 薪の生産販売も行なっていたが山林汚染により販売中止になっている。出荷が再開できるようEMを用いて農地や榾場(椎茸原木)の放射能低減化等に取り組んでいる。敷地内の放射線量は0.2〜1.0μSv/hであるが、EMを散布して若干減少した場所も出てきている。また収穫物への放射性物質への移行抑制や作物の成長促進や養鶏舎の消臭などの効果も実感してきている。
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マ・メゾン光星
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マ・メゾン光星は放射線量が高く、施設内での生産活動をすべて中止に追い込まれた状況にあったが、本年の4月からEMを活用し、今ではかなりの分野で成果を上げるようになっており、放射能汚染も時間とともに着実に下がっている。1、の乾燥椎茸の事例はEMが直接放射線を減らすという明確な証拠でもある。
その他の事例として南相馬市の瀧澤牧場、ホワイトマックス社のエンバランスピッチャーの件も発表いただいたが、本DND第60回(乳牛の内部被曝対策について)と第61回(EMによる放射能対策の新知見)で紹介済みのため省略したい。
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