第46回 福島県におけるEMによる放射能汚染除去プロジェクト


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 本DNDの連載で数回にわたって放射能汚染対策について述べたが、福島県でも、もともとEMを使っていた農地の放射線量は極めて低く、また、EMを、くり返し散布すると、放射線量が低下するということも明らかとなってきた。すでに述べたように、チェルノブイリの被災地となったウクライナやベラルーシの国立放射線生物研究所でも、EMを10a当り、50Lの散布で、年間15〜35%の放射線量が減少した事も確認されている。


 本DNDやエコピュア、船井幸雄ドットコム等で紹介した、EMによる放射能対策は、多く人々に知られるようになり、個人やグループでEM活性液を大量に作り、家屋の洗浄や庭に散布したり、これを機会に「EM生活」に徹する人々が増え始めている。当初、私は、福島は、ミニチェルノブイリになってしまった、と述べたが、現在でも、4基の破壊された原子力発電所から大量の放射性物質は放出され続けており、その総計は、チェルノブイリの比ではない途方もないものになりつつある。


 4月の後半から、EM研究機構を中心に、飯舘村や伊達市、郡山市等でEMを散布し、その効果的な活用法について検討を進めているが、米ヌカ等の有機物を10a当り100〜200kg、EM活性液を50Lを20〜30倍にうすめ、くまなく散布する方法が目安となっている。この方法の特徴は、米ヌカを撒いてEM活性液を散布すると、地表面に白い菌糸がビッシリと張り、その結果、放射性物質が飛散せず、内部被曝の予防にも効果的であり、土壌中のEMの増殖を促進することである。


 汚染の度合いにもよりけりであるが、半月から月に1回、年に6〜10回の散布で解決すると思われるが、米ヌカの散布は、当初の1〜2回で十分である。測定の結果、放射線の値が基準値以上であれば、散布をしつづけるという単純な方法をくり返すことである。福島県内でも、多数のEMボランティアがおり、郡山市の「エコ郡山」が、その中心的な役割をはたしているが、EM活性液も無償または、実費で提供しており、学校での試験的な散布も行なわれるようになってきた。


 一般に、放射性物質の有害性は、その放射線量の総計とガンの発症率との関係で論ぜられているが、人間の健康や環境の面からすれば、放射性物質に誘発される強烈なフリーラジカル(活性酸素)の害は、ダイオキシンなみである。これまでの発表では、放射線に誘発されるフリーラジカルのことは、意図的に隠しているとしか言えない状況にある。すなわち、放射性物質は、その放射線が人間のDNAを損傷する直接的な有害性と、放射線によって誘発される、強烈なフリーラジカル(活性酸素)の有害性を併せ持っていることである。


 改めて述べるまでもなく、体内のフリーラジカルの増大は、免疫力を著しく低下させ、あらゆる病気の原因として理解されている。現在、福島県や各地のホットスポットで認められている、子供の鼻血やアレルギー、化学物質過敏症等々は、放射線に誘発された、強烈なフリーラジカルが原因であり、明らかに、放射性物質の存在によって引き起こされたものである。


 EMには、強い抗酸化作用があり、ダイオキシンや放射性物質から誘発される強烈なフリーラジカルを消去する力を持っている。そのため、環境中にEMを水や空気の如く使い、EM・Xゴールドや、自家製のEM発酵飲料を活用すれば、放射線の害はほぼ完全に抑制できることは、すでに述べた通りである。


 原発被災地”ふくしま”から<自然エネルギー 植物エネルギー>の”うつくしま”へ が今回スタートした、EMによる放射能汚染除去プロジェクトのスローガンである。これまで、EMによる放射能対策について、多様な提案を行なってきたが、従来の常識や行政のシステムでは、その提案を受け入れ、実行することは困難である。岩手、宮城の両県で行なったようにEMボランティアによる実績を積み上げ、多くの人々に理解してもらう方法に徹する必要から、協力できるプロジェクトには、EMを無償で大量に提供することになったのである。


 6月15日、福島県庁で合同記者会見を行い、念のために、地元の2社の新聞社を訪ね、本プロジェクトの説明を行なった。場所は、南相馬市の鹿島地区で100haの農地に、ひまわりを播種し、50トン余りのEM活性液を散布し、放射能汚染除去の効果と、ヒマワリやナタネのバイオエネルギーの可能性を検討することが目的である。


 これまでの測定では、鹿島地区の放射線量は、安全基準値以下であるが、現在もなお、福島第一原子力発電所からの放射能汚染の放出は続いており、予断を許さない状況にある。本プロジェクトは、チェルノブイリの被災地となったベラルーシでは、10a当り50LのEM活性液を散布すると、放射性セシウムやストロンチウムが植物に吸収されず、土壌中の放射線量は年率15〜35%も減少したという事実を応用しようという試みでもある。



ひまわりの播種を終えた水田


 ヒマワリやナタネは、放射性物質を吸収する能力が高いと言っても、その値は0.1%以下であり、放射能対策としては気休め的なレベルである。要は、ヒマワリやナタネは放射能汚染地帯でも、作付け制限作物ではなく、バイオエネルギーとしての油脂資源として、農家の経済を支えることが可能だからである。この場合も、ヒマワリの残渣を一箇所に集めて処理せねばならず、土壌に有機肥料として戻してしまうと元のモクアミである。



活性液の仕込み作業


 6月16日から20日までに、100ha余にヒマワリを播種、その後の経過は順調である。散布するEM活性液は数10トン単位で仕込みも完了し、今週末から、散布する予定である。収穫後は、ヒマワリの残渣にEMを処理し、土壌改良を促進する。秋〜春季には、ナタネを播種し、同様の処理をくり返す予定である。計画通りに事が運べば、数年以内に放射能汚染を除去し、EMによる土壌改良が進めば、無化学肥料、無農薬のEM自然農法による高付加価値の作物栽培が可能となる。


 本プロジェクトはもとより、福島県内で行なわれているEMによる放射能対策の活動は、すべて、農林水産省にも報告されており、成果が明確になれば、本技術を積極的に活用したい旨の話し合いも終了済みである。



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