第43回 EM技術によるシックハウス対策と農地の除塩対策
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1.シックハウス対策
避難所のトイレやごみ集積所等々の悪臭対策については、殆どの地域でEMが活用されるようになってきた。岩手県のほぼ全域と宮城県の北部沿岸地帯の大半の地域は、行政とボランティアの協力体制ができあがり、遅ればせながら、他の市町村も、それらの成果を参考にEMの広域的な活用に取り組み始めている。
前回に述べたアスベストを含む粉塵対策についても、徐々に、その認識も高まっており、その実績は、時間の経過とともに、全域に広がるものと思われるが、被災地では、消毒剤や洗剤を含め、化学物質過敏症が広がっている。この対策としては、化学物質とEM併用、または化学物質を使った後に、EMを散布し、化学物質の弊害を抑制する折衷的な活用も次善の策である。
仮設住宅の整備とともに、入居する方々も増え、これで一安心という状況になりつつあるが、ここで注意せねばならないことは、建材に使われている化学物質の影響である。何となく、体がだるい、安眠できない、休んでも疲れが取れない、頭がボヤーとしている。偏頭痛がする。皮膚がかぶれたり、発疹が出る等々の症状である。
すでに明らかなように、建材には、接着剤や防腐剤や様々な塗料が使われており、一般的な住宅建築において、450余種の化学物質が確認されている。免疫力が高く、体内での活性酸素消却能力の高い人にとっては、臭いが気になる程度であっても、体調の思わしくない人や過敏症の人にとっては、苦痛の種となる。また、新しい衣類にも多数の化学物質が使われている。
当初は、我慢できても、抗原抗体反応がくり返されるごとに、この反応は増幅され、ひどい人は被曝的な反応が現れてくる。この反応が現れるようになると、化学物質の全てに反応するようになり、合成洗剤、化粧品はもとより、衣服の化学合成のり、各種の消毒剤はもとより、免疫系にマイナスに作用する食物、食品添加等々にも強く反応するようになる。
反応も様々で、全身アレルギー的なものから呼吸困難、脈拍の異常、全身がだるくなったり、痙攣したり、一見すると精神的発作と間違えられる場合もある。そうなると、正真正銘の化学物質過敏症である。今では、我が国の国民病的な存在となった花粉症も、類似のメカニズムで発症するが、花粉症は、化学物質過敏症への一里塚である。
シックハウスとは、そのものずばり、病気を誘発する家、すなわち健康を害する家のことである。化学物質を多量に使った新築や改修した校舎はシックスクールと称され、すでに大きな社会問題と化している。広い意味で、シックハウスの原因を考えると、風水学的な要因も加わるが、突き詰めてみると、フリーラジカルを誘発する化学物質と有害な微生物が増殖しやすい条件が重なった場合が最悪となる。
この問題については、本DNDの「第31回EM技術による居住環境改善」に詳しく述べたとおりである。もちろん、仮設住宅の建築当初に、EMを全面的に使用することは困難であるが、入居後に化学物質の臭いのある部分に対し、EMまたは、EM活性液を500倍くらいにし、臭気が消えるまで、くり返し、毎日でもスプレーすることで問題の大半は解決されるのである。
今では、EMは、役所で相談したり、EMのボランティアに頼めば、簡単に手に入るようになっている。仮設住宅をはじめ、津波で床下にヘドロが流れ込んだ所や、ヘドロで汚染された住居を快適なものにするには、床下にも1平方メートル当たり、EMの活性液を1Lくらい散布することである。また、畳の下に新聞紙を4枚重ねで敷いて、その上にEMスーパーセラC(蘇生型)を1平方メートル当たり50〜100gくらい均等になるように撒いて、更にその上に2枚重ねの新聞紙をのせ、畳を敷くと、たちまちにして、健康にとって最良の居住空間に早変わりである。
EMを使い続けると、いつの間にか、化学物質の弊害は消え、有害な微生物も増殖しないようになる。先の見通しの立たない不安な日々を乗り越えるには、先ずは、良く眠れて、健康であることに尽きる。EMを、これまで述べたように徹底して使い、お風呂、トイレ、洗濯、掃除、野菜や食器洗いに使うばかりではなく、加熱する料理にも、キャップ1〜2杯加えると調理の鮮度も高まり、健康はもとより、食中毒の予防にも、万全を期すことも可能である。
表現は適切ではないが、今回の大災害を機会に、何らかの自分史を構築できれば幸いである。そのためには、日常の生活を「EM生活」にかえ、健康に万全を期した上で、EMの持つ、可能性を極めるのも一つの手法である。EMには、本質的なクリエイティブ(創造)でプロフェッショナルな力がある。すなわち、EMの効果を、より高めるような工夫を重ね、自分がEMになったつもりで、EMを徹底して使うと、長年引きずっていた体調不良が良くなったり、生ごみが最良の有機肥料となり、農薬なしに、野菜や花々が良くできるばかりではなく、健康にも環境にも最良のものとなる。
車や各種の機材や電化製品もさびることもなく、機能性が向上し、電磁波の弊害は消え、物によっては、30%以上もの省エネ効果も現れてくる。このレベルに達すると、EM生活を通し、楽しみや喜びを見つけることができ、その事を、他の人に教えることによって、更に楽しく喜ばしいことになる。
そのレベルが、更に高まると、楽しみや喜びを創造するプロフェッショナルな芸術的人生に到達することも可能である。時間的に余裕のある方々に、特におすすめであるが、健康や環境に対して、最良のライフスタイルを構築することは、あらゆるものを乗り越える原点とも言えるものである。
2.農地の除塩作業
今回、被災した農地24.000haの内、水田が90%以上を占めている。これまでに数回、海水や油やヘドロ等で汚染された水田に対するEMの活用法について述べたが、現在のところ、EM関係者の自主的なモデル試験の範囲にとどまっている。
それは、それで仕方がないと思いつつも、EMを使い、通常通りの田植えを行ったならば、少なくとも、その75%以上で稲作は可能であったということを考えると、次の被災の参考になれば、という思いも含め、少々の苦言を呈したい。
農水省は、今回の津波の被害を受けた水田の除塩事業に、多大な予算を計上し、認められたが、その内容に多少のミスマッチがある。先ず、水稲が、どの程度の塩分に耐えられるかという確たる知見のないまま、水田に石灰をいれ、EC(電気伝導度で海水は15〜20)が0.3以下になるまで、水を入れ損拌し、排水を繰り返すことを前提としていることである。水稲は水を十分張っておけば、ECが1.0〜2.0でも正常に育つものである。
日本は雨が多く、1日や2日、畑地や水田が海水につかっても、梅雨が例年通りならば、特に、石灰を入れたり、除塩する必要はないと言っても過言ではない。表面のヘドロが厚い場所は、取り除く必要があっても、2cm〜3cm程度であれば、半年くらいでは、地力になるものである。5月上旬現在、海水が流れ込んだ水田をよく観察すると、次の事があきらかである。畦の雑草が青々となっている所は、除塩は不要である。被災地の水田で畦の草が海水で枯死している地域は、除塩は必要と思われるが、そのような場所は、極めて例外的である。農水省のマニュアル通り行うと、川や海を汚染し、水田は地力を失ってしまうことになる。
田植えの段階で、土壌のECが3〜4のレベルでも水を十分に張ってあれば、初期の稲は正常に育つものである。問題は出穂期までEC値が3〜4のレベルのままであると白穂となる危険性はあるが、梅雨が平年通りであれば、EC値は、放っておいても0.5以下になるものである。このような背景を考え、本DND「第41回、EM技術による臭気及び土壌汚染(塩害、ヘドロ、放射能)対策」等の情報を公開し、JA関係者、国会議員の超党派で構成する有機農業議員連盟での説明会や研究会を行ったのである。
危機管理という立場から考えると、何はさておき、給排水ポンプをリース方式ででもセットし、機能させ、沿岸部の緊急措置を行い、田植をやらせることである。水が通れば、自然に除塩され、EMを併用すれば、むしろ豊作になったと思われるが、例え、EMを使わなかったとしても、次年度までには、完全に復旧することも可能である。したがって、農水省は、水田の除塩は、梅雨明けて、ECが4.0以上の水田を対象に行ったほうがよく、それ以下の水田の除塩は不要である。その結果、浮いた予算は、水利全体にEMが自在に使えるシステムや沿岸部の被災、防災対策など、農業の足腰を強くする方向に活用することが得策であり、農業関係者からも感謝される筈である。
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