第42回 EM技術による粉塵、及び放射能対策


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1.粉塵対策


 乾燥が続き、瓦礫の処理が進むにつれて、工事のトラックが通るたびに、辺りは異臭を放つ砂ぼこりで視界がさえぎられる場合もある。また気温が高くなるにつれ臭気が強くなり、雨が多く、多湿になると衛生問題は更に悪化する状況となってくる。多くのEMボランティアの協力で避難所のトイレやゴミ集積所、下水周り等の悪臭や、水産廃棄物等の処理に対し、EMは期待通りの役割を果たし、日常生活でも、EMを積極的に使う人々も増え始めている。


 現在では、EM供給体制も整い、希望があれば、いつでも対応できる状況にあるが、災害後の瓦礫の処理に伴う粉塵や砂ぼこり、アスベスト対策は、EMのボランティアの限界を越えるものである。すでに、マスコミで報じられたように粉塵による呼吸器障害は問題となっており、今後は視覚や消化器官を含め、感染症の拡大も懸念されている。また瓦礫となった古い建材にはかなりの量のアスベストが使われている。


 一部の被災地では、行政と協力し、避難所以外の衛生対策も行なわれているが、広域にわたるEMの散布や道路や工事現場における粉塵対策は、手付かずのままである。方法としてはEMを200〜300倍にして、放水車で全体が濡れるように散布したり、散水車で道路に1日、1〜2回を目安にEMを撒く方法で十分な対応が可能である。


 EMの効果の本質の中に、非イオン化作用すなわち、電気を帯び性質を阻止する力がある。粉塵が舞い上がる現象は、車の通行や風によって生じるエネルギーが、粉塵に電気(主として静電気)を与え、運動性が強化されるためである。地域によっては、秋〜冬の学校のグランドの砂ぼこり防止にもEMが使われており、多くの工事現場や産業廃棄物処理場で、粉塵や臭気対策にEMは、使われている。


 前回の第41回で述べた「EM技術による臭気および土壌汚染(塩害、ヘドロ、放射能)対策」の提案については、関連する組織からの要望もあり、具体的な取り組みを始めた地域もあるが、粉塵対策については、散水車等の活用を含め行政との調整が必要である。


 この粉塵対策は、工事関係者、行政、または、自衛隊等の協力が必要であるが、優先順位が低いと思われ、また対策も散水する程度にしか受け止められていない。津波によって、建材に使われていたアスベスト、下水、油、化学物質などあらゆるものが混じっているヘドロには、有害な微生物が大量に増殖しており、気温の上昇とともに、この最悪な状態が更に加速度的となり、難病や様々な感染症の原因となる。そのことは、住民の健康と福祉の観点や医療費の低減という立場に立てば、現今では、最優先事項である。現在、本件については、政府の関係者をはじめ、多くの人々に協力要請をお願いしているところであるが、本誌をお読みの関係者にも行政、または工事関係者にこの情報が伝わるよう協力をお願いしたい。


2.EM活性液散布による広域の放射能対策


 放射能汚染土壌対策については、前回でも述べた通りであるが、様々な問い合わせが寄せられている。例えば学校のグラウンドや教室等の建築物の浄化等や、原子力発電所の高濃度汚染水をEMで効率よく処理することが可能か否か等々である。また広域にEMを散布すると膨大なコストがかかるのではないかとの質問もある。


 具体的な処理方法は、すでに述べた通りであるが、建築物の洗浄は、100〜200倍にうすめたEM活性液を、月に1回、数回程度の散布で十分だと思われるが、計測し、基準を上回る場合は再処理をくり返すことである。ホームセンターで販売している高圧洗浄機が1台あれば、数校で使うことが可能であり、グラウンドへのEM散布や、今後の災害時の活用や、教室の浄化や、化学物質過敏症対策にも幅広く活用できるものである。


 また、広域のEM散布については、水田であれば、前回でも述べたように、ダムや河川の取水口からEM活性液を添加し、潅漑の全地域にEMが広がるようにし、作物の栽培時もEMを施用するという方法をとれば、作付制限を行なわなくても、十分な対応が可能である。EMを施用し、30〜40日も経過し、土壌中の微生物の密度が高まれば、放射性物質の大半は、微生物に取り込まれ、作物に吸収されないようになる。


 本件については、チェルノブイリの被災地となったベラルーシや、隣接のロシア地域でも確認されている。当面は、ひまわりや菜の花を植える案もあるが、この場合も、EMを併用すると効果的である。


 また、農地以外の広大な面積にEMを散布する場合は、休校になっている学校のプールや、ビニールシート等を活用した簡易プールを使えば1回で100〜1000トン程度のEM活性液を1〜2週間で造ることが可能である。その後、連続培養法に切り替えれば、3〜4日で、同じ量を造ることも容易となるため、EMの供給体制に支障は無く、コストも想像を絶するくらいに安いものである。ただし、このようにして造ったEMは、雑菌の混入もあるため、長期の保存は不可能であり5〜7日以内に使い切ることが絶対条件である。このような活性液は、10日以上も保存するとPHが3.8以上、4.0になると、EMよりも、他の雑菌が増え、EMではない状態に変わるからである。


 EMを使って失敗したという話を確認すると、施用量が足りなかったか、EMと思って使った液が変質して、EMではなかったという単純な理由である。PHが4を超え異臭や悪臭を発するような液を散布すると、その散布された場所には、大量の有害な微生物が発生し農機具や施設をことごとく酸化させボロボロにしてしまうという最悪な状況となる。EMは、化学物質でなく、生きている微生物であり、保護的な条件が失われると、(PH3.5で乳酸菌や酵母が健在)、他の微生物の基質(エサ)になってしまうという側面をよく理解しておく必要がある。


3.原子力発電所の高濃度放射能汚染水対策(提案)


 報道から推測すれば、高濃度汚染水は、合計で10万トン余と思われ、今後も冷却のために放水が続けられるようになると、高濃度汚染水は増える一方である。すでに述べた人体の被曝対策や土壌の放射能汚染対策は、チェルノブイリの風下で被災したベラルーシの汚染地帯で行なった裏付けがあり、現在の被災地に、そのまま応用することは可能である。


 この結果から判断すると、EMは放射性物質のエネルギーを触媒的に消去、または生物的元素転換を行なっているといえるが、報道されている高濃度汚染水の放射能の濃度は、単にEMを投入するだけのレベルでは対応できるものでなく、全く別の手段が必要である。


1.高濃度汚染水でEMを培養する方法


 糖分を1%、米ヌカ0.2%を基質(エサ)とし、EM1号とEM3号(光合成細菌のみ)を半々ずつ混和したものを0.1%添加する。すでに述べたようにEMの中の光合成細菌は放射性物質と集約的に結合する性質がある。同時に、EMの非イオン化作用と相まって、小さなフロックを形成しながら、底部へ沈殿するようになる。その結果、予測されることは、表層水の放射能は、かなり、低レベルとなる可能性がある。もしも、この方法で外部(海)へ放流できるレベルまで下れば、冷却水への再利用や、その水を海へ放流し、海の浄化源とすることも可能である。


 500L〜1000Lのタンクで実験すれば、7〜10日では結果がわかることである。当然の事ながら、原発関係者に微生物に詳しい人は皆無なので、私が直接、現場に入り、その対策に責任を持つということが前提である。EMは放射能対策に確実に効果があるといえるが、要は、その効果が出るような扱い方である。


2.EMによる生物ろ過法の応用


 EMを米ヌカや木炭、ゼオライトを混和し50〜100cm、場合によったら200cm厚の生物ろ過膜システムを作り、高濃度汚染水を連続的にろ過する方法である。この場合、10cm程度の厚さでダイオキシン類や様々な化学物質を完全に除去する力がある。放射性物質といえども、50cmもあれば、十分にろ過することも可能と思われるが、十分でない場合は、層の厚さを増すか、多重ろ過をくり返す方法で十分に対応が可能である。


 また、EMの生物ろ過膜に、定期的にEMや光合成細菌を添加すれば、ろ過膜を更新する必要もなく長時間連続的な使用に耐え得るようになる。以上の2つの提案を組み合わせ、それでも不十分な場合は、EMの濃度を高める工夫に徹すれば、必ず解決できるといっても過言ではない。この情報が関係者に届くことを願い、関係者の勇気ある決断を期待したい。



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