第41回 EM技術による臭気および土壌汚染(塩害、ヘドロ、放射能)対策
→english
1 EM ボランティアによる臭気対策
東日本大震災から1ヶ月が経過した。本連載の39回には、これまで過去の大きな地震や津波、放射能被災等に活用された、EMの緊急的な活用法を「地震災害後のEMの活用」として発信した。また、第40回では、「EM技術による放射能被曝対策」として、チェルノブイリ原発事故で被災したベラルーシにおける放射性元素セシウム137の内部被曝対策に、EM・Xゴールドが極めて効果的であったという例を紹介した。
この情報は、多数のEMボランティアの方々や、福島第一原発事故で不安に陥っていた多くの人々に活用されているが、現状は、すべて自己責任による自己防衛の範囲にとどまっている。
3月11日の巨大地震発生後、私は翌12日、EMボランティア関係に連絡し、被災地へのEMの搬入や活用法についての確認を行なった。13日には「第39回・地震災害後のEMの活用」の原稿をまとめたが、DNDも大きな被害を受け、配信は18日となった。にもかかわらず、被災地で被害が少なかったEMボランティアの人々は、すでに活動を始めていたのである。
そのお陰で、青森の八戸市、岩手県のほぼ全域、宮城県も一部を除いては、ほぼ全域にEMが届けられるようになり、避難所のトイレ等の悪臭対策をはじめ、様々な衛生対策に使われるようになってきた。特に岩手県の山田町は、町長もEMに理解があり、被災者の中にEMに詳しい人がいるため、避難所のすべてで、EMが使われている。現在では、校庭に広がったヘドロの悪臭対策や、ごみの集積場の悪臭対策はもとより、地域全体の臭気対策にも使われ始めている。この情報は、宮古市にも伝わり、宮古市でも、行政とタイアップした本格的なEM活用が進行中である。
同じ例は、気仙沼市でも行われており、気仙沼市はもとより、大船渡市でも、腐敗し始めた水産物の埋却処分の悪臭対策に、宮崎(口蹄疫対策の際に家畜の埋却処分にEMが活用)でのノウハウがいかんなく活用されている。具体的な使用法は、「第39回」で述べた通りである。
福島県は、福島第一原子力発電所の事故で岩手、宮城の両県とは様相が異なり、行政も避難対策に追われているが、「エコ郡山」を中心に、多数のEMボランティアが協力し、落ち着いた所から、徐々にEMの活用が進められている。現在のところ、EMの提供は、EM研究機構とEM研究所が無料で行なっており、月に100トン以上の、供給能力をもっている。その他に、岩手県の花巻市にある岩手コンポストは200トン、宮城県の栗原市のSPCジャパンの平野氏も、タンク車で10〜20トンのEM活性液を配布する体制を整え、すでにフル回転に入っている。
第39回の号でも述べたように、EM関連の団体は、多数にのぼるが、EM研究機構(TEL:098-935-0202 FAX:098-935-0205)と地球環境・共生ネットワーク(U-ネット)(TEL:03-5427-2348 FAX:03-5427-5890)に連絡してもらえば、各々の地域での、EMの入手法や活動についての情報が得られるようになっており、EMボランティアへの参加の対応も行なっている。その他に、東北EM普及協会、(財)自然農法国際研究開発センター(TEL:0557-85-2001 FAX:0557-85-3156)でも各組織のメンバーによる積極的なEM支援活動を展開中である。
これまでの経験では、単に、ヘドロ等を除去し、きれいに洗い流し、消毒をしても、しみ込んだ臭気は取れず、消毒薬と混じった異様な臭気は、簡単に消えず、過敏症の人々には、新しい災難となる。このような場合も、EM1号または、その活性液を50〜100倍にして全体にくまなく散布すると、臭気問題の解決は容易である。片付けの済んだ工場や家庭や学校などに、EMをていねいに数回散布すると臭気のみならず、様々な微生物や化学物質汚染を完全に除去し、環境を蘇生化するばかりでなく、器材や資材や建築物の劣化にも著しい効果がある。この件についても、本シリーズですでに述べた通りである。
2 塩害やヘドロで汚染された土壌の浄化
ごみや障害物を除去しても、塩分やヘドロで覆われた、水田や農地の汚染除去や復元は、従来の技術では、かなり長期の時間が必要である。塩分が長期に滞留した水田は、場合によったら、土の入れ替えを要するとの意見もあるが、EMを活用すると、ヘドロも地力化し、塩分も肥料的効果として活用することが可能である。
地盤が沈下し、長期に海水に没している地域には、客土、排水、その他の手当てが必要であるが、給排水が可能な場所は、4〜5月の間に、EMで処理すれば、5月下旬〜6月上旬の田植えにも十分に間に合うものである。すでに、かなりの農家から問い合わせがあるが、その代表的な事例を紹介した。
仙台市宮城野区の農家からの質問である。「津波の影響を受け、水田に海水や油や汚泥が混合された水が溜まってしまいました。排水はもちろんですが、本年度作付をしたいので、EMで汚水の入った後の水田の処理について、具体的なご指導をいただきたくお願いします。」それに対する私の返事は「DND第39回地震災害後のEMの活用」の、2.石油等を含む化学物質汚染対策と、4.家屋や土地の浄化を参考にして下さい。具体的には、10a当りEM活性液を100LにEM3号を5L混和し、同時に米ぬかを100〜200kgを散布して代かきをします。1〜2週間後に、油の臭いが残っておれば、更に、EM活性液を50〜100L追加します。(その必要はないと思いますが) 田植後に、油の臭いが発生した場合は、再度、EM活性液を50〜100L流し込みます。(パキスタンの例からすると追加処理は不要ですが、EMは多く使えば使うほど、収量も品質も良くなります。)
この農家は、EMの活性液を大量に作る方法を心得ており、EMの米作りを長年続けているため、このような返事で十分な対策が可能である。問題は、EMを知らない農家にこれからEM技術を教え、EMを使いこなせるようにするまでには、時間的制約もあり、今期の田植えは諦めるしかないという状況である。
今回の津波による水田の被災面積は、24,000ha、個々人でEMを使っても、しれたものである。残された方法は、唯、一つである。ダムや河川の取水口に、5000分の1〜10000分の1になるようにEM活性液を投入し続け、水田の全域にEMが広がるようにすることである。5〜6年前、タイ国で大洪水があり、Maemaan Lake(メーマーン)ダムという3億トンのダムがヘドロと流木で埋めつくされ、油や化学物質も大量に流れ込み、放流口も完全に塞がってしまい、悪臭が充満したことがある。
このまま放置すると、ダムが決壊する危険があり、様々な手法を試みたがいずれもうまくいかず、とうとう、社会開発省の住宅公社が中心となり、EMの大量投与を行なったのである。投入されたEMは、活性液で200トン内外、主に放流口のヘドロの部分に注入したのである。その結果、数日で悪臭は消失し、1週間で放流口のヘドロが軟化し分解し始め、徐々に放流できるようになり、2週間程度で正常に戻ったのである。その水は、下流の被災した水田にも使用されたが、その年の稲作の成果は、かつて、経験したことがないくらいの出来栄えであったとのことである。
このようなことも含め、タイ国の社会開発省とEM研究機構は、EMに関する技術指導協定を交わしており、タイ国におけるEMによる災害対策や、一般へのEM普及に積極的な協力を行なっている。日本の国内には、例がないと言われるとそれまでであるが、この連載の第15回と第16回で「EMで甦った日本橋川」が参考となる。
EM活性液を週に10トン、日本橋川に投入した結果、ヘドロだらけで悪臭を発していた日本橋川が半年でハゼがつれるくらいにきれいになり、2年も続けた結果、東京湾はもとより、東京港の南に位置する、古川、目黒川、立会川、呑川も潮の上る所は、すべてきれいになり、魚貝類も大幅に増えたのである。モノレール沿線はもとより、お台場も見違えるようにきれいになっており、全域でヘドロが激減し、砂地が現れてきた。信じられない話かもしれないが、調べてみれば素人にもわかることである。EM投入の次年度から、日本橋川には、アユが群れるようになり、昨年の12月には、とうとうサケまで溯上してきたのである。
この事業は、すべて、EMでボランティアが行なってきたものであり、本連載の「第30回EM技術による自前でできる危機管理」を参考にすると24,000haに供給する水にEMを5000〜10000分の1くらい投入することは、極めて簡単なことである。すでに述べたように、EM研究機構とEM研究所の種菌供給能力は月に100〜150トン、その種菌を10,000倍にすることも可能であり、本気でやれば100万〜150万トンのEM活性液を投入することが出来るようになる。
この活性液を、1000倍に薄めても15億トン、5000倍にすると75億トンとなる。1万倍にすると150億トン、この量であれば、24,000haの水田の必要水量はもとより、被災した三県の全水田への施用が可能である。EMで浄化された水田の水は、病害虫を激減させ、収量品質も高くなるばかりでなく、その排水は、河川や沼や海を浄化し、本連載、第18回〜20回で述べたように豊かな海を取り戻すことが可能となる。夢物語のように思われるかも知れないが、これがEMの実力であり、現実である。希望があれば、宮崎で行なった口蹄疫対策と同様に、EM研究機構を中心にボランティアのプロジェクトチームを立ち上げる所存であり、関係者の勇気ある決断を期待するものである。
3 放射能汚染土壌の浄化
今回の福島原発事故で、半減期が30年の放射性元素セシウム137が、かなり広い地域を汚染し、ミニチェルノブイリの状況となってきた。常識的な対策は、「汚染された表土を集めて放射能が消えるまで待つという以外に方法はない」「内部被曝が起こらないように食用の作物は作らない」程度のものである。これを実行に移すことは、技術的にも、予算面でも、気が遠くなるような話である。EMによる放射能汚染対策については、ベラルーシでの結果を踏まえ、本連載の第39回と「第40回のEM技術による放射能被爆対策」で述べた通りである。これらの成果は、専門家から見れば、信じられない話であるが、放射能エネルギーに耐性を持つ微生物は、数種類も見つかっており、日本原子力研究開発機構のホームページでもラジオデュランスが紹介された事もある。本連載の、第25回EM技術の立脚点でも述べたように、EMは放射能のような有害な波動を触媒的に無害化するか、使えるエネルギーに転換する力を持っている。結論的なことを言えば、放射能がなくなるまで、EMをくり返し散布するだけである。しかも、ベラルーシの立ち入り制限地区でも10a当り50Lを年に5〜6回も散布すればセシウム137の大半は1年で消失するのである。そんな馬鹿なと言われても、計ってみれば、簡単にわかることである。放射能汚染対策についても、多くの問い合わせが寄せられているが、事故当初に茨城県からの農家の質問に対する私の答は以下の通りです。
「福島第一原発から100km圏内にあり、もしも農業や畜産に被害が発生した場合、EMで放射能を取り除くことが可能か否か」答、「EM栽培をしている場合は、まったく問題ありません」その理由は、「チェルノブイリ原発事故の風下になったベラルーシの立ち入り禁止地区で栽培試験を行った結果、放射性元素のセシウムやストロンチウムを吸収していなかった、という事実によるものです。特にセシウムは、カリウム(カリ肥料)と同じように吸収されやすい元素ですが、植物体からは、全く検出されませんでした。畜産も、日常的にEMを使っておれば、特に問題が生じることはありません。この件は、ベラルーシの国立放射線生物学研究所のマウスの実験でも明らかとなっています」すでに「第39回」で述べたように、EMによる放射能の著しい減少効果は、ベラルーシやウクライナの国立の研究所で確認されている。また、光合成細菌は、エネルギーレベルの著しく高い放射線元素と特異的に結びつく力をもっていることも、明らかとなっている。このような背景を考えると、EMの中の光合成細菌が、放射性元素を先取りするため、作物には、吸収されないという解釈も成り立ち、また、光合成細菌が放射性元素のエネルギーを転換的に活用した結果、放射能が消えたとの推測も、あながち荒唐無稽の話ではない。
放射性元素で汚染された土壌に、米ヌカ等の有機物(EMボカシが望ましい)とEMを散布し、必要であればEMセラミックスパウダーを併用した後、定期的に測定すれば、数週間では何らかの手がかりが得られるはずである。EM研究機構は技術ノウハウをすべて、ボランティアで提供する心算で準備を進めており、関係者の勇気ある決断を期待したい。
記事一覧へ
|