第26回 EM技術による食品の保蔵と品質の向上



 前回にEM技術の立脚点は、従来のエントロピーの概念とは逆の対極にあるシントロピー(蘇生)の系に位置し、この法則は、地球の蘇生的進化に合致したもので、地球の進化を支えた微生物の応用技術であることを紹介した。


 エントロピーの法則に支配されている従来の科学からすれば、「信じ難く、許せない暴挙であり、オカルトやマジカル的なことを、いかにも科学的、らしき説明をして、世の中を混乱させているエセ科学である。」として、非常識な科学者から、一方的に激しいバッシングに合っている。


 常識的なことを言えば、ある現象や発見が万人が認めるような法則性の成立が科学にいたるプロセスである。そのためには、再現性の検証は必要不可欠な条件である。この場合、数学的、物理化学的に説明のつく非生命の世界は、デジタルの分野に属するため、必ず答えがあり、検証できるようになっている。


 それに対し、生命の世界は、増殖や環境条件によって過去は消滅し、外部の条件によって、全く逆のことが次々と起ってくる。ゲノム(DNA、RNA)サイエンスの立場からは、その因果関係を明らかにすることも可能であるが、その結果を応用することは、極めて限られたものである。個のレベルでもこのような超複雑系であり、それが集団となり、また、種が異なり、生態系のレベルになると、ある共同体の意志が働いているような現象も現れてくる。


 その中で起こっていることは、相互作用を高度にし、より複雑化したアナログの世界である。


 科学の検証で最も重要なことは再現性である。再現性がなく、特定の人にしか出来ないとか、特定の人にしか理解できないことは、科学以前の話である。理論はどうであれ、再現性があれば、万人の理解することとなり、そのプロセスの中で理論が完成すると最終的には科学(万人が認める法則)となる。


 これまで紹介したように、EM技術は再現性があり、小学校の子供や高齢者や障害者が行っても、最終的には類似の成果を得ることができ、極めて優れた再現性を持っている。この作用は、生命体、非生命体に限らず、すべての分野で応用できるため、その法則性の説明のために、確認されたのが、抗酸化作用と非イオン化作用と触媒的にエネルギーを賦与する三次元の波動の存在である。


 EMを非難する科学者は、科学のルールである再現性の検証を行った者は皆無である。その上、当方が、いつでも公開討論に応じるといっても、こんなことは科学の常識ではあり得ないとして、否定するエセ科学者がいたるところに溢れており、日本の科学技術の将来にブレーキになりかねない状況がある。EM技術が一般に広く理解される理論となるには、更に時間が必要であるが、今回は食品の分野における応用事例を紹介したい。


 食料の自給率を高めることは、我が国の重要な課題である。一般的には生産を増やせば問題が解決されるように考えがちであるが、収穫された農産物の30%は消費にまわらず棄損されている実態が理解されてない。


 先ず収穫された農産物の20〜30%は規格外で廃棄される。更に流通や保蔵の過程で20〜30%が劣化し食料とならず、家畜のエサまたは食品加工原料となる。残りの40〜60%の中の25〜30%がレストラン、スーパー、コンビニ等や家庭の冷蔵庫で期限切れとなり、生ごみとなり廃棄されている。その対策のために、食品リサイクル法や種々のバイオマス推進事業が行われているが、家庭から出る生ごみのリサイクルを含め、この問題に根本からメスを入れない限り、食の問題の解決は困難である。


 無農薬の農産物であれば、規格外のものはすべて、加工用または飼料にすることが容易であるが、従来の技術では、2級の材料からは2級以下の製品しか生まれないのが常識である。この加工のプロセスで、純度の高いプロバイオティック用のEMを活用すると、機能性の高い超一級の製品に仕上げることが可能である。輸送や保蔵中に劣化する農産物は同様な方法で、高品質の加工品や飼料にすることも容易である。また、生ごみを含め、食品廃棄物のすべてを飼料化することも、コスト的に問題をかかえることなく解決が可能である。


 この程度のことであれば、何もEM技術でなくても、という声も無きにしもあらずであるが、食品廃棄物には、驚嘆する程の賞味期限切れの食品が山を成している。家庭内でも賞味期限が切れると、消費期限でもないのに、惜しげもなく続々と生ごみとなっている。食の安全感覚が過敏になり、内容的には全く変わらないのに、期日が過ぎると、まるで毒物に変わったかのような錯覚にとらわれて、大騒ぎとなる。


 売れ残った商品を回収し、賞味期限のラベルを貼り直し、再販することは、食品安全法が出来るまで当り前に行なわれ、被害者が発生する事例は、極めて、まれな状況であった。また、製造物責任法によって、商品に責任を持てる期間を明記することが義務付けされていることから、出来るだけ表記を短くし、絶対に責任を追及されないような説明に徹している。名産のおみやげをもらっても、数日で、賞味期限が終ってしまい、その期日を過ぎたものを口にするのは、まるで毒を食べるような勇気が必要な人々が累々である。


 生ものは、その加工のプロセスで、EMから作られた抗酸化物質の処理により、賞味期限を2〜3倍に延ばすことが可能である。殺菌処理された密封保存の場合も、賞味または消費期限をこれまでの2〜3倍にすることも容易となる。また容器にEMの触媒波動を持たせるようにすれば、保存期間は更に長期化することができ、保蔵庫をすべてEM仕様にすれば、電気量は30%以上も節減になる。その上、物によっては、長期に保蔵するほど熟成が進み、良質な発酵食品と同じプロセスをたどることもでき、長期に寝かせたウイスキーやワインなみの扱いも可能である。


 食品の保存には、酸化防止剤のビタミンCなども活用されるようになり、一見すると一石二鳥的な添加剤もある。食品添加物は日進月歩で、中には、かなり優れたものもあるが、その殆んどが酸化すると、健康に良くないものに早変りするものばかりである。我が国の食品添加物は世界断トツで米国の3倍以上、英国の18倍以上となっており、他国で禁止になっているものがかなり、使われている。


 それに相応し、1人当りの食品添加物の摂取量は年間25kg以上となっており、世界断トツである。食品添加物の健康への影響は、一般の、急性や慢性毒性ではチェックできないものも多く、人間の一生は、テストのレベルよりもはるかに長く、自然物以外の化学物質は人体、に濃縮されやすい仕組となっている。


 アルツハイマーやパーキンソン等々の高齢者の難病の大半は、化学物質汚染も大きな原因と目されるようになってきた。農薬や化学肥料で汚染された農産物に、疑わしき食品添加物、合成洗剤や合成的に作られた医薬品の大半は、国民病となり始めた高齢者の難病の原因とする疫学的研究も出始めている。


 EM技術は、いずれの分野においても、その代替技術となり得るもので、食と健康という観点から様々な応用が試みられ、殆んどの分野で満足すべき結果が得られるようになってきた。



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