第25回 EM技術の立脚点



 これまで、環境や一次産業、すなわち、食の生産の場におけるEMの活用事例の紹介と、EM技術を活用した場合の未来像について紹介した。本シリーズの冒頭でも述べたように、EM運動の目的は自己責任と社会貢献を基軸に幸福度の高い社会作りにある。そのためには、環境はもとより、すべてのものがスパイラル的な循環によって蘇生化され、健康であるという自然の進化にかなった流れを構造化する必要がある。


 現在の科学技術の大半はエントロピーの法則に従っている。この法則の範囲内にある成果物は、時間とともにエネルギーを失い、秩序が失われ、弱体化し、バラバラになって、汚染になるという運命をたどることになる。大気の20%以上も酸素で占められている地球環境では必然的なものといえるが、現代技術の大半が酸化、すなわち、劣化との戦いであり、機能性の向上の基本的条件ともなっている。


EMの本質的な効果は抗酸化作用と非イオン化作用と触媒的にエネルギーを賦与する三次元の波動の作用によるものである。この作用は生命体、非生命体、有機、無機、有害化学物質や放射性物質はもとより、すべての物質に例外なく現れ、時間の経過とともに蘇生的な現象が明確に現れてくる。


 エントロピーの法則に従った科学教の熱烈なる信者は、この現象をマジカルとかオカルトというレッテルを貼って、激しく攻撃する習性がある。すなわち、科学の常識に反する非科学的という理由である。常識的に考えると、地球の進化はエントロピーとは全く逆の蘇生的なものであり、私は、その現象をシントロピー(蘇生)と称し、エントロピーの対極にある概念として位置付けている。


 かつての地球は、高温で放射能が多量にあり、CO2、メタン、硫化水素、アンモニアだらけの高温の星であったとされている。これらの有害物質が経時的に変化し、地球の水や大気の構成物質と太陽のエネルギーを固定する有機物質の基材になっている。この状態は、言ってみればエントロピーの極限状態であり、今の人間の側からすれば、汚染の極みである。


 このような地球を、現在のように人間が住めるようにクリーンにし、蘇生化したのは光合成細菌のような耐熱性の高い嫌気性の微生物群の働きと植物への進化によるものである。このような微生物群は、かつては化学合成菌として扱われたが、最近では、極限な条件に生存するものは、極限微生物と称されるようになっている。すなわち、最適増殖温度が100℃以上の微生物や、放射能のエネルギーを活用する微生物や数万気圧に耐える微生物等が次々と確認され、今では溶岩の中にも微生物が存在するという報告もある。


 EMの中心的役割を果たしている嫌気性の光合成細菌を、粘土に十分になじませた状態にし、1200℃でセラミックス化しても、その情報は保持される。したがって、そのセラミックスから光合成細菌を再び取り出すことが可能である。学会で発表しても何らかの間違いではないかと一笑に伏され、もし間違いであるなら、実験方法の間違いを指摘してくれと反論すると、実験方法に間違いはないが、にわかに信じることは出来ないで終ったのである。


 追試すれば、すぐわかることであるが、こんなことは絶対にあり得ないとして、科学の常識である追試もせずに、オカルト、マジカル、エセ科学のレッテルを貼りっぱなしである。海外では、かなりの数の研究者が追試実験を行ない、1200℃で焼成されたEMセラミックスから光合成細菌を復活させており、その結果「思想が変わった」とか、「DrHigaの言うことはすべて信じる」という学者も増えつつあるが依然として少数派である。


 嫌気的で耐熱性の光合成細菌に限らず、合成機能を有する極限微生物は、CO2やメタン、アンモニア、硫化水素が大好きである。その排泄物が酸素であり、水であり、窒素であり、イオウであり、炭素である。また、それらの代謝産物は様々な形で地下資源として固定化され、その結果、地球の浄化は蘇生的に進行し、高等生物が住める現在のような姿にまで進化したと考えない限り、エントロピーの極限にあった地球が今のように秩序を保持するに至ったプロセスは説明不可能である。


 科学教の狂信者に、あいそを尽かした私は、独自の活動を展開することになったが、今ではEMの万能性について、かなりの賛同者が得られ、様々な分野に幅広く活用されるようになってきた。これまで主に環境や一次産業の分野の事例について紹介してきたが、EM技術の更なる社会化には、現在の科学技術の立脚点の確認が必要である。


 エントロピーの法則に従う現在の科学技術は、基本的には資源消費型の汚染放出技術であり、加工や工作のレベルのものが大半を占めており、本当の意味で創造的なものは例外的存在である。その見分け方は、極めて簡単で、活用の結果、汚染を放出するものは、すべて、加工や工作のレベルのものでクリエイティブでないという判断である。


 地球の環境問題や人間の健康問題も、すべて汚染の程度で決まってくることは、改めて述べるまでもない。太陽電池を基点に電気自動車または、水素エンジン等のように汚染を排出しない技術は、創造的な技術と言えるものであるが、健康という観点から見れば、有害な電磁波を大量に放出するという、構造的な泣き所をかかえている。


 電磁波や静電気は、電気や機械の動力を活用した結果のゴミとして理解することが可能であり、波動汚染として様々な問題を引き起こしている。このような波動は過敏症の人に限らず、免疫力の低下に著しく作用することも明らかとなり、新しいタイプの汚染となり始めている。


 太陽をエネルギー源とする技術革新は工学分野はもとより、CO2を資源化するバイオマスや、微生物による油の生産など新局面を迎えつつあり、この成果は、これまでの資源や環境問題を解決する力があるといえるが、まだ緒についたばかりである。


 原子力発電もCO2を出さないという観点からすれば、それなりの評価が可能であるが、排出される汚染を安全な方法でエネルギー化できるようになるまでは、不完全技術の域を脱することは不可能である。今や地球は、寒冷期に向かっているという説が有力であり、CO2温暖化は科学的スキャンダルになり始めている。環境問題イコールCO2による温暖仮説が嘘となった場合の科学教の狂信者はどのような反応をするか楽しみである。


 要するに、現在の科学技術は、地球の進化過程で固定化された資源を使い、汚染を放出し、地球の進化の逆方向をたどっているだけである。環境汚染問題はそのために起こったものであり、根本的な解決は、発生した汚染を地球の進化と同じ方向性で処理する必要がある。


 すなわち、EMの主役である光合成細菌のような、超能力的な力を有する多様な極限微生物を活用し、汚染物質にエネルギーを賦与し、正常化し、再資源化したり、汚染エネルギーを有用なエネルギーに転換する技術の確立である。


 改めて述べるまでもなく、EM技術は地球の進化の原点となった抗酸化、非イオン、三次元の触媒的なエネルギー賦与能力を持った微生物の応用技術である。この技術は劣化したあらゆる材料も蘇生させる力をもっている。すなわち、エントロピーの法則(滅亡の法則)とは逆のシントロピー(蘇生の法則)への大転換である。次回からは、その応用事例を紹介したい。



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