第201回 社会の公器としての EM の活用を推進する韓国



タイ国のように EM が日常化した国は、洪水や自然災害に対し、軍や住宅公社はもとより、各々の自治体で即対応が可能となっている。

前回紹介したイタリアのシステムは、自発的な民の力による EM の望ましい社会化のモデルでもあり、これから本格的に EM を活用する国々にとっての手本である。

今回紹介する韓国は、日本に最も近く、日本の情報を日常的に活用している国である。当初は、日本の土壌肥料学会で否定された EM をなぜ韓国に持ち込むのかという非難めいた質問を多く受けることもあった。要は、「現場で使ってみれば分かる、その結果で判断すべき」の回答を繰り返したものである。私の訪韓を積極的に受け入れ、EMによる環境問題に取り組み、全土に広げたのは、釜山市赤十字社である(当時の会長 裵命昌氏;本誌第131回参照2018年6月掲載)。

現場での EM の広がりと同時に、韓国環境学会や多くの大学が EM の検証を行い、効果ありという結論に達し、マスコミも好意的に報道するようになった。同時に、私の指導で、全州大学の大学院に EM の研究科コースが出来、その成果に基づいて各地域の農業技術センターも積極的にEMの活用を広め、多様な応用が展開されるようになってきた。

今では、韓国においてEMを使っていない市町村は皆無で、EMをより多く活用することが環境や農業や健康問題の根本的解決策であるという認識に至っている。その結果を更に発展させ、EMを社会の公器として活用し始めたのである。

全州市のエバーミラクル社は、韓国内で正規のEMを取り扱い、普及に貢献している会社である。

<エバーミラクル社のウェブサイト>


韓国ではすでにEMの活用が市民に定着化しており、次に紹介する事例も韓国のEM活用の本気度が十分理解できるものである。



-------------以下、韓国語HPの訳文
密陽市、農業用有用微生物(EM) 供給量拡大
EM、抗酸化作用・抗酸化物質生成・腐敗抑制作用
密陽市は土壌環境の保全と化学肥料の使用を少なくするために施設園芸、果樹、畜産農家など3,800農家に約1,560トンの農業用有用微生物 (EM)を拡大補給する。
密陽市は抗生剤使用の減少、土壌環境改善・畜舎環境改善、農作物の生育促進などを目的に毎年乳酸菌、酵母菌、光合成菌などの農業用有用微生物を培養し、供給している。
今年も去年の1月から今月まで施設園芸農家1,612戸に8回にかけて上半期に供給した。
また、来月から7月まで果樹農家は果樹園の面積によって40-100Lを6回にかけて供給する予定である。
微生物供給を求めている農家は毎年増加しており農業用有用微生物の供給量を拡大することにした。
今年、市費2億2千万ウォン(市費100%)を投資し、農業用有用微生物培養センターを増築し、培養機2機、貯蔵曹1機などを追加設置することにした。
EMまたは有用微生物群(Effective Microorganisms)は日本の琉球大学農学部教授である比嘉照夫博士が1983年に土壌改良、自然・オーガニック農業に利用する目的で開発した微生物の名称である。
EMはEffective Micro-organismsの頭文字を取った略語で有用な微生物達という意味だ。

一般的に酵母、乳酸菌、麹菌、光合成細菌、放線菌など人類が昔から食品の発酵に使ってきた微生物らが含まれている。
このような微生物らは抗酸化作用、または抗酸化物質を生成し、これによって互いに共生し、腐敗を抑制する。
その効果を簡単に三つに要約すると(1)悪臭をなくす。(良い空気)(2)水をきれいにする。(良い水)(3)鉄、食品などの酸化を防止する。(良い環境と食)最近、農民たちが土壌の中の未発行の有機物の発酵促進剤の代用として多く使用している。

市の関係者は「農業用有用微生物は都市消費者が求める環境にやさしい農産物の需要に積極的に対応できる農産物の生産に寄与し健康で安全な食の生産に寄与し、農業の付加価値を高めて農家の所得増大に寄与する有用微生物の供給をさらに増やしていく。」と明かした。
-------------以上、韓国語HP 訳文





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