タイ国のように EM が日常化した国は、洪水や自然災害に対し、軍や住宅公社はもとより、各々の自治体で即対応が可能となっている。
前回紹介したイタリアのシステムは、自発的な民の力による EM の望ましい社会化のモデルでもあり、これから本格的に EM を活用する国々にとっての手本である。
今回紹介する韓国は、日本に最も近く、日本の情報を日常的に活用している国である。当初は、日本の土壌肥料学会で否定された EM をなぜ韓国に持ち込むのかという非難めいた質問を多く受けることもあった。要は、「現場で使ってみれば分かる、その結果で判断すべき」の回答を繰り返したものである。私の訪韓を積極的に受け入れ、EMによる環境問題に取り組み、全土に広げたのは、釜山市赤十字社である(当時の会長 裵命昌氏;本誌第131回参照2018年6月掲載)。
現場での EM の広がりと同時に、韓国環境学会や多くの大学が EM の検証を行い、効果ありという結論に達し、マスコミも好意的に報道するようになった。同時に、私の指導で、全州大学の大学院に EM の研究科コースが出来、その成果に基づいて各地域の農業技術センターも積極的にEMの活用を広め、多様な応用が展開されるようになってきた。