昨年行われた(2022年11月19日)、第1回正木一郎記念ユニバーサルビレッジ・EM国際会議について、五題目「水産加工廃棄物を活用した持続可能な“循環型農業”」についてです。 発表者は、地球環境共生ネットワーク理事の平野勝洋さんです。 平野さんはUネットの活動はもとより、ライオンズクラブやSPC GLOBALにおいてもEMを導入し、それぞれのグループにおいて、社会貢献、地球環境保全等の様々な組織活動を通して、地元栗原市に留まらず、宮城県全域にEMユニバーサルビレッジを展開する源泉となっています。2010年、地元の伊豆沼の浄化活動から始まり、翌年の大震災で自らも被災しながら被災地にEM活性液を届けるため、平野さん自身が購入された5トンのタンクローリーで東日本の被災地を走り回りました。EMが必要だと依頼があれば、すべて引き受け、宮城県や福島県のどこへでも駆けつけました。このような平野さんの活動は、利他の実践であり、地域を良くしたい、EMに関わる全ての人たちをハッピーにしたいという使命感によるものであり、高い志のもとにEMユニバーサルビレッジを牽引しています。 水産加工廃棄物を活用した持続可能な「循環型農業の」モデル作り/ 平野 勝洋 こんにちは、平野勝洋と申します。 水産加工場廃棄物を活用した持続可能な循環型地域農業とした、ユニバーサルビレッジモデルづくりを発表いたします。 発表内容は、1 メンバー紹介・理念・モデル概要、2. EM堆肥造り3. EM農法の実践、4. 地域へのEM普及であります。 1番目のメンバー紹介・理念・モデル概要です。毎年、伊豆沼で行っている海の日の時の写真です。SPCグローバル会員も一緒に参加しています。 理念は「ユニバーサルビレッジ くりはら」、 地球を守る地域にしていきます。栗原市を、健康生活ができる幸福度の高い地域にすることです。それには、水産加工場の汚泥を、栗原にある畜舎、豚舎、鶏舎の廃棄物を、今まではいずれも産業廃棄物として取り扱っておりましたが、それを栗原の地域において、EMで発酵堆肥を作ることです。 それには、EMボカシ、EM活性液を混ぜて発酵させることです。そのようにして作った堆肥は、田んぼ、畑、果樹園に利用します。それによって、有機栽培ができて農業には農薬、化学肥料を使わずに、環境汚染をすることなく栗原を守ることができます。 このモデルの目的と必要性です。 目的は、水産加工場から排出される廃棄物を再生可能資源として活用し、堆肥へリサイクルし、ゴミ排出量を削減することです。 必要性としては、現在はリサイクルされず廃棄処分されているため、高額な処分費用が排出先の課題であり、焼却処分のため、環境負荷が高くなっています。 その方法は、EMを活用し、高品質な堆肥を作り、安全・快適・ローコスト・ハイクオリティーで、持続可能な循環型地域農業をやることです。その目標の1つは、水産加工場から排出されるゴミを削減し、堆肥として利用することです。年間8立米を目標にしております。 2番目は、最新EM技術を習得するために勉強会を開催します。年2回予定しています。 3番目に、市民農園を開園し利用者を募り循環型地域農業を普及します。10組、予定しております。 それによって得られる効果と成果は、SDGsで掲げている、11番目の「住み続けられるまちづくり」の目標が達成されます。12番目の「つくる責任・つかう責任」の目標を達成することができます。15番目の「陸の豊かさを守ろう」の目標を達成することができます。 2番目のEM堆肥作りです。 目標を確実に実施、及び達成するために、表のような計画表(ロードマップ)を作成してメンバーで共有しております。水産加工施設から排出される廃棄物をEM堆肥化するために、2021年4月から準備し、年度中に製造を開始しました。2022年から月産4~6立米を目標に、安定して製造できるように設備などを整え始めております。 製造に先立ち、品質基準と製造工程を決定するための配合試験と品質分析を実施しました。 1つは、それぞれ資材を配合分量に取り分け、しっかりと攪拌することです。2つ目は、EM活性液と糖蜜を1:1の割合で混ぜ、散布しながら更に攪拌します。水分量の目安はボカシ作りと同じで、握って固まる程度です。3つ目に1週間に1回、切り返しを行ないながら3~4週間、好気発酵させます。 全窒素量が多く、分解されやすい有機物が多い。非常に良いボカシに近い堆肥という結果が得られました。 3番目、EM農法の実践です。 EM堆肥製造と同様に、計画表(ロードマップ)を作成して、毎月メンバーと予定を確認しながら実施しております。稲作(田んぼ)を中心に製造したEM堆肥・EM活性液・EMボカシ・EMグラビトロン炭を活用し、比嘉先生からご指導いただいた塩の活用法(塩入り活性液)の散布を実践しております。 これは実際に行っている時の写真です。 それぞれの堆肥の量や方法で、EM農法を楽しみながら実施しております。左端は私で田んぼの水口から活性液を流入している写真です。真ん中は私のメンバー、三浦さんがここに私たちが作った堆肥を散布してEMボカシを入れ、それにEM活性液、塩を混ぜながらEMグラビトロン炭を入れた畑に整地しているところです。 この畑にこれから、作物を栽培します。右端は比嘉号で、これにEM1トンタンクを2個積んで運んでおります。 このようにして私たちのメンバーが田んぼに入れたEMを、それぞれの結果を持ち寄り、意見交換した時の一覧表をまとめております。それによりますと一反あたり10俵、この辺では7俵~8俵ですから、これまでよりも2割多くなったと、そういうお話をするメンバーもおりました。また害虫発生がありません。これまでもいろいろな害虫対策などをしてきましたけれども、この農法で害虫が発生しない、そんなことを喜びながら発表していただいております。これを見た農家の方が、異口同音に、半ば農家の方に広めようとしていい結果を話し合って終わっております。 4番目の地域への普及であります。 地域へのEMを普及するため、まずメンバー自身のEMの知識を高めるために、外部講師を招聘し、勉強会を実施し、定期的な交流会や市民農園などを開催して、情報交換を実施しています。 EM研究機構や岩手コンポスト株式会社様などから講師を派遣して頂き、SDGsやユニバーサルビレッジ、EMと有機農業、EM整流結界など幅広いテーマで毎回参加者20名を超える大盛況な講座を開いております。この写真は、講師の方が来た時の会場でありますが、毎月メンバーで定期的に会議をし、その都度事例発表や意見効果、またEMについてお互いに勉強している場を設けております。 この写真の左端は、EMタンクでEMが入っております。 これは私達栗原に20カ所ぐらい設けて、方々に設置しております。これは市民の方、色んな方が、メンバーでない方もこのタンクから随時汲んで行って、自分のところで使っております。EMの使い方もいろんな形でお知らせしておりますから、多くの市民の方が使っております 真ん中はEM研究機構からいただいた旗でございますが、今は田んぼの所に掲げてありますが、これを栗原市全体に、この旗で埋め尽くしたいつもりで活動しております。 右端は比嘉号、Uネットのプロジェクトで支援していただいた2トントラックです。後ろには、EMは地球を救う、横にはユニバーサルビレッジくりはら、片方には比嘉照夫プロジェクトと書いたトラックを市内、またはこれでEMを運んだりして普及に努めております。 今後の計画と課題ですが、堆肥製造については安心安全な堆肥を製造し、関係者や地域の配布を継続し、比嘉先生からご指導いただいた岩手コンポスト様とも連携し、課題を解決して、ローコスト・ハイクオリティな堆肥を作ります。EM堆肥作りのユニバーサルビレッジモデルを構築します。 2番目のEM農法および市民農園については、製造した堆肥やEM活性液、EMグラビトロン炭など、EMを徹底活用した田んぼ(お米作り)や園芸を継続し、しっかり現場で実践します。持続可能な「くりはらユニバーサルビレッジ」の仕組みを確立します。EM勉強会についてはEMの初心者から上級者まで幅広くEMに触れ、知識がつけられるような会を定期的に開催してまいります。それには最新のEM整流技術や比嘉先生が提唱される、EM重力子(グラビトロン)農法について、外部講師を招いて学び実践します。 One More Thing、もうちょっとだけ聞いていただきます。 今まで水産加工場に行って、水産加工場の困っていること、水産加工場の浄化槽から出る廃棄物がトン袋で1か月、3つぐらい出てました。 それを何とかしてくれないかと言われた時に、EMを浄化槽に入れたらいいんじゃないかと提案したところ、現場責任者がすぐに実行しました。そうしましたら、トン袋3つが土嚢袋3つに減少しました。現場の方から、大変喜ばれております。そうすることによって、この汚泥の廃棄量が少なくなって、これが廃棄物として処理されることなく、CO2を出さずに、今廃棄物としてじゃなくて、有機物に変える方法を取っております。またその過程においてこの浄化槽から流れる場所なんですけども、最初は汚泥で固まっていたのがEMを入れることによってこれが全部解消され、この水も濁ってた水が下の図のようにだんだんと透明になり、これが臭いもなくなったと喜んでいただいております。 このEMを入れた浄化槽の水は、そのまま堀をつたわって川に流れて南三陸の志津川湾に流れ注ぐことになります。これまでは水産加工場の浄化槽で、オゾンや塩素を使って消毒しておりましたが、その水が志津川湾に流れることによって、プランクトンのエサがなくなったりしますので、生態系が途絶えることになりますが、これからはEMが混じった微生物が志津川湾に入っていって生態系が正常に戻って、そして、地域のこれまでの資源が回復すると期待されております。 これにより、EMをこの水産加工場、そして地域の方に理解されれば、今後、水産加工場のある気仙沼、女川、石巻、仙台等、三陸沿岸が全てEMで改良されることによると、生態系も自然に還り、現在、水産資源が非常に枯渇しておりますが、早く元に戻るように、私たちは普及してまた活動して参りたいと思います。 ご清聴ありがとうございました
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