第166回 持続可能な開発目標SDGsとEM活動(5)



炭酸ガスはエネルギー循環に不可欠な重要な資源である

SDGsの究極は、本誌のシリーズのタイトルである、食と健康と地球環境を善循環的に持続可能な仕組みにしない限り、本質的解決にならないのである。SDGsの歴史的な必然性とその背景に対し敬意を表するが、物質の世界は、すべてエネルギーの集約と消費の流れであり、その根幹は量子的仕組みと繋がっている。

すなわち、地球に存在するすべてのものは、太陽を中心とする宇宙からのエネルギーを物質化して存在しているが、物質化する以前は、素粒子等々の領域で無限なる存在である。この分野の研究は、量子力学と称されており、物性を中心とした従来の物理学の延長では理解が不可能である。

量子の世界でエネルギーが集約された結果が物質であり、これまでの物理学は、その物質の持つエネルギーの解明が主流である。その究極が、E=mc2、すなわち、アインシュタインの物質のエネルギーの総量は、質量×光速の二乗となる。

この理論を応用した原子力発電は、ウランの核分裂を起爆として物質化した膨大なエネルギーを活用しているが、同時に、極めて制御が困難な放射性有害物質を多量に産出するのである。

SDGsの観点から考えると、これまでの原子力の技術は、得られたエネルギーよりもはるかに大きな放射性の汚染を生み出している構造となっており、CO2対策としての技術の選択肢に大きな誤りがある。それを正すには量子の世界からエネルギーを集約するプロセスを解明する必要があり、このカギを握っているのが炭素であり、炭酸ガスは、その循環のプロセスを支えており、不活性的で無毒である。

SDGsの究極とされる食料の問題も、すべて炭酸ガスを起点とする光合成から始まるが、現在の地球の植物による炭酸ガス固定のレベルは、太陽エネルギーの0.1%以下であり、CO2をエネルギー資源として活用する技術は極めて貧弱である。

この水準を高めるには、微生物の整流機能の活用であり、5~10倍にすることは容易であり、CO2対策としての人工光合成は誤った選択肢である。


テラ・プレタ・ノバを超越したEM技術

EMは、1980年に複合微生物の組み合わせの目途が立ち、1982年から現地での普及試験を開始した。㈶自然農法国際研究開発センター石垣農場で、ピーナッツ、タマネギ、トウモロコシ、パインアップル、ニンジンで10a単位で自然農法の実用化を前提にしたものである。成果は上々で、その結果は1986年サンフランシスコで開かれた世界有機農業運動連盟(IFOAM)の国際会議で発表された。その活動は、以後2001年まで続けられ、EMは、IFOAMの認証微生物資材として世界に知れ渡るようになったのである。

増やし方も簡単で、糖蜜を3~5%にして、1%の種菌を加え、密封し、嫌気状態にし、数日に1回ガス抜きをする。㏗が3.5以下になると完成である。海水を使うと、継代培養も容易である。

この液を1,000~10,000倍にして潅水時に使用したり、堆肥化に100~500倍にして全体が十分に湿るように散布したり、米ヌカ、魚粉等々に加え密封状態でボカシ化する単純な活用法である。ポイントは、土壌全体にEMが繁殖し、最終的には発酵合成型の土壌になるように管理すれば、農薬や化学肥料は全く不要となる。土壌も年々肥沃になり、特に多量の有機物を施用することなく、堆肥も不要で、収穫残渣で十分な成果が上げられるようになる。また、50~100倍で葉面散布すると、農薬は不要となり、塩と併用すると除草剤ともなり、肥料源としての活用も容易である。

微生物の農業利用と環境保全
農文協(1991年)
このようなEMを活用された土壌は、時間の経過とともに腐食含量は増大し、当初に赤く痩せこけ固化した土壌も黒土に変わり、フカフカの肥沃な土壌となる。保水力も高まり、豪雨でも表土は保全され、地下水も豊かになるのである。この一連の現象は、1991年に出版された、「微生物の農業利用と環境保全(農文協)」に詳しく述べたが、アマゾンで発見されたテラ・プレタ(黒い土)の研究が本格的に始まり、テラ・プレタ土壌の優れた機能が報告されるようになったのは2000年初頭である。

1995年から、EMのヨーロッパ普及が始まったが、このような分解力の早い微生物を使うと、土壌の有機物はすべて分解され、砂漠化する懸念があるという反対意見がヨーロッパのNo1と言われるオランダのワーゲニンゲン国際農業大学から出されたのである。当方の腐植が増えるというデータは、これまでの農学の常識に反するとして無視され、当方の費用負担(3年で700万円)で再試験を行うことになったのである。

その結果、1年で無処理区に比較して5~15%以上、3年では30%以上の腐植が増えることが明らかとなり、オランダを中心とするEM普及が本格的に始まったのである。

欧州EM 25周年記念誌(2020年9月出版)
EM Effective Microorganisms in Europe The First 25 Years
©Agriton NL, September 2020



2002年にドイツの環境局の関係者から、テラ・プレタ・ノバを現代の技術で再現を試みたが困難だという相談があり、EMを活用すれば可能であるというアドバイスをしたことがある。

その数年後、EMの活用によってテラ・プレタ・ノバの再現が可能であることが明らかとなったが、その後の応用は進んでおらず、2013年のテラ・プレタ国際会議でEMの事実は報告されたままである。

本DND第152回で新谷氏が紹介したように、「近年では、テラ・プレタ・ノバに炭素を隔離することで、全世界の化石燃料から発生する二酸化炭素を相殺できるとの研究報告も出て注目されている。」、「テラ・プレタ・ノバは荒廃した土地の回復と地力の維持、さらに近年では異常気象への対応、CO2の炭素隔離による気候変動緩和等、人類が直面する多くの問題を解決できると期待されており、その研究と事業化が米国や欧州を中心に進んでいる。」が、実用的な見地から、テラ・プレタ・ノバの再現に成功したという報告例はまだないと述べている。

とは言え、第164回でのタイにおける新しいチャレンジは、本誌第152回で新谷氏が紹介した「EMグラビトン技術の農業への応用」を広大な面積に実用化したもので、テラ・プレタ・ノバのように大量の炭は不要ということである。

また第165回で紹介した、スーダンでの奇蹟的な結果は、テラ・プレタ・ノバをはるかに上まわるものである。換言すると、世界中の農業でEMを活用すれば、化学肥料や農薬は不用となり、気候変動やCO2問題は簡単に解消できるということになる。

旧来の土壌肥料学にとっては、テラ・プレタ・ノバはもとより、EMグラビトン技術の農業への応用は理解を超えるものであり、本DND第152回の新谷氏が紹介した農地を量子力学的にエネルギーフィールドにする技術に至っては、オカルトやマジカルの世界である。

とは言え、本DND第152回において、新谷氏はテラ・プレタ・ノバの要となっているバイオ炭の役割は、「微生物が利用可能な電子の再充電可能な貯蔵所として機能する」と同時に、「土壌の電子の電導性のネットワークが機能し、土壌に存在する電子が土壌中を効率的に流れる」ことも紹介しているが、これを理解させることは容易ではない。新谷氏はこのような背景を踏まえ、量子力学的見地からEMグラビトン技術を解説しており、このプロセスを十分に理解しない限り本質的な応用は不可能である。


比嘉セオリーとEMグラビトン技術

これまでも何回となく紹介した比嘉セオリーは、エネルギーが物質化された状態を最上部のエントロピーの海と仮定している。

比嘉セオリー (第123回2017年10月初掲載)



エネルギーが固定され物質化した世界は、時間の経過とともにこの逆を辿る。すなわち、分解しエネルギーをエントロピーとして放出する姿となる。これらの物質を使ってエネルギーを得ると、様々な汚染を放出することになる。すなわち、放射能や様々な大気汚染物質を放出すると同時に、膨大な陽電子が生み出され、電子的にアンバランスの状況を作り出すことになる。

この過剰な陽電子は、あらゆる気象変動に関与しており、地球温暖化の真犯人的存在でもある。その根本的な解決策は、その陽電子に見合うマイナスの機能を持った電子を供給することである。そのためには、量子の世界から電子を引っ張り出す技術が必要である。

すなわち、縦波である音波の周波数を超音波化し、位相化すると同時に、レーザーパルスによって横波の電磁波のコヒーレント(位相化)を強化し、その力で空間にくまなく存在するスパイラル状のフォトン(光子)を整流して光音響的に非電荷の電子波を作り、電子にエネルギーを与える必要がある。EMグラビトロン炭は、そのために作られたものである。その炭で位相力を強化すると、非電荷の電子波を生み出し、電子にエネルギーを賦与するバレー流やスピン流が形成され、電子に十分なエネルギーを与えることが可能となる。そのプロセスで位相性の高くなった電子は、超伝導的となり、圧電素子や熱伝素子としても機能し、エントロピーを再利用または物質化するという側面を持つようになる。

すなわち、エネルギーの形成や伝達から見れば、夢のような炭素材と言われているグラフェンやカーボンマイクロコイル、フラーレン、カーボンナノチューブ等々も同じ原理で機能しているといえる。比嘉セオリーは、すべてのエネルギーの初源は重力波からスタートし、光合成細菌等の微生物が持つ重力子を介し、光音響的に量子の世界(何にでも変わるエネルギーの世界)を経て、現実のエネルギー化や物質化にたどり着くという仮説である。炭は超音波の縦波と電磁波の横波をパルス的に調和し、量子的にエネルギー化のプロセスを加速する役割も果たしているのである。

このような機能が形成されない限り、EMによる放射能の消失や原子転換や塩分の肥料化、高酸性や高アルカリ性の急速な是正はもとより、EMの万能性を説明することは困難である。


炭酸ガスは地球温暖化や気候変動の真犯人ではない

環境儀 No 66(2017年9月)
(国立環境研究所の研究情報誌)

これまで繰り返し述べたように、炭酸ガスはエネルギーを物質化する重要な炭素資源であり、不活性的に酸化を防止し、自然界のフリーラジカルの暴走を制御しており、地球温暖化や気候変動とは無縁の存在であり、濡れ衣を着せられたままである。その真犯人は、放射性物質や化学物質や有害な微生物等による汚染と、人口増大に伴うエネルギー利用による膨大なエントロピーによる過剰な陽電子の放出である。

炭酸ガスが気候変動や地球温暖化の真犯人ならば、次に示す国立環境研究所のNo 66(2017)の記事をどう解釈すればよいのであろうか、ということになる。

この記事の中には、植物の根や土壌の微生物等の呼吸によって(土壌呼吸)放出される炭素は、年間840億~980億トン(CO2で3600億トン)で、微生物による土壌呼吸は人間が排出する二酸化炭素の10倍に相当すると述べられている。

環境儀 No 66(2017年9月)
(国立環境研究所の研究情報誌)



この情報は、国立という公の研究所の機関誌である。人間がいくらCO2の排出を抑えても、その10倍の炭酸ガスが年々自然に放出されているとなれば、現今の気候変動やCO2による温暖化説は、その根拠を失い無意味で虚偽ということになる。

またその他に、工場や下水や水田や沼や湿地帯から出るメタンガス、牛や動物が排泄するメタンガス、窒素肥料のガス化による温室効果はCO2の35倍もあり、排出量もCO2を上回る可能性もあり、制御が困難というのも事実である。

とは言え、この騒動で大気がきれいになり始め、エネルギーに関する偉大なイノベーションが起こり、環境問題に対する認識を深めたことは事実であり、『嘘から出た誠』である。時間が経てば既成概念や既得権益的な学会や業界や誤解に基づく度を過ぎたヒステリックな炭酸ガスバッシングは、人類史の必要必然の歴史をたどることになるが、この自己矛盾から出た多くの勘違いを正しておく必要がある。

すなわち、2030年頃には化けの皮がはがれ、2050年にはCO2バッシングを先導した人々の大半はあの世に行き、残された世代は無限的に陽電子を放出しつつ、気候変動は収まらず、全く無責任に終わることが目に見えているからである。

この問題の解決には、これまで繰り返し主張してきた通り、あらゆる分野でEMを空気や水の如く使い、EM技術を日常化し、膨大なエントロピーを資源化することであり、誰にでも簡単に実行できることである。


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