SDGsの究極は、本誌のシリーズのタイトルである、食と健康と地球環境を善循環的に持続可能な仕組みにしない限り、本質的解決にならないのである。SDGsの歴史的な必然性とその背景に対し敬意を表するが、物質の世界は、すべてエネルギーの集約と消費の流れであり、その根幹は量子的仕組みと繋がっている。 すなわち、地球に存在するすべてのものは、太陽を中心とする宇宙からのエネルギーを物質化して存在しているが、物質化する以前は、素粒子等々の領域で無限なる存在である。この分野の研究は、量子力学と称されており、物性を中心とした従来の物理学の延長では理解が不可能である。 量子の世界でエネルギーが集約された結果が物質であり、これまでの物理学は、その物質の持つエネルギーの解明が主流である。その究極が、E=mc2、すなわち、アインシュタインの物質のエネルギーの総量は、質量×光速の二乗となる。 この理論を応用した原子力発電は、ウランの核分裂を起爆として物質化した膨大なエネルギーを活用しているが、同時に、極めて制御が困難な放射性有害物質を多量に産出するのである。 SDGsの観点から考えると、これまでの原子力の技術は、得られたエネルギーよりもはるかに大きな放射性の汚染を生み出している構造となっており、CO2対策としての技術の選択肢に大きな誤りがある。それを正すには量子の世界からエネルギーを集約するプロセスを解明する必要があり、このカギを握っているのが炭素であり、炭酸ガスは、その循環のプロセスを支えており、不活性的で無毒である。 SDGsの究極とされる食料の問題も、すべて炭酸ガスを起点とする光合成から始まるが、現在の地球の植物による炭酸ガス固定のレベルは、太陽エネルギーの0.1%以下であり、CO2をエネルギー資源として活用する技術は極めて貧弱である。 この水準を高めるには、微生物の整流機能の活用であり、5~10倍にすることは容易であり、CO2対策としての人工光合成は誤った選択肢である。 テラ・プレタ・ノバを超越したEM技術 EMは、1980年に複合微生物の組み合わせの目途が立ち、1982年から現地での普及試験を開始した。㈶自然農法国際研究開発センター石垣農場で、ピーナッツ、タマネギ、トウモロコシ、パインアップル、ニンジンで10a単位で自然農法の実用化を前提にしたものである。成果は上々で、その結果は1986年サンフランシスコで開かれた世界有機農業運動連盟(IFOAM)の国際会議で発表された。その活動は、以後2001年まで続けられ、EMは、IFOAMの認証微生物資材として世界に知れ渡るようになったのである。 増やし方も簡単で、糖蜜を3~5%にして、1%の種菌を加え、密封し、嫌気状態にし、数日に1回ガス抜きをする。㏗が3.5以下になると完成である。海水を使うと、継代培養も容易である。 この液を1,000~10,000倍にして潅水時に使用したり、堆肥化に100~500倍にして全体が十分に湿るように散布したり、米ヌカ、魚粉等々に加え密封状態でボカシ化する単純な活用法である。ポイントは、土壌全体にEMが繁殖し、最終的には発酵合成型の土壌になるように管理すれば、農薬や化学肥料は全く不要となる。土壌も年々肥沃になり、特に多量の有機物を施用することなく、堆肥も不要で、収穫残渣で十分な成果が上げられるようになる。また、50~100倍で葉面散布すると、農薬は不要となり、塩と併用すると除草剤ともなり、肥料源としての活用も容易である。
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