第164回 持続可能な開発目標SDGsとEM活動(3)



タイにおける新しいチャレンジ

SDGsの「貧困を無くそう、飢餓をゼロに」を含め、エネルギーや環境のすべての分野においてEMの活用は必要不可欠である。特に迫り来る人口100億人突破に対する対応は、SDGsの根幹をなすものである。自然を破壊し、化学肥料や農薬を多用し、健康にとっても望ましいとは言えない現代の食糧生産システムは、人類の滅亡を加速する構造的なものとなっている。これまでに提案されている対応策は、化学的な資材を使わない自給自足の有機農業や生態系を統合化した不耕起栽培レベルのもので、全くの的外れである。

これまで様々な機会に農の本質について述べたが、要は人口の増大に対し、過不足なく、同時に、健康にとっても望ましい食料を低コストで生産し、そのプロセス全体を活用して環境汚染(化学物質や放射能、大気汚染)や気象変動に対応する力である。

EMを多角的に活用すれば、農の本質を理想的なものにすることが容易であり、答えはすでに出されているのである。EMの普及に当たっては、40年近く既成概念と既得権益との戦いが続いているが、EMが作物の放射能吸収を大幅に抑制することや、放射能を消滅するということが国際誌に載って以来(2018~2019年)、メディアのEM評価が変わってきたのである。

とは言え、これまでのいきさつから、すんなりとEMが受け入れられる訳ではなく、行政や研究機関からの抵抗は残ったままである。したがって、現況は、実績を積み上げつつ、世代の交替を待っている状態である。

本誌第152回に、今後のEM技術の世界展開として、EM研究機構の新谷正樹氏がEMグラビトロン農業とアマゾンに存在する奇蹟の土壌と言われている、テラ・プレタ・ノバとの関係を説明した。すなわち、世界の農地をテラ・プレタ・ノバにすれば、農の本質が実現し得ることになり、EM技術の活用で、奇蹟の土壌作りが可能であり、その具体案も提示したのである。

この技術は、EM研究機構やアジア太平洋自然農業ネットワーク(APNAN)によって世界展開を始めたところであるが、新型コロナパンデミックで足踏み状態となってしまったが、徐々に実現し始めている。今回は、タイ国におけるサラブリ県にある自然農法センターの実用化の事例を紹介したい。

EMグラビトロン結界(エネルギーフィールド)マニュアルは、EM研究機構が海外用に作ったもので、写真1~4に示す簡単なものである。100~200ⅿ四方にセットすると、内部のエネルギーがコヒーレント的に整流されるために、その中の作物の生育や品質に顕著な効果が現れるようになる。この状況を的確に表現する英語がないため、EMボカシ(EM Bokashi)と同じように、EM SEIRYU TECHNOLOGYと和製をそのまま使っている。

写真5はタイのサラブリ県にある自然農法センターでの実施状況である。このスケールになると、500~1000ⅿ四方の結界(エネルギーフィールド)としても十分に機能し得るが、効果をより確かなものにするためには、EMXGOLDを1/10000添加したEM活性液を4~5リットル、青いパイプを通して年に数回注入する方式が行われている。

写真6は、2019年の秋春のもので、これまで経験したことのない増収と高品質になったという嬉しい報告が届いている。

写真7は、その後に栽培された2020年のタマネギの結果である。前作のダイコンやキャベツと同様に、収量、品質は限界突破的となっている。

信じる信じないの話しではなく、これが現実である。この技術はタイ国内はもとより、自然農法センターでの国際研修会を通し、アジア地域に普及し始めている。


(※写真1)


(※写真2)


(※写真3)


(※写真4)

※写真5 サラブリ県にある自然農法センター


※写真6 2019年報告
サラブリ自然農法センターでは炭、塩を活用して整流結界を設置しています。 今期のキャベツとダイコンの成長がすごく好調で、また、それぞれ大きさや 玉も揃っています。整流結界の効果を、来年のAPNAN会議で発表予定です。



※写真7 2020年のタマネギの状況



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