第144回 EM技術の活用による岩手コンポストの社会貢献の潜在力



 
 前号でEM研究機構と岩手コンポストおよび太陽商会の共同プロジェクトがスタートしたことを紹介した。この共同事業は、EM技術を活用し、潜在的に様々な社会貢献を累積的に行ってきた岩手コンポストの総合的な将来像を社会化的に実現しようという狙いがある。

 企業の評価には様々な基準があるが、最終的には真の公益性で判断すべき時代に来ているのである。すなわち、お金儲けのために不完全技術を使い、エントロピーを放出する汚染放出型の企業は必ず姿を消す方向へと動いているのである。

 すなわち、企業の存在は、社会の公益性と一致することによって許容される時代に移り始めている。いずれもAI等による情報が創造的に活用される流れに添ったものであり、企業はこの点を重々認識する必要がある。

 このような観点から、岩手コンポストのこれまでの活動を評価し、今後の展開を考えると、次のような公益性が浮び上って来る。

 先ず大型の堆肥工場の場合、汚泥はもとより、様々な有機廃棄物が搬入されるため、悪臭や水質汚染問題が発生し、ある種の迷惑施設である。

 従って、工場の立地は、人里離れた山の奥か、近隣に居住区がないという条件となり、環境アセスメントで近隣住民の協力を得ることは容易ではない。

 EMを活用する以前の岩手コンポストも既述の悩みを抱えていたが、EMのシステム的活用で、諸々の環境問題を解決し、苦情が全くなくなったのである。

 次に持ち込まれる様々な有機物には、多様な化学物質や重金属もかなりのレベル含有されているものも多く、放射能汚染物質も混入する場合もある。

 また畜産廃棄物の場合は、かなり多量の抗生物質も含まれており、このような原料を堆肥化しても、国が認証する有機農業には、使用することは不可能である。以上述べたような有害物を含む堆肥は、土壌や水質を汚染し、作物の病害虫抵抗性を著しく低下させ、生産物は、人間の健康にとって不適なものとなる。

 岩手コンポストでは、搬入された様々な廃棄有機物に臭気が消えるまでEM活性液の散布を徹底し、切り返しの毎に丁寧にEMを混和し、有機物全体の微生物相をEM化するのである。

 浸出した液は、液肥として著しい効果があり、この液を河川に投入すると、河川浄化に顕著な効果がある。水分の多い材料が搬入されると、かなりの量の浸出液が発生するが、液肥として使用しない場合は、オガクズやモミガラ等水分の少ない材料に混和し、肥料効果を高めるために活用されている。



 そのように出来たコンポストの分析結果は、有害性は全く認められず、法的レベルはすべてクリアーし、有機農業でも活用できるレベルに達している(上の分析表及び下記岩手コンポストHP情報参照)。
https://iwate-compost.co.jp/_src/158/2019seibunbunseki.pdf?v=1538802333681
https://iwate-compost.co.jp/_src/165/h28_29_30_suishituodaku_akushiyu_sokutei.pdf?v=1538802333783


 コンポストの質の判定方法は、極めて簡単である。
 まずコンポストを水に浸して2-3日おいてみることである。悪臭を発すれば有害な微生物が優占していることになり、化学物質や抗生物質等々は分解されていないと判断しても差し支えないと言える。

 その次に、そのコンポストにコマツナやキュウリ等の種を播いて、初期生育を見ることである。市販の殆どの堆肥は、まともに育つ例は稀である。岩手コンポストのコンポストは、そのような弊害は全く発生せず、このコンポストだけ使って作物を栽培すると、スーパー品種的になり、限界突破的な結果となる。



 前号では、日本経済新聞に報道されたリンゴの記事を紹介したが、このような良質のコンポストを使った結果に他ならないのである。(写真①~③)。


<写真1>


<写真2>


<写真3>

 EMの固まりになったようなコンポストは、土壌の浄化はもとより、地下水や表流水をきれいにし、生態系を豊かにするばかりでなく、空気の浄化にも高い機能性を増大する力を持っている。

 すなわち、岩手コンポストの製品そのものが多様で、多大な公益性を持っているのである。そのようなコンポストを使い続けると、その効果は年々積み上がって、本当の自然力の活用に行きつくのである。農業生産に関与する人々が、この公益性を積極的に活用すれば、農業生産を通し、環境を浄化し、人々の健康を積極的に守る究極の公益性が見えてくるのである。





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