第142回 国家プロジェクトとして本格化した中国でのEM技術(3)



前回は、EM による原子転換の応用による塩の肥料化について説明した。中国には、現在の農地に匹敵するほどの塩害砂漠があり、その地域を生産緑地にするためには EM は不可欠である。この課題を解決すれば、必然的に食料や水質汚染問題も解決することになる。
 陸上の汚染は、最終的には河川や海に流入する仕組みとなっており、水産は、その最大の被害者である。このような見地から、中国水産科学研究院は、陸上の EM 活用を積極的に提案すべきである。 広大な砂漠の応用例は、以下の通りである。
 写真 1~5 は、タイ国のウボン県での大旱魃(2013 年)の稲作の例である。植付当初に、2 回の降雨があったのみで、その後、収穫まで全く雨が降らなかったにもかかわらず、EM を活用した畑は順調に生育した例である。写真 5 の細い稲は、一般的な栽培の稲で、太い株は EM 区である。
 写真 6 と 7 はブラジルの例である。ブラジルでは、40 万 ha 以上の広大な地域で EM が使われており、半乾燥の南アフリカのトマトの 40%は EM が使われている。そのため、気象的な安定はもとより、多大な環境改善効果が認められている。
 写真の 12~17 は、10 年前から日本橋川の浄化をかね、東京湾をきれいにした例である。EM のこれまでの投入量は 6,000 トンを超え、東京湾は豊かできれいな海に変わっており、5 月の連休の潮干狩りの賑わいは、今では風物詩となっている。東京湾に面する河川は、すべてアユが戻り大豊漁である。今では東京湾は、どこでも泳げるぐらいにきれいになり、一大海洋レジャー地帯に変わりつつある。



写真1


写真2

写真3


写真4

写真5


写真6 ブラジル大規模EM活用例(小麦)

写真7 ブラジルのEM活用例(大豆)


写真8 南アフリカ1,000haのトマト生産団地

写真 9 左は過去の例、右は現在


写真 10 トマトが樹のようになっている

写真 11 その結実状況


写真 12

写真 13


写真 14

写真 15 オリンピックのトライアスロン会場


写真16

写真 17 シャケやウグイの姿が見えるようになった


図 1

図 2


図 3
 このような EM の力は、微生物の持つエネルギーの整流力によることが明らかになったため、量子力学に立脚した比嘉セオリーを 2017 年に公開し、2018 年 10 月 MIT(マサチューセッツ工科大学)のユニバーサルビレッジ国際会議で発表した。
以下がその概要である(図 1~3)。量子力学的見地からは、比嘉セオリーは実用化の最先端にあり、世界の食料や環境や健康医療、エネルギー問題の解決に不可欠である。
 その理解度が今後の中国のあり方を決めるといっても大げさな話ではなく、水産を通し、そ の応用レベルを高めることを期待したい。





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