第131回 韓国におけるEM普及の真実



 日本土壌肥料学会が反EM団体から500万円のお金をもらい、EMの効果が無いかのような否定的見解を農水省の記者クラブで発表した。その内容は、これまで出されたEMの成果を査読論文的にチェックしただけで、現地試験は全く行っていないのである(1995)。
 一部は長野県の川上村で試験を行ったことになっており、「EM処理区は枯死した」ことになっている。後日、当の農家からは、EMは確かに効果があり、自分もその後、EMを使い続けているが、「日本土壌肥料学会の関係者があまりにもうるさいので、枯れてしまったから来る必要はない」と言って断ったとのことである。
 当然のことながら、農水省は、マル秘と称し、EMが使われる案件には補助金は出さない旨の文書を全国の農業関係機関に通達したのである。
 韓国へのEM導入は比較的早く、1985年で、自然農法に使われるようになり、着々と成果が認められるようになってきた。当時の農村振興庁も積極的に協力し、EMの効果は明確となり、官民一体となって普及すべきという気運が高まっていた。
 1990年代に入り、韓国の生ゴミ問題の解決のため、釜山市の赤十字社が中心となり、日本で行われているEMボカシの活用法をシステム化し、生ゴミリサイクルに多大な成果を上げ、ボランティア的に全国に広がったのである。
同時に、河川や海の浄化、汚水処理等々にも着実に活用されるようになったが、問題は、偽物が雨後のタケノコのように発生したことである。
 一時は200社あまりの偽業者が氾濫し、かつて日本で起ったのと比較にならない程の数となり、EMの信用問題となったのである。そのため、釜山市の赤十字社の協力を得て、軌道修正を行っている矢先に、日本土壌肥料学会事件が起こったのである。
 私の訪韓の際に、「日本で否定されたものを何故韓国に持ってくるのか」という質問が度々出されたが、「実績を見て判断してください、嫌なら止めればいいです」という対応に終始した。  その後、韓国では、関係学会等がEMの試験を重ね、否定的見解は全くなく、化学肥料や農薬を減らすためにも、EMは必要である、という結論に達したのである。
 この背景には、米国に輸出した朝鮮人参から、禁止農薬が検出され、30トン余の返品があり、大問題となったのである。時を同じくして、大白市でEMによる無農薬の朝鮮人参が収量や品質もよく、連作が可能ということが報じられたのである。
 このような諸々の背景から、韓国のために、比嘉教授の指導を直接受ける仕組みを作るべきという釜山市赤十字社の裵命昌会長の提案により、最終的に全州大学を中心に韓国全土のEM普及体勢を作ることになったのである。
 先ず、全州大学が、大学の特別助成金を国に申請し、日本円にして30億円の予算を獲得して、7階建てのEMセンタービルを作り、その中に、大学院のEM研究科を設立したのである。機材や研究者を含め、微生物の応用研究では、すでに世界のトップレベルにあり、多くのEM学者を輩出しているのである。
 当時、予算が余ってしまいそうなので、どうすればよいかという相談があり、私は、EMの工場能力の強化と、全州大学の地域に関与する農業団体に、大型のステンレスタンクとEM活性液装置を設置するようにアドバイスしたのである。
 全州大学は全羅北道にあるミッション系の大学である。韓国南部の農村の発展を目指し、自然農法や広域に広がった畜産公害や河川や海の浄化はもとより、韓国最大の干拓地の塩害対策等々の課題をEMで解決したいという希望が出されたのである。
 EM研究機構から専任の技術者を2年間派遣し、その間を含め、現在まで頻繁に行き来し、情報交換を行っている。本誌第37回に述べたように「韓国の口蹄疫に対するEMの活用」もその成果である。その際に発生した様々な衛生問題や環境問題がEMによりパーフェクトに解決できたため、韓国の環境学会は、2010年の秋に、わざわざ沖縄のEMホテルコスタビスタで学会を開催し、私も感謝状を戴き、特別講演を行ったのである。
 それに対し我が国は、日本土壌肥料学会のフェイク情報と農水省のEM拒否のマル秘通達で、EMはエセとなり、EMバッシングは巨大化し、アンチEMグループがEMの普及を徹底的に妨害するようになり、私はエセ学者の代表とされたのである。

 以下は韓国の密陽市や農業センターでの畜産分野の最近の情報である。



-------------以下、韓国語HPの訳文
密陽市、農業用有用微生物(EM) 供給量拡大
EM、抗酸化作用・抗酸化物質生成・腐敗抑制作用
密陽市は土壌環境の保全と化学肥料の使用を少なくするために施設園芸、果樹、畜産農家など3,800農家に約1,560トンの農業用有用微生物 (EM)を拡大補給する。
密陽市は抗生剤使用の減少、土壌環境改善・畜舎環境改善、農作物の生育促進などを目的に毎年乳酸菌、酵母菌、光合成菌などの農業用有用微生物を培養し、供給している。
今年も去年の1月から今月まで施設園芸農家1,612戸に8回にかけて上半期に供給した。
また、来月から7月まで果樹農家は果樹園の面積によって40-100Lを6回にかけて供給する予定である。
微生物供給を求めている農家は毎年増加しており農業用有用微生物の供給量を拡大することにした。
今年、市費2億2千万ウォン(市費100%)を投資し、農業用有用微生物培養センターを増築し、培養機2機、貯蔵曹1機などを追加設置することにした。
EMまたは有用微生物群(Effective Microorganisms)は日本の琉球大学農学部教授である比嘉照夫博士が1983年に土壌改良、自然・オーガニック農業に利用する目的で開発した微生物の名称である。
EMはEffective Micro-organismsの頭文字を取った略語で有用な微生物達という意味だ。

一般的に酵母、乳酸菌、麹菌、光合成細菌、放線菌など人類が昔から食品の発酵に使ってきた微生物らが含まれている。
このような微生物らは抗酸化作用、または抗酸化物質を生成し、これによって互いに共生し、腐敗を抑制する。
その効果を簡単に三つに要約すると(1)悪臭をなくす。(良い空気)(2)水をきれいにする。(良い水)(3)鉄、食品などの酸化を防止する。(良い環境と食)最近、農民たちが土壌の中の未発行の有機物の発酵促進剤の代用として多く使用している。

市の関係者は「農業用有用微生物は都市消費者が求める環境にやさしい農産物の需要に積極的に対応できる農産物の生産に寄与し健康で安全な食の生産に寄与し、農業の付加価値を高めて農家の所得増大に寄与する有用微生物の供給をさらに増やしていく。」と明かした。
-------------以上、韓国語HP 訳文




 現在、韓国で使われているEM活性液は、国や地方自治体の農水産の指導機関の積極的な協力もあり、年間5万トンを超えており(日本は1万トン)、韓国全土に広がるのは時間の問題である。  それに対し、日本でのEMに関する国会答弁は、日本土壌肥料学会の見解を踏襲するのみであり、フェイク情報に固執するガラパゴスとなっている。




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