前回は、EM を中心とした微生物の原子転換力の応用によって、塩を化学肥料や農薬に代替し得る事実を明らかにした。この技術の立脚点は、福島の放射能汚染対策で、EM 処理によって放射性原子であるセシウム 137 の放射能が消滅した多数の事例と、その対策を更に効果的にするために使われた、塩や炭との併用効果である。 すなわち、炭は電子を集める機能があり、塩は電子を運ぶ(イオン化)力が抜群である。その両者の電子の流れを EM が整流し、量子状態を作り出した結果 において原子転換が起っていると考えた方が良さそうである。 前号でも述べたように、塩がある程度、 連続的に施用されると、雨が多く、有機物のある土地では、時間の長短はあれ、 土壌内で原子転換が行われる方向を取るが、EMの施用は、それを著しく加速するのである。 最近になって、ロシアの科学者グループが、微生物を活用し、原子転換をする方法を確立し、特許になったという情報が公開されたが、使われている微生物は、光合成細菌(硫黄細菌)である。すなわち、EM の中の主要菌と同じ性質があり、 EM を施用すると、硫黄細菌や非硫黄細菌に限らず、光合成細菌はもとより、光合成機能や窒素固定を促進する多様な微生物が急速に増えるという特性がある。 原子転換の状況証拠は、既述のように実用レベルにあるが、更に、その成果を明確にするには、塩の施用の限界を確かめる必要がある。当初は、10a当り1作 100Kg を 目安に、年 4 回 400Kg を超えないレベルでスタートしたが、EMを併用しない限り、このレベルでは確実に塩類障害が発生する量である。 写真1-1:塩を10a当り年間400Kg施用圃場のレタス 写真1-2:塩を10a当り年間400Kg施用圃場のレタス 写真 1 は、年間 400Kg 塩を施用したリーフレタスであるが、この圃場は、12月-6月まで、レタス、その後はオクラのローテーションとなっている。3 年前にスタートしたが、土壌は年々肥沃になり、膨軟になり、不耕起栽培が容易とな り、雑草も皆無状態である。 写真2:EM栽培園のオオバコ 写真 2 は 10a 当り 1 回で300Kg以上の塩を散布した EM栽培園の横に育ったオオバコである。通常のオオバコは、5-10cm 内外の葉の長さであるが、この場合 は 30-40cmとなり、まるで野菜である。 このオオバコの薬効成分はかなり多く、 写真 3 の長命草も塩のみで育ったものである。アシタバを含め、多くの薬用植物 が野菜なみに育ち、この技術は、薬草栽培に革命を起こす力を持っている。 写真3:長命草 写真4:10a 当り 400Kg の塩を施用した圃場 写真 4 は、10a 当り 400Kg の塩を施用したパパイヤと隣接するレタス、ネギの状況である。パパイヤは草本性のため、 塩類には比較的弱い性質があり、EM を施用しなかった場合、たちまちにして塩類障害を発生する弱点がある。 写真5:10a当り200Kgの塩を施用した花壇 写真6:10a当り200Kgの塩を施用した花壇 写真7:10a当り、200Kgの塩を施用したワケギ 写真 5 と 6 は、塩のみの施用(10a 当 り 200Kg)で育った我が家の花壇である。 30 余年、花を作り続けているが、塩に切り替えた途端に絶句するくらい素晴らしい花壇に変身したのである。写真 7 は、10a 当り、1 作 200Kg 塩を施用したワケギである。 このような事例は、塩が他の物質、すなわち、EM によって原子転換され、植物の栄養に変わらない限り説明のつかない現実である。論議する必要はなく、 やってみればすぐに解ることである。 塩はどんな塩でも良く、融雪用の塩なら、トン2-3 万円で入手が可能である。 コスト的には化学肥料の 10 分の 1 以下である。
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