第116回 第6回環境フォーラム「うつくしまEMパラダイス」2016(3)




 これまで2回にわたって、EM技術の総合的な活用はユニバーサルビレッジ国際会議の第4番目の課題である「微生物による元素転換力を利用した、有害な放射性物質の無害化のための具体的な技術の研究」に対し、農業生産分野での正解を提示した。
 福島県を「うつくしまEMパラダイス」にするという目標を達成するには、全県に渡って、EMを水や空気のように使い、EM生活に徹することであり、一次産業はもとより、あらゆる産業分野でEM技術を活用することである。
 前回は、水田についての活用成果と今後の展開について述べたが、地上部の汚染は、雨水によって、すべて河川や沼に集積し、最終的には海の汚染につながっている。したがって、従来の技術では、その流れを逆転させることが不可能である。
 しかしながら、前回紹介した水田の成果や、今回紹介する畑地や生活圏におけるEM活用や、環境浄化活動は、汚染を現場で浄化し、結果として水質を改善し、生態系を豊かにし、生物多様性を守ることに直結するものである。




1. 野菜における事例


















2. 果樹における事例
 福島県には、15年以上も前からEM処理の有機肥料を中心にEMを活用しているグループがある。すなわち、EMオーガアグリシステムを推進している、マクタアメニティ(株)とそのパートナーである40軒以上の農家の方々である。(2)で紹介した石井氏も同じグループである。被災直後から、同グループの野菜や果物は放射性セシウムは殆ど不検出で、信じられない結果であったが、その後の調査で、EMの効果であることが明らかとなり、福島県もEMオーガ(EM処理有機肥料)が放射性セシウムの吸収を顕著に抑制する試験結果も公表しており、前々回に紹介したベラルーシの国立放射線生物学研究所の研究結果もその裏付けとなるものである。
 その他、被災後にEMを活用したリンゴ、モモ、ナシ等で、放射性セシウムの吸収が抑制され、収量や品質が向上したという事例も確認されているが、EMダンゴやEMグラビトロン結界線を活用すればパーフェクトな成果が可能といえる。

 




3. 環境浄化活動の成果





図6 伊達市梁川町長沼の底質(底泥)における放射性Cs濃度の推移



まとめと今後の展望
 前回紹介した水田と今回の畑作の事例を、放射性物質の動態という観点からすれば、その条件は根本的に異なるものである。すなわち、水田は、雨によって環境中の放射性物質が異動し、集積する仕組みになっており、表層の土を取り除いても、時間の経過とともに元に戻ってしまう側面がある。
 それに対し、畑作の場合は、その後の汚染の集積は限られており、放射性物質の減少は、より顕著である。1の野菜関係の事例の、(1)柴田農園、(2)石井農園の結果は、畑地におけるEM活用による放射性セシウム汚染対策のパーフェクトな事例である。
 (3)NPO法人EM・エコ郡山の活動は、市内の幼稚園(エムポリアム幼稚園)の除染の成果を踏まえ、これまでの活動を更に活発化し、放射能汚染が残っている郡山市内でも、高品質の野菜等がEMによって簡単に作れることを実証し、EM技術の多面的な活用を楽しみながら生活化しているモデルである。
 2の果樹の事例も、野菜の事例と類似の傾向を示しているが、いずれも長年にわたってEMオーガアグリシステムを実行していたからに他ならない。被災直後からEMを使い始めた果樹園は、例外なく放射性セシウムを吸収しており、果実でも検出されたが、EMを使わなかった果樹園よりもその減少率は高く、EMの活用法を徹すれば、数年後には不検出にすることも容易である。
 注目すべきは、EMの活用は農薬や化学肥料を不要にし、生ゴミはもとより、雑草やあらゆる有機残渣を堆肥化する必要がなく、有機肥料や土壌改良材にできることである。と同時に、土壌や雨水や地下水を浄化し、更には空気も浄化し、環境中の善玉菌を増やし、生態系を豊かにし、生物多様性を積極的に保護する仕組みに直結するものである。その上、関わる人々の健康を守るユニバーサルな力を持っている。
 そのトータルコストは従来のどんな方法よりも安く、善循環的に持続するという特性も併せ持っていることを忘れてはならないのである。
 3の環境浄化活動の成果は、他にも多数の事例があるが、その大半は目的を達成し日常化しており、今回は特に「エコクラブだて・栗野自治会」についてコメントしたい。
 エコクラブだての日常的なEMボランティア活動は、更に広範囲に着実に広がっているが、注目すべきは、長沼の底質における放射性セシウムの減少率である。この浄化活動を始めた時点(2013年6月)の放射性セシウムは約40,000ベクレルと極めて高い値を示したが、図に示されたように2016年1月末には、7,000ベクレルに下がっている。
 測定は、市役所の協力で行われており、長沼は水流は無く、水の入れ替えも極めて少ない沼である。この条件は、放射能が流れ去ったという話ではなく、一般的には、まわりの放射性物質が流れ込んで、数値はむしろ高くなるという背景がある。
 このような状況と、これまでのEM散布等々によって40,000ベクレルから7,000ベクレルまで放射性セシウムが減少(消滅)した結果を考えると、現在、難題となっている除染土壌の解決策とも言えるものである。
 すなわち、除染土壌の大半は、10,000-50,000ベクレルであり、その土壌に、福島で使われている海水培養のEM活性液と木炭や燻炭入りのEMダンゴを併用すれば、法令で定める8,000ベクレル以下にすることも容易であるということである。この成果が実際に行われるようになれば、ユニバーサルビレッジ国際会議の第4番目の目標である「微生物による元素転換を利用した、有害な放射性物質の無害化のため具体的な技術の研究」に対する答案ともいえるものである。




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