第112回 EMと畜産3



 前回はEMを活用することによって、抗生物質を全く使用しない養豚の事例について述べたが、広島や岐阜にも顕著な例があり、その実力は無菌銘柄豚を上まわっている。自閉症はもとより、注意欠陥多動症、花粉症や各種のアレルギーなど、かつては全く認められなかった病気や障害が今では国民病的になりはじめている。

 花粉症のように、10人に1人以上の疾患が発生すると国民病と称されるが、食べ物の内容やライフスタイルを変えることでその原因が劇的に改善される例が続出しているのである。すなわち、抗生物質はもとより、化学物質を全く使用しない食物に切り替え、日常的に使う洗剤や消毒等々を化学合成物質を使用せず、天然の素材に変えることを基本に、食物繊維を多く取り、体内の微生物相(マイクロバイオーム)を正常化することである。

 とは言え、一度、発症すると過敏症になり、更に、その症状が増幅し始めると正常に戻すことは容易ではない。すなわち、化学物質や抗生物質による直接、間接的なエピジェネテック障害が固定的となるためである。遺伝子には異常は認められないが、その遺伝子が化学物質等や共生的に機能していた微生物と遺伝子の関係がメチル化的に止まってしまうという新しいタイプの遺伝子疾患である。

 その打開策として、米国では、抗生物質や化学物質を使用していない食品に加え、善玉菌が増殖しやすい植物繊維を多く食べることやプロバイオテック(腸内微生物を善玉菌に変える微生物材)を積極的に進めるようになってきた。そのような背景から、米国では飲用のEM1号が「PROEM・1」という名称で流通しており、アマゾン経由で誰でも入手できるようになっており、極めて好評である。

 牛乳は健康にとって悪いか否かの論争は、かつてのコーヒーのような様相を呈している。珈琲は砂糖を控えたり、豆を熟成する段階での衛生管理によって、健康に良いということに結着したが、抗生物質を法的規定よりも減らし、EMを活用した牛乳は、牛乳アレルギーの人が飲んでも、不具合は発生しないということは、沖縄県では常識となりつつある。

 今回紹介する「EM玉城牧場牛乳」は、第1回目で述べた「我那覇畜産」と同様に沖縄県で最も規模の大きな乳業である。EMの導入当初は100頭以下、搾乳量も7000kg(年)と低かったが、平成20年には260頭、搾乳量も9,125Kgとなり、酪農生産農家の目標値の9,000Kgを突破しているのである。
 現在の規模は370頭で、大型にも関わらず質、量ともに断トツであり、牛乳の価格も15-20%も高く、それでも夏は品不足である。



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