第101回 EMの国際的な認知度と評価



 我が国では、今もって、EMをエセとして批判しているトンデモナイ人々がいる。事の発端は、1996年EMつぶしに熱心であったMOAグループから500万円の支援を受けた日本土壌肥料学会が、EMは効果が認められないとして、農林水産省の記者室で発表したことである。
 当事者責任で行い被害者も全くおらず、社会的に何ら迷惑をかけていないEM資材に対し、学会が効果の有無に関し、判決的に意思表示をすることは、極めて非常識なことである。今では常識化している複数の微生物の相乗効果は、当時のレベルでは理解し難いものであった。
 EMは日本土壌肥料学会で否定されたという情報は、日本国内はおろか、世界中に広がり、いろいろな国々で何故、日本の学会で否定されたものを我が国に持ち込むのかという非難も続出したのである。科学は検証なしには成立しないが、EMを批判する科学者と称する人々でEMを正しく検証した人は皆無である。
 それから20年弱経過した今日、毎年、EMの効果を示す多くの査読論文が世界中の研究者により発表されている。その例として今回はJournal of Horticultural Science and Biotechnology と European Journal of Agronomy に発表された論文を紹介したい。以下はそのタイトルと要約であり、その下に既に紹介した「健康生活宣言」24号の訳文である。




 我が国で各地の農業関係研究機関でEMの試験が行われたが、明確な効果が認められなかったというのが大半である。その内容を見ると、1回きりの比較試験であり、主として収量で判定したものである。病害虫や土壌改良効果に関する項目は皆無であり、作物の品質(抗酸化力)に触れたのも皆無である。
 農業は同じ土地を長年にわたってくり返し活用し成り立っているものであり、当然のことながら経時的な効果の検証も必要である。例えば、化学肥料を施用した場合、第1作目は目を見張る効果があり、第2作目はかなり低下し、第3作目には作物は育っても、実用に耐えないものとなる。その結果、様々な土壌改良法が開発され大きなビジネスとなったり、土壌の劣化は避けられないとして、土を使わない植物工場的な発想となり、コストは必ず高くなるという構造的な自己矛盾を抱えるようになる。


 EMを使い続けると、このような自己矛盾をすべて解決し、年々地力も向上し農業の本質を回帰する結果となる。下記の論文はヨーロッパ農学学会誌に発表されたもので小麦栽培に11年間、有機物(堆肥)とEMを併用した結果であり、EMは小麦の収量や品質に対し極めて効果的であると述べている。もちろん同誌も日本の学会よりも格上の国際誌である。
 現在のEM技術は初期に大量に施用することで栽培の第1作から極めて望ましい成果が得られるようになっている。このような背景も踏まえ、国際的には、EMは極めて活用度の高い微生物資材として評価されているのである。


   

 このようなEMの効果と国際的な広がりを承知した上で、エルゼビアから下記のような質問インタビューが来た。私の答えは以下の通りである。(エルゼビア:オランダに本拠を置く国際的な出版社・医学、科学技術関係を中心とする世界最大規模の出版社)

The answers I would like to ask him are the following:
比嘉先生にお聞きしたいことは以下です:

1. What are the benefits of the EM technology compared to the regular methods people are using now in the agricultural sector for their crops, animal and the soil?
● 農業セクターの農作物、家畜、土壌に対して、現在使われている通常の方法と比べたEM技術の利点は何ですか?

◆ EMの効果の本質は抗酸化、非イオン化、整流力による有害なエネルギーの無害化または有用化という蘇生的なもので、エントロピーの増大を抑制する力があります。その力は有機物と併用し使い続けることによって増強されます。この力をシントロピーと称していますが、EMを使い続けて、そのシントロピー力が更に増強されると過去に使われた様々な化学物質は分解され、土壌は肥沃になり、土壌の流亡も極端に少なくなり、地下水は豊かできれいになり土壌の呼吸によって、空気もきれいになり、生産された農作物はすべて健康食品になります。

2. Is it easy to use this method?
● EM技術を使用するのは簡単ですか?

◆ EMは生菌飲料や食品加工等々にも使われている安全性の極めて高い微生物で密閉容器を活用すると、子供でも簡単に増やして使うことができます。日本では一次産業だけでなく、学校や家庭の清掃用スプレー、洗濯、食品の鮮度保持、生ごみのリサイクル、消臭等々、幅広く使われています。

3. Does the agricultural sector (Agri & Food) need to know more about the advantages of microbiology?
● 農業セクター(農業&食物)は微生物の利点についてもっと知るべきだと思いますか?

◆ 農業の本質は人々にとって過不足なく、適正な価格で健康にとって最良の食料を供給することであり、同時に農業生産活動を通し土壌や地下水、湖沼河川や空気等々の環境を積極的に浄化し、生物の多様性を守るものでなければなりません。畜産でEMを使うと抗生物質等々の薬品は全く不要になり、家畜は健康で飼料効率も高まり健康にとっても望ましいものに変わります。同時に畜産によって起こる様々な公害は解決され、その排泄物は最良の有機肥料となります。この技術をごみのリサイクル(炭化法も含む)に適応すれば、世界中のごみは極めて低コストで機能性の高い生産資材となり、地球温暖化対策の本質的な力となります。

4. Why is it so much better to use microorganism than chemical products?
● 微生物を使うことは化学製品を使うよりもなぜそんなに良いのですか?

◆ 化学物質は、その分解のプロセスで強烈な酸化物を発生し、すべてのものを劣化させる性質があります。世界中に起こっている土壌の荒廃(砂漠化、表土の流亡、環境の酸性化等々)も化学製品を使い続けた結果であり、その対策に多大なコストがかかっています。同時に人間の健康を害し生態系を貧弱にし、生物多様性も破壊してしまいます。EMはすでに述べたように極めて低コストで高品質で持続可能であり、普及に入って34年になりますが、使い続けるほど良くなるという結論に達しています。

5.What is the result of using EM Technology in short and long term?
● EM技術を使うと短期間、長期間でどのような結果が得られますか?

◆ EMの密度が十分に高まるような管理をすれば、直ちに化学製品におきかえることができます。長期的な視野に立てば、人類の抱える世紀的な課題、すなわち食料、健康、環境(生物多様性を含む)のすべての問題を根本から極めて低コストで解決することが可能です。



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