産学官連携に新しい風を吹かせたい(2)
−第5回産学官連携推進会議(6月10〜11日、京都国際会館)について−
今回は、会議の目玉をいくつかご紹介したいと思います。 基調講演は、いずれも必見です。松田大臣は、第3期科学技術基本計画の実施戦略として、科学技術を通じたイノベーションを創出していくための新戦略を熱く語られます。御手洗日本経団連新会長には、ご自身の経験に基づいて、産学官連携についての思いや期待を具体的にお話しいただきます。御手洗さんにとっては、会長にご就任後、こうしたイベントでの初登場となるのではないでしょうか。基調講演の最後には、現在、新イノベーション政策を構築中のフランスから、産学官連携推進の陣頭指揮をとっているガニュパン教育研究省技術局長にフランスの状況をお話し頂きます。
10日の午後は並行して開かれる分科会です。参加者の方々には、どの分科会に出るか、悩ましい選択をしていただくことになります。
分科会(I)では、相澤東工大学長にリードしていただき、産学官連携の新展開の方向についての議論を深めます。先のフランスのガニュパンさんに加えてイギリスからもパネラーにご参加いただく外、京都大学「国際イノベーション機構長」の松重先生、世界の大学に眠るイノベーションの種を育て続けているデフタ・パートナーズ会長の原さんにもご参加いただきます。
分科会(II)では、ベンチャー企業の草分けで今でも若手をリードして大活躍されている堀場雅夫さんに加え、ピカピカの中小企業経営者にご参加いただき、東京農工大の古川先生の司会の下、地域における産学連携の新展開の方向を熱く議論していただきます。地域に留まることなく、国境を越えることをものともしない先進的な産学連携活動が報告されると思います。
分科会(III)では、人材の育成問題をとりあげ、産学官連携を担う人材の育成、産学官連携による人材の育成の両面から、この分野の論客の大阪大学の森下先生や、「授業の場であって開発の場」という新たな人材育成・研究開発モデルを実践されている早稲田大学理工学部の笠原先生などの新顔にもご参加いただいて議論を深めていただきます。
分科会(IV)では、昨年に続き産学官連携と知財の問題を取り上げますが、今年は、まず野間口三菱電機会長に知財を軸とする産学官連携施策を「知財の創造と保護」から「その創造と活用」へとその重心を移していくことの重要性について問題提起いただいた後、弁舌爽やかな女性弁護士竹岡さんを含む多彩なパネルメンバーに議論を深めていただきます。
今年は、さらに新企画の分科会(V)が加わりました。産学官連携活動が定着してきたこともあり、その実態や効果についての実証的研究が報告され始めています。そうした研究が一同に会して紹介されることは少ないとのことなので、産学官連携に携わっている方々がご自分の活動の意義と成果を事実データをもとにふり返る良い機会になるのではないかと考え、この分科会を企画しました。総合科学技術会議の原山議員に主査をお願いし、学会的な議論は禁止との前提で進めるセッションです。お気軽にご参加下さい。
11日の前半は、恒例の産学官連携功労者表彰ですが、式典はできるだけ簡素にして、受賞者による産学官連携のサクセス・ストーリーの展示の機会になるようにしたいと考えています。受賞者の方々には魅力的なプレゼンテーションによる事例紹介をお願いしています。1時間で日本の産学官連携の成果が丸わかりです。
締めの特別講演は、産総研の吉川理事長にお願いしました。ご承知のとおり、吉川理事長は、日本のイノベーション・システムにおける試験研究独立行政法人の役割のあり方を常に考え、実行されています。5年にわたる吉川理事長の実践の記録とそれを貫く産学官連携における公的研究機関のあり方に関するコンセプトを熱く語っていただきます。
最後になりましたが、10日のお昼休みには、産学官連携に係る様々な実務的問題に関する実践的なワークショップが4つ(専門家による知財のポイントの解説、地域産学官連携の最新事例、ライセンス契約のトラブル事例の紹介など)開かれる外、会議期間中、弁護士、弁理士が常駐する(無料)「産学官連携法律相談窓口」や、共催・後援団体による産学官連携ニーズとシーズのマッチングの場の開設が行われます。また、参加者の方々の間のネットワーキングの機会もいつものように用意しています。
産学官連携関係者にとってこの2日間の一連の催し物は、絶対に外せないイベントです!多くの方のご参加を期待しています。
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