◆ DND大学発ベンチャー支援情報 ◆ 2015/08/05 http://dndi.jp/

「検証 報道被害・朝日新聞とツイッター」
 -そこまでやるか、EM叩き- 

第2回
・大阪大学、菊池氏に汚された口蹄疫感謝状


 「ニセ科学」というレッテルで、EM(有用微生物群)の環境活動が、膨大なデマ情報と誇張のツイッター・アビューズにさらされている。ツイッター・アビューズとは、ツイッターでの悪意のある誹謗・中傷のことを言うのだが、近年、ますますエスカレートして社会問題になっているのだ。陰湿でしかも悪意に満ちた投稿が連続すると、もう誰にも止められない。それは集団的なイジメのようなものだ。このまま放置すれば人を死に追いやる危険すらあるのではないか。このようなツイッターによるEMイジメの実態を3年余りにわたって取材をしてきた。その現実を報告しようと思う。


◇EMをこき下ろす菊池氏
 初回に引き続き大阪大学教授、菊池誠氏である。ある方の連絡で菊池氏の講演の一部始終を録音したテープを聞いた。この発言の要旨を何人かの知人に見せたら、「デタラメを言っている、ひどいなあ」と表情を曇らすのである。あとで詳述するが、菊池氏の講演終了後、参加者の中学教員が立って「(そういう発言は)訴訟になるのではないか」と質す一幕があった。中高生がいるというのに聞くに堪えない発言を心配したようだ。
2013年10月12日、岡山理科大の正門横の教室で、付属の中、高の生徒、教員、それに岡山理科大に通う学生、一般市民を対象とした「公開講演」が開かれた。司会は、菊池氏を招いた岡山理科大の講師が務めた。菊池氏の肩書は大阪大学サイバーメディアセンター教授、演題が「ニセ科学のある風景」となっていた。菊池氏の講演は、とくにEMに関しては学術的というより、その多くは偏見と悪意にみちていた。宮崎県の口蹄疫対応について「EMは害にしかならない」、「科学っぽい商売」などとのデマ情報を並べ、EMを“断罪”していたのである。菊池氏が、「EM菌」に触れたのは講演の終盤で、その取っ掛かりからEMをこき下ろした。


◇「どんどん暴走」と比嘉氏を名指しで攻撃
 菊池氏は、まず全面否定から入った。「EM菌は琉球大学の比嘉という先生が提唱されたもので数十種類の微生物を調合させたというものです」と説明を加えて、「ま、そんなものは作れっこないんで、これは間違っている」と、EM(有用微生物群)の存在そのものを「作れっこない」の一言で蹴散らした。
 菊池氏の舌鋒は、次にEMの開発者で琉球大学名誉教授の比嘉照夫氏に向けられた。菊池氏は「だんだん暴走していくんですね。比嘉さんが暴走していく」と暴走というフレーズを繰り返した。そして、菊池氏は、「EM菌は農業を含めほとんどすべの効果が検証されていません」と決めつけると、すぐに「検証されていないんですよ」と強調し、「検証されていないというのは大変恐ろしい」と煽るのである。
 EMの効果は歴然であり国内外で数多くの検証データや成果が報告されている。菊池氏の講演会では毎度のことだが、比嘉氏の人格否定までして貶めようとする動機はなんなのか、と首をかしげざるをえない。


◇懸命の口蹄疫対応についてEM側を罵詈雑言
 菊池氏が、講演の中でその恐ろしいEM事例として問題にしたのは、2010年4月に宮崎県で発生した口蹄疫での対応だ。
 確かに比嘉氏は、自ら現地に出向いた。そして、その対策について具体的な方法を提示した。が、菊池氏が問題にした発言はデタラメだった。
 沖縄のEM研究機構(喜屋武尚社長)や名古屋に本社があるEM生活(比嘉新社長)、東京からはNPO地球環境共生ネットワークの職員ら総勢14人が現地入りし、現地の対策本部や新富町の役場から許可を得てEM活性液を現地で大量に培養し、悪臭抑制、感染拡大抑制のため、動噴や散水車で散布したのだ。現地の対策本部の関係者や当該市役所や町役場の方々も不眠不休で奮闘された。みんな一緒に力を合わせたのだ。
 ほぼ2ケ月、新富町の現場に入ったEM研究機構の研究部長、奥本秀一氏は、この菊池氏の発言内容を見て、「現場を見ていないのにどうしてこんな発言になるのか、恐ろしいのはむしろ菊池氏の発言の方ではないでしょうか」と言った。
 彼は、山口大学農学部を卒業し青年海外協力隊員として中米ホンジュラス共和国に赴任、任期満了後、コスタリカの熱帯農業研究教育センターに留学し修士課程を終えて同センター及びコスタリカ大学で、有用微生物を利用した生物防除の研究と有機農法の開発と普及に従事した。いわば、微生物研究のキャリアを持つ工学博士なのだ。どこぞの学者のように運営交付金で保証されながら涼しい研究室で個人攻撃する者と気構えが違うのである。今から20年前、コスタリカで比嘉氏と出会って以来、比嘉氏に師事、EM研究機構に入社した。

    

 その奥本氏が宮崎県に入った5月下旬といえば、殺処分の対象は15万頭を超えていたという。殺処分後の埋却地の確保が難航した。そのうえ殺処分が進んでいくなかで埋却したあとの用地からの悪臭がひどくなっていた。気温が上昇し腐敗臭が鼻を突く。近隣住民から苦情が殺到するという新たな事態に直面していたのだ。埋却地が確保できても悪臭による近隣住民からの反発が強まれば、肝心の埋却作業そのものが暗礁に乗り上げる懸念があった。対策本部の必死の説得でワクチン接種がほぼ終了したものの、梅雨入りを控え家畜の殺処分、埋却措置の時期と重なりまさに正念場を迎えていたのである。


◇凄惨を極める埋却処理現場
 口蹄疫ウイルスは、牛や豚等の鼻や口に付着し体内で増殖を始める。牛では7日-10日程度の潜伏期を経て発病するが、感染した牛からは息やよだれによって大量のウイルスが撒き散らされ、別の牛に感染していく、とされている。
 この強い感染力のために口蹄疫発症の報告をうけて感染した家畜をただちに殺処分し、体内のウイルスを死滅させることで感染拡大の防止を図らなければならない。家畜伝染予防法(家伝法)に基づく防疫マニュアルでは、発生農家から、10キロ以内の牛豚の移動は一切禁止、20キロ以内についても搬出禁止、いわゆる屠場への出荷も市場に牛を出すことも禁止となる。
 EM側がその防疫マニュアルを無視するわけはない。マニュアルには現場での緊急事態にすべて対応できるということでもない。凄惨を極める埋却処理に伴う悪臭対策についてはお手上げ状態だった。
 ウイルスに感染した牛や豚を殺処分する時の家畜農家の皆さんがどんな思いだったのか。しかし、法律では殺処分した家畜は、所有者の自前の畑に埋却しなければならない。当時の農水副大臣(のちに農水大臣に就任)で現地の対策本部で陣頭指揮にあたった山田正彦氏の苦悩もそこにあった。
 所有者の土地にこだわると、埋却が遅々として進まない。埋却を終えた家畜が数百頭で、埋却ができないで残された家畜が数万頭という事態にも直面していた。埋却が遅れると、大量のウイルスが飛散し続ける。そのため、埋却は途中から国有地や公共の土地を手当てして行われるように切り替えられた。山田氏の英断だった。
 地元市町、宮崎県知事らとの調整は難航した。ワクチンの接種を受け入れるか、どうかの対立、補償額の算定とギリギリの折衝、ワクチン接種や殺処分を担う獣医師の確保の難題、交通規制や移動車両の消毒など、その現場の対策はし烈を極めていた。
 その中で最も深刻だったのが悪臭問題だった。市販の消臭剤を大量にまいたら、それまでの悪臭に加え化学消臭剤の臭いがまぜこぜになって異様な悪臭となった。埋却の場所をやっとの思いで確保しても埋却場所からのひどい悪臭で近隣住民からの苦情が殺到し、埋却作業が滞る事態となっていたのだ。


◇元山田農水大臣渾身の『口蹄疫レクイエム』
 現場の状況は、元農水大臣、山田氏による『口蹄疫レクイエム』(KKロングセラーズ)が克明に捉えている。口蹄疫ウイルスに関する何か所はその本を引用した。奥本氏の証言やこの本を参考にしながらEMがどのような経緯で現地対策に加わるようになったのかについても説明しよう。
 埋却は、その場所によって違いがあるが、幅5m、深さ7m、長さは長いところで100m以上もあった。そんな長方形の穴を重機で掘って底と側面にシートを敷く。そこに殺処分した牛や豚を重機で一頭ずつ、二列に並べてその上に消毒用の石灰をまく。さらに牛豚の上にまた重ねるように二列に並べ石灰をまいて土をかぶせていくのだ。が、牛豚の死骸はそのまま埋められているため、上にのった土や家畜の重みで内臓が腐敗し、ガスが発生する。数日すると、腹が破裂して内臓もろとも不気味な音を立てながらガスが噴出し、体液や血液までも溢れ出る。地表一帯は異様な悪臭を放つ血の海と化すところも少なくなかった。


    

◇比嘉氏へのSOS「EM無償協力の要請」
 山田氏は、悪臭がさらにひどくなれば、地域の環境問題として大変な騒ぎに発展する恐れがある、としてその対策の必要性を痛切に感じ取っていた。
 そんな5月26日の時である。山田氏は、当時、えびの市に入っていた社民党の阿部知子代議士(民主党)から電話をもらった。阿部代議士によると、えびの市では酪農家がEM菌を使って口蹄疫を防疫できたと聞いて、実際の取り組みを見に来たといった。
「山田さん、わたしは医者だから言うけど、ウイルスは酸か、アルカリを強めれば死滅するのよ、だからこういう時には理にかなっていると思うわ」と阿部代議士。
 山田氏は、「そのEM菌で悪臭を防ぐことはできないだろうか」と持ち掛けた。阿部代議士の答えは、「えびの市の酪農家の畜舎は毎日EM菌を散布しているのでまったく臭いがしませんよ」というものだった。
 山田氏は、埋却後の悪臭で悩まされている旨を説明し、悪臭解決のために協力を求めたのだ。そして山田氏は「EM菌を大量に、それもボランティアで、しかも虫のいい話だが、無償で提供してもらうわけにはいかないだろうか」と頼んだ。
 阿部代議士を経由して比嘉氏に山田氏から直接連絡が届いた。無償協力のSOSだ。一刻一秒を争う緊急事態に比嘉氏は、その要請を受け入れた。その日の夜には、EM研究機構の取締役で責任者の新谷正樹氏、奥本氏が宮崎に到着した。EMに関心を寄せていた新富町の壱岐副町長と、山田氏が紹介する形で面談の場が用意された。


◇手際よく慎重な現場作業
 EMのボランティアの一陣が現地入りしたのは5月29日だった。台湾の地震災害での倒壊ビルの悪臭対策などの経験が生きた。また、口蹄疫対策というあらたな局面では比嘉氏の指導により手際よく作業に入ることができた
 新富町の役場近くにタンクを並べてEMの培養作業に入り、培養には温泉水が提供された。培養したEMの活性液を散水車で運び、悪臭がひどい埋却地を動噴で散布した。悪臭は数日で薄くなり効果が表れた。重機を動かす建設会社の社員や町役場の職員らがその効果を実感した。




 新谷氏と奥本氏らは、二重の防護服に身を固め、蒸し暑い中を早朝から深夜11時過ぎまで働き詰めだった。新富町での悪臭対策は、500リットルのローリータンク30個、消防訓練用の2トンプール13槽設置、EM活性液をつくるEM・1などの資材はEM研究所、EM生活から無償の提供を受けた。活性液は仕込み後6-7日で発酵培養、pH3.5で完成、連続培養の際は3-4日で完成した。
 埋却地へのEM活性液の輸送には2トン、4トンの散水車を利用し、現場は動力噴霧器で散布した。新富町での口蹄疫患畜、疑似患畜7444頭の埋却地は計18ケ所、そのうち7ケ所にEMを散布した。ワクチン接種後に殺処分した家畜10338頭の埋却地7ケ所はすべて散布した。埋却処理された家畜の82.9%にEM活性液が散布されたことになる。散布したEM活性液は150トンに及んだ。
 作業は6月30日に完了したが、埋却時にEMを散布した現場では地域住民より「クレームとなる悪臭の発生はなかった」と報告されている。町役場一緒にチームを組んだ町役場の課長からもEM側の取り組みへの謝辞と、EMの効果についての確かな評価が寄せられた。それぞれの現場における悪臭の抑制効果はモニター計測や宮崎県環境科学協会の分析などで調査分析しEMによる悪臭の抑制効果を立証した。
 宮崎の口蹄疫対策について、EM側の責任者である新谷取締役は「農林水産省、自衛隊、宮崎県、それに地方自治体の職員、農家さんが連日必死に頑張られてウイルスの感染拡大とまん延を防ぎました。私たちは、ボランティアとして新富町に入り町役場の方々と共に働き、苦労し、悪臭を抑制できたことは何よりだと思います」と話している。


   

◇浴びせられた暴言の数々
 EM側の経費をざっと計算すると、宿泊や交通費で450万円の出費に加え、資材の提供や人件費を含めると2000万円ほどの経費がかかっていた。それ一切が無償のボランティアなのである。それこそ、劣悪な条件下で不眠不休の作業をこなしその結果として防疫や悪臭等の対策に多大な成果を出したことに対して、その6月に大臣に就任していた元農水大臣、山田氏から比嘉氏に対して感謝状が贈られたのは当然のことだと思う。


「感謝状  比嘉照夫殿
あなたは平成22年4月以降に宮崎県において発生した口蹄疫のまん延を防止するための防疫措置の実施に尽力された功績はまことに大なるものでした。
よってここに感謝状を贈り謝意を表します。
平成22年9月7日
農振水産大臣  山田正彦」


◇踏みにじられた善意、汚された感謝状
 しかし、世の中にはひねくれた学者もいる。菊池氏は現場の苦労も知らず、知ろうともせずにその講演で続けて、このEM活動を侮辱し感謝状を問題にしているのである。EM側の労苦はこの一枚の感謝状だけである。報酬はない。それで、菊池氏はこんな暴言を浴びせているのだ。
「ちなみに政府の感謝状が出ています。全然役にたたないし、害にしかならないのに政府から感謝状が出ている」。


 何をもって「全然役に立たない」というのだろうか。どこが「害にしかならない」のか。
これは善意のボランティアへの冒涜だ。
 この講演のおしまいには、「結局、これは何かというと、不安のあるところには商売が成り立つというただ商売をやっているというだけなんですね。科学っぽい商売をしている」と言ってのけるのである。
 事実を歪めてEM叩きに狂奔する菊池氏の発言は、許されるべきものではない。許容の限度を超えている。こういう言動は菊池氏個人のレベルにとどまらず大阪大学のガバナンスの在り方にいきつく問題だろう。事実に基づく論評ではないのである。ウソで善意の人をめちゃめちゃに攻撃しているのだから。こういうウソやデマを中・高生相手にやるというのはどう料簡なのだろう。岡山理科大もそうだが、誰もがこれはやり過ぎと認識している。
 講演会を開催した岡山理科大は、この問題に対して事実を確認したうえで真摯に対応した。EM研究機構側に対して丁寧な文書で陳謝した。


「(司会の講師としては)、具体的な講演内容の詳細は事前に把握しておらず、偶然に(EM批判が)2度(2013年、2014年)続いたとのことでした。
 学生には講演内容についても是非を判断させるべく、ディスカッションを行っており、本物を見極める指導をしているとのことでした。
 今回の件は、主催した者(講師)に他意はなかったとはいえ、貴社及び関係の方々に誤解を与え、不快な思いを抱かせたことに対して、お詫び申し上げます(略)」


◇「訴えられませんか」と中学教員
 さて、冒頭に述べたように講演終了後、ある付属中学の教員が、質問に立った。
「結構、具体的な例が出ていたので、科学的効果がないというのを先生が誰かに言ったりすると、訴訟になる可能性があるんじゃないかと思うのですが、どうでしょう」と指摘した。
菊池氏の回答を全文掲載する。


「あーーーーーなるかもしれないですね。僕はないです。言われたことがあるけれどいまだかつてでたことはないですね。一人、僕の友達で訴えられた人がいますけど、しかし、明らかにおかしいので。ちょっとそういう生臭い話をすると、名誉棄損みたいなやつっていうのは事実と関係なく成り立っちゃうので、だから『バカ』だとか言うと問題があるのですけれど、ある種のこういう根拠がないということに関しては、訴訟はしづらいと思いますけれど、こないだEMから何かきていました。うちの学長宛てに。訴えられても仕方ないみたいな紙が来ていましたけれど、うちの大学の弁護士は、これで訴えるとは思えないと言っていました。まあ、表現の仕方は問題があるので、名誉棄損は別途ありうるんですけれど、これは気を付けなきゃいけないんですけれど。こいつ(EM)には根拠がないとか言っている限りでは問題にならないと思います。訴えるぞ、と言われることはありますけれどやられたことはないです」。


 菊池氏は、「こいつ(EM)には根拠がないとかいっている限りでは問題にならない」と白状した。なるほどね、菊池氏に近い大学教員や朝日新聞の記者らが、現場も見ずに確認もしないで一方的に「根拠がない」って連呼するのは、そういう裏の事情があったのだ。EMを貶める常套句、それも訴えられる心配がないフレーズが「効果がない」だったのであろう。でも、本当にそうだろうか。


◇虚妄の「公正な論評」
 菊池氏のEMへの誹謗、中傷はこれまで繰り返されてきた。これらEMを誹謗する菊池氏の発言をめぐってEM研究機構側は大阪大学の学長に抗議文を出していた。それが2013年9月10日に日付だ。岡山理科大での講演のほぼ1ケ月前であるが、それと前後して10月9日付で、国立大学法人大阪大学のサイバーメディアセンター長、西尾章治郎氏から回答が届いていた。


「(略)お申し出の教員(菊池誠氏)による情報発信につきましては、研究者の学術的信条に基づく自由な発言と考えられ、大学として議論をする立場にはございません。
また、その発言は、判例等で一般に認められている、いわゆる『公正な論評の法理』の範疇と判断されるものと考えております」。


 

 西尾氏は、「公正な論評の範疇」だという。それでは岡山理科大での講演について、もう一度抗議文を提出しましょうか。菊池氏は、口が滑ったのかもしれない。大学の弁護士に相談したら、「これで訴えるとは思えない」という学内の相談事を公けにさらしているのだから別の意味で問題になる。
 岡山理科大での講演は、西尾氏の回答からわずか3日後の10月12日だ。タイミングが悪いというか、不謹慎というか、ここまでやると確信犯のようだが、軽率だ。


 ところで、西尾氏が言うところの「判例等で一般に認められている、公正な論評の法理」ってどういうことを指しているのか。そんな難しい言葉を並べ立てなくても暴言は許されるものではない。国立大学法人法によると教職員の身分は国家公務員ではないが、いわばみなし公務員にあたる。菊池氏の場合、その言動は大阪大学の倫理規定に縛られるはずだ。 その第6条、(倫理行動基準)によると、「教職員は大学の教職員としての誇りを持ち、かつその使命を自覚し、次に掲げる事項をその職務に係る倫理の保持を図るために遵守すべき基準として、行動しなければならない」と述べ、具体的な基準としては次のように定めてある。


(1) 教職員は、他者に対して不当な差別的取り扱いをしてはならず、常に公正な職務の執行に当たらなければならないこと。
(中略)
(4) 教職員は、勤務時間以外においても、自らの行動が大学の信用に影響を与えることを常に認識して行動しなければならない。


 ウソをついてはいけないとか、他人をデマ情報で攻撃して不快な思いをさせてはいけないとか、政府からの感謝状に泥をぬってはいけない、とか、そんな記述はないのである。国立大学の教授がそんなことをするという前提にたっていないからだ。が、他者に対して不当な差別をしてはならない、とある。菊池氏の発言はそれに当たらないのかどうか、学長にぜひ聞いてみたい。
 まあ、しかし、あえて倫理基準を持ち出すまでもなく教職に身を置くものとしては、イジメよりひどい、デマ情報による個人攻撃、誹謗、中傷の類、それはやってはいけない、ことになっている。そういう分別がないと言わざるを得ないのだ。
まして、「こいつ(EM)には根拠がないとか言っている限り問題にならない」とうそぶいて、その狡猾さをあらわにするのだから性質が悪すぎる。


◇菊池氏の“仲間”
 菊池氏の言動は、国立大学の教授としていや一人の社会人として多くの問題をはらんでいる。菊池氏と同じEM批判をしている教員に、大阪大学時代の“教え子”で長崎大学の准教授(現在、埼玉の文教大学)、EMを悪徳商法などと危険視する神田外語大学の准教授、それに法政大学教授ら複数人がいて、講演や授業、それに日々のツイッターでEM叩きを繰り返している異常な実態が浮かび上がっている。
彼らはある種のグループ的存在で、そこに朝日新聞の長野剛記者がつながって、長野記者がEMを貶めるような記事を書き、その科学者然とした談話に菊池氏や長崎大の准教授らが登場する。それらひとつひとつを検証していく。 ≪続く≫


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