DNDメディア局の出口です。はて、どうあれこの一生は、はかなくも消える夢の上と覚悟すれば、礼儀は重んじるが遠慮はいらず自分らしくすればいい。人の一生は、夢だったり、現(うつつ)であったり、そこを行ったり来たりするのかもしれません。そのうち分からなくなって、では、これは夢なのだろうか、幻なのだろうか。しばし考えあぐねてしまった。
Webの仕業(しわざ)は、現実とは遠いバーチャルという。ご立派な経営者が、TVでやはりリアルなface to faceよ、ネットなんて…と眉をひそめるのを見ると、悲しくなる。わかっていないのかもしれない。もう少し踏み込んでほしい気がするし、ネットなんてと言う風に一事で片付けられないのではないか、と思う。
そもそも現実が夢の上という解釈ばかりじゃなく、実際にこのバーチャルがとてもリアルな臨場感で迫ってくるではありませんか。あえて言えば、Webを架空世界の戯言と侮ることなかれ、です。Webを低く見て遠ざけていると、逆説的なのだが、その分だけ現実から逃避してしまうような印象を強くもつ。
このメルマガはそんな事を書こうと思います。それと言うのも、先日、講演に行った九州・福岡でのあれこれが、私にとって面白い異次元の体験となったからです。福岡でのことをiPhoneで始めたばかりのfacebookに投稿しました。すると、瞬時に返信が舞い込み、それらの方々と投稿のやり取りをしながら、今度は顔を上げて現地でのスケジュールをこなすのだが、どちらが夢か、現か、その境界が判然としなくなり、混然と溶け込む様を実感した。
そして私だけが、このふたつの世界で息をする。不思議でしょう。ある、といえばあるが姿、形がみえない。姿、形がみえないからといって、ない、かといえばそうともいえない。スケジュールに付き添って随時、適切なアドバイスしてくれた九州経済産業局課長の山田真司さんは、そばにいながら私のこの一方の世界を知らない。が、iPhoneが何かの拍子でログアウトした途端、その空間は一瞬にして消えうせる。そして、出口さん、そろそろ行きましょうか、との山田さんの声でハッと現実に引き戻されることになるのです。
これを面白いと思いますか。また異次元のバーチャル体験と感じられますか。ふと、夕暮れ時の冬空を見上げると、冴え冴えとした大きな月がふたつ浮かんで見えた。村上春樹さんの著書「1Q84」をおもいかえした。
コラムニストの天野祐吉さんが、朝日で好評連載コラム「CM天気図」の1000回を記念したインタビューで、面白いことの神髄にこんな解説を加えていた。凄いと思いましたので、少し引用します。
「いままで見えていなかった世界が、雲が切れてスッと見えてくる感じ。今まで気づかなかったものにフッと気がつくことですね。そのとき雲が切れて、向こうから光がさしこんできて、面が白くなる。それを昔の人は『面白い』といったんですね。」と。面が白い、で面白い、か。
Web上のネットワークと、現実の人との繋がりの境界が定まらず、ふと途切れたり、突然重なったり、と、そのふたつの世界を行きつ戻りつするような奇妙な感覚に捉われました。ふわっとワープして浮遊するような体感です。面白いのは、これをバーチャル・リアリティーというのなら、むしろWeb上のネットワークがより現実的なのは、いったいどういうことだろうか。
余談ですが、facebookを活用して製造業を盛りたてよう、と意図する動きが東海エリア、福井やその他地方都市で活発化しています。その伝道者的存在で、ソーシャルメディア王の異名をとる坂田誠さん、「(株)はちえん。」代表らの日々の活動にコミットすると、これをバーチャルといえるのか、現実とバーチャルが重なる、といった彼らの書き込みが随所に見られます。同じようなことを感じていることを、うれしく思いました。まあ、坂田誠さんの名前はそのうち遅かれ早かれ、耳にすることになるでしょう。
さて、先週の九州・福岡訪問、それを同時進行でWeb上に綴ったfacebook、今度はそれをメルマガで描く。このふたつの世界を逆戻りしながら、それを再構築する。どうなりますやら。惜しいかな、ちょいと抽象的ですね。これまでの文章で、この辺の意味を少しでも捉えられたでしょうか。
いま流行りのソーシャルネットワークサービスfacebookには、その時々のコメントやアップした写真、その時間、そして友達からの投稿や返信の記録などが残ります。iPhoneやスマートフォンが1台あれば、映像を撮ってアップが簡単にできます。録音も可能。なんなら、動画配信のUSTREAMもできます。動画サイト「zoome」社長の工藤純平さんに教わって、実際、動画配信用のURLをパソコンに打ち出して試した。やってみると、映像の配信がいかに簡単か、を知った。そんなことをfacebook に書き込んでいたので、私が福岡で講演するといううわさがたちまち広まった。
こんなことも新しいことでした。2月8日、夜9時過ぎに電話下さい、というメールは九州大学準教授で起業家教育のエキスパートである五十嵐伸吾さん、五十嵐さんの名前はDNDの常連ですから、ご存じですね。私の自慢の夕張、向陽中学の後輩ですから。
また「お会いできるのが楽しみです」という殊勲なメッセージをいただいたのは特許などの技術移転を専門にする「産学連携機構九州」の社長、坂本剛さんでした。うれしい、ね。今度、坂本さんのブログをDNDサイトに常設化する予定です。
民間の努力でベンチャーサポートのインキュベーション施設を展開する廣田商事代表の廣田稔さんもその一人で、坂本さんや廣田さんは6〜7年ぶりの再会となるわけです。五十嵐さんや坂本さんは、facebookの友達なので、その日々の動きはよく知っています。坂本さんの体重、お嬢さんの名前、昨日何を食べたかまで知っているので、6年ぶりの再会といってもずっと一緒のような錯覚に陥るのです。
さて、「日本の新しい現実」という大きなテーマの講演の準備は万端です。その根幹は、facebookという新しいソーシャルネットワークの登場と、動画新時代なのですが、どうなりますやら、やってみなきゃわからない。パワーポイント50枚、動画4本を盛り込んだ講演の「新しい日本の現実」。この自信作を引っさげて、さあ、いよいよ福岡に飛びます。
愛用のiPhone片手にfacebookに綴る「2011年冬、九州・福岡の旅」の始まりです。すでにfacebookの友達の多くから激励のメールをもらってバーチャルなのに何か背中を押されているような心地よさを感じます。
その2月8日午前7時56分、羽田空港のロビーでコーヒーを飲む。窓の外は、どんより鈍色の空、これから9時のフライトで福岡へ。眠いなあ〜。そういえば、夕べ深夜遅くまで今週分のメルマガを早めに仕上げていた。その前日夜も、さらに前々日も夜遅く、今回の講演資料づくりと格闘した。
ずっと深夜帰り。無事にこの日を迎えられた。午後1時過ぎに福岡での舞台が用意されている。空港のロビーで飛行機の離発着を眺めながら、思わずコインを二枚投入したら備え付けのマッサージチェアが、ぐわんぐわん、微妙な動きを始めた。目を閉じる。感触のやわらかなレザーに重い体が沈んでいく。ふわっと睡魔が襲う。ずっと睡眠不足だもんな。搭乗時間が迫っているのではないか。起き上がろうとするが、力が入らない。エアーマッサージーがだるい脚に圧力を加えてきた。このまま夢の世界に入っていくのだろうか。
◇ ◇
真新しい研究棟が並ぶ九州大学伊都キャンパス、ここが九州大学の新たな学園都市の中核であり、知の拠点でもある。ちょうど、今年が九州大学創立100周年の節目を迎えているのです。
さて、向かう先の建物に「HY 10」のイニシャルが見える。HYとは、Hydrogeniusの略で、水素の製造、貯蔵から水素をエネルギーとする次世代の燃料電池自動車の実用化に向けた研究を進める世界的な開発拠点の一角で、ここに国内を含め、欧米の研究者らがここに集う、という。
iPhoneでその外観の写真を撮り、facebookにアップした。それが午前11時42分、九州大学ウエスト4号館8階に、その分野の世界的権威、村上敬宜さんがいらっしゃる。名刺交換は2度目になる。カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所所長代理で、産総研水素材料先端科学研究センターのセンター長とある。九州大学は理事で副学長でもある。九州大学の看板教授なのです。
部屋に入ると、午後に講演をご一緒するNPO創業支援推進機構理事長で、産業革新機構取締役、紺野大介さんが村上さんとテーブルをはさんで向かい合っていた。憧れの、ご両人。世界を知るお二人を前にやや緊張しながら、記念撮影をした。世界に打って勝ち残らねばならないのに、あれこれ多くの規制で身動きが取れない、と嘆く。これでは手足を縛って太平洋を泳げ、と言っているようなもの。せっかく、世界トップでオンリーワン技術を開発しながら、予算が減らされ、事業化への展開がやや遅れをとっているように感じた。が、必ずいまブームの電気自動車の次にすぐ燃料電池車の時代がくる、という村上さんの確信に、紺野さんが相槌をうった。私もそう思う。不条理や不平も漏れた。が、村上さんには強い確信が感じられた。
約30分、村上さんの大きな構想と今後の日本の課題について、本音を聞く機会が持てたのは幸いでした。いままで見えていなかった世界がスッと雲が晴れていくようでした。
帰り際、村上さんのエッセーのコピーをもらった。「ignorance is bliss」とタイトルにあった。金属疲労というご自分のご専門を「日陰の学問」と書いていた。短い文章の中にストーリーが擦り込まれていた。読んだら、今度は眠られなくなりそうな重いテーマでした。
金属疲労は、「亀裂の力学」であり、その解析事例を集大成したハンドブックを編纂した。これが世界的注目を浴び、第3巻を編纂しているとき、カナダのF研究者から自分の業績を載せてほしい、とのオファーが入った。研究のレベルが高いので、掲載を約束する。巻頭の諸言にFへの謝辞も書いた。その日を1992年8月26日付の特別な日にした。Fがその日に4人の同僚の教授を射殺した日でもあった。ハンドブックにFへの謝辞を載せたことが波紋を呼んだ。当然である。殺人事件の前に書いていたのなら、載せるべき、殺人はプライベートなこと、論文はアカデミックなことで別と言う意見をもらった、という。Fは刑務所に入り、彼のPh.Dの学生は、F先生の行為は正当なものだった、というレポートを書いて送ってきた。しかし、これで彼の人生は終わった、と誰もが思った。
1994年に12月に米国機械学会論文集「J.Appl.Mechanics」に彼の名前の論文が載ったのを知り村上さんは大変驚いた。その後も彼は、刑務所から論文を次々と投稿し、編集者らを悩ました。殺された4人の妻たちが論文の掲載に抗議したからだ。刑務所から、さらに投稿を続けた。彼には、時間がたっぷりあるのである。
村上さんは、事件の善悪は別にして我々日本人にこのような執念があるだろうか、と問いかけていました。
タイトルの「ignorance is bliss」、無知は至福である、という意味らしい。調べると、18世紀の詩人、Thoms Grayの詩の最後の行にあった。和文のことわざは、知らぬが仏、がふさわしい。村上さんのこのエッセーが、やがて時限爆弾のようにいま頃、私の心の中で弾け飛ぶ。心中穏やかではないのだろうか。日本の技術で世界にどう挑むか、その心をへし折るような行政の規制がゾンビのように立ちはだかる。その研究がどう貢献しようか、日本を豊かにするものか、どうかは、ゾンビらは知らないし、知る必要がない。どんな状況であれ、研究者はその一途な心の命に従うものなのだろうか。「ignorance is bliss」、私の呼吸が乱れそうでした。
記念に村上さん、紺野さん、それに私の3人で写真を撮り、すぐfacebookにアップした。「村上先生とガチ、でした。次回の再会を約束した。水素燃料の世界的リーダーですから、蘊蓄に満ちていました」とコメントした。12時35分でした。リアルな面談と、Web上の交流が交互に進む。なんだか、せわしないが、記録の整理に役立つ。
坂本さんがすぐ反応し、「いま伊都ですか?」、「私は、(九州大学)在学中に村上先生の講義の試験に落ちたことがあります」と投稿してきた。へえー、そうか、村上先生の講義を受けた人がいるんだ。当然なのだが、少し驚いた。東京から、特許庁審査業務部長の橋本正洋さんが、NEDOの部長時代におつきあいがあるらしく、「村上先生お元気でしたか。しばらくお会いしていません」と投稿してくれた。
案内役の九州経済産業局の山田真治さんが、時計を見ながら次を急いだ。外は雨にけぶっていた。車を走らせた。12時58分、福岡の百道浜に集積する福岡システムLSI総合開発センターに到着し、センター長の藤元正三さんから九州が得意とするシリコンシーベルト福岡プロジェクトの説明を受けた。液晶パネルのフィルタリングや自動設計を手掛けるベンチャー「NSCore」の堀内忠彦社長が自社のビジネス戦略を強調した。ご専門の、紺野さんが的確なアドバイスをしていた。ここの戦略本部の事業総括でプロデューサーの大津留栄佐久さんが、快活に自信に満ちた解説を加えていた。体も大きく声も野太い。
ここにベンチャー育成のインキュベーションがある。フクオカベンチャーマーケットというビジネスプランコンテストもやる。かつて九大の五十嵐さんに案内してもらったことを思い出した。
会議を終えて外から建物を写真におさめようと思ったが、いいアングルにならない。コメントを見ると、噂していた五十嵐さんから、「あれれ!伊都だ。もう九州ですか?」との書き込みがあった。もうとっくに。午後の講演は間に合うのだろうか。もう13時半を回って時間がおせおせでした。講演の前に、会場を見たり、用意した5つの動画が動くか確認したり、せめて僕のiPhoneでユーストリームの配信の準備も試したかった。が、もう会議は始まり、九州経済産業局長の滝本徹さんが挨拶にたち、我々の到着まで挨拶を引っ張ってくれているらしい。
会場のハイアット・リージェンシー福岡に到着したのが、13時50分、iPhoneで写真、facebookにアップ、この一連の作業がサクサクやれるようになってきた。立派な会場です。もうぎっしり。いささか、大学での講演とは趣が違う。広い空間に、地元で活躍するみなさんらが集まっていました。壇上に懐かしい顔の滝本さんが、自信に満ちたなめらかな話しぶりで会場を沸かせていました。
どんな場所でも対応し、すぐ打ち解けていくのは天性のものかしら。初対面は、茨城県の商工労働部長でした。内閣府の参事官として沖縄の振興に携わった。関東経済局の総務部長として周辺をフォローし、合間をみて関東を走った。本庁に課長で戻って得意の地域振興に本領を発揮した。そして昨年、九州経済産業局長に就任していました。産学連携回りやベンチャー起業支援にアイディアを出し、ネットワークを広げてきました。いろんな方から滝本さんの名前を聞く。偉ぶることはないが、へりくだることもない。その自然体がよく、なにより気配りの人です。
席についたら、滝本さんが挨拶から戻った。数年ぶりだろうか。まだ若い。ここは、九州の産業支援金融プラットフォームの連絡会と、中小企業事業化支援お助け隊事業の成果発表会のその合同会議という。盛況だ。先ほどまでご一緒の課長の山田さんが、産業金融プラットフォームは、全国で展開しているという。九州は、事業化支援のため、地銀や信金、信組、VC、コンサルティング会社など66機関が参加した場づくりであり、企業サポートを多角的に進めていくのだという。山田さんのプレゼンも淡々として見事でした。
さあ、講演はメーンの創業支援推進機構理事長、紺野大介さんが「新規事業に必須な高レベル第三者技術及び事業性評価」と題し、自らが立ち上げた創業支援推進機構のその優れた機能と取り組みを紹介しました。会社の研究開発費はなぜ、利益と結びにくいか、を論理的に解説し、参加者らを頷かせていました。第三者評価のシステムは、さすが、というところでしょうか。大学発ベンチャーにも厳しい意見をいただきました。こちらとすれば、少々、釈明しなければならない立場とあって、急いでDNDメルマガのバックナンバーから、最新の数字を引いて弁明するあわてぶりでした。
さて、いよいよ出番です。司会の女性が、よく透る声で紹介してくれます。動画はうまくいくだろうか、時間は守れるだろうか、USTREAMでライブも可能だが、この機に及んでジタバタするのもいかがか、しかし、工藤靖さんらが東京でライブ中継を期待しているかもしれない。さあ、さあ、さあ、このもやもやをどうするか。いつものことさ、スピーチの直前までぐるぐる頭が回る。が、遠慮しがちに、私のプログラムにない大学発ベンチャーの最新の動向をお伝えした。そして、本題へ。
昨年11月の金沢工業大学の講演から始まって、12月の名古屋大学VBLで開かれた全国コーディネータ会議での講演、年が明けて1月20日の横浜国立大学VBLでの講演と続きました。いずれの「新しい現実」が統一テーマで、しかし、この3ケ月余りの間、急激にその姿が圧倒的なボリュームで迫ってきたのがfacebookの存在でした。昨年11月頃、金沢工業大学での講演の時は、まだfacebookの風は吹いていなかった。それが、チュニジア、エジプトの政変を揺るがすことになった辺りから、一気に火がついた。1月24日に週刊ダイヤモンド、25日にエコノミストがfacebookの特集を相次いで組んだ。新聞も、テレビもこぞってfacebookを話題にしたのです。その変化を一番肌で感じていたから、講演にぶれはなかった。加えて、冒頭、紹介したfacebookを活用した製造業の戦略ツールを指南する、ソーシャルメディア王、坂田誠さんという異能の人が東海エリアを中心に活動を展開し、全国の4000人の仲間を引っ張って、日々、衝撃の企画を打ち出しています。それを私は、坂田マジックと勝手に呼んで、フォローしているのです。坂田さんのセミナーも出た。凄かった。工藤靖さんのfacebookセミナーも参加した。丁寧で分かりやすかった。大学は、上智や法政、東大OB、デジタルハリウッド大学院で導入されています。大学でfacebook.comのドメインをとれば、どこに行こうが、職を変えようが、一生使えるし、仲間は変わらないという。今後、どんどん増えていくことでしょう。いまのところ、大学の教授や研究者の利用が遅れているような気がする、がどうだろうか。これは僕らのテーマかも知れません、ね。
そのfacebookを今後どのようにしてビジネス展開していくか。世界No,1 SNS facebookビジネス活用戦略大会議2011が今月27日午後、東京ミッドタウンホールで、3月19日には製造業ソーシャルメディア活用&アジア戦略セミナーを福井県で開催する新しい動きをお知らせした。27日は私も参加します。
そして、一番強調したかったのが、動画です。動画製作が案外簡単になり、それをYouTubeにアップするのも容易になりました。猫や犬、赤ちゃんといったペット投稿ブームから、より綺麗に見せて感動させる動画が相次いでいるのです。動画を戦略に据えてはどうか。マジ、これはブームになりますぞ〜。
これを強く、繰り返し、執拗に訴えた。その結果、動きがありましたね。
さて、では私は、何をしゃべり、どんな動画を講演で使ったか。講演の要旨をおさらいします。
≪日本を取り巻く環境が激変し、日本が危うい―と指摘される日本の根本的な課題はどこにあるのか、いままで経験しえなかった「新しい現実」を捉え、今の流れを伝えたい。それは、組織から個人へ、公的なものから私的なものへの急激なシフトです。異能、異端が現れる。公的セクターがだんだん色褪せてくる。いま出る杭よ、なのです。こんなストーリーを導くために、facebookなどのソーシャルネットワーク活用の事例や、新しい感動の動画の数々を紹介します≫と。
その一押しの動画です。
1:Social Media Revolution2
2:intel
3: 福井県の三和メッキ「必殺!めっき職人」
4:福井県鯖江の兄弟妹三人ユニット「一途」の泣ける名曲
「The Music is Always in your Hand」
※ボーカルのどんまゐ鈴木さんは、天才アーティストですね。凄いです。
4のそれは、とくに会場が一気に湧きました。お堅いセミナーが、コンサートホールに様変わりした一瞬でした。司会のお美しいお嬢さんもさりげなく目がしらを押さえていました。音楽も素晴らしいし、フィルムの編集や映像テクニックの細部にわたり、パーフェクトでした。なにひとつストレスを感じさせません。一気にブレークの予感がします。前半の坂田誠さんと同様、どんまゐ鈴木さんの名前も憶えてください。ナイスガイです。実は、坂田さんとはfaceookが縁で「友達」になりました。どんまゐさんは、6年前に初めて福井鯖江のITメディア塾でお会いし、最近、facebookで復活しました。
私の講演は、これら動画のお陰で成功でした。自分で言うのもなんですが、ちょっとした時間の進み具合でこんなに反応が違うものか、と、こちらが驚きました。そして、その夜はブレークしました。facebookも大活躍でした。東京の工藤靖さんからfacebookに、飲み過ぎですよ、出口さん、と書かれてドキッとした。耳元で注意を受けた気分でした。
facebookに綴る「2011年冬、九州・福岡の旅」は、私の講演がクライマックスかと思ったら、facebookにはその一事も綴られていない。なので、バーチャルなfacebookに綴られていない、ということは存在しないことになる。USTREAMで流されていない。写真もない。つまり、肝心のところがぽっかり穴があいているのです。もう取り返しが利かない。facebookは、日々刻々とリアルな時間軸で動いていることに気付きました。時間は止められない。facebookは眠らない。
さて、翌9日は、いよいよ個人的にはすごく楽しみにしていた九州大学のロバート・ファン/アントレプレナーシップ・センターに教授の谷川徹さんを訪ねます。VBLを発展的に解消し、実践的な起業家教育を学部学生から一貫したプログラムを組んで動き始めるのです。いい話があります。ここに、わが中学の自慢の後輩、五十嵐さんも奉職されています。
この続きは、また来週のお楽しみです。
◇ ◇ ◇
※【お断り】連載は、東京大学産学連携本部副本部長の山城宗久さんの『一隅を照らすの記』の第35回「『家族に乾杯』に乾杯」、名桜大学教授で国際EM技術研究所所長の比嘉照夫氏の『緊急提言、甦れ!食と健康と地球環境』の第38回「福祉施設におけるEMの活用」はサイトにアップしましたが、コラムの解説は次回になります。ご了承ください。