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ひろちさや氏の珠玉のコラム終章

・政権発足40日、初の臨時国会招集
・齊藤次郎氏復権の裏舞台‐週刊現代
・「天下り禁止って、実はウソですか?」
 〜国会を凌駕した田原氏の「サンプロ」の凄味〜
・独法の職場を追われる「過去官僚」
・谷明人氏「立命館大アジア太平洋大学」
・山城宗久氏の「ジェロントロジー」

DNDメディア局の出口です。〜いちばん夜が長いのが冬至、逆に夜のいちば ん短いのが夏至。俳句の世界では、"夜長"は、秋の季語になります。なぜでし ょうか?秋の日は釣瓶落としといわれます。まるで、釣瓶を井戸に落とす時の ように、すぐに暮れてしまいます。だから、夜が長くなったと感じられるから だと思います。


浅草や夜長の町の古着店  永井荷風


なお、"短夜"(みじかよ)は夏の季語で、冬は"短日"(みじかび)です。そ して、春は"日永"(ひなが)。


上記の文章は、愛読の月刊『ひととき』10月号の巻頭を飾る、宗教評論家、 ひろちさや氏の「車窓歳時記」からの引用です。毎月20日の発行日を心待ちに し、郵送で一日早く届いたりすると、とっても得をしたような気持にさせられ ます。刷り上がったばかりでインクのにおいが残る、その雑誌のお気に入りの ページをめくるときめきは、抑えようもありません。月1回の私のひそやかな 至福の時間でした。


「夜長」と題したこの号が63回目、その数字の下に小さく「最終回」とある のに気付かずにいて、送られてきた11月号を開いてみると、どこにも載ってい ない。あららっ、どうしたのだろうか、ひろ氏がひょっとして御病気が何かで 倒れたのではないか、と心配になり、母を見失った迷子みたいに切羽つまった 思いで編集部に電話するほどでした。


車窓歳時記の記念の1回目は、04年の8月号でした。お題が、「花火」。時速 300キロで走る新幹線の車窓から花火が見えるチャンスなんて、めったにあり ませんよね‐とつぶやきながら、わたしは、


遠花火音して何もなかりけり  河東碧梧桐


ひろ氏は、こんな句を思い出した、と記述していました。それから5年と2ケ 月の月日が過ぎました。実は、この巻頭のコラムのスタイルがスタートしたの は、お天気博士の倉嶋厚氏の「空の季節誌」が最初で1年間、12回続きました。 ひろ氏のコラムは、その後を継いだ形でした。


この雑誌は、新幹線のグリーン車に用意されています。ご自由にお持ちくだ さい、とあるので出張の都度、持ち帰っていました。出張が減ったのを機に年 間購読し、毎月郵送で届きます。2003年ごろから、倉嶋さんの分も含めてざっ と6年余りのバックナンバーが私の棚に並んでいます。暇を見ては、音楽を流 しながら、幾冊かとりだしてページをめくると、ひろ氏の語りかけるような文 章に触れて、いつしか旅情をかきたてられます。


遠くへ、青い空の下へ、季節の花が咲くの草原へと誘ってくれます。そこに 季節にふさわしい俳句がさりげなくごく自然に紹介されていました。美しい日 本の、儚い四季の、忘れ難い人の息遣いが、わずかな文章のなかに散りばめら れていました。その珠玉のエッセイに写真がよくマッチしていましたね。


最終回の「夜長」では、インドの神話を取り上げていました。男性第1号で 夫のヤマが死んで、女性第1号のヤミーは「きょうヤマが死んだ」と泣き続け ています。実は、当時はまだ夜がなかったので、いくら時間がたっても「きょ う」だったのです。そこで神々は、ヤミーのために夜を創造した。すると、ヤ ミーは一夜明けると、「きのうヤマが死んだ」といい、それが「十日前」、 「三か月前」、「去年」というようになりました。そして悲しみを忘れること ができたのです、とひろ氏は綴りこう続けています。


「悲しみは、忘れることによってしか克服できないのかもしれません。イン ド神話はそのように教えてくれています」と。


ふ〜む。至言ですね。それぞれの心の風景に、じわっと沁みわたるようなメ ッセージじゃないですか。季節の話を捉えても、昔話を引用しても、その熟達 の澄んだ瞳は、常に人間の心の奥に向けられていました。


ひろ氏のエッセイが、もう載っていない。残念だなあ、惜しいなあ、このコ ラムを楽しみにして定期購読していたのに…。なぜ?って、11月号の巻末から 電話番号を探し出して『ひととき』の編集者に問い合わせてみました。連載を 打ち切った理由を聞き出そうと試みました。


「JR東海なので、やはり京都へ足を運んでもらいたい」という考えがあって の判断だという。記者は疑い深くヘソ曲がりだから、素直に聞き入れるわけじ ゃない。「ギャラですか?」、「何かあったのか?」などという、ぶっしつけ な質問をぐっと呑み込んで、「いずれの時期か、ひろさんに再登場願うことを 期待します」と告げました。


新しい連載は、裏千家家元の千宗室氏による、「京都の路地まわり道」とい うタイトルのエッセイで、初回は「主人のスタイル」。なるほど、京都の御仁 は、夕飯をひとりで食することでも絵になるのですね。いい得て妙とはそのこ とで、文字通り「文は人なり」の言葉が身にしみました。


◇     ◇     ◇

 
□政権発足40日、初の臨時国会開催
 鳩山内閣の初の臨時国会は、本日午後からの一般質問で、自公と民主の攻守 ところを変えての論戦が火ぶたを切りました。どんな風に感じましたか。鳩山 さんには、野党の質問をドーンと胸で受け止める横綱相撲を期待しました。猫 だましのような、言い逃れや、責任回避はご法度です。とくに、自民党の与党 時代はどうだったのか、とか、あなた達に言われたくない、というような切り 返しは感心しません。そこから議論が深まらないからですし、もはや責任政党 なのですから、そういう姿勢は論外です。野党側には、説明や解説は抑えて、 わかりやすい具体的な質問を期待します。しかし、与党というのは、圧倒する んですね。凄味があります。ラジオでそのやり取りを聞いていると、野党は軽 んじられ、見下されているように感じました。これも政権交代で下野したなれ の果ての悲しい姿なのですね。


政権発足から40日、あれこれ凄まじい勢いで改革が進められています。先の 所信演説では、その随所に鳩山首相の熱い思いが感じられるではありませんか。 「無血の平成維新」との表現を聞くに及んで、あの夏の熱い高揚感の余韻にひ たっているのか、とも感じました。


が、どうも、やっぱし、一抹の不安が的中というか、当初からの懸念が指摘 されています。新政権への批判が噴出し始めています。政治資金の捜査も風雲 急を告げる鳩山政権、「友愛」のうるわしい物語の背後で、何かが腹黒く蠢い ている、という印象を持ってしまいます。新政権の行く末を案じる知人の多く は、鳩山さん、大丈夫かしら、と口をそろえています。


そんな鳩山政権への期待感を一気に萎ませているのは、一般質問にも取り上 げられた郵政の新社長に就任する、東京金融取引所の齊藤次郎氏の人事案です。 亀井静香金融・郵政担当大臣が10月21日朝に公表すると、その真意をめぐって いろいろ憶測が飛びました。


鳩山さんご自身も「官僚じゃないの?」と驚かれたそうです。齊藤さんは、 小沢一郎さんと近い元大蔵事務次官で、つい最近まで「渡り」を繰り返してい た天下り官僚の典型とあって、この人事に異を唱える各メディアも目立ってい ます。なぜ、こんな人事が行われるのか、いやいや、不思議でなりません。ま あ、今後の手腕を見てください、というのですから、そこに期待したいもので すが、それでは説明が不十分です。


鳩山さんは、質問に答えて、「もう官僚から民間に移って16年、適材適所、 その能力もある」と言い放っていました。天下りで、渡りを繰り返していたの ですから、「民間」とはいえない。が、官僚の天下り禁止といっても本人の能 力次第、官僚を離れて10年以上は官僚とはみなさない、という何か基準という か、ルールが必要でしょうね。それにしても、選挙期間中に訴えた天下り根絶 の趣旨と随分風景が違うものですね。過去官僚の登用を、天下りを、その時の 権力者の近しさや、気分で恣意的に決められるとしたら、それは権力の暴走と いうある種の危険を意識せざるをえません。



□齊藤次郎氏復権の裏舞台‐週刊現代
 さて、そこで「脱官僚は1ケ月で頓挫した」と新政権の問題を鋭く突っ込ん でいるのが、今週の『週刊現代』の特集「見えてきた民主党政権の正体」と題 した評論家、立花隆氏と時事通信解説委員長、田侮j郎氏の対談です。


立花さんは、『文藝春秋』誌で糾弾した「田中角栄研究〜その金脈と人脈」 で田中総理を退陣に追い込んだ実績があり、利権にむらがる悪しき政治家への 糾弾にはその追撃の手を緩めません。その姿勢には、なにより説得力がある、 いまなお社会派のジャーナリストと理解しています。


田崎さんが、民主のこの1ケ月は、"政権交代劇場"で、危なっかしい印象を 受けます、と言うと、立花さんは、「いずれどうしょうもなくなるんじゃない ですか、この政権は」と前置きして、「民主党の党としての未熟さ、力不足、 マニフェストの生煮えぶりなどが、徐々に見えてきている」と指摘していまし た。


田浮ウんは、とくにおかしい点として、「補正予算の執行停止で、どの地域 の何が削られているのか、ほとんど報じられていない。3兆円近く削ったとい う数字の話ばかりで、削られて困っている人たちのことを隠そうとしている」 ことを挙げ、小沢一郎さんが「内閣法制局長官の答弁も、官僚だから禁止す る」と言った点に注目し、「内閣法制局長官が、国会答弁で憲法解釈について 一定の見解を述べることで、歯止めがかかり、憲法が守られてきたという側面 がある。それがなくなれば…」となし崩し的に方向が決められる可能性を危惧 していました。


また、立花さんは、鳩山―小沢関係を見ていくと、石川達三の書いた政界小 説『金環蝕』の中のセリフを思う浮かべる、という。


「金環蝕というのは、太陽が光り輝いて見えるが、その中心部は真っ暗で見 えないことだ」と。


そして、いままさにこの状態じゃないか、いかにも光輝いているように見え るけれども、その政権の一番の核である鳩山首相と小沢氏の間でどういう会話 が交わされているのか、官邸の中枢と、党の中枢が本当はどういう状況にある のか、中心部分は暗闇で、わからない、と切り込んで見せるのです。


小沢さんの影が、鳩山政権のあらゆる局面でちらついている、という指摘は このところ多い。例の、行政刷新会議における事業仕分けの作業班の人選をめ ぐって、新人議員14人の人事にいちゃもんをつけたのは小沢さんでした。


分厚い予算書なんか、新人議員では手に負えないじゃないか、というツルの 一声でおじゃんになってしまいました。すでに会合が開かれて、テレビでその 模様も映し出されていた、というのに。まあ、小沢チルドレンに手を出すな、 勝手に使うことを許さん、という意味なのか、どうか。新人といっても首長経 験者もいる、将来のためにいい経験になるのではないか、と思う。ニュースを 見て久々にテレビ画面に登場した枝野幸男さんや蓮?さんを見て、さすがだな あ、と感心していたのですが、ふくらんだ風船が一気に萎んだ格好で、切ない くらい気の毒です。


こういう老獪な政治家の横やりで、新しい動きが止まってしまうということ が、旧来の悪しき慣習なのではないか、と、いぶかってしまいます。


週刊現代は、その別のページでは、「脱官僚」、「天下り根絶」は嘘っぱち、 との見出しで、齊藤次郎「復権」の全舞台裏―と題した記事を掲載しています。


「脱官僚は民主党の最重要マニフェストだったはず。ところが日本郵政の新 社長に内定したのは、『官僚中の官僚』、『官僚支配』の頂点に君臨した人物 の復権が、どこでどう脱官僚につながるというのか、と疑問を呈します。


こんな風に「天下り禁止」のマニフェストを「ウソ」呼ばわりされるリスク を負いながら、「天下り禁止」の掟を敢えて破ってまで、元の大物官僚を郵政 社長に据える理由はなんなのでしょうか。


記事では、齊藤氏の復権に伴って、資産規模で言えば世界一の金融機関(約 300兆円)が財務省傘下にあり、その利権を自民党の旧田中派=小沢一郎が握る、 という自民党の幹部の推測も紹介していました。また郵政を取り込めば、これ まで自民党が保持してきた、全国の郵便局の「集票マシーン」を幹事長の小沢 氏が握ることになる、という見通しを述べていました。果たして、その本当の 狙いは、何か。小沢さんの齊藤氏への"恩返し"という美談もありましたが…。


脱官僚依存とは、財務省依存ではないか、という指摘されています。財務相 の藤井裕久さん、国家戦略室長の古川元久氏ら、政権の中枢に財務省のOBが目 立って多いからです。齊藤さんに続いて、新たに日本郵政の副社長には、旧大 蔵省OBの坂篤郎・元内閣官房副長官補、元郵政事業庁長官の足立誠二郎氏が内 定した、という。


天下り人事が続々、という印象です。日本郵政の取締役候補の選定について は、法的なルールがあり、指名委員会で指名を受けた後、臨時株主総会で財務 相が承認し、総務相が認可して正式な就任となります。が、指名委員会を開催 ぜず、政府の人事案を押し付ける格好となっていることに疑問の声が上がって います。



□「天下り禁止って、実はウソですか?」
 〜国会を凌駕した田原氏の「サンプロ」の凄味、大塚副大臣の奮闘〜


田原総一郎さんの、絶妙な突っ込みや進行が冴える25日朝のテレビ朝日系列 の「サンデープロジェクト」は、今回はとびっきり引き込まれました。テーマ にタイムリーな郵政の社長に元大蔵次官、齊藤氏起用の問題を扱い、ゲストの 金融・郵政担当副大臣の大塚耕平さんを取り囲んで、まあ、やんやの議論が展 開されていました。早稲田大学教授の榊原英資さん、慶応大学教授の竹中平蔵 さん、その他に、朝日編集委員の星浩さん、経済ジャーナリストの財部誠一さん らがコメンテーターとして控えていました。


ご覧になりましたか。いやあ、大塚さんの、なんというか、齊藤さんの場合 は、「私利私欲でないから天下りではない」と言い逃れ、「天下り禁止」のマ ニフェストには変わりはない、との抗弁の数々は、痛々しいくらいでした。民 主党の危うさを露見させたというより、これは個人の性格の問題かもしれませ ん。多くの人が忌み嫌うであろう、口先のごまかしが透けて見えてしまったの です。これが官僚タイプのいやらしさであり、多くの人が期待する「脱官僚」 の本質なのだが、ご本人は、気がついていないらしい。


どういうやり取りがあったか、それはYoutubeでその番組の映像が再現 できます。そちらをご覧になってください。その核心のところを再現しましょ う。


まず、田原さん、民主党というのは、マニフェストで、天下り根絶します、 天下り、渡りのあっ旋を全面的に禁止するーと訴えた。これウソ?と単刀直入 に質しました。それについてのやり取りはこうでした。



■大塚副大臣:いやあ、外形上は、それに反するような形になったことは国 民の皆様にしっかり説明する。
□田原さん:外側で言っているだけなのね。実は、内心はどうでもいい、こ んなことは、という意味ですか?
■大塚副大臣:違う、違う。そういう意味じゃなくて、天下りして自分の私 利私欲のために第2の職場、第3の職場を蹂躙するのは、よくない、ということ です。
□田原さん:(自分の私利私欲で職場を蹂躙するのはダメという)そんなこ とはマニフェストで言っていないじゃない。細野豪志氏は、「世界は変わった。 30年、40年続いた天下り、あっ旋の仕組みは民主党が政権を取ったその日から 根絶された」と言った。が、これウソ?
■大塚副大臣:ただ、齊藤さんは、あの〜
□田原さん:違うよ。細野氏の言ったことは、ウソか、と聞いているのよ。
   ※さて、この追い詰められた局面で、大塚副大臣はなんと答えたか。天下り は、根絶されていないし、天下り人事が新政権下で行われているから、天下り は根絶された、という細野氏の説明は、明らかにウソになる。が、大塚さんは、 こんな風に言い逃れるのです。官僚タイプというのは、官僚がそうだというこ とではなく、民間だって、新聞記者の世界だって、こんな詭弁を弄するタイプ がいる。脱官僚の本質とは、こういうところを質すところにあるのではないか、 と思います。それで、大塚さんは、公共のテレビの前でなんと言ったか。

■大塚副大臣:ウソじゃないですよ。それを目指してまだやってますよ。
 ※この発言に、周辺からため息がもれて、さすがの田原さんも呆れかえって 後ろを振り返り、コメンテーターの朝日編集委員の星さんに、コメントを求めま した。

□星編集委員:いや、これはどう見ても、いくらなんでも理屈が通りませんよ。 これは明らかに亀井さんが、齊藤さんと小沢さんが親しい方ですから、小沢さ んの事を配慮しながら決めたんでしょうが、肝心の鳩山さんが前日まで知らな かったという訳ですから、鳩山さんをほとんど軽視する形で決めた。今の政権 の弱いところが一気に出たということでしょうね。
 ※そこで、大塚さんは、そこでこう言い返しました。

■大塚副大臣:星さんが新聞の論説的に解釈すればそうなるのでしょうけれど、 鳩山さんは人事を亀井さんに一任するとおっしゃっておられたわけですから、 その信頼関係に基づいて…
 ※そこで再び、田原さんから天下り根絶といいながら、一任されたら無茶苦 茶やってもいいのか?と厳しく指摘されました。すると、今度は、大塚さん、 また別の話を持ち出してくる〜。

■大塚副大臣:今回、郵政…竹中さんがお考えになった通りに行っていない。 方向をですよ。(それを)改善するために、誰でもいいという訳ではない。
 ※大塚さんにいわせれば、竹中さんがちゃんとやらないから、ちゃんとやれ る齊藤さんを選んだ。問題は、竹中さんにある、という。田原さんは、またこ こで一喝します。

□田原さん:そんなこと誰も言っていない。
 ※いやはや、ああいえば、こういうの類型です。こんなやり取りに業を煮や したコメンテーターの一人から発言がありました。経済ジャーナリストの財部 誠一さんからでした。

□財部さん:大塚さん、大塚さん、ちょっとね、ひと事いわせてもらいたい。 組織というのは、国も企業も人事というのは、最大のメッセージになります。 さきほど、田原さんが指摘していたように、天下り禁止と言いながら、(元大 蔵次官が)渡りに渡り渡りを続けてきて、最後に(ポジションを)ランクアッ プしている姿はねぇ、大塚さん、へらへら言っている場合じゃなくて、国民は (大塚さんの)それを見て怒っているわけですよ。もっと真面目に受け止めな ければダメだよ。
※財部さんは、怒りを抑えてこう言い切りましたね。おっしゃる通りです。財 部さんが、ある意味、大塚さんに助け舟のシグナルを送っているのに、大塚さ んったら、懲りた様子もなくその真意も汲めぬまま、「へらへら言っている場 合じゃない」とのところで、言わなきゃいいのに「すみません。これが地顔な もんで…」とわびれた様子もありませんでした。

 まあ、大塚さんには荷が重いテーマでした。無理もないことかもしれません。 が、もう少し、指摘された問題に対しては、謙虚に受け止めなければなりませ んでしたね。



□独法の職場を追われる「過去官僚」のレッテル
 齊藤さんは、役所を辞めて16年経っており「官僚意識はない」と会見で語っ たそうです。確かに10年以上経っても、まだ過去官僚といって忌避するのはい かがなものか、と思う。


こんな齊藤さんと同様のケースで、追放された過去官僚もいる。霞が関から 民間に移ってもう16年、以来、ずっと民間に勤務していながら、この9月、あ る独法の理事の再任が決まっていたのに、「天下り禁止」の号令で新政権の人 事見直しで、ひっくり返された例もある。どんな思いで職場を去ったことか、 矛盾するでしょう。ひどい話じゃないですか。やりきれません、ね。


これはよくて、あれはだめ、時の政権がお墨付きを与えたらよくて、そうじ ゃないとダメというのも薄気味悪い。江戸時代じゃあるまいに、悪代官の気分 でルールがコロコロ変わっては、やはり問題です。大塚さんが言った「私利私 欲の人かどうか」というのもいい加減で、人物本位というのならその評価の基 準を用意すべきではないか。


こんな異常な差別を見過ごしていいのだろうか。そもそも「天下り禁止」の 狙いは、どこにあるのか。もう一度、その定義を聞いてみたいものです。今の 民主党のやり方では、理念の「友愛」とは程遠く、あきらかな差別であり、イ ジメの類に思えてならない。そもそも、なんら瑕疵がないのに、過去官僚とい うだけで、一生差別され続けるマニフェストというのは、やはりおかしい。


詰め切れないマニフェストを無理に押し通そうとするから、矛盾があふれ出 ているではありませんか。朝日の編集委員の星さんが指摘していたように、この 辺で「天下り禁止」のマニフェストの再考を促したい。


最後に紹介するのは、エスプリを効かせた読者投稿の老舗「かたえくぼ」か ら。いやあ、見事なものです。私の長ーいメルマガの意を、ほんの数行で表現 する、神業のようです。
『堂々の天下り』

 亀の背に乗り竜宮城
 -元大蔵次官

 (所沢・二歩)



◇     ◇     ◇

【連載】大学連携推進課長、谷明人さんの『列島巡礼、西東』の第11回目は、 「湯煙の向こうに世界がみえる」です。あの熱い夏の連続投稿から、いくらか 時間が過ぎて、はや秋深し。70日ぶりの投稿です。地方を回って、地域の活動 をウオッチし、産学連携に携わる多くの人をエンカレッジされている姿は、素 晴らしい。今回は、いきなりクエスチョンです、日本の温泉で最も湯量の多い 温泉地はどこ?


別府で、グローバル教育といえば、地元、大分県、別府市、それに学校法人 立命館の3社の公私協力で2004年に開学したAPU、教育効果が高い立命館大学太 平洋大学の取り組みを紹介しています。特徴は、なんと90カ国から3000人の留 学生を抱え、学生の半数を占める国際色豊かな大学です。そのキャンパス、カ リキュラム、学長のカシムさん、教官も多国籍でインターネットの国際会議シ ステムで、面接が行われているそうです。


【連載】東京大学産学連携本部副本部長の山城宗久氏の『一隅を照らすの記』 の第4回「ジェロントロジーの巻」です。高齢、介護の件で、以前、私の父の 病の世話の話を紹介しましたが、それに関連した高齢化社会における、課題解 決の学際的研究をジェロントロジーと呼ぶのだそうで、現在300を超す大学や 研究機関で実施され、東京大学もそのひとつだという。今年から東京大学高齢 社会総合研究機構が立ちあがり、10月初旬にはスウェーデンとタイアップした 後悔のシンポジウムが開催されました。そのキーワードが、健康と、社会との つながり、と指摘し、他の学問に比べて、想像力が大切なのではないか、とい う。ご自身の体験も記述されております。何か、将来の生き方のヒントが得ら れるかもしれません。




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