DNDメディア局の出口です。めっきり秋らしくなり、ひんやりした風が心身 の疲れをいやしてくれています。が、朝夕はグーンと冷え込みます。くれぐれ も、お風邪など召されないようにご自愛下さい。
まあ、年齢を重ねると、多くはどこかに無理がきて人の手を煩わせることに なります。実際、股関節を痛めた父を自宅に呼んで同居を始め、車イス生活の 父の世話にてんてこ舞いなのですが、これが一筋縄ではいかず、忍耐強い家人 とうってかわり、時に暴発寸前で堪えるからその葛藤に悩まされ、未熟な己を 恨む日々が続いております。周囲をみると、多少の差はあれ、両親のケアに戸 惑う人も少なくありません。みんなそれなりに辛い思いを胸にしまいながら介 護にあたっているのかもしれません。天気の日は戸外に連れて散歩し、この連 休はさっぱりと髪を洗ってあげました。いつもリーゼント風にきっちり整髪し ていないと気が済まない父だっただけに、幾分、表情に生気が戻り喜んでくれ ました。いやあ、初めて腕をまわした父の頭は、意外と小さ目で軽く、そのあ まりの頼りなさに少し悲しくなるほどでした。その81歳の父が、次に懸案の股 関節の手術にどう挑むか、どうか、ここが正念場です。そのためでもないので すが、日進月歩の医療に少なからず期待をつないでいるところです。
さて、そんな折りのつい最近のことです。知り合いのバイオベンチャーの経 営者から、お祝いのうれしい返信メールが届きました。その文面にはやはりこ の人らしく、「病に苦しむ患者を救いたい」という短いながら祈りに似た強い 思いが、さりげなく書き添えられていました。心の琴線に触れる、というので しょうか、こちらもつい胸が熱くなるほどでした。
そんな晴れの席に参上し、そこでのスピーチを脳裏にやきつけておきたい。 そんな衝動に駆られております。いつも控え目にしながら、どんな場所でもお 優しい笑みを絶やさない岩谷邦夫さん、グランプリ受賞おめでとうございま す!
先端的でイノベーティブなテクノロジーをベースに、新しいビジネスを拓く バイオベンチャーを表彰する「日本バイオベンチャー大賞」(主催・フジサン ケイビジネスアイ、後援・経済産業省、文部科学省、大阪府、バイオインダス トリー協会、大学発バイオベンチャー協会など)の受賞企業が決まり、そのグ ランプリの栄冠を射止めたのが、大阪大学発の創薬ベンチャー「クリングルフ ァーマ」(大阪・豊中市 http://www.kringle-pharma.com/)で、このベンチ ャーの社長が岩谷さんです。先週9日付のフイジサンケイビジネスアイ(略し てFBi)の紙面に掲載されたのを受けてDNDの大学発ベンチャー関連のニュース 欄でもお伝えし、さっそく岩谷さんにお祝いのメールを差し上げていたのです。
岩谷さんは、「当社の理念と実績が評価された結果、栄誉ある賞を頂くこと ができ大変誇りに思います。今後も社員一同たゆまぬ努力を続け、日本のバイ オ産業の発展に貢献したいと思います」という旨のコメントに加え、「まあ月 並みですがこのコメントが本当の気持ちです。病に苦しむ患者さんを助けたい、 そして日本のバイオ産業の発展に尽くしたい、といつも思い続けています。今 後ともご支援の程よろしくお願いします」とのメールを返してくれていたので す。
グランプリを受賞したクリングルファーマは、何を目指しているか、といえ ば、まず新しい制癌法の早期達成という創業目的にそって独自に開発したNK4 遺伝子を使った抗癌剤の開発です。NK4は、がん細胞の浸潤や転移や血管新生 を抑える二機能性分子で、がん細胞を原発巣に封じ込めるという画期的な「凍 結・休眠療法」の確立が期待されています。また、HGF(肝細胞増殖因子)の 組み換え蛋白質を医薬品グレードで製造できる世界で唯一の企業であり、皮膚 潰瘍、急性腎不全に加え、重篤な筋肉の萎縮と筋力低下をきたす運動ニューロ ン病の一種で、きわめて進行が速い神経変性疾患の筋萎縮性側索硬化症(amyo trophic lateral sclerosis、通称ALS)などを対象にした、Unmet Medical Ne edsという、患者が少ない難病やいまだ医療技術が進んでいない疾患領域に踏 み込んだ医薬品の開発を進めている、ことなどが評価されました。
これは、岩谷さんの一貫したベンチャー経営の動機にも通じるのですが、新 しい治療法によって世界中の難治性疾患や癌の患者さんを救済したい、という 理念は、大学発のバイオ系ベンチャーに多く共通する特徴です。いわば、あん まり儲からないけれど医療分野には欠かせない取り組みであり、大手の製薬会 社がやりたがらないニッチな市場を開拓しているのです。それだけリスクがあ って大変なご苦労でその未踏の地を切り開いていくのがベンチャーの真骨頂な のかもしれません。が、私財を投じ人生をかけるのですから、もっとリスペク トされてもいいし、あらゆる応援が求められていることは確かです。そういう 意味で、この手の顕彰制度は意味があるわけですね。
創業は2001年12月、資本金19億2474万円、従業員数18人、08年度の売上が2 億144万円―とデータにありました。が、クリングルファーマを語る時、常に 話題にされるのが、岩谷社長の経歴です。大阪大学薬学部卒後、武田薬品工業 に入社し、武田フランス取締役副社長、武田薬品国際プロダクトマネジメント 部長を経て、2001年3月に北陸製薬社長に就任。クリングルファーマの社長に 就任したのが2003年でした。大手の製薬会社で数々の成功体験を持つ本格的な 経営人材の登場と、迎えられていたのです。
思い出せば、2007年の1月下旬のことでした。場所は、大阪大学吹田キャン パスの「銀杏会館」、アンジェスMGの創業者で大阪大学大学院教授の森下竜一 さんが設立し、理事長を務めるNPO法人「青い銀杏の会」の第4回大会が開催さ れ、その取材に足を運んでいたのです。
そのシンポジウムで、パネラーの一人として登壇していた岩谷さんの発言に 注目が集まりました。大手製薬会社からスピンアウトして大学発ベンチャーの クリングルファーマに転籍した岩谷さん、率直になぜ、大学発ベンチャーなの か、という疑問です。大手にいれば、安泰なのに…と。
森下さんから、なぜベンチャーなのか?とマイクを向けられた岩谷さんの答 えは、こうでした。(会社勤めの)経験のなかで、実はベンチャー精神の土壌 があって、年齢を重ねる内に、何か世のため人のためになる、まともなことを してみたい気持ちになった。それが、本来(目指すべき)薬は、制がん剤なの です−という動機を明らかにし、会場から賞讃の声が上がっていました。
続いて、そのパネルの議論が、15000余りのポスドクのキャリアパスや雇用 問題に及んだ時でした。そこで岩谷さんは、「何が安泰か、という発想ではな く、どんな大手に就職したってリストラはあるし、それでは自分に不正直な生 き方になってしまう。いま、自分が一番したいことは何か、仕事とは苦痛では 成り立たないし、そうあってはいけませんね。ベンチャーは楽しいものです」 と言い切っていたのです。
私へのメールで、「病に苦しむ患者を救いたい」という一途な姿勢は、なに ひとつ変わっていないし、まったブレがみられない。こういうところが、なに より素晴らしい、と思いました。
その他の受賞企業を紹介します。経済産業大臣賞に、「ワイズセラピューテ ィックス株式会社」(本社・東京、村山正憲社長、http://www.ysthera.com)、文部科学大臣賞に「株式会社カイオム・バイオサイエンス」(本社・東 京、藤原正明社長、http://www.chiome.jp/)、バイオインダストリー協会会 長賞に「株式会社ナノエッグ」(本社・川崎市、大竹秀彦社長、http://www.n anoegg.co.jp/)、フジサンケイビジネスアイ賞に「リジェンティス株式会 社」(本社・長野県岡谷市、柴肇一社長、http://www.regenetiss.com/)、近 畿バイオインダストリー振興会議賞に「バイオ21 株式会社」(本社・沖縄県 うるま市、池田利道社長、http://www.bio21.co.jp)、大阪科学機 器協会賞に「株式会社ダナフォーム」(本社・横浜市、土生雅英社長、http://www.dnaform.jp/)で、贈賞式は、21日夕刻から大阪市内のハイアット・リー ジェンシー・オーサカで行われ、高円宮妃殿下のご臨席が予定されています。
それぞれの受賞理由は省略します。このところ話題の聖マリアンナ医科大学 発の「ナノエッグ」は、いずれグランプリかな、と踏んでいたのですが、グラ ンプリへのリベンジはあるのか、どうか。経済産業大臣、文部科学大臣のそれ ぞれの賞が制定されているけれど、果たして、鳩山政権の新大臣はこの件をご 存じかどうか。一部に伝えられる、国家戦略担当相の菅直人さんら理系出身の 閣僚が多いのなら、この辺の対応もうまくやられていればいいのですが、さて、 どうでしょうか。
さしずめ、審査委員長は、奈良先端科学技術大学院大学副学長の新名惇彦さ ん、委員に経済産業省生物化学産業課長の荒木由紀子さん、文部科学省ライフ サイエンス課長の石井康彦さん、大阪大学教授の森下竜一さん、京都大学再生 医科学研究所教授の岩田博夫さん、バイオインダストー協会専務理事の塚本芳 昭さん、そして北海道ベンチャーキャピタル社長の松田一敬さんという顔ぶれ です。
奇しくも、というか、たまたま、というか、日本バイオベンチャー大賞の制 定から今日までウオッチしていたのが、この私でした。05年10月19日配信のVo l.149「粋な心の種が飛んで…」と題したメルマガでは、この創設に尽力し日 本工業新聞社の山下幸秀元社長の意気込みを紹介しました。
そのメルマガの一部です。
〜「ITの次はバイオ」との方針を口にしていたのは、やはりその頃、平成
12年の春でした。バイオは、情報・通信と融合し、重要な位置にある、しかし、
現状は、記者、営業マン個人の感性にゆだねていたこともあり、会社として十
分な取組みができていない‐と語り、「バイオは日本の未来を切り拓く、日本
の将来を担う重要な新産業であり、新産業、新事業創出を支援する立場として、
これからバイオに取り組む」と宣言し、そこから生まれたのが、日本バイオベ
ンチャー大賞という顕彰制度でした。
山下さんの執念に近いその目論みは、平成14年3月、大阪のリーガ・ロイヤ ルホテルで第1回の日本バイオベンチャー大賞の授賞式にまでこぎ着けていま した。うらやましいほど友誼を結ぶ、高円宮殿下のご臨席を賜り、晴れのグラ ンプリは、大阪大学の森下竜一さんが創設のアンジェスMGに輝きました。誇 らしげな受賞者らの笑顔が会場に満ちていたようです。山下さんの口からは、 嬉しそうに、森下さんの名前を聞いたのは、随分と早い時期でした。「若いけ れど彼は本物だ。凄い、楽しみだ」と語っていました。その年の9月、アンジ ェスMGは東証マザーズへの上場を果たします。
翌年15年の第2回目の授賞式は、グランプリに総合医科学研究所、その総合 医科学研究所も同年12月に上場していましたから、日本バイオベンチャー大賞 のグランプリ獲得は、上場への片道切符を手に入れたものという伝説になるか もしれない。 昨年の第3回は、グランプリの該当が見送られていました。そ して、第4回目を数える今年は、本日19日の夕刻から始まり、高円宮殿下の遺 志を継ぐ形で、高円宮妃殿下がご臨席になられる予定です。それも大きなニ ュースです。
その輝かしいグランプリには、培養皮膚や軟骨など再生医療製品の事業化に 初めて道を拓いた再生医療のパイオニア「ジャパン・ティッシュ・エンジニア リング」(愛知県蒲郡市、小澤洋介社長)が射止めました。(中略)
思い起こせば、2回目の授賞式で、高円宮殿下のご逝去に伴って出席者全員 で黙祷し、アンジェスMGの山田英社長が挨拶に立っていました。「大変光栄 でしたのは、『とても大事な仕事ですが、とても楽しいことですね。受賞が、 これからのジャンプになりますよう、今後のご活躍を期待しております』とい う激励でした」と語り、高円宮殿下からのお話の一端を紹介していました。そ のお言葉の通りの飛躍を遂げています〜と。
また、03年2月5日の第2回贈賞式をこのメルマガのVol.17 、「バイオベンチ ャー大賞」で紹介していまし た。ご覧になってください。わずか13行の報告でした。当時の審査員長は、大 阪大学総長の岸本忠三さんでした。せっかくの日本バイオベンチャー大賞です ので、この顕彰制度も個々のベンチャーのEXITも、何かもうひとつふたつ、仕 組みと仕掛け、それに仕切りが必要かもしれません。
ふ〜む、これは、東大教授で産学連携推進機構理事長の妹尾(せのう)堅一 郎さんの近著『技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか』(ダイヤモンド 社)からの受け売りですが、その全編に流れる妹尾さんの雄叫びは、私にとっ て震度7の激震のような衝撃でした。新しい概念を生んで、その解説に新味の ある言葉を用意するのですね。その造語の名手でますます異才を放つ妹尾さん は、案外、わが国のモノづくり系の救世主かもしれません。その理由は、また の機会に詳しく述べたいと思います。
妹尾さんの著書に触発されての強い関心は、好況のインテルの決算とウイン ドウズ7の22日発売というビッグニュースというのも、その本がいかに「い ま」をリアルにクローズアップしているかの証左でしょう、ね。天晴れ!です。
【連載】特許庁審査業務部長の橋本正洋さんの『イノベーション戦略と知財』
の第6回は「オバマのイノベーション戦略」です。「プロパテント政策からプ
ロイノベーション政策へ」という見出しの次に、メルマガ末尾で引用した東大
教授の妹尾さんの『技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか』を今度は、
冒頭に紹介し、橋本さんが行った「NEDOカレッジ」の講義の内容をもうひとつ、
別の角度でのアプローチとして、妹尾さんの著書を取り上げていました。
さて、本題は、先月21日に、ホワイトハウス(NEC(National Economic Coun
cil)とOSTP(Office of Science and Technology Policy)の連名)から出さ
れたアメリカイノベーション戦略(Strategy for American Innovation)の、
NEDOワシントン事務所からの報告で、その米国の新たなイノベーション戦略の
分析と評価です。
いわばオバマ戦略のこの文書は (1)過去のバブル主導の成長の問題、(2)イ
ノベーション、成長及び雇用へのビジョン、(3)政府の適切な役割、(4)アメリ
カイノベーション戦略、という4章からなり、この具体的な今後の戦略のうち、
「イノベーションの基本要素(Building Block)への投資」の項には、@ 基
礎研究分野でのリーダーシップ回復(主要政府機関のR&D予算倍増、R&D投資
のGDP比3%目標等) A 21世紀の知識・スキルの教育と世界クラスの労働力
B インフラ建設(道路・橋等、電力網の近代化、高速鉄道等) C 先進情
報技術エコシステム(ブロードバンドアクセスの改善、次世代IT技術R&D支援、
Chief Technology Officerの任命他)という風に、「イノベーション促進に向
けた分野横断的な施策を整理している」と読む。
また、インフラ整備や先進的ITシステム整備などはオバマ政権で打ちだされ
たものですが、今回発表で特に新しい政策が加わっているわけではないらしく、
特に目を引くのは、R&D投資のGDP比3%目標の設定で、政府投資だけでなく民
間投資も含めたR&D投資の拡大をR&D税制等を通じて達成しようとのメッセージ
だ、と分析を加えていました。
さらに2の項の「アントレプレナーシップの活性化に向けた競争市場の促
進」では、@ 輸出促進A オープンキャピタルマーケットへのサポートB ア
ントレプレナーシップの奨励C パブリックセクターイノベーションの改善、
コミュニティイノベーションへの支援−を盛り込んでおり、これに対しては
「貿易促進(のための通商政策)、アントレプレナーシップの奨励、オープン
ガバメント等の政府取り組みなど市場環境整備に関する事項を中心に整理して
いる」と解説していました。
また、キャピタルマーケット分野の最大の課題について言及し、「昨年の金
融危機以降に米国内で議論が交わされている金融サービス分野への規制のあり
方で、まさに現在進行中の案件」だという。さらに、3の項が「国家プライオ
リティへのブレークスルー」では、@ クリーンエネルギー革命(再生可能エ
ネルギーを3年以内に倍増、省エネ産業の振興、クリーンエネルギーイノベー
ションへの投資、温暖化ガスのキャップアンドトレードシステムの導入等)
A 先進自動車技術(電気自動車及び輸送の電化関連技術への史上最大の投資、
先進自動車技術分野の米国製造業支援、次世代バイオ燃料、自動車燃費改善)
B ヘルスIT(ヘルスIT利用の拡大、医療研究への再コミット、ヘルスケアコ
ストの増加抑制)C 21世紀のグランドチャレンジへの取り組みと科学技術へ
の活用−を挙げている、という。
この章はオバマ政権が重点的に取り組んでいる具体的R&D施策に関して列挙
しています。
まずは従来からクリーンエネルギー(スマートグリッド、省エネ、風力・
ソーラー等の再生可能エネルギー)やヘルスITに加え、「新たに目につくの
が」として、「先進自動車技術」を指摘しています。
今までクリーンエネルギー対策の一つとして語られていた次世代自動車技術
(蓄電池やバイオ燃料など)を独立した項目として取り上げており、バッテ
リー分野の事業者支援策(A123などの米バッテリーメーカーへの工場設置補助
金支出等)として先月約24億ドルの支出を発表したところですが、「米政権とし
ては次世代自動車技術支援を通じた米自動車産業の復活支援を重視していると
いうメッセージ」だという。
そして橋本さんは、上記の24億ドルの内訳を見ると、蓄電池関連の新興企業Co
mpact Power等々に1〜2億ドルのオーダーで設備支援資金を流しており、いく
ら蓄電池技術は日本が優位との言われても、将来的に何が起こるのか心配な分
野である、と指摘していました。
先日12日の読売1面は、オバマのイノベーション戦略を先取りする形で、
「新エネ大国」の取り組みをルポしていましたが、再生可能エネルギーの導入
が爆発的に広がっている、状況はリアルでした。米国の風力発電は、2008年に
ドイツを抜いて世界一になった、と伝え、これは発電量の1%にすぎない、と
いいながら、これを20%に高めるのがオバマ戦略だという。
妹尾さんのイノベーションの新たなモデルの気付きも、米国の戦略の報告も、
読売のルポも、橋本さんの確かな連載も、これらの情報をインテリジェンスに
処理をして役立てるためには、次に何が必要か、実は、その答えも妹尾さんの
著書にしっかりはめ込まれていますよ。ハイ!
【一押し情報:丸ごと一冊「民主党」をアエラが緊急増刊!】
鳩山新政権の誕生から、気がつけば、まだ1ケ月なのですね。本当は、補正
の見直しなど、いろいろ書きたいのですが、ここはぐっと抑えて当分様子見で
す。まあ、長い目で、見てあげなければ、この政権の真価は問えませんから、
なにせまだスタート台についたばかりです。マニフェスト通りやれば、やった
で独善の批判、少々弾力性をにじませれば、またそれでぶれている…と、何を
やっても注目の的です。が、これもいつまでも続くものではありません。
事件記者の目で眺めれば、ダム建設におけるムダや説明のつかない仕様の変
更など、その工事費水増しが、何かの拍子で事件性を帯びてくれば、形勢は一
気に変わり、一直線の前原さんの正義に軍配があがるでしょう。が、ダムに続
いて、空港をめぐる地域住民の声を無視するかのような対応が逆に、声高に叫
ばれ続ければ、その小さな批判が燎原の火の如く、全国に吹き荒れる危険もは
らんでいるのではないか。これがネットワーク化するとヤバイ感じがしてきま
す。その連携の鎖を立ち切るのが、公共事業をめぐる過去の問題をえぐり出す
ことであり、それを事件にまで仕立てられれば、状況は一変する、と踏んでい
るのですが、どうでしょう。えぐり出した暁に与党の議員が見え隠れしていて
が、元の木阿弥です。
さて、民主党と言えば、朝日新聞の週刊誌アエラから「民主党がわかる」と
銘打った緊急増刊が出ました。発売は明日15日のようですが、近所の書店で
はすでに並んでいたので早速ゲットしました。680円でした。ざっとみれば、
丸ごと一冊民主党の増刊の趣です。
写真:AERA緊急増刊号表紙