DNDメディア局の出口です。世間は目まぐるしくもうスピードで動いています。朝のNHKテレビ中継は、飛行士の星出彰彦さんがロボットアームを巧みに操って、日本の有人宇宙施設「きぼう」の船内実験室を宇宙ステーション(ISS)に取り付けている画像を映し出していました。作業は完璧だ、というコメントが流れていました。
7つの間接のあるロボットアームで16本のボルトをつけた後、空気の漏れはないかを確認して完了、星出さんは深い眠りにつくという。今回の宇宙飛行の最大の任務を終えた星出さんは、果たしてその「きぼう」の船内でどんな夢を見ることになるのでしょう。20年以上かかった船内実験室の本格的な運用が、いままさにこれから始まる、宇宙への旅の新しい歴史の1ページを刻んだことは間違いなさそうです。
グローバルな動きが急なのは、首相の福田康夫さんでしょうか。ダボス会議以降、徐々に場慣れして弁舌も滑らかなようです。先の第4回アフリカ開発会議(TICAD4)では、採択の「横浜宣言」で洞爺湖サミットで主要議題となる気候変動問題に関して示した途上国への日本の温暖化対策支援「クールアース・パートナーシップ」が、アフリカ諸国から評価と歓迎の意向が表明されました。
そして、今度はローマに飛ぶ。世界から60ケ国の首脳が参加して開幕した「食糧サミット」で演説し、「横浜宣言」に引き続いて食糧の世界的な高騰や不足を受けて1億ドルの緊急援助を5千万ドル上積みするとともに、政府が保有する備蓄輸入米30万トン以上を放出する用意があると、表明しました。
そこで福田首相は、7月7日開幕の洞爺湖サミットの議長国としてのリーダシップを内外に印象づけているようでした。国内の支持率は低下傾向にあるようですが、老体に鞭打って(失礼!)国際舞台で堂々とわたりあっているじゃないですか〜。
NHKの現地の報告では、洞爺湖サミットの主要テーマとなる地球温暖化対策に向けて2013年以降の新たな国際的協調の枠づくり、その目標の設定が欧州は高い目標を主張し、やや腰が引ける米国との調整をどうするか、さらに中国・インドの意向をどう汲むかなど、「低すぎでは、あるいは高すぎではという各国の利害調整が最も大きなテーマだ」と指摘していました。残るところ1ケ月あまり、これからが正念場のようです。
「守ろう地球、創ろう共生社会」をテーマにした2008NEW環境展が3日から東京ビッグサイトで開幕しました。アジア最大の環境展らしく、昨晩のNHKラジオで出展の新技術をいくつか紹介していました。僕がコーディネートする埼玉県チャレンジ・ベンチャー交流サロンの常連のひとり、株式会社ニッポー(埼玉県川口市)がこの環境展に出展しており、社長の若槻憲一さんからお誘うけて明日5日、会場に行く予定です。若槻さんの会社は温度と湿度の制御機器のメーカーで、先月28日に開幕した「中小企業総合展2008」(30日閉幕)にやはり出展し、霧の発生する量や方向を制御する超音波加湿器「霧風」の革新的製品が、5月29日付の朝日新聞経済面に掲載されていました。
温度を制御する、といういまどき注目の極め技術があるなら、「地球丸ごと制御できないの?」と冗談半分で言ったら、若槻さんは「考えます」というから頼もしい。最近は韓国訪問で大量の受注成果を持ち帰ったばかりですから、島根の工場はフル回転でしょうか。
同じく5日は、神奈川県商工労働部主催の第1回の「バイオビジネス・パートナリング」という名称の、バイオベンチャーの企業プレゼン、情報交換会が「かながわサイエンスパーク」7階会議室であるんですね。熱心な県の若木伸子さんから案内の最終メールが届いていました。
プログラムは、東北大学大学院医学系研究科教授、宮田敏男氏が「大学からの創薬:意義と課題」と題して講演します。続いて、本題のバイオベンチャーは6社、「ガレニサーチ株式会社」(新規除放システムの紹介)、前にも紹介した聖マリアンナ医科大学発の「株式会社ナノエッグ」(革新的DDS技術NANOCUBEの事業展開)、「株式会社ネーテック」(化学修飾糖鎖を用いた医薬品・診断技術の開発)、「バイオフィジックス株式会社」(「有機磁性体を用いた新規医薬品の開発)、「株式会社リブテック」(リブテックの事業紹介)、「株式会社レナサイエンス」(抗血栓薬などの創薬研究開発の展開)−です。問い合わせ先は、(財)木原記念横浜生命科学振興財団、電話045-825-3487まで。
ああ、誰か参加してそのルポをまとめてくれませんか?う〜む、そそられますね。
今月はほんと、凄い行事が目白押しです。来週は、岡山大学に成瀬恵治教授を訪ねます。成瀬さんは、B-Bridge International,Inc代表で、米国でご活躍のキャリアな桝本博之さんの紹介でした。DNDもいよいよ米国進出の道が拓けるかなあ?
そして、来週は13日から京都に入り、14日、15日両日は第7回産学官連携推進会議です。東北大学教授の原山優子さん、東京農工大学大学院技術経営研究科長の古川勇二さんらが登壇しますので、その辺をウオッチしないとなりません。そして、DNDはブースをもちます。今回は、大学発ベンチャー企業のビジネス支援、「ビジネスNEO」のお披露目をさせていただきます。ご期待ください。
20日は大阪大学で、アンジェスMGの創業者で阪大教授の森下竜一さんが主宰する、バイオベンチャー支援のミッションを高くかかげるNPO青い銀杏の会のシンポジウムです。これも参加します。そして、26日、27日は産学連携学会の大分大会です。一応、会長の徳島大学教授、佐竹弘さんの会長顧問ですし、実行委員長の大分大学教授、伊藤正実さんともお会いしたいし…。悩んでおります。たぶん行くことになるでしょう。
実は、洞爺湖サミットは、いろんな意味で時代のエポックになりそうな気がしていますので、なんらかの形で参加したい、という気持ちが強い。内閣特別顧問の黒川清さんのご懸念通り会場のキャパの限界で、とてもとてもそんな状況じゃないようです。メディアを自称しても、こういう場合の扱いは、ごく一般人となります。う〜む、インターネットをベースに情報発信するいくつかのメディアと連携して、いま「メディアアライアンス」(仮称)の設立を目論んでいるところですので、ご関心のある方はご一報ください。
というわけで、これはなんとしてもという思いで、NEDOの企画調整部長の橋本正洋さん頼み、私をサミットのせめて会場付近に連れて行って、という具合です。そこで、札幌の京王プラザホテルを会場に温暖化議論「G8大学サミット」が6月29日に開幕し、世界から37大学の学長らが集まるという。ぜひ、という思いで事務局の北大に参加希望のメール、それもメルマガで紹介しますので、という懇願に近い形で出しましたが、返事はキャパに制限があり、希望に添えないという回答でした。う〜む、どこもかしこも、キャパですか。こういう時代ですから、モニターで中継するという方法なら、WOWOWを使うとか、なんか方法考えて欲しかったですね。
洞爺湖サミット、そこで日本がどういう施策をとっていくのか、そこが重要な気がします。6月1日夜のNHKスペシャル「低炭素社会に踏み出せるか」は、再放送を含めて2回拝見し、ビデオも撮りましたが衝撃が走りました。文字通り、「ドイツの衝撃・模範はかつての日本」という。ドイツの一般人がソーラーパネルで売電し、200万円の装置は10年で回収可能としている。北海道で風力発電のビジネスに動くNPO法人の代表は、電力会社が電力を買ってくれないのだ、と嘆く。買電は20倍を超える抽選なのだという。ああ、嘆かわしい。で、理屈はもう十分わかっている。やることを粛々とやる、その妨げとなる道ふさぎは、ひとつずつ取り除くという作業が必要なのでしょう。そこの決断が、問われているように感じました。じゃないと、本当に閉塞したTAGOSAKU社会の抜けられなくなりますね。
さて、連載は、「中国のイノベーション」17回、張輝氏の四川大地震に関する中国のネットに書き込みが殺到した、日本救援隊の奮闘ぶりに対する「ありがとう、日本」に触れています。
黒川清先生の最新コラム「第1回の野口英世アフリカ賞」。TICAD初日の28日に粛々と開催されていました。天皇皇后両陛下がご臨席されました。その様子が丁寧に報告されています。黒川先生はその選考委員長をつとめられたのですね。
この賞の創設者として挨拶にたった小泉元総理は、「今日、ここの会場の皆さんの上に野口博士の魂が降りてきているようだ」といわれたそうです。やはりどんな立場でも、どこにいても、小泉さんは人の心を揺さぶる言葉の強さを持っていらっしゃるのですね。