◆ DND大学発ベンチャー支援情報 ◆ 2006/09/20 http://dndi.jp/

Web2.0ネット新世代の上場局面

DND事務局の出口です。メディアは、遠慮なくそれでいて力いっぱい、それ らをWeb2.0革命の旗手と呼び、ネット新世代の台頭と持ち上げるのですが、 しかし、それって、どこまでが、本当にWeb2.0?という疑問を感じながらも、 メディアの移り気は、この秋の空〜。


というより、これら大学発等ベンチャーの台頭によって、その巨大メディア存 立の基盤、その足元が浸食され、激しく揺らいでいることになんら警戒心も、危 機感も持ち合わせていないところが、のん気というか、実は、最も危い。



巨大メディアの存亡の危機?!


日々起りうる世間の事象、それらのひとつひとつを一般論、自社の会社経営と は無関係という誤解、その悪しき思考、何事も自分たちの足元を支える経営的な 問題として捉えられない典型的な事例かもしれません。メディアの人は、会社経 営にコミットしない珍しい職業なのかもしれません、余談ですが‥。


新たなビジネスがネット上で少し動いたからといって、楽天やUSENを一世 代前という表現もいかがなものでしょう。ネットは、世界観や市場を猛スピード で一変させうる情報技術のツールですから、そのベクトル上にテンポよく発生す るビジネスを「新」とか「旧」とかで括るのも、それも疑問だが、それでは「新 聞」どうなるの?


今後も順調に成長を続けるか、どうか‐なんて、遠くに視点を転じれば、それ は、ご立派な金融機関もお偉いメディアも、その抱える課題は一緒です。消費税 アップの打撃は、新聞社の最大の懸念材料です。事業の躓き、株価の下落、それ に伴う経営破たんという、いわば市場経済のフィールドでは、その興亡、浮沈は 必然で、世の理(ことわり)、不思議なことでもなければ、特別、ベンチャーに限 ってことでもありません。


ライブドアのホリエモンさん、時代の寵児はいつのことやら、いまや法廷の裁 きを待つ身ですが、その彼の創業当初のマインド〜重く軋む時代のドアを自らの 手でこじあけようとした、という評価は、個人的には変ってはいません。


今の若者らの「僕も〜!」という起業への意欲、そのパフォーマンスが若者ら のモチベーションになっているかもしれないし、ITベンチャーの先駆者らに根 付くある種の互助精神、前に進みながら後輩を後押しする、そういうカルチャー は、実に尊い。



東証マザーズ上場のドリコム、ミクシィ〜


それにしてもそれらの社名、「ドリーム」と「コミュニティー」で「ドリコム」、 「i(人)」と「mix(交流する)」でミクシィ「mixi」〜そのネーミングに造語の冴え を見せながら、ブログ技術の開発やSNSの会員サービスに一歩抜きんでる、そ のビジネスセンスがブレークして、一見軽々しくひょぃと、そして短い間に東証 マザーズに上場を果たす、その彼らの優位性、その違いは、どこにあるのでしょ うか?


「ドリコム」は、社長は京都大学出身の内藤裕紀さん(28)、今年2月、会社設 立から4年余りでの上場でした。「米国でブームのブログ」で情報発信する若者 が急増していることに着眼し、ブログ作成技術を独自開発し、ブログ検索のツー ルとしてブログ&ニュースサーチのサービスも開始するなど、あくまで日本発の 技術にこだわっているようです。


上場のきっかけは、勉強会で出会ったサイバーエージェント社長の藤田晋さん (33)で、「上場はタイミングが大事だ」と忠告を受けた(日経新聞、ドキュメン ト挑戦から)という。なるほど、上場の要諦は、タイミング〜。


いま話題のミクシィは、社長の笠原健治さん(30)が東京大学在学中に求人情報 サイトを開設し、サイトへの集客力を増やす方法に悩んでいた時に、当時アルバ イト(現役員)だったインドネシアの留学生に「米国で流行っている」と聞いたの がSNSとの出会いだった(朝日新聞、ひと欄、志村亮記者)という。



ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)


創業から数えて7年、SNSのサービス開始から2年ちょっと、そして今年の2 月にこれまでの(株)イー・マーキュリーから運用サイト名のミクシィを社名に変 えての上場でした。本日発売の週刊新潮は、ITジャーナリストの言葉を引用し て、「ネットエイジグループの西川潔社長との出会いが、彼(笠原さん)の転機な ったんじゃないですか」と解説していました。成功の陰に、人あり。


そのSNS会員は、昨年秋で170万人が現在570万人に急増し、現在も爆発中で す。さて、そのSNS、ネット上を通じて仲間や会員といった非開放的な交流を 可能にする、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の意味というこ とはご存知と思います。次世代ネットワークサービスの象徴とされ、やや異論は あるものの、Web2.0の代表格とする媒体も目にします。


総務省の推計では3月末の利用者が716万人、昨年の6・5倍という急増ぶりです。 原則、会員の紹介がないと入会できません。サイト内の日記や個人情報は「仲間 内」でしか閲覧できない。そのため、「2ちゃんねる」に代表されるネット上の 掲示板やブログでは他人を中傷する文章が匿名で書き込まれてトラブルになる ケースもあるが、SNSは閲覧者が限定され、閉鎖的なので「安心感」につなが る、というのが人気の秘密(読売新聞、9月15日付スキャナー)という。私も含め、 DNDスタッフらの大半が、それぞれ個別にその会員でした。


しかし、メディアは新世代ネット企業の将来に楽観視はしていません。ミクシ ィは売上の9割が広告収入、それではネット大手との競争が激化する、そしてネ ット犯罪への懸念、まあ、これは一般論として、急増の会員数もやがて頭打ちに なる、などその課題や不安材料を指摘する論調も少しありました。そんなことも うとっくに折り込み済みでしょうけれど‥。 


 ミクシィの会社概要を拾うと、2006年3月期決算は売上が18億円、税引き後利 益は5億円、2007年3月期は売上高が47億円と前期比2・7倍を見込んでいる、とい う。株価は、初日買い注文が殺到し、初値がつかない人気ぶりで、公開価格155 万円は、一時倍近い315万円まで跳ね上がって話題をさらいました。現在、やや 下落したとはいえ、280万円から300万円台を維持し、ミクシィの時価総額は、20 00億円規模という。同じ程度の一例を示せば、明治製菓は、時価総額2200億円規 模なのだが、今3月期の売上高が3824億円、税引き後利益が86億円、売上18億円 のミクシィと3824億円の明治製菓の時価総額が変わらない点を捉えて、「(ミク シィの)株価が企業経営の実態とかけ離れていることがうかがえる」(読売新聞、 3面特報スキャナー、経済部の実森出記者)と指摘していました。


新聞紙面は、新規上場し社員らと取引開始を知らせる鐘を鳴らす社長の笠原さ ん、それでも浮かれる様子のない、やや抑え気味の静かな表情を捉えていました。 いままでのIT系ベンチャーの印象とちょっと違います。なにか、ギラギラした 感じがしない。これもホリエモンの反動なのか、ホリエモンだけがそうだったの かもしれませんね、今考えると‥。


しかし、ミクシィというネット企業の登場で、世の中は、どう変っていくので しょうか?SNSに参加しているか、どうか。友達から「信頼」の友としてお誘 いを受けたかどうか、それは案外、社会的ポジションを占う意味で重要な要素か もしれません。SNSの激増、この爆発気味のコミュニティがこのままの状態で 推移するとは思えませんが、ミクシィの台頭が、既存の情報基盤のインフラや社 会通念を、静かにそっと、ぶち壊し始めていることは確かでしょう。



Web2.0〜。ネットワークからコミュニティの形成


Web2.0〜。ネットワークからコミュニティの形成へ、掲示板からブログ、あ るいはSNSへの拡大は、誰もが予測、それに向けて動こうとしていながら、捉 まえたのはごく少数の若者でした。その変化のスピードは、遥かに想像を超えて おり、ブログ、SNSの波がヒタヒタと足元を濡らした、と思った瞬間、いきな りうわっと高波に呑まれてしまったような感覚です。もう、尻に火がついて、本 日、午後、そのDNDブログ運用会議の招集です。



「ナレッジ・トランスファー・ネットワーク」の狙い


DNDだって、といっても運用開始の4年前、知識ベースの電子会議室という 進歩的なコミュニティー形成の場は、すでに掲示板を凌駕し知識ベースのコミュ ニティーを演出してきた自負があります。


以下の通り、それを「ナレッジ・トランスファー・ネットワーク」と称して人 的ネットワークの形成を意図してきました。



電子会議室を、それぞれテーマを持ったプラットフォームとし、自由な意見交 換、知識の流通、人的交流を促進するものでした。が、プラットマスターという モデレータ役の世話人が、テーマの設定、議論の進行を担うというものでしたが、 そのプラットマスターの力量次第でそのプラットフォームの活性化が決まる、と いうものでした。


環境・食・安全のプラットフォームは、僕と、相棒の舟橋ドットコム主宰の舟 橋君が中心となって良質の掲示板を運営していました。息切れ、丸1年でへたっ てしまいました。う〜む、発想は良かったが、議論をひとつに集中させると、ど んどん専門的になってしまって、新規のゲストを遠くに追いやる傾向があったか もしれません。それでも一時、500近い会議室が機能していました。


そこで、これらの経験を生かして、内緒ですが、「いよいよ、腰をあげましょ うか!」という気分になっているんです。



DNDブログへの進展


DNDの優良で質の高いユーザーの特性を生かせば、例えば、DNDブログ10 00人への挑戦も難しいことではない。それへの環境整備、それにと会員コミュニ ティーをつなぎ、さらにもう一歩先を見通してのソーシャルサービスをも考えら れるかもしれません。それも結構、ワクワクするような企画です。


DNDブログは、勿論、無料です。皆様、どうでしょうか?やってみません か!タイミングを見て、個別にご案内を差し上げますので、その時は、よろしく お願いします。昨日、岩手ネットワークシステムの中心メンバーが何人かDND 秘密基地にお出でくださり、DNDブログを計画をお話しすると、「是非、やら せてください」という大学の先生が目を輝かせていました。手応は充分です。ご 期待くださいね。DNDは来年度からいよいよ自立の第3フェーズに入ります。 覚悟の年になりそうです。


あ〜あ、戸外は、久々にこんな青空が広がって、ひんやりと爽やかな川風が吹 き込んできます。気持ちのいい、その空に向かって背筋を伸ばしたって、にこや かな微笑を浮かべたって、その将来の安定した事業の姿は、なかなか見えてくる ものでもありません。それだからこそ、前に向かって確かな一歩を進めることが できるのかもしれませんね。



埼玉県・チャレンジ・ベンチャー交流サロン
本日夕開催、上田知事が出席予定


今夕は、中小・ベンチャー立県を目指す埼玉県の創業・ベンチャー支援セン ター主催のチャレンジ・ベンチャー交流サロンです。ゲストは、グローバルな事 業展開を戦略に位置づける、綜研化学の2代目社長、中島幹さんです。


技術屋を自称し、独創的な化学品の開発、他には真似できない技術・商品・ サービスを心がけているようです。優しい眼差しは、社員ひとりひとりを大切に するその姿勢の現れでしょうか。県内から選ばれた24人の中小・中堅の経営者が 参加します。僕が、そのコーディネータ役です。今回で3回目ですが、起業・創 業に熱心な埼玉県知事、上田清司さんがご一緒する予定ですので、楽しみです。


さて、さて、もうひとつ本日は、自民党総裁選で、第21代の安部晋三総裁(51) が誕生する見込みです。剣難の道を覚悟で、美しい国づくりに精進されることを 心から期待します。まあ、いろいろあった小泉純一郎首相、あの孤高を行く姿は、 クールでベンチャラスでした。Good Job! 


記憶を記録に!DNDメディア塾
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