DND事務局の出口です。あ〜あ、なんという洪水〜。また広範なエリアで犠 牲や被害が続出です。従来の予想を上回る、記録的な雨量を観測って、聞き飽き るほど繰り返される豪雨時の解説ですが、もう従来の観測データは、ほとんど役 に立たないという意味でしょうか、「日本列島沈没」はスクリーン上のフィクシ ョンにとどまらない。
梅雨前線は、日本上空を覆って停滞したまま、同じ地域に記録的な大雨を降ら し、広範囲に土砂崩れや浸水、河川の氾濫などの被害をもたらし、6府県で17人 が行方不明となっています。山陰の高速道は歪み、北陸の富山や福井、それに温 泉街に土砂が崩れ、それに長野県は岡谷市なども含めで7人が行方不明で、天竜 川の堤防も決壊し付近住民に避難指示が出されています。なお、警戒の呼びかけ がが続いていますから、くれぐれもご注意ください。
さて、当初の予想あるいは事実関係が裏表ひっくり返るのを「一転」という風 に表現します。今朝の新聞は、その「一転」の文字が目立ちました。秋田県警の 畠山彩香さん(9歳)の水死に絡む捜査の「事故から殺人」への一転、そしてパ ロマ工業社長のガス瞬間湯沸かし器事故をめぐる責任所在は「業者の安全装置の 不正改造から、機器の劣化などの自社責任」へと変転していました。
で、それらの記者会見。県警は、発言要旨うんぬんより、その弁明に立つ幹部 の苦しい表情が、そのすべてを物語っているようでした。ウソとはいわないが、 それを見抜く技は、決して警察の専売特許じゃないわけですから。初動捜査の段 階から事故と断定せず、事件をも視野に入れて周辺の聞き込みをしていれば、あ るいは豪憲君は無事だった〜という遺族や付近住民の声の方がより説得力があり ます。
一方、パロマのガス機器事故は、それこそ一転、事件の様相を呈して早急な安 全への対策が求められるところですが、最初の会見をテレビで見て、あんなに強 気でいいのかなあ、原因はどうであれ、若い学生らが死んでいるんだから〜って、 その創業者の同族の流れを継ぐ若い社長の態度に不快感と疑念を持っていました。 昨日の2度目の記者会見を見て、あ〜あ、やっぱりねというのが率直なところで した。今度のパロマの事故、その対応の躓きひとつで、会社存続の致命傷になる 可能性だって否定できません。事態は、さらに深刻の度を増すことでしょうし、 同様の他社メーカーへの影響や新たな事犯が発覚するかもしれない。
次々と露見する断片的な事実〜。過去の事故情報はメモ程度だった、というの は、お粗末で恥ずかしい説明でしたが、そんな訳ないよ、誰かが事故報告をあげ ているに違いない。事故を起した製品を確認していない、というのにも驚きまし た。回収して点検するでしょう。そして、事故の報告が経営陣に伝わっていな いーというのはどうも、信じがたいし、都合主義が透けてみえてきますね。例え ばそれが事実としたら、経営陣って、普段、何に関心を持って、何を議論してい たのでしょうか。
前の社長の代の事故とはいえ、つい最近まで不正改造をめぐって訴訟まで起き ていたわけですから、社長の「情報の共有化がされていなかった」というレベル の釈明では説明がつきませんね。この場も、つまり、担当の役員が、その下の幹 部が、さらに現場の担当者が‥と現場に責任を押し付けるパターン、自己責任回 避の悪しきマニュアルを見る思いです。
社長や取締役は、名誉職じゃなく、責任職であることを自覚しなければなりま せん。偉い、といわれるのは、責任を取る立場だから偉い、んですよね。それに しても警視庁から11日に問い合わせを受けた経済産業省の動きは、間髪入れず14 日には、一連の事態のほぼ全容を公表し、さらに説明を求め、そして調査の委員 会設置と、素早い対応でした。まあ、安全、それも人命にかかわる問題だから、 当然といえば当然のことかもしれませんが‥。
「安全とリスク」。技術経営をめぐるリスクマネージメントの議論の主な課題 は、いかに安全を確保するか、そして万が一のリスク回避の対策なのですが、そ の後のフォローも肝心です。
一旦、不祥事が発生したり、新たに発覚した場合、その次ぎの対応をどうする か、そのマネージメント次第で、会社が決定的なダメージを受けてしまう場合も あるでしょうし、またはそのリスクを最小限に食い止める、あるいはそのビハイ ンドをチャンスに変える‐ことだって可能かもしれない。社会の安全を確保し、 会社の信頼を取り戻す、そのための真摯なリスク対策が急がれているようです。
DND連載の「志本主義のススメ」を執筆する、この度経済産業省大臣官房審 議官に就任した石黒憲彦さんが、本日アップの59回目の原稿「ポスト株式資本主 義を考える」で、その辺の課題や問題点を整理して明解は答えを導き出していま した。どうぞ、ご一読ください。
以上のメルマガは、本日、朝の即興でしたから、内容に一部不確かな記述があ るかもしれませんので、ご容赦ください。予定していたのは全く別物で、本日未 明、それも夢の中でも推敲を重ねた「My favorite」でしたが、次回以降の取 り置きとします。新聞でいえば、残稿扱いです。
本日は、朝から会議が入って、東京・港区のNEDO白金台研修センターで開 催の「サービスサイエンス・イノベーションシンポジウム」の参加は見送りとな りました。前経済産業省大学連携推進課長でNEDO企画部長の橋本正洋さんが 基調講演、日本IBMの東京基礎研究部長の日高一義さんが基調報告を行い、 サービス・イノベーションの振興とサービス・サイエンスへの期待と題してのパ ネル討論も予定されています。
また、今週の21日(金曜日)は、OECD東京政策フォーラムが国連大学 「ウ・タント国際会議場」で開催されます。主催は、OECD東京センター、経 済産業省、外務省、(独)経済産業研究所(RIETI)、(財)貿易研修セン ターで、午後13時30分から開始、冒頭、経済産業大臣の二階俊博氏、OECD事 務総長のアンヘル・グリア氏がそれぞれ講演に立ちます。
続いて、「新しい成長」に向けたチャレンジ〜と題したポジティブなパネル討 論には、経済産業省の事務次官に就任された北畑隆生氏、RIETI理事長の吉 冨勝氏、島津製作所・代表取締役会長の矢嶋英敏氏、富士通総研・専務取締役の 根津利三郎氏らが登壇します。モデレーターを東京大学大学院助教授の新宅純二 郎氏が務めます。事前の準備や広報体制、それに登壇者らの顔ぶれから、人気が 高く、300人の定員はすでに満員御礼となっております。