◆ DND大学発ベンチャー支援情報 ◆ 2005/08/24 http://dndi.jp/

主要行事の予告

DND事務局の出口です。前線と台風の余波で、どんより雨雲が垂れ込めてい て、めっきり初秋の趣です。さ〜て、腕まくりして準備、準備‥。


 9月は上期(4月から9月)を総括する仕上げの月であり、そして下期(10月 から3月)への準備期間と教えられてきましたから、ドカッとデスクに陣取り、 あれこれ思索や整理が続いています。


 やり残した事、見直しすべき事、早めに手を打たなくてならない事など、ひと つひとつ、片付けなければなりませんが、まず、行事の確認と調整を優先しまし た。舞い込む案内や告知などから、今後の日程を整理しました。


 「産業界のニーズに応える大学とは」と題したワークショップが8月31日 (水)午後1時から東京・千代田区の経団連会館で開かれます。(問い合わせ先 03−3277−0555、申込は26日まで)。主催、そして企画は経済産業 省大学連携推進課です。


 大学における教育、研究、そして産学連携などの取り組みのさらなる促進のた め、独自開発した大学活動の評価手法を駆使して、このワークショップのサブタ イトルで示す通り、「産業競争力向上に資する大学活動評価の試み」を具体化し よう、という狙いがあります。


 総合科学技術会議での18年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の 方針で示された「競争的資金の適切な配分」。この重い課題をどのように実現す るか?との自問を続ける大学連携推進課によると、競争的資金の大半が大学の研 究者に配分されている現実から判断して、競争的資金の配分には、大学活動の評 価に基づく科学的な配分が不可欠だ‐という考えが背景にあります。今回のワー クショップは、その実現に向けた、いわば所轄や関係機関の擦り合わせ的な意味 合いもあるようです。


 この試みが推進されれば、かなりドラスティックな大学改革に通じていくよう に思えてきます。講演は、大学連携推進課長でこの企画の立案者の中西宏典さん に加え、大学評価・学位授与機構長の木村孟さん、東京工業大学学長で国立大学 協会会長の相澤益男さん、総合科学技術会議議員で産官学連携に精通する阿部博 之さん、産業界から日本経済団体連合会の産学官連携推進部会長の山野井昭雄さ んら、重鎮が顔を揃えます。


 一方、こちらは大学の現場からの問題提起の集まりになります。産学連携ネッ トワーキングを標榜する「産学連携実務者会議」(UNITT)は、昨年の「日 本版AUTM型研修」から名称を変えての初セミナーを9月9日(金)、10日 (土)の両日、東京・渋谷の青山学院大学青山キャンパスで開催(応募は、大学 知財管理・技術移転協議会ホームページから。申込8月31日まで、有料)。


 上記の協議会の会員が中心となった実務者研修で、技術移転のノウハウの共有、 技術移転スキルの向上、そして人材交流を目的にしている、という。そこで、そ のプログラムを見ると、モデレーターやパネラー陣がざっと40人に及び、東京 大学TLO社長の山本貴史さん、東京大学先端科学技術研究センター教授の渡部 俊也さん、東京農工大学産官学連携・知的財産センター教授の小島寛明さん、北 海道大学知的財産本部戦略部長の鈴木隆一さん、海外からも弁護士でKirkland& Ellis LLPパートナーの中町昭人さんが駆けつけてくるようで、その顔ぶれも半 端じゃない。


 題材にしているテーマは、「ベンチャー起業と利益相反」、「研究者の異動と 知財マネージメント」、「発明の評価と特許の維持管理」、「共同研究と共同出 願」、「TLOと知財本部」などを柱に8つ。現場の実務者らが共通して抱える リアルな問題を遡上に載せていました。昨年の研修の様子は、このメルマガでも 取り上げましたが、大学発ベンチャー起業とIPO、それに伴う利益相反の課題 に関して、誤報に近い新聞記事の扱いを巡る「未公開株=犯罪」という悪しき風 潮についての正しい認識を指摘し、一部マスコミ報道を断罪していました。今回 は、それを一歩深めて、「起業の際、大学が行う利益相反のマネージメントの方 法」、「兼業の対価としてのストックオプションの取得への対処について」、 「研究者が異動した場合、異動前の大学での知的財産権の扱いは?」、「共同研 究先企業がその成果を独占する場合としない場合のマネージメントはどう変わる か?」など、その抽出されている課題は、よく練られていて現実的で、今、すぐ にでも役に立ちそうです。大学の現場でいま何が起きているか?その辺が最も良 く分かるセミナーとなりそうです。是非、大手マスコミの幹部や編集記者らの参 加も期待したいものです。定員は200人。


 同時期には、バイオ技術の実用化、そしてビジネス化に狙いを定めた「バイオ ジャパン2005‐ワールドビジネスフォーラム‐」が、パシフィコ横浜を会場 に9月7日(水)から9日(金)の3日間、開催されます。


 日本国内の地域バイオクラスターの中心地のひとつである横浜で、「国と国、 企業と企業、人と人の結びつきを深め、有機的な連携を築いていく」という。こ れも見逃せません。


 起業家教育に熱心な大学発ベンチャーのひとつで、セルフウイング代表の平井 由紀子さんから飛び込んできた案内は、やはり9月8日(木)、午後13時から 早稲田大学国際会議場(井深大記念ホール3階第2会議室)で、入学時から就学 時までのキャリア教育・起業家教育の必要性へのセミナーと事例発表が行われま す。基調講演は、起業家教育の第一人者で早稲田大学経営大学院教授の大江建さ ん。無料だが、夕刻からの名刺交換会及び懇親会は2000円。問い合わせは、 セミナー事務局(電話03−5292−0738)。


 いやはや、世の中の感心は、その結果を受けて流動化しそうな9・11の総選 挙、すでに公示を前に佳境に入っています。が、同時に知的でホットな産学連携 を巡る論議もあちらこちらで繰り広げられていることに気づきます。どこの会場 に足を運びますか?僕は、UNITTの青山学院大学へ行くつもりです。他の会 場でもいろいろありそうですね。紹介洩れは、ご容赦ください。


 もうひとつ、大学連携推進課が主導の「世界の発展に向けた新たな戦略:グ ローバル・イノベーション・サミット」は、9月14日(水)は愛知万博会場のア メリカ館で、15日(木)は午前10時から午後17時半の予定で名古屋の名古屋東急 ホテルで開催されます。15日のプログラムでは、愛知万博米国政府代表大使のリ サ・ゲーブル氏、産業技術総合研究所理事長の吉川弘之氏らの挨拶を始め、日米 の識者らによる3つのパネル討論会、講演で構成されていて、登壇者の顔ぶれは 超豪華です。


 米国から、前メルク会長兼社長兼CEOのレイモンド・ギルマーチン氏、国立 科学財団総裁のアーデン・L・ベメントJr.氏、シリコングラフィックス社CE Oのボブ・ビショップ氏、TIME国際編集長のマイケル・エリオット氏、米国 商務副長官のデビット・サンプソン氏、アクロン大学学長のルイス・プロエンザ 氏、前GMアジア太平洋社長のルディー・シュレイス氏、米IBM技術戦略/イ ノベーション担当副社長のアービン・ワルダウスキー・バーガー氏らが大挙して、 名古屋に乗り込んできます。


 迎え撃つ日本からは、トヨタ自動車の渡邉浩之技監、NEDOの佐々木宣彦理 事、東芝の岡村正会長、東京大学の小宮山総長、東京工業大学の相澤学長、京セ ラ会長兼CEOの西口泰夫氏、先端医療振興財団理事長の井村裕夫氏、オリンパ スの菊川剛社長、早稲田大学の白井克彦総長、デフタ・パートナーズの原丈人会 長、東成エレクトロビームの上野保社長、経済産業省産業技術環境局長の齋藤浩 氏らがイノベーションをテーマに議論を深めることになります。


 日米に拠点を持つ原丈人さんといえば、数日前、サンフランシスコからメール の暑中見舞いが、フォーラムの案内と一緒に届きました。何度かお会いして思う のは、柔和ながら凛として、外見からはうかがい知れないほどの芯の強さでした。 案内は、「世界の頭脳と日本の顔が明日を語る」と題した原さん主宰の「ワール ド・アライアンス・フォーラム東京円卓会議」で、9月14日(水)午前10時から東 京・大手町のサンケイホールで、前ソニー欧州会長でザルツブルグ大学総長のオ ットー・ジッヒ氏、サンタフェ研究所理事長でイギリスの生化学者のジェフ・ウ エスト博士ら著名なゲストを多数、お迎えするそうです。日本からも日本学術会 議の黒川清議長らが来賓として出席する予定のようです。西に東に、国際的な知 の交流が日常化しているようです。


 首都大学東京学長の西澤潤一氏が会長を務める、先端技術産業調査会の理事 長・三浦宏一さんからの案内は、9月15日(木)経団連会館9階で午後15時か ら16時半、「人口減少社会における労働政策の課題」と題して開催される研究会 でした。講師は、厚生労働省政策統括官の太田俊明氏、それに労働者健康福祉機 構の伊藤庄平理事長。問い合わせは、同事務局(03−5282−2111)。 同会の評議員として、お手伝いできていないのが、ちょっと心苦しい。


 本日到着の案内は、「イノベーション・ジャパン2005−大学見本市」、出 展社ということでそのパンフレット300部がドーンとダンボールひと箱分届きま した。これも充実のプログラムがギッシリ。


 9月27日(火)から29日(木)の3日間、東京・有楽町の東京国際フォー ラムで開催されます。今年で2回目、タイトルは、大学発「知」の見本市、そし て日本全国から269成果が集結する‐というからお祭り模様です。


 主催は、科学技術振興機構、NEDO技術開発機構、共催に文部科学省、経済 産業省、日経BP社、特別協賛として野村證券がバックアップしています。DN D連載コラム担当の野村證券の平尾さんが奔走しています。基調講演は、初日27 日に日立製作所社長の庄山悦彦さんが「ユビキタス情報社会をイノベートする産 学官連携」、28日は東京大学総長の小宮山宏さんが「時代の先頭に立つ〜知の構 造化と人材養成〜」と題してそれぞれ、午前10時から1時間の予定で行います。


 併設のセミナーは、それなりにタイムリーなテーマを設定して、従来の内容か ら一歩踏み込んだ切り口に工夫を凝らしています。


 「実りの秋、大学知的財産本部成果還元際〜問題解決のヒントがここに〜」 (28日午前11時半から16時半)、「NEDOフォーラム産学官連携サクセスス トーリー」(28日午前11時15分から12時30分)、「知的財産と産学官連携〜創造 的知財戦略、オープン・イノベーション、インフラと人材」(29日午後13時から 16時の予定)、そしてこの3日間を通じて、野村証券提供の「大学発ベンチャー IPO実践ワークショップ:集まれベンチャーの卵たち!」と銘打ったベンチ ャー起業家からの事業プランのプレゼン、あるいはベンチャー志向の参加者、専 門家らとの議論の場も用意されています。


 プログラムを見て興味を引いたのは、経済産業省の大学連携推進課が企画する 「大学発ベンチャー支援者ネットワーク・フォーラム」(28日午後15時20分から 17時)でした。イノベーション・クラスター戦略をテーマに大阪大学大学院教授 の金井一頼さん、大学発ベンチャー支援者ネットワーク事業についてーを中西課 長が発表した後、今年度の新規事業として採択された支援ネットワーク構築のベ テラン15人が、主に全国の大学などから集まって、支援ネットワーク論を地域の 実例に沿って展開する、という。モデレーターは、DNDで産学連携講座を連載 する東北大学教授の原山優子さん。ネットワークリーダーと称される大学関係者 を採択名簿からピックアップすると、筑波学園都市から上原健一さん、浜松地域 から林正浩さん、東京農工大学発(府中・小金井地域)から大木茂さん、大阪大 学発ベンチャー支援の「青い銀杏の会」から福井由美子さん、徳島大学から佐竹 弘さん、立命館大学から中谷義彦さん、福岡地区から谷川徹さんらで、ごく親し い人の名前も散見されます。しかし、15人が一斉に壇上に上ると、どんなことに なるのかなあ〜。


 主催の科学技術振興機構は、NEDO技術開発機構を連動して、お得意の「新 技術説明会」を3日間通しで行います。27日は、ライフサイエンス・バイオなど 6つ、医療・福祉を3つ、28日はIT関連が3つ、製造技術・ロボットが2つ、 29日はナノテクノロジー・材料が7つ、環境・エネルギーが1つの6分野から21 件の新技術の発表が行われます。


 こりゃ、この3日間、スケジュールの調整が大変ですわ。DNDは昨年に続い て出展し、サイトのデモンストレーションを行います。


 大学発バイオベンチャー協会からは、10月7日(金)夕刻16時から丸の内のパ レスホテルで開かれる総会の案内が届きました。DNDの企画連載でお世話にな っている、大阪大学大学院教授でアンジェスMG創立者の森下竜一さん、またお 世話になった、名古屋大学大学院教授の上田実さんらベンチャラスなご両人が、 同協会の副会長を務めます。実際、お二人を前にしたら、もう僕は借りてきたネ コ状態です。会長は、水島裕先生です。総会と言っても、極めてアカデミックに そして真剣な、パネルディスカッションが予定されています。


 テーマが「知的財産戦略」。司会は、森下さんと北海道ベンチャーキャピタル 社長の松田一敬さん、雄弁なお二人の差配は、見ものです。パネリストには、内 閣府の知的財産戦略本部事務局長の荒井寿光さんらが参加する予定になっていま す。これはクローズトな協会関係者の会となります。


 その次ぎの週は、10月最大の行事となる、第8回日本ベンチャー学会全国大会 です。10月15日(土)、16日(日)の両日、いずれも午前10時から、早稲田大学 国際会議場をいっぱい使って繰り広げられます。


 テーマは、「大学発ベンチャーの光と影」というから、穏やかじゃない。さっ そく、大江先生からご紹介いただいて、参加手続きの準備をしています。初日は、 その大江さんがコーディネータとして進める起業家教育セミナー「大学発ベンチ ャーを支える起業家教育」、そのパネリストに、起業家教育分野では、全米NO. 1と評価の高いバブソン大学教授の松野研一さんが参加する予定になっているじ ゃないですか!


 昨年の2月の厳冬のボストンにバブソン大学を訪ねた際に、お世話していただ いたのが松野さんでした。記憶にあるでしょうか。16日は、早稲田大学教授で同 学会理事の柳孝一さんの総合司会で、今大会の主題「大学発ベンチャーの光と 影」が論議されます。


 味のある凄い識者らがパネラーに名を連ねています。オープニングスピーチに ベンチャービジネス論の草分け的存在で、前同学会会長の清成忠男さん、続いて 大学連携推進課の中西課長が立ちます。パネリストには、同学会会長の松田修一 さん、東京大学総合研究機構教授でイノベーション・ジャパンの提案者でもある 松島克守さん、バイオベンチャーの起業家で(株)オキシジェニクス社長の高木 智史さん、慶応大学知的財産戦略の看板を背負う同センター所長の清水啓助さん、 引き続き柳さんがコーディネータを受け持ちます。参加申込は日本ベンチャー学 会事務局まで、参加申込の締め切りは9月30日。


 なんとも、それにしてもいっぱい書き込みました。まだ、あります。簡略に付 け加えますと、10月19日(水)は大阪市のハイアット・リージェンシー・オーサ カで、第4回日本バイオベンチャー大賞の授賞式が予定されています。後援団体 の一人として出席する予定ですが、審査員の森下さんや松田さんらとご一緒にな るはずです。さて、今年の大賞は?第1回の大賞は、森下さんのアンジェスMG が射止めていました。


 11月に入ると、第5回産学官連携サミットが11月14日(月)午後13時から17時 半の予定(18時から交流会、会費制)で、東京プリンスホテルで開催されます。 翌11月22日(火)は、東京・港区田町のCIC東京の国際会議場で、「大学新時 代『知』の産業化‐躍進する大学発ベンチャー」と題して、第2回CICフォー ラムを開催します。同CICに参加の35大学から、選りすぐった大学発ベンチ ャー8社のプレゼンテーションが予定されています。DNDが後援する予定です から、詳細が決まりましたら再度、告知します。


 産学官連携を取り巻く、何かがボーンと弾けたようで、従来のフォーラムやセ ミナーからひと捻り加わっていることに気がつきます。UNITTのプログラム に見られるように、議題や論点が現実的で地に足が着いて来たーという印象です。 「なぜ産学連携なのか?」のような一般論は、とっくに姿を消しているようです。 そして、パネラーや講師の顔ぶれが、はっきりモノを言い切る論客が多く、芯の ぶれない骨太の論議が期待できそうで、なんとも頼もしい。


 さて、私からお知らせをひとつ。愛読の週刊誌のひとつに朝日新聞の「AER A」があります。今週発売の「編集長敬白」(74P)脇の余白欄に「次号のアエ ラは●三島由紀夫『潮騒』の島は糖尿病癒しの島」との予告が載っています。こ れは、産学連携ウオッチャーの肩書きで、私が書いたものです。発売は、来週の 8月29日(月)です。


 実は、去る7月13日配信のメルマガ「三重大学の鳥羽方式『糖尿病患者の 旅』」が「AERA」編集部の目に留まり、そのメルマガをベースに医学的なア プローチを加えて書き直しました。この三重大学の産学連携の取組みは、閉ざし がちな大学の学部間のスムーズな連携、地域活性化へのアイディアと具体的な貢 献、それに急増する糖尿病という病に挑む‐という社会的なテーマがいくつも盛 り込まれているところが、評価のポイントになったようです。また、「潮騒」の舞 台というところが面白さかもしれません。どうぞ、是非、お読みいただくことを 期待します。皆様の地域や現場で、そのような大学の地域貢献の最新事例があり ましたら、ご一報ください。



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