◆ DND大学発ベンチャー支援情報 ◆ 2004/ 10/ 27 http://dndi.jp/

Good Luck 魔法のクローバー

DND事務局の出口です。何もかも約束された人生なんてありえないし、誰だって漠とした不安を抱えながら、落ち込むこともあれば、時に傷ついたり、自信を失くしたりする方が、むしろ多く日常的なのかもしれません。


が、いっぱい豊かになったのに、どうも、「生きる」というそのこと自体が、哀しいくらい難しくなってしまったようです。だからでしょうか、今、「魔法のクローバー」‥。


自分に幸運を贈る本−という形容がピッタリの「Good Luck(グッドラック)」(ポプラ社刊)をペラペラめくって1度、胸にグラッとくる言葉を見つけて2度、そして、何度も読み返しているうちにスーッと目の前の霧が晴れていくようで、なんとも不思議な心のビタミン剤のような本です。


舞台は、ニューヨークのセントラルパークでの、ある偶然、64歳の初老の紳士の54年ぶりの再会から始まります。ゆったりと、のんびりと、うららかな散歩日和、きっとようやく遅めの春がきたのでしょう。


書評からその評判の一部を引用すると‐フィリップ・コトラー氏は「星の王子さまのようだ」と絶賛し、ビジネスマンは実践的なノウハウを学ぶために読み、若者はくり返し読んで人生のバイブルにしたい、といい、子どもは面白い物語として読み、親はわが子へ大切なことを知ってもらうために読ませたい、という。この本は読む人によって、伝説にも、哲学書にも、ビジネス書にもなる‐と。


発売から100日で100万部のミリオンセラーの所以かもしれません。題材の四葉のクローバーをあしらった萌黄色の装丁は、リバーシブルで工夫を凝らしていますから、裏面は手にしてからのお楽しみ。長坂勇司さんの労作です。いやあ〜手が込んでいます。


この本の出版に関しては、本文中に繰り返し登場する「グッドラックの言葉」のひとつ、例えば、「幸運をつくるというのは、チャンスに備えて下ごしらえをしておくこと。だが、チャンスを得るには、運も偶然も必要ない。それはいつもそこにあるものだから」−の教訓が随所に再現されています。


著者は、アレックス・ロビラ氏とフェルナンド・トリアス・デ・ベス氏の共著で、両氏とも欧米ではマーケッティング戦略のコンサルの専門家で、MBAホルダーの経済学者。アレックス氏は、ヒューレット・パッカード、マイクロソフト、モルガン・スタンレー、そしてソニー、フェルナンド氏は、ボーダフォン、ネスレ、ダノン、メルセデス・ベンツ、そしてソニーをそれぞれクライアントとしていて、すでにその業界ではつとに有名です。翻訳は、30代後半の田内志文さん、平易な言葉使いで分かりやすい。


原版のスペインで25万部、英語圏でも20万部だから、国内のミリオンセラーは、それなりの戦略が奏功したようです。ポプラ社社長の坂井宏先さんは、マスコミ向けの専門紙「文化通信」(10月18日号)のインタビューに答えて、「発売前から売れるよう仕掛けた」といい、発売の2ケ月前から、パイロット版をつくり、トーハン、日販、書店、関係者モニターに配って読んでもらったり、大型書店の店頭でポスターを掲げるなど、「社運を賭けて取り組んだ」という。フジテレビの朝の「めざましどようび」(9月25日)で取り上げられた日は、平日の10倍の売上を記録するなど、新聞広告への露出、メディアでの書評も効果があったようです。


目標150万部、冬季限定版として、11月1日からは、従来のグリーンの表紙からローズに変えて、表紙2色の併売も試みるらしく、読者からは感想文を募り、入選者にスペイン旅行招待なども計画している‐という。


「できることをすべてやったら、焦らず、あきらめないこと。自分には必ず幸運が訪れると信じ、甘い言葉には耳を貸さぬこと」(グッドラックの言葉)。


文字通り、Good Luck!は、出版元のポプラ社に止まらず、読んだ多くの人の明日への糧となり、数多くの「幸運」をもたらすに違いない。


思い起こせば、オイルショック前夜の70年代初め、「かもめのジョナサン」(リチャード・バック著、新潮社)があり、作家の五木寛之さんが翻訳して話題となりました。より高く、人生の目的を探求することの大切さを教えてくれた寓話でした。そして最近では、20世紀最後の年の秋、「チーズはどこえ消えた?」(スペンサー・ジョンソン著、門田美鈴さん翻訳、扶桑社)がミリオンセラーとなっていました。変化は吉にも凶にもなり、チーズの変化に敏感に対処し、新しいチーズを求めて行動を起こすーことを教訓としていました。


10時40分、原稿を打っていると再び震度6弱を伝えるNHKの地震速報、その中継、切羽詰った声で警戒を呼びかけています。新潟中越地震。そのショックや連日連夜に及ぶ余震の不安、寒気と氷雨‥。避難生活を余儀なくされている方々が10万人を越え、その心労で亡くなる人が相次いでいるという2次的な震災死の続報に言葉がありません。DNDの仲間の新知事、泉田裕彦さんの初登庁は、2日早い地震当日の災害対策本部からで不眠不休の戦いが続いています。42歳、ストロングフォーティーの天命かもしれません。現場主義で行動派の泉田さん、どうかここは踏ん張ってください。


さて、昨日から空路、北九州へ。21世紀のエネルギー戦略の重要な柱となる燃料電池、水素エネルギーの先進的な技術の紹介や講演が本日27日から3日間、西日本総合展示場を舞台に開催されています。


東京からは経済産業省資源エネルギー庁の燃料電池推進室長の安藤晴彦さんや、水素エネルギー協会理事の岡野一清さんらが駆けつけていました。地元九州大学からはリーダー格の村上敬宜さん、エンジンの大家と定評の城戸裕之さん、それに野口博司さん、杉村丈一さん、大屋祐二さんら教授陣、それに民間や研究機関を入れるとざっと50人余りの登壇になるんでしょうか。その動向、課題、技術‥水素EXPOの様相です。いま、ここから水素社会の扉が開かれようとしています。


裏方に、九州大学の工学研究院長付調査室長で助教授の松田一也さんが奮闘し、産学連携のコーディネターの役割をきっちりこなしていました。15メートル×15メートルのブースを製作するため、4トントラック2台で小倉入りし、寝不足気味。大学発ベンチャーについて、起業の分野、それに充実しつつあるサポート体制、問題は、その仕組みです‐と現場からの課題を指摘していました。DNDサイトに近く、松田さんの「産学連携道場」が登場いたします。ご期待ください。


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