DND事務局の出口です。♪いくつもの日々を越えて辿りついた今がある だからもう迷わずに進めばいい 栄光の架け橋へと… NHKアテネオリンピック放送のテーマソング。二人組みの「ゆず」が歌う「栄光の架け橋」は、アスリートらの輝く表情をスローで映し出すウイニングランの映像と重なって、メダルの感動を再び、強く呼び起こしてくれます。
すごいですね、アテネ五輪は、閉幕まで5日残してロス五輪と並ぶ史上タイのメダル32個。次々と歴史的な快挙を生み、数々の夢のドラマを見せてくれています。際立つ美技の体操、忍従の柔道、執念の女子マラソン…新聞の見出しが大きく躍り、アナウンサーは絶叫し、深夜のテレビ観戦で目を赤く腫らして寝不足が続く。
「誰にもみせない泪があった 人知れず流した泪があった 決して平らな道ではなかったけれど確かに歩んできた道だ〜何度も何度もあきらめかけた夢の途中」、「悔しくて眠れなかった夜があった 恐くて震えていた夜があった もう駄目だと全てが嫌になって逃げ出そうとした時も 想い出せばこうしてたくさんの支えの中で歩いて来た」。
その歌詞をなぞると、2年間のブランクから復活した日本五輪史上3連覇達成の柔道の野村忠宏選手、1大会2冠の競泳の北島康介選手らの「辿りついた今」に至るその苦難の軌跡が、彷彿としてくるようです。
それにしても、今回の日本選手団の大活躍の背景に何があったのでしょう?いままでと何がどう違っているのでしょうか?その意味を探ってみたい―。
日本のゴールドラッシュに対して海外メディアからの反響を「日本がスポーツに力を入れてきた結果」(21日付産経新聞3面)と伝え、「金メダル倍増計画」(01年4月策定)など国内の強化施設の充実、海外遠征などによるデータ収集といった強化策や、人材育成への体制整備などが徐々に実を結んできた―と指摘していました。
「復活お家芸」をテーマにメダル量産につながった秘話を特集しているのは8月30日号の「アエラ」。活躍の裏には、数々の「掟破り」が隠されていた―とし、海外遠征の際の飛行機、従来の役員優遇の体質から「選手ビジネス、役員エコノミー」を定着させた体操の選手重視のあり方はその典型的な例のひとつ。 競泳。北島選手の活躍の陰に「チーム北島」の存在を指摘し、その中心的な役割を担う平井伯昌コーチは、北島選手が中学2年の時から一貫して指導を続けているという。水泳界では、中学、高校、大学と指導者が次々に変わることが珍しくない。その慣例を平井コーチが変えたというのもそのもうひとつの「掟破り」。拠点の確保、泳法解析、ハリ治療、メンタルトレーニング…などを継続的に取り組んできたという。
その平井コーチ、「彼の中学時代から五輪で勝つことを目標にやってきた。世界一は過去にとらわれず、誰もやっていないことをやらないと手にすることはできない」と語り、自身の役割を「指導者というより、コーディネータ」と言い切っていました。
「日本のお家芸」は、その慣例や伝統を根本から見直す事で復活した―との結論は十分にうなずける指摘でした。
快挙をもうひとつ。それは真紅の優勝旗が津軽海峡を渡って北海道へ。悲願というより、ほとんど諦めていた甲子園での優勝、駒大苫小牧高校の活躍ぶりは、道産子の人たちをどれほど勇気づけたことでしょう。その札幌の道庁前広場は昨日優勝報告会に7000人のファンが駆けつけていたようです。地元出身のひとりとしてちょうど出張で来ていましたから、せっかくなら、その歓喜の渦中にまぎれこんでいたかったが残念…。
北海道新聞本日付の朝刊で「海を越えた大旗」の連載が目に留まりました。その勝因に触れて「先輩も後輩もなく、上下関係に萎縮することのないのびのびした雰囲気で野球の質を高めた」とありました。
それぞれの快挙その背景に何か共通の要因が見え隠れしているように感じます。勝者は、どんな場面でも輝いて見えます。それらが、また次ぎの時代を牽引していくに違いない。そして、その積み重ねが、財産となって新たな歴史を築き上げていくのかもしれません。