DND事務局の出口です。朝のニュース。決壊した河川の堤防に土嚢を積み上げる作業が、積んでは押し流される‐を繰り返し、幼子が母の胸で怯えながら「下が川みたいになって怖かった」と語り、屋根から下着姿の男性が、助けを求めてタオルを振り続けていました。集中豪雨に見舞われた新潟県各地の上空からヘリからの中継を入れながら、その被害状況を伝えていました。痛み入るくらいの死者、行方不明者の数、逃げ遅れた住民の捜索も続いています。自分の家だって不安なのに、自衛隊や警察、消防のみなさんの奮闘は涙ぐましい。
それにしても‥。家の前の道路が胸まで漬かる濁流が押し寄せて、一面水浸し。なんという事態なんでしょう。あれほど深く強固に廻らせた護岸工事のはずが、一気に決壊してしまう。豪雨は今夜も断続的に続くというから、被害はさらに拡大するかもしれない。心配しています。
写真や映像を見て、もう5から6年前ですが、北海道東京事務所長(当時)との会話を思い出していました。当時、栃木、茨城など北関東や中越地方に集中豪雨が襲い、那珂川などが氾濫し死者、行方不明者が多数に及びました。その所長曰く、「新潟県に被害が少ないのは、やはり政治力なのかい?公共工事への批判が多いけれど、北海道だってまだまだ、手当てしなくてはならない則面の砂防工事など必要な箇所がいっぱいある。被害がでないと次ぎに進まない」と。
自然災害への一種の諦観、しょうがないんじゃない‐って諦めて、納得してしまう習性があるのかもしれない。「止まない雨はない」というのはごまかしです。降り続いている状況をどう克服するか‐が大事です。止むまで待つ‐という姿勢は、達観を装う欺瞞でしかありません。
阪神淡路の震災のあと、就任間もない石原都知事に東京港、東京湾周辺での同規模の地震に対しての手当てについて、質問したことがあり、「いい指摘ですなあ」と感心して、東京港は首都圏エリアの要諦であり、コンテナなど輸出入貿易の拠点、そこが壊滅的な打撃をうけて機能不全に陥ったら、東京とういうより、日本経済や国家に与える影響は甚大‐との認識を示し、そこからが石原さんらしいのですが、「何かいいアイディア、知恵があったら教えてよ」と話していました。やはり、元運輸大臣経験の見識なんでしょうか、反応が早く、すぐ港湾局に指示を出されました。
公共工事がなぜ、悪い‐個人的には、無駄遣いや談合に見られる水増し積算への不信、あるいは公共工事は大企業、ゼネコン優遇という偏った批判から、公共工事そのものにある種の偏見が燻ぶって膨張し、いまやブレーキとなって、「安心して住める国土の整備」という政治の基本となるべきマニフェストが、いつのまにか影を潜めてしまって、公共工事を声高に主張すると、どうも胡散臭く映る‐その現状を嘆かざるをえない。だって、台風がくれば、九州や四国は例年、多くの犠牲者を出しています。最近だって静岡周辺が、その前は中部地方が豪雨の被害を受けました。
日本の地理的な条件や風土のもつ、避けられない宿命なのかもしれないけれど、どうも近年、異常な気象現象というか、どこかおかしい。酷暑続きの関東周辺も異変。本日、銀座の外気、温度計は39.5度。いままでとは違う何かが起きてきている気がしてならない。
ですから、いくら予測される最大雨量を過去のデータから推計して、その工事の規模や強度、そして予算を決めて安全確保に努めてきたのでしょうけれど、その安全神話が頻繁に裏切られてしまう。これまでの物差が、現実に合わなくなってしまっているのではないかなあ。また、起きなければいいのだが、その保証はみあたらない。
珍しく提案。原因をいくら気象学的にアプローチしてみても結果論ですから、次への予防にはなりえない。過去の集中豪雨の被災地、被害状況の検証から、それこそ工学、土木など専門の大学の「知」を活用して、地域ごとの防災マニュアルを科学的に構築し、具体的に危険箇所を整備すべきと、強く思います。やってるんでしょうけれど、例えば埼玉県の某市に関わる向こう3ケ年計画策定の委員として、防災・環境部会に参加してみて気づくのは、阪神淡路の規模の地震が発生した場合、何万人が被災し、家屋倒壊が数十万戸という類推し、その手当てとして食糧、水の確保は何ぼ!というのが、通例らしく、それでおしまい。そこで、どこの地域のどの辺が倒壊の危険エリアなの?と聞けば、それは不動産業者らの営業に差し障りがあるから公表できない‐という。お寒い限りで、何を守らねばならないか?それが、わかっていない。
被害の痛手は、数字だけでは推し量れない。アルバムや手紙、幼いころ書いた絵や習字、趣味で集めたブリキの玩具、書籍やCD、お気に入りのブラウスやら靴、カメラやゲーム機、先祖からの書画、骨董類、丹精込めた菊や盆栽の鉢、大切な人から贈られた品々‥それらひとつひとつにかけがえのない思いが詰まっているに違いない。
今回は、先の国政選挙で、与野党を超えて、ジャーナリストや秘書、大学教官ら知人、友人が晴れて当選して、どうも政治が身近になってきましたから、ついつい、稚拙な「政見放送」の原稿みたいになってしまいました。それにしても、初当選の新人、従来の政治家のイメージを一新してくれました。
自分の言葉で語り、目線が低く、かつ健康的で一様に歯がきれい。希望するのは、党派を超えて、党の内外に大事なことを大事といい、必要なことを必要と言い切ってくれることを期待したい。