◆ DND大学発ベンチャー支援情報 ◆ 2004/ 4/28 http://dndi.jp/

風の街から

DND事務局の出口です。新橋駅から、「ゆりかもめ」に揺られていくと、窓外にまばゆいばかりの東京湾が目に飛び込んできます。上空を舞う都鳥、海、光、そして潮風‥遠望がきく水辺の風景。のどかでゆったりと時間が流れ、ただ、そこに身を置くだけでも安らぎを覚えます。あれから10年〜。


まあ、これは直感でしょうか、いわゆるお台場周辺の今日の賑わいは、当初から予測していました―といえば、いささか傲慢に聞こえますが、ホンとのことですから、お許しください。


率直にいうと、いやあ、10年前は「臨海波高し」と冷ややかで、「空気を運ぶゆりかもめ」と揶揄され続けていました。いち早く開業のホテル日航東京は「シケの海に漂う難破船」の扱いでした。その初代支配人でJALの宣伝部長を務められた板谷慎一さんは、血を吐く激務でしたね。みんな見果てぬ夢を追って懸命だったんです、実は。


マスコミといい、評論家といい、時代が移り潮目が変わると、手のひらを返すように立場を変えてしまいます。朝令暮改―その迎合主義には、ホトホト情けない気がしてきますが、いろいろ勉強させられました。


小生といえば―臨海副都心建設計画―いわゆるお台場周辺の建設に対して、厳しい批判の矢が飛んでいた最中、そのエリアをターゲットにしたフリーペーパーを創刊し、その総括として、編集コンテから、ライターの手配、デリバリー、広告営業、代理店対応、社内調整、それに収支モデル全般を担当していましたから、不眠不休の日々でした。当時、都知事の鈴木俊一さんにすっかり、惚れ込んでいましたから、超推進派の立場を貫き通しました。


理不尽なもので、留学試験の最終面接で、所属していた会社の役員から、「フジテレビの進出は大丈夫か?」との問いに「ここにきて戸惑っている時期ではありません」と言い切ったのが怒りを買ったらしく、チャンチャン。「そうですね、ご指摘の通り、時期が悪いかもしれません」とでもさりげなくかわせばいいものを、まっすぐ言ってしまうから。


いまとなっては年間4180万人を数える都内有数の観光スポット、嬉しい限りです。これも壮大なドラマかもしれません。行政のあり様としては、人が変わっても事業は継続されねば、関わる民間企業は、溺れてしまいます。知事の交代、それに伴って事業の中止という試練は、激震でしたから。


振り返ると、各種、批判や無責任?な論評のお陰で、それらの事業にコミットしていた関係の仲間らが心をひとつにして、必死に踏ん張れたのかもしれません。当時の都の港湾局長は、現千代田区長の石川雅巳さん、都議には現杉並区長の山田宏さん、いつもどの立場でも「Good job」、いい仕事をします。


新聞社の都庁担当として、その計画概要のフォローから数えて20年の歳月が流れています。ライバル記者に、工藤泰志さん、某新聞社から東洋経済新報社を経て、現在、「言論NPO」代表。彼曰く、現在は、経済不況ならぬ「言論不況」と。発言に責任がない、根拠が薄い、じゃ、どのようにすればいいのか?の選択肢を出し切れていないーだから、「建設的な論点を提起し、新しい日本の将来選択について提起していく」との主張は、力強い。


「お台場にはいつも新しい発見が〜」の大見出しは、「臨海副都心活力シンポジュウム」(14日開催、毎日新聞社主催)の概要を伝える27日朝刊の毎日新聞でした。紙面に懐かしい面々、作家でもあり、前副知事でお世話になった青山やすしさん、「街は海を向いてつくられてきた」と自由の女神のエピソードを紹介しながら、将来のお台場像をテーマに基調講演されていました。


成田浩さん、東京都港湾局長。専門は財務、主計ですが、臨海との関わりは、東京ビッグサイトのオープン前夜の初代総務部長で、バランス感覚がよく昔から調整役に徹していました。そこもいまや年間800万人の集客、同200件のイベントを開催する首都圏のコンベンション施設の雄に成長しました。


石原都知事率いる現在の都庁の幹部名簿や新聞にはあまり、登場しませんが、やはり、陰の存在、それもお台場の今日の賑わい創出のプロデューサーがいます。大野伊三男さん、山形県出身の57歳。マラソンやら相撲やら、トライアスロンやら、フリーマーケットやら、写真コンテストやら、なにやらかにやら、全部やっちゃいました。アイディアマンで、その実行力は並ではありません。現在、ヨットハーバー「夢の島マリーナ」の支配人。


5月20日は、東京港開港記念日。周辺で開催される「東京みなと祭」(22日から23日)には、やはり、彼が手がけたドランゴンボートの大会が23日、お台場海浜公園の特設会場を舞台に開催されます。10回目の記念です。


歴史を追えば、古代中国の春秋時代にさかのぼる勇壮なマリンスポーツですが、香港龍舟際から火がついて世界50ヶ国で国際レースが開かれているようです。足を運んでみてください。


さて、ゴールデンウイーク。久しぶりに、ふらっと、僕らが青春?を賭けた街、お台場にいってみようかしら。ゆっくりと、風に吹かれて、歩くだけで幸せな気分に浸れるかもしれません。お台場は風の街です。

追伸:すでに経済産業省からのプレス発表などでご案内の通り、「大学等発ベンチャー企業情報データベース」を公開しました。新聞各社の取材のご支援もあって、好評です。新規登録が2日間で300件を突破しました。これは記録です。お知り合いにベンチャー企業の方がいらっしゃいましたら、サイトに企業情報を掲載する登録フォームを用意していますので、ご利用のお声をかけてください。
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