◆ DND大学発ベンチャー支援情報 ◆ 2004/ 3/10 http://dndi.jp

名古屋流経営

 DND事務局の出口です。「サエない」、「食えない」、「ふがいない」だと?なに言っとりゃあす。名古屋は最高だぎゃあ!


「名古屋学」(新潮社刊)の著者で友人の岩中祥史さんが、元気のいい名古屋圏を特集したテレビの特番に、この数日、コメンテーターとして連続して登場していました。普段の地味な格好とうって変わって、淡い春物のジャケットに黄色のネクタイと幾分ダンディーな装い。そして、満面笑み、ずっとうれしそうな表情でした。ご本人は、名古屋の出身です。


知人の経済ジャーナリストの片山修さんもやはり名古屋出身、週刊誌やビジネス誌にこのところ頻繁に解説を寄せています。あの人この人、そういえば、あいつも名古屋出身‥。口数が少なく一見、飄々として無頼派っぽいんだけど、愚直で、人物やモノの観察は的確で鋭い。


駅売店のキヨスクで手にとった週刊ポスト。なぜか、暗く沈滞ムード漂う日本の中で驚くべき活況を呈している―として「名古屋の元気の素 大研究」の特集。その誌面からの片山さんのコメントを引用すると、「やはり初の連結純利益1兆円企業になったトヨタ自動車の存在が大きい。トヨタが好調だから、デンソーなど傘下企業も潤う。さらに、ブラザー工業、日本ガイシなど愛知県下の有力企業の多くが無借金経営で業績を伸ばしています」という。


経済の新しい風―を標榜する経済界の3月23日号は、特集・最強「中部経済」を展開しています。〜中部を地盤にしている企業の業績が好調だ。モノづくりの地域として有名な中部圏だが、今やメーカーはいうに及ばず、小売業やサービス業までもが勢いがある。その要因は何なのか、地元企業のトップの話とともに検証するーとの前書きに続いて、「なぜ中部圏だけが元気がいいのか」と自問して、詳細に分析していました。


まあ、このエリアは、ビッグイベントも目白押しです。中部地区2000万人の悲願の中部国際空港、名づけてセントレアは、総事業経費7680億円を投じて来年2月17日の開港、アメリカ東海岸,南ヨーロッパ、北アフリカまでもジャンボ機が直行します。名古屋駅から名鉄特急で28分、車で40分の至近は条件がいい。


「愛・地球博」の愛知万博はやはり一年後の3月25日に開幕します。管轄の大臣として中川昭一経済産業大臣が、経済界の編集長とのインタビューに答えていて、冒頭、「主役は子供です」と将来への期待を繋ぎながら、自然環境に配慮した施設工事に触れ、「基本的に木を切らず、木の息吹が聞こえるような施設になっています」といい、「食器類も自然を利用し、環境に負荷をかけない。ジャガイモのお皿など、私の地元の北海道も貢献できるのではないかと思う」と、さりげなく地元への気配りをも見せていました。


加えて、名古屋駅再開発、トヨタと毎日新聞社による地上40階建ての豊田ビルの建設がはじまり07年の完成を目指しています。ざっと、これらの動きは100年に一度のエポックというから、自ずと勢いがつく。 これらの上昇気運を根底から支えている企業群の存在も見逃せません。勝ち組企業 の社長のメッセージをいくつか紹介します。


■「百貨店を志向したら高額商品を扱い、スーパーなら安いものを扱わなければいけないと決め込む必要はない。要するに、人まねではなくて自分の形をつくらなければならない」(百貨店「丸栄」の後藤淳社長)。
■「今まで、証券会社は女性、とくに若年層に注目してきませんでした。今、女性の側でもお金はあるが、ファッションなどより一段知的な世界に入りたいという気持ちがすごくある」(東海東京証券の奥村雅英社長)

名古屋流経営の研究といえば、永久保存版の特集は日経ビジネスの昨年11月17日号でした。「躍る大名古屋〜48兆円経済を支える不朽の経営」。その誌面から〜。


■「リレーユースとは品物を使いたい時に使用し、使わなくなったら他の人に譲っていく。それによって品物は人から人へとリレーされていくと、品物が人に使われ続けるという品物本来の使命を当社が助ける役割を担う」(コメ兵の石原司郎社長)
■「想定しない客層に売れたから伸びた、というのは本来の売りかたではない。計画的な品切れも時には必要」(リオチェーンの横山貞幸社長)
■「世の中でもてはやされているものを見ても、本当にそうか−と疑う癖はついているけどね。ただ、一年一年を積み重ねてきただけ」(瀧定名古屋の瀧季夫会長)
■「取り返しのつくことなら早く決断するが、取り返しがつきにくいことはよくよく考えている」(ミツカンの中埜又左エ門和英社長)

 日経ビジネスのその号では、「環境がどうあれ、自らの理念を淡々と実践していく粘り強さは保守的なだけではなるまい。人目には地味で冴えなくても自分たちにとっては当たり前の取り組みだから経営の軸がぶれることが少ない」といい、日本経済の低成長が続くいまこそ、ブームに「踊らない経営」から学べることがあるーと指摘していました。


ちょうど、名古屋では大企業や大学,研究機関の技術を生かして中堅・中小企業の事業化を支援する「東海ものづくり創生協議会」の年度総会が開催されており、その主催の一員として右に左に多忙な中部経済産業局の佐々木昌子・企業育成総合支援室長に、中部活性化の要因を聞くと、「そうそう〜」と相槌を打って、昨日のその会議でデンソーの高橋朗会長の講演要旨をかいつまんで紹介してくれました。


「顧客主義、すなわち質創造こそが企業の目的であり、顧客とのきずなを強める経営を愚直に行うべきだ」(日刊工業新聞9日付け、高橋会長の講演要旨から)と。


名古屋はいいなあ〜。三河湾、それに富山県など日本海からの食材が豊富ですから、何を食べてもおいしい。今月中に一回いきます。みなさん不得手の名古屋自慢を聞かせてください。


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