DND事務局の出口です。厳寒のアメリカは東海岸、いま、たぶん、ワシントンでのベンチャー訪問を終えて、ボストンの大学視察です。米国起業支援調査という名目の米国視察ミッションの一員として1日から精力的?にスケジュールをこなしているかもしれません。
「たぶん」は、実はネタを明かせば、今回はいわゆる「予定稿」だからです。霞ヶ関のオフィスでいま、書いているわけですが、そのいまは1月30日夜です。用意した原稿を5日遅れで配信しています。帰国は8日です。視察の模様は後日、報告をさせていただきます。
さて、閑話休題。気になる話題を拾ってみました。
「出版不況」の指摘は、ずいぶん以前からあり、古くて新しい難問題なのですが、どうでしょうー最近のヒット作は、連続しています。19歳で芥川賞受賞の、綿矢りささんの「蹴りたい背中」(河出書房新社)、同受賞で20歳の金原ひとみさんの「蛇にピアス」(集英社)は、それぞれベストセラー上位にランクイン、史上最年少のそれも若い女性のダブル授賞という話題も後押しして売れ行きにも勢いがあります。
いま、書店にいくとレジで精算の順番待ち−というのも珍しくありません。「不況」はどこ吹く風のような印象を受けます。
同世代の芥川賞作家といえば、村上龍さん。彼のデビューは鮮烈でしたね。軍基地に近い原色の街、いわゆるハウスを舞台に日常的に繰り返される麻薬とセックス。スキャンダラスに見える青春を描いた「限りなく透明に近いブルー」(講談社)。が、いま再びランキング上位を維持している作品は、氏の「13歳のハローワーク」(幻冬舎)です。
帯に「いい学校を出て、いい会社に入れば安心―という時代は終わりました。花、動物、スポーツ、工作、テレビ、映画、音楽、おしゃれ、料理…いろいろな『好き』を入り口に514種の職業を紹介」―とあります。
「子供向けの本とは考えていない。社会で自分が占める位置、どんな仕事に向いているかを早く考え始めた方がアドバンテージ(有利性)ができる。それを伝えたい」、「予想外に読まれているのは、日本の中に変化に対応しようという人が多いからだろう」−とは、日本経済新聞のシリーズ「働くということ」でのインタービュー記事の一部。
本の中では、その動機に、好きな分野の仕事で生活ができればそれにこしたことはない−といい、この世の中には2種類の人間・大人しかいない、それは「偉いと普通の人」ではないし、「金持ちと貧乏人」でもなく、「悪い人と良い人」でもなくて、「利口な人とバカな人」でもありません−と打ち消して、結論として、「自分の好きな仕事、自分に向いている仕事で生活の糧を得ている人と、そうではない人ことです」とキッパリ言い切っています。
「おっ!」。若いときに希望した職につけるのは、「それは、ほんの一握り、ただ、55歳になると多くの人が、こんなはずではなかった、と悔やむ。だから、いま、一所懸命努力しなくてはならない」とは、恩師でした。
「自分は何が好きか、自分の適性は何か、自分の才能は何に向いているのか、そういったことを考えるための重要な武器が好奇心です。この本は、今の好奇心を将来の仕事に結びつけるための、選択肢が紹介してあります。この本にある数百の仕事から、あなたの好奇心の対象を探してみてください」という。
数々のヒットを重ねる幻冬舎。創立10周年。時代のニーズを的確につかんだ出版企画といえますね。不況のなかでも、自ら新たなマーケットを創出し成功した事例ということでしょうか。
さて、次は、ウイルス3題。アジア全域に拡散する鳥インフルエンザはウイルス感染のスピードに行政がついていけず、日に日に患者が増えている(1月28日の朝日新聞)。拡大阻止には感染がでた鶏集団の徹底処分しか方法がない−いうから深刻です。
周辺は風邪。インフルエンザの警報が発令され、うがいと手洗い。おかしい−と思ったら,無理しないで休みましょう−経済産業研究所の先輩からのお達しです。
そして、「MyDoom」という名のウイルス感染メール。インターネット史上最悪の急拡大―と日経BPのサイトで報告しています。ウイルスに対抗するメール技術を提供する米MXLogic社は1月29日午後12時半の時点で600万通の感染メールを遮断した−という。昨年8月のエムエスブラストの猛威、一昨年はクレズが長期に流行しましたから、3年連続の脅威です。
DNDのメール配信は、経済産業研究所の堅いガードと素早い対応もあり、細心の注意を払って防御し続けていますが、この27,28、29の3日間で5000通近い感染メールをブロックした−といいます。安心はできません、小生の端末にも感染メールのラッシュが確認されています。目に見えない厄介な敵が、徘徊しています。
おめでとうございました。